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2024-12-16 03:22

【演奏法】無音にこそ、演奏の本質が現れる話。

無音を操る演奏家が、音楽を制します。音のあるときの演奏はもちろんのこと、音がない休符の時間や、曲の最後の音の処理の仕方で、演奏のクオリティは大きく変わります。空白の時間をいかに表現していくかが、演奏の肝となるのです。
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今日のテーマは、【無音を操る演奏家が音楽を制する話】というテーマでお伝えしていきます。
昨日、時間というのは、充実時間と空虚時間があるということをお伝えしました。
ちょっとおさらいしますと、充実時間というのは、一つの音の始まりから終わりまであるという状態です。
空虚時間というのは、次々に出る2つの単音の間の時間間隔です。
音が鳴っていない状態です。今、2つ音を出しましたが、音と音との間の空虚な状態を空虚時間と言います。
この2つの空虚時間は、人が自覚するときに、主観的に時間を感じる感じ方が変わってくるということです。
音が鳴っている状態の時には、人は集中して聴くから、充実というか、音の状態をじっくり感じるのですが、
音が鳴っていない状態の時は、同じ時間であっても、音があまり感じられないというか、刺激がないから、そこが短く感じられるというのがあります。
僕はピアノで演奏するときに、空白とか休符をめちゃくちゃ大事にしています。
特に顕著なのが、音が消えるとき、曲が最後まであるときですが、曲が終わる瞬間というのは、音を伸ばすことが多いです。
ダンパーペダルを使って、音を伸ばすペダルで音を持続させるのですが、できるだけ長めに音を発声させています。
つまり、音が消える瞬間まで音をペダルで出し続けて、コロアになったらペダルを外して音を切るということをしています。
多くの演奏家は、そんなに長いこと音を伸ばさないのです。
ただ、僕が大事なのは、空白というのが、人が意外とあまり感じない時間帯というか、そういう感覚ですし、そこに耳を向けることによって、初めてゆったりした時間の流れというか、それが実現されるんじゃないかなというふうに思うので、
僕は空白に、休符になった場合にはできるだけ、あまり遅くしすぎると良くないんですけども、できる限りたっぷりと時間をとって、音がない時の音を感じてもらう。そして最後も音が消えた後もですね、すぐにね、ライブだとしたらしゃべったりしないで、ゆっくり時間を保って、空白を保ってやっていくっていうような、そんなことを心がけているんですね。
そんなことも音の心理学の考え方を上手く演奏に応用している事例なのかなというふうに思います。なので皆さんもですね、演奏を聞いておられるときに、この演奏家はね、空白をどういうふうに操っているのか、最後の音の届き方はどうなのかというのを注視というかね、中耳に注視していくとですね、何か新しい発見があるかもしれないですね。
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