身体の故障と演奏者
みなさんこんにちは、小松でございます。 今日は、ちょっと身体のこと、特に身体が故障したりとか、ちょっとうまく動かなくなるっていうような、そんな時に
どんなふうに対処をしたらいいのかな、みたいな、そんなお話をしてみたいなと思うんですけど。 これは楽器の話と近いというか、楽器を弾いている人向けの話になるかもしれませんが、
身体と呼吸みたいなことに最後つながるかなというふうに思うんですよ。
僕の大学時代から、今から30年以上前ぐらいからも聴いているというか、すごく影響を受けたあるピアニストさんがいらっしゃるんですよね。
その人がですね、10月頃、9月頃だったかな。 ちょっと右の手がですね、麻痺というか痺れるというか、
ちょっとブオブオするといいんですかね。 ブヨンブヨンしてしまってですね、もう全然ピアノが弾けなくなったっていう状態になっちゃったんですね。
予定しているライブも、はじめは9月10月のあたりがちょっとできなくなったっていう案内をいただいて、それで今度はですね、すごく最近なんですけど、12月とか1月とか2月あたりの最近というか、この半年まではいかないけど、
4ヶ月先ぐらいまでライブができなくなったという中止の連絡をいただきましてね、大変ちょっと心配してるんですよね。
この方すごく長いこと、40年以上演奏と作曲もされている方なので、使いすぎっていうよりも、もうずっとベテランなんで、まさかこの年代になって、
多分60過ぎぐらいだと思うんですけど、どうしても動かないというか、そうなったっていうことなんですよね。
ピアニストだったらよくわかるんだけど、本当指先の繊細な感覚を頼りに演奏するわけなんですよね、当然ながら。
少々痺れるとか感覚が麻痺するっていうのかな、そういう状態だとピアノの絶妙なタッチ感ってあるでしょ、それがどうしてもフィードバックできないんですよね。
ただ演奏はできるんだけど、その微妙な息遣いとか、その辺りがちょっと難しいわけですよ。
それでそういう状態では人の前で演奏もできないし、本当に苦渋の決断っていうのかな、そういう感じでちょっとできなくなったっていうことをお知らせで見てしまったわけなんですよね。
練習不足の影響
それで僕今ちょうどすごくいろんな仕事が忙しいのでピアノほとんど触れてなくてですね、正確に言うと1年近く前まで触ってないですよね。
触ってないというのは何かというと、練習してないんですよ。
約1年ぐらい前、去年の12月頃ぐらいまではですね、もう何十年となくですね、練習を重ねてきたわけなんですけど、
ハノンとか指の練習とか、週に1回ぐらいかなり周知的に2時間とか3時間使って演奏して、週に1回ぐらいを目標にYouTubeのピアノライブやったりとか、外からの依頼があったらそこで演奏するとかっていうことをしてました。
今もね、授業中であるとか、講演会とかね、そういうのをちょっと当面する予定はないんですけど、どうしてもこの夏以前にね、ちょっと依頼のあったものは全部一応こなしていくってことをしてるんですけど、まあしてないですよね。
してない状態で、やっぱり練習してないと指が鈍ったりとかね、ちょっと大変動かないっていうのが、僕、演奏者としてはすごく不満足なんですよね。
ここまで昔は弾けたけど、今は練習不足で全然ある域まで練習というか、演奏できないという状態になってしまうわけなんですけどね。
まあそれはそれとして考えていくとですね、こういう見方もあるんじゃないかな、この元このマザルドに関わらずピアノを弾いてないので、指の保養にはなってるっていうかね、言い訳かもしれないけど、
すごくね、指をずっと弾いてるとどうしてもね、筋肉とか筋ですよね。特に小指から肘にかけての筋があるんですけど、やっぱりね、弾きすぎるとちょっとね、どうしても違和感というか、ピキピキってなることがあるんですよね。
そういうふうになったらなるべく弾かないようにしてるんですけど、おかげさまでそういうことがないということなんですよね。
その対策としては、ずっと演奏を僕は続けてきましたし、故障した方もね、もう本当に現役でやってきたところがあるので、使いすぎっていうことじゃないんですよね。もう使ってますから。
何がそこを阻害してるかというと、呼吸かなって思うんですよね。呼吸。呼吸するかのように演奏、歌うかのように演奏っていうことはよく言われてるけど、これね、めちゃくちゃ難しいんですよ。呼吸しながら演奏していくってことは、よく言うとピアノと一体化していくような、楽器と一体化していくような感覚になりますよね。
そういう弾き方をしないと長続きしないっていう。僕もずっとかなりヘビーに弾いてますよ。2,3時間連続で弾けますから。弾けるのは呼吸してるからですね。一つのフレーズがあったら歌うかのように、連続的にフレーズを演奏して、それでブレスになったらまた息を止める。
なんかね、演奏してる時に歌ってる時もありますから。っていうことはね、曲に合わせた自然な状態での呼吸の仕方っていうのがすごく大事で、それがあんまり上手くできてなかったのかもしれないですね、そのピアニストは。僕もたくさん聴いたり生で聴くけど、わりと力づくでゴゴゴゴゴっていう感じのね、演奏するんだよね、それがね。
まあこれね、ちょっと大丈夫かなと思ってたことはありましたけど、力任せっていうのかな。それはやっぱりね、たくさん筋肉を使って演奏するっていうのも負担にはなると思うし、呼吸があんまりできてなかったのかなっていう感じなんですよね。
まあそれで、すごく大事な演奏の仕方としてお手本になるのはね、やっぱり坂本隆一さんですね。あの方、演奏する時に手が動くでしょ。指揮やってないのに指揮やってるかのように演奏する。そしてこれグレングルドもそんな感じですよね。
演奏する中で、自分が休符の時なんか指揮するように手を動かす、身体を動かすってことをしてましたし、坂本隆一さんもそのグレングルドの影響を受けてるので、そうするわけですよ。僕もね、両方のピアニスト好きだから、まあなんとなくそれやってるとね、やっぱ自分の癖になっちゃったんですよ。
これってね、めちゃくちゃいい癖で、呼吸なんですよね。身体、別にピアノだったら手を動かすだけでもいいんだけど、体全体で動かす。そして身体全体でこうね、ピアノ弾いてない時でも体とか手がめちゃくちゃ動きますからね。それは自然とその呼吸をしている、呼吸の身体化っていうことですよね。
それをしていくと、やっぱりピアノとか楽器演奏してる時でも、ピアノとか楽器は自分の体ではないけれども、体の延長としてね、演奏するっていうシームレスな状態で演奏が続けられるっていうのがやっぱすごくいいんじゃないかなっていう、ここがね意外と難しいというか、やってる人少ないですし、
そういうような感覚を保つっていうのはすごく、体にも結局負担がかからないし、演奏する表現力も自然で聞きやすいものになるっていうね、そんな感じなのでね、やっぱり人の故障を見て思ったのは、自然な呼吸を演奏に続けていくというかね、繋げていくことがすごくね、
大事なんじゃないかなっていうふうに思いましたね。ということで、音のね、単なる演奏じゃなくって、身体全体で呼吸を感じながら演奏するっていう、そういうところがね、結構重要じゃないかなって思いました。それではこんな感じで今日は失礼いたします。