業務委託契約と雇用契約の概要
こんにちは、遠藤克樹です。久野勝也の「労務の未来」、久野先生よろしくお願いいたします。
お願いします。
ということで、前回は真面目なアメリカ視察レポートをやっていましたけどね。
無人、隠し、すごかったぞというような話とかね、しましたが、今日はまた労務の問題に戻っていきたいなと思います。
お願いします。
ということで、早速質問なんですけれども、ちょっとご紹介させてください。経営者の方からの質問です。
業務委託契約のメンバーが多いのですが、実態として雇用契約と言われる可能性があるのではないですか?と知り合いの経営者に指摘をされました。
しかし、そもそも業務委託者も、むしろ自由裁量で働きたく、雇用契約を求めていないので、特に揉めることはないのではないかと考えております。
そもそも実態が雇用契約となるケースや雇用契約扱いとなった場合のリスクはどのようなものが想定されるのでしょうか?ということですね。
僕も最近そういう相談は多くて、やはりフリーランスの方が増えてきたんだと思うんですよね。
あとは従業員の中ではフリーランスでやっている人がいて、知り合いの人がフリーランスでやっていて、私もフリーランスでさせて欲しいというような要望も聞いたりして、だいぶ世の中が変わったんだろうなと思います。
雇用契約の方が自らフリーランスがいいですって手を挙げる。
そうですね。
自由がいいんですかね?
そうですね。自由というのが一番大きいかなと思うんですけど、会社側は結構気をつけなきゃいけなくて、今おっしゃられたみたいに、本来業務委託というふうに扱ってやってたのに雇用というふうに認定をもらうと、いろんなペナルティーがあるというところですね。
リスク上の話ですね、今の。
まずその角度から話していきますか。
そうですね、そっちからちょっと行きたいなと思うんですけど、そもそもまず国ってこういうふうに考えてるってところは理解した方が良くて、基本的には雇用を前提に日本の労働環境って作られてるわけなんですよ。
なるほど。
なんとなくイメージが開くと思うんですけど。
はい。
ということは疑わしきものは雇用というか業務委託ではないって話になるんで。
なるほど。
業務委託の雇用であれば雇用なんじゃないのっていうふうにみんなが思うってところなんですけど、単純にどういう問題が起きるかっていうと、雇用と業務委託の違いっていうところをはっきりさせればよくわかると思うんですよ。
社員はまず雇用の場合は給与払わなきゃいけないんですよね。
うん。
で、業務委託の場合は外注費とか業務委託料って話になるところに、ひとつはまず残業の問題が起きるんですよ。
はいはいはい。
社員であれば雇用であれば残業代が必要になって、業務委託だったら残業なしになるんで。
だから揉めたときに、例えば逆回って業務委託の方から、私雇用だから残業代払ってくださいみたいな話で訴えられる可能性もあるよねみたいなのが。
実質残業してるんだから身払い残業代払うべきじゃないのという主張ってことですね。
そうですね。そういうようなことも起きるよねっていうところとか。
あとは契約期間っていうところでいくと、雇用だと今60歳は一般的に定年、65歳継続雇用っていう話になるんだけど、業務委託契約は契約書によるじゃないですか。
はいはいはい。
そういったところの問題だとか。
あとは社会保険は雇用であれば労使接班で社会保険強制管理だと思うんですけど、業務委託の場合はそこは法人化してれば全然別ですけど、個人事業の場合は本人自分でやらなきゃいけないよねって話。
そうですね。自己申告というか。
そうですね。
自己責任ですもんね。
自己責任ですね。あと健康診断とかも雇用であれば会社が受けさせなきゃいけないけど、業務委託は自己申告で。
あとは多いのは労災ですよね。労災が会社であれば会社が入っていけますけど、業務委託の場合は自分で一人親方とか一人労災みたいに入らなきゃいけないんですけど。
なので揉めるポイントとしては、怪我したときにですね。
はい。
労災は何も保証がないので業務委託が。
これちょっと結構世の中的にトラブルになってるんですけど、私雇用だから労災使えませんかっていうふうに急に主張してきてるっていう話になるんで。
とにかくポイントとしては、社員であるか業務委託であるかってこの境目をしっかり経営者たちが理解をして、白黒はっきりさせておくっていうのは大事かなっていうところと。
なるほど。
ちょっとさっきの話に戻るんですけど、基本的には国ってこういうふうに考えてるよっていうところでいくと、経営者側がですね、本来は雇用なのに業務委託にさせて残業代を抑制してるんじゃないのかとか、社会保険削減してるんじゃないのかとか。
あともう一個税務的な観点でいくと、これちょっと細かく説明するとすごく難しいんですけど、消費税ですね。
人件費って消費税かからないじゃないですか。業務委託いたと消費税がかかる。
消費税っていうのは、支払った分と預かった分の差額が国に納税しますよね。
なので消費税たくさん払うってことは、逆に会社のお金が残るんで、社員で人件費払うよりも、業務委託で人件費って言うかどうかわからないんですけど、人の費用。
業務委託で人の費用払えばですね、会社にお金がたくさん残りますんで、税務署からは消費税回避してるんじゃないですかっていう否認を食らうので、こういうふうに疑われないようにとにかく雇用と業務委託の境目をはっきりさせておくっていうのが今の流れになる。
今の消費税側の話というのは、ケースとして考えられるのは、つまりあれですか、税務署とかが入ってこられたときに、これって雇用じゃないのってなった場合に、借り払い消費税なのかな。
消費税の分が、いやこれ社外保険払わなきゃダメでしょってなって、思いっきりキャッシュアウトしていくっていうリスクがあるみたいな話ですか。
そうですね、本来は消費税を10%も、簡単に言うとですね、消費税分だけ会社のお金残るんですね。それが要は雇用なんだから、こんなにお金残してたらおかしいんじゃないですかっていうふうに否認されるということですね。
税務的観点と実務的注意
雇用扱いとされてってことですか。
そうですね、そういうふうに疑ってくるケースもあるので。
そっちの可能性もあるんですね。
だから結構ね、税務省側から言われるケースもありまして、税理士さんから相談を受けるケースもあります。
意外とじゃあ業務委託だから大丈夫とかじゃなくて、業務委託してる方との揉め事で、これって見払い払うべきじゃないとか、その労災の時に責任取ってよみたいな話になることも労務的な問題としてあるけど、一方で税務的な問題としてもあるということですね。
それは税務省側から、だから国はとにかく業務委託っていうのを推奨してるわけじゃなくて、疑わしいっていうふうに思いながらやってるよってことを理解を会社側がしておかないと。
なるほどね、会社側が都合よくやってると見られがちと。
そう、労使がうまくいってるよっていう話は関係ないよって話で、法律上これは本当に適切なのかどうかっていうのは、もちろん実態見てやるんですけど、いまいちそのルールがわかってないとやばいよねっていう話がある。
なるほどですね、そうなってくるとどこでかポイントになってくる。その業務委託なのか雇用なのかの判断はどういったポイントかみたいな話が大事なんですかね。
そうですね、だからこの雇用契約と業務委託の境目って考えた時に、雇うっていうものはどういうことかっていうのをはっきりさせた方がいいかなと思ってまして。
はいはいはい。
だから要は雇うっていうことがわかれば、雇わないってこともよくわかると思うんで。
たしかに。
なので野党の労働法上の定義っていうのはですね、職業の種類を問わず事業または事業所に使用されるもので賃金を支払われるものっていうところで、労働基準法の第9条みたいなところがあるんですね。
職業の種類を問わず事業または事業所に使用されるもので賃金を払われる。
そうなんです。それであとはまあいろんな過去の判例とかから2つポイントがありまして、使用従属性に関する判断基準っていう、そういうものと労働者性の判断を補強する要素っていうのがありまして、これちょっとこの後少し解説したいなと思うんですけど、この観点で雇用かどうか見ていくっていう形。
なるほど。使用従属性に関する判断基準って例えば何ですか?
2つある式監督課の労働っていうところと報酬の労務対象性に関する判断基準というのがありまして、要はこれ結構重要なんですけど、式監督課で働いてるっていうのはこれも雇用なんです。
なるほど。業務委託の関係性微妙ですね。これ式監督課じゃねえみたいな確かにありそうですよね。
実務的に気を付けなきゃいけないことはいろいろあると思うんですけど、まずは業務委託であれば契約者に基づいて仕事してるはずなんですよね。雇用って要は限られた時間の中で上司が言われたことをやるっていうのが雇用じゃないですか。ここが一番ポイントだと思うんですよね。
なるほど。
よく一般的に言われているのはまず一つは式監督課の労働っていうのが意外としないんですけど、許諾の自由があるから要は断る権利があるのかどうかっていうのはポイントで、正社員で断らないじゃないですか基本的には。やりたくありませんとか。
だから拒否権がないものっていうのは実はこれって契約書があったとしても雇用にされる可能性があると思うんで、そうやって考えていくと、税務署が結構こういう話されるんですけど、一社専属って実はあんまり良くないんじゃないのっていう話が結構ある。
なるほどね。
許諾の自由ないですよねほぼね。
そうですね。限りなく雇用に近くなりがちですよね。
税務署は結構そこ判断するっていうのは僕は経験上ありますね。
複数との業務委託契約して報酬もらっているとまあそうなの式命令かじゃないのかなと判断されがち。
かなり他でも働いている可能性もあるし、なんか少し本当に委託っぽいですよね。
なるほどね。
これは業務遂行上の指揮監督の有無っていうところで、これはもちろん打ち合わせ程度であげたら構わないんですけど、都度業務のやり方とかを指示していくみたいなものは、これ完全に指揮命令があるよねって書かれたらしいので、そういったところが大きな基準になります。
上司部下的な関係。
今でいうとチャットとか気をつけないといけなくて、進捗をもらうとか相談されたことに対して答えるってことに関しては構わないんですけど、チャットで5分10分とか1時間ごとに業務報告したりだとか、これはもう明らかに業務遂行上の指揮監督があるよねって話になるので。
やっぱり業務委託であればやり方も含めて本人にお任せすると、結果で納品するとか、そういった形になるのかなっていうふうには思ってます。
なるほど。
あとは勤務場所とか勤務時間の拘束制みたいなところでありまして、朝何時に来いとか、そういうのは全然ダメだよねって話。何時に来いというのはこれは雇用だよね。業務委託であればその人の自由って形。どこで働くのも自由だよね。
ただ一部契約書に盛り込むことは可能かなと思いますけど、この業務に関してはこの辺りでやってくださいねとかっていう程度だってあればいいと思うんですけど、朝礼に参加しろとか、会議に必ず出てくれとかっていうのはこれは雇用性が結構強いんじゃないかなっていう。
なるほどね。働く勤務の場所とか時間と絡んで指揮命令関係あるよね、これみたいな感じになりそうですもんね。
そうですね。
言われると世の中の業務委託って結構グレなのそうですね。
いや多いですよ。だからね、業務委託なのに会議に参加してて社員と同じところにいるとか、全体会議にいるとか、で僕業務委託なんですよっていうのはちょっと。
いやいやそういうシーンってちょっと大丈夫なのかっていうぐらい結構ありますよね。
いや結構多いですよ、僕見てるとね。
なるほど。
それが実はリスクであるっていう見方すらしてないパターンありますね。
それ本当に言うとね、情報漏洩の問題もありますからね。要は会社に情報提供してるのに、さらに別の人に、要はそういう客さんに言っとかないと違法になる可能性も結構ありますからね。
なるほど。
CDM、MDAとか結んだのにMDAの中に入ってない人に会議に参加させちゃってるわけですね。
うんうん。
そういうのも結構問題は起きるかなと思います。
そういうあたりが、使用従属性に関する判断基準っていうのは。
そうですね、あとは労働提供の代替性の有無っていうのがあります。
例えばお客さんから仕事を受けた時に、業務委託なので別に自分がやらなくてもいいよみたいな形ですよね。
これちょっと分かりづらいですけど。
要は社員だったら、上司から指示されたものを別の人にさらに再委託するのダメじゃないですか。
うんうん。
業務委託の実態
そういう基本的には、業務委託であれば受けたものを別にいかなりやり方しても構わないよみたいなところがあります。
なるほど。
あとはね、さっき報酬の労務対象性っていうのは結構ポイントなんですけど、
とにかく実務上は時間に払わないことですかね。
時間と紐付けると労働者性って強くなるかなと思って。
時間給っていう意味ですか。
はい。
業務委託なのに1時間いくらとかっていうのがたまにあるんですよ。
変じゃないですか。仕事のような。
でもこの仕事、このぐらいの価格で何ロットぐらいよろしくみたいな発注の仕方だと、あ、でもそうか。
だから今は時間給じゃないですよね。
そういうのがオッケーだと思います。
なるほど。時間給にしちゃった場合ってことか。
僕は結構時間給の業務委託役を見るので、これはちょっと無理あるんじゃないですかって話はさせてもらいます。
この業務で言うと報酬の労務対象性の判断基準において、ちょっとこれまずくないかってなりがちなところが今の時間給になっている場合。
そうですね。
ということですね。
はい。
どうですか。
あともう1個は労働者性の判断を補強する要素。さっきのところの2つが実は重要で、
指揮監督課の労働と、指揮監督課かどうかというところと、報酬の労務対象性で要は時間給で払わないとか大事だって話をしたと思うんですけど。
もう1個はよく会社側が物を貸してるから、これって労働者じゃないんですかって話とかするじゃないですか。聞いたことないですか。
パソコン支給とかそういうことですね。
パソコン支給とか。これってどうなんですかってよく言われるんですけど、これは補強する要素って言われてまして、貸してるから必ずしも補強になるってわけじゃないので。
はいはいはい。
っていうのはちょっと補足で入れておきたいなってところはありますね。
じゃああくまで補強する要素なので、雇用という認定の判断基準になるかっていうと、まあそうでもないよっていう受け止めですか。
そうですね。なので別に会社から対応することもそんなに問題ないんじゃないかなっていうふうに思うんですけど、
例えばでも時間給で払って物まで対応してたらやっぱりアウトだよねってなるよとかですね。
はいはいはい。その辺は実態との組み合わせでどうに判定されるかってところなわけですね。
あとは報酬の額とかもやっぱり業務委託であればそこそこ高くないといけないかなと思って、この辺り決めておくことが大事かなっていうふうに思ってます。
これ全体像最後ギュッと要約するといかがでしょうか。
そうですね。ちょっといろいろいろいろいろ話しましたけど、ここだけ覚えておくといいかなと思うところで最後またカットにまとめちゃいますけど、
はい。
要は誤解されないために何をやるといいよって話なんですけど、一つは、これかなり多いですけど一気にいきますね。
契約書をまず作るってことですね。雇用と業務委託を分けるために。
雇用契約の見直し
これは要は世間でいう離島受け入れみたいな感じに認定されないための対策法のチェックってことですか。
そうですね。それをちょっとまとめにしたいなと思うんですけど。
契約書。
契約書をまず作る。
業務委託契約ですか。
業務委託契約書ですね。で、あとは時間とその時に切り離すってことですね。さっき話したところ。
あとは朝礼とかに参加させないってことが大事かなと。
あとは出勤義務を終わせないとかですね。
はいはいはい。
あとは勤務場所指定しないとか。
なるほど。
あとさっき言った先続にしないとか。
あーなるほどね。
あと業務指示に気をつける。いわゆるチャットとかでもタイムリーに指示するっていうのは絶対やめると。
はいはいはい。
確認程度ってことですね。
うん。
で、あとは納期も都度指定するとかっていうのはアウトになる。
で、あとさっき話したところで言うと受注発注みたいなのをしっかり行うっていうこととか、
あと納品とか検品とかっていうのはちゃんとやり取りしっかりしてやるってことですね。
社員ってそういうのしないですからね。
で、あとはなるべく経費を負担しない方がいいよってところで、自分のものを使ってやってくださいよとかですね。
なるほど。
あと請求書をしっかり出すっていうところですね。
雇用だったら請求書出さないですもんね。
はいはい。
あとは資金移動を行うっていうのも行くんですけど、掛かった経費に関しては請求ちゃんと書けるとかですね。
そういうお金のやり取りも別で事業者ぽくやるっていう。
なるほど。
こういうことをやっていただくと雇用と業務委託っていうのがはっきりしてくるんで、
こういったところをやれてますかっていうのが一つポイントになるのかなっていうふうには。
なんかこの辺りは関係性で起きがちそうですし、
もともと雇用契約だった方をフリーランスとか業務委託に切り替えたときに、
もろになんか昔の名残でこれ雇用の延長じゃね?みたいなことになったりしそうですね。
そうですね。そうならないように一回、もう一回線引き直すっていうことも大事だと思いますし、
結構昔から上手にやってる会社さんもあると思うんですけど、情報がいろいろ、情報が社会になってるので、
なんかね、ひょんなところから変なツッコミ入ってもらえないので、
定期的に見直すといいのかなっていうふうには思います。
ということですね。ということで、フリーランスが多くなっている時代ですので、
実は潜在的にそういったリフクもあるということを知っていただいて、
なかなか2回か3回に分けてもいいぐらい濃い内容だったので、
ちょっとぜひ聞き直していただきつつ、質問等々ありましたらぜひぜひお待ちしておりますのでお寄せください。
ということで、この先生終わりましょう。ありがとうございました。
ありがとうございました。
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