あけましておめでとうございます。今年一年もサニーデーフライデーをどうぞよろしくお願いいたします。前回のお話の続きで、企業が解雇に踏み切る際の実務的なお話や従業員の解雇を事前に防ぐために企業が取り組むべき事に関して若手実務家社労士と語りました。
【ハイライト】
・有期契約社員の雇い止めについて
・企業が整理解雇をする際の4要件
・退職勧奨について
・解雇案件になるのを防ぐために企業がすべき事
・ロサダの法則
有期契約社員を途中で辞めさせることはできるのか?
有期契約社員については、雇い止めという言葉で整理されるが、原則として契約期間満了まで雇用継続が前提。企業と従業員があらかじめ期間を合意して契約しているため、途中で一方的に打ち切ることには非常に高いハードルがある。仮に更新の基準を「能力不足」などとしていた場合でも、それが契約時に明確に説明されていなければ、後になってそれを理由に更新拒否(雇止め)することは裁判で認められにくい。契約更新基準の明文化と、契約時の説明が不可欠である。
整理解雇の4要件——会社都合の解雇はこう判断される
業績悪化などで従業員を減らす必要がある場合、「整理解雇」としての対応が取られるが、そのハードルは非常に高い。過去の裁判例をもとに整理されている「整理解雇の4要件」とは以下の通り:
人員削減の必要性(経営悪化の客観的証拠)
解雇回避努力(役員報酬カットや一時帰休など)
人選の合理性(選定基準の公正さ)
手続の妥当性(労働組合や従業員への説明・同意)
どれが欠けても、裁判で解雇が無効とされる可能性が高く、実務的には非常に慎重な対応が求められる。
解雇よりも現実的な「退職勧奨」とは?
企業が従業員に対して辞職をお願いする「退職勧奨」は、本人の同意が前提で、法的なリスクが比較的少ない。しかし、実際には「辞めさせられた」という受け止め方をされがちであり、その対応の仕方が非常に重要である。退職条件の提示(例:特別退職金、転職支援等)を含めた“オルタナティブ”の提案が効果的。また、退職勧奨は社長自身が伝えるのが誠実だが、現場との関係性や従業員の心理を考えると、信頼関係のある管理職を通じた伝達も有効である。
コミュニケーションが「解雇」を防ぐ——信頼関係のつくり方
問題がこじれる前に、日頃からのコミュニケーションが重要。入社時には労働条件を明確に提示し、期待される役割を理解してもらうこと。そして、従業員が不調を見せたときは早めに声をかけ、孤立させない職場風土が重要だ。人材育成においても「父性(叱る)」と「母性(信じて待つ)」のバランスが不可欠。例えば、事務員がミスをした場合でも「次はできる」と信じる姿勢が、従業員の自己肯定感と成長を促す。指導者側が諦めない限り、従業員も踏ん張ることができる。
解雇を避けるために、企業ができる2つのこと
最後に、解雇を避けるために企業が取り組むべき2つのことをまとめている。
明確な雇用条件の提示と説明: 入社時に業務内容・契約条件・評価基準を丁寧に説明し、後々のトラブルの原因を未然に防ぐ。
日常的な対話・信頼形成: 退職勧奨や解雇が必要になる前に、現場との距離感を縮め、従業員の変化に気づける関係性を作ること。
法律論や制度以上に、現場の対話が労務トラブルの“真の予防策”になるという視点が、この回の重要なメッセージとなっている。
~お知らせ~
サニーデーフライデーは、社会保険労務士として活動する田村が普段のサムライ業という固いイメージから外れ、様々な分野で活躍する方やその道の専門家・スペシャリストと語るトーク番組です。
人生に前向きでポジティブな方をゲストとしてお呼びし、経営者や従業員として働くリスナーの皆様が明日から明るく過ごせて、心や気持ちがパッと晴れるそんな『働き方を考える』ラジオをお送りします。
話すテーマは社労士業、働き方改革、キャリア、海外駐在、外国人雇用、海外放浪等です。
パーソナリティー:田村陽太
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナー等のPRブランディング事業も手掛ける。
カバーアート制作:小野寺玲奈
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