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2024-01-31 36:06

第60回『好き、あなたはブンちゃんの恋』

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《強い「好き」の気持ちは、私たちを、おかしくする。まるで怪物みたいに。》

今回は、宮崎夏次系先生の漫画作品『あなたはブンちゃんの恋』を特集しています。「モーニング・ツー」に2020年から2022年まで連載された、全5巻からなる本作。

「好きという感情が何に収束していくのか。」ということを切り口に、お話しています。

◆『あなたはブンちゃんの恋』登場人物
・ブンちゃん
・三舟さん
・シモジ
・末廣さん
・暴走ニンニク豆腐さん
・光秀
・鬼丸さん


以前、宮崎先生の作品を特集した回はこちら。

・第70回『僕は問題ありません、あなたもきっと』

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サマリー

宮崎なつじけい先生の『あなたはブンちゃんの恋』という漫画について特集しています。この作品はなつじけい先生の初の長編であり、なつじけい先生のデビュー10周年の一つのポイントの集大成です。 第60回エピソードでは、『好き、あなたはブンちゃんの恋』の要約として、痛くて眩しい文ちゃんの恋愛、三角関係、そして三人のキャラクターについて特徴的な描写があります。作品のタイトルに込められた意味や、キャラクターの関係性についての議論も行われます。『好き、あなたはブンちゃんの恋』は新しい恋の表現をテーマにした作品であり、ブンちゃんの声が聞きたいというリスナーの要望に応えるため、難易な本屋や電子書籍での購入が推奨されています。

00:01
宮崎夏次系先生の『あなたはブンちゃんの恋』という漫画を特集させていただきます。
宮崎夏次系先生の作品はですね、前シーズンの心の砂地の時に3作品短編集も特集させていただいたりしたんですけれども、
今回のその『あなたはブンちゃんの恋』っていうのが、夏次系先生の初の長編。なおかつ、この作品っていうのが夏次系先生のデビュー10周年の時に一貫が発売していて、
一つのポイントの集大成というか、確実にこのターニングポイント的になってくるだろうなっていうことがあって、このタイミングで取り上げておきたいなと思って今回選ばせていただいたんですけど。
はい。以前の回は概要欄などに貼っておきますんで、宮崎夏次系先生の初期のキャリアとか前回のエピソードはその辺から聞いていただければなと思います。
はい、そうですね。ざっくり感想をシャークさんいかがでしたか。
やっぱりこう、短編ではなかったような深みというかね。
短編で1話完結でいくと、それぞれSF的な世界観だったり、たぶん現代っぽいなみたいな世界観だったりとかいろいろあるんだけど、
今回は結構その街とか、わかりやすい言葉で言うと世界観というか、奥行きがある感じがすごいしたかなと思いましたね。
そうですね。僕もまさにそこを一番これまでの作品との違いで感じていて、
キャラクターたちがどういう風にお金を稼いで、職業とかもね、あとどういう部屋に住んでいてとか、どういうものを食べたりとか、どういう家族がいてっていう、
なんかその辺りまでかなり細かく書いているっていうところが、やっぱこれまでの短編集、こういう映画書きたいとかこういう展開とかこういうセリフっていう、
やっぱインパクトがかなり大きかったところから離れてリアルになったなっていう感じが。
うーん、まあなんかその構造的なもんがね、長編ということで持ち込まれた。
そうですね。
まあ長編つっても5巻だけどね。
そうですね。
うーん、そういう深みは結構あったかなっていう。長編だからこそ遊べるところとかもあるだろうから、結構街だけのコマとかさ、
なんか本当に漫画らしい漫画っぽい背景みたいなのがしっかり書いてあって、なんかその辺が結構クスッと笑えるような感じがあったりとか。
そうですね。
なんかそういうのがすごい良かった。で、現代、LINE使ってるんだろうなって感じとかスマートフォンで連絡してるとか、
がっつり現代っぽい設定になってるんで、なんかその辺言ったら一番読みやすい漫画らしい漫画なのかなというふうに思いましたね。
うーん、その辺り、まあ現代の話なんだなっていう感じがとてもする一方で、
シモジっていうこの悪霊、最初パスケースに乗り移ったりとかしてて、その後人間に乗り移っていってっていうこのフィクション、
完全にフィクションの存在っていうのが出てくるっていうところが、リアルな部分とそういうフィクションっていうのが入り混じってても、
あんまり突っ込みどころなく読めてしまうっていうところが、やっぱそのイラストの力っていうところが感じますね。
なんかその、具体的な、たとえば淀川長治先生とか、背景にこれどこどこの店だなーみたいな感じののとか書いてあったりとかしてて、
そこのバランスが言ったら今の現代日本生きてる私たちにも、なんか接続しやすいファンタジー的な設定はあるんだけど、
あくまでその悪霊が取り付いちゃったみたいなところぐらいで、話としてはそういうとこなんで、結構そこのバランス感がわりと好きでしたね。
小ネタで笑える感じっていうのが。
そうですね。確かに。結構背景とか街並みっていうところでね、そういう要素が出てきたりとかするところがありますね。
そうそう。ちょっと具体的に先に言っちゃうと、2巻の71ページ。靴流通センター。
はいはいはい。靴流通センターのこの建物。
建物があって、これってさ、いわゆるハローマック跡地の靴流通センターの建物なんですよね。
この建物そのまま流用してるっていうね、SNSとかで見たことあるやつですよね。
そうそう。で、これってハローマックって本当にたぶん僕たち世代の、言ったらトイザらスみたいなおもちゃセンターで、
この縦長の城みたいな形になってる店舗っていうのがあったんですよ。で、ここで僕たちはミニ四駆とかおもちゃを買ってたんだけど。
で、ここの大元の会社が靴流通センターで、おもちゃが売れるって言ってハローマックを出してたのよ。
そうなんですね。
で、僕らが高校生ぐらいになったらどんどんハローマックが畳んでいって、気づいたら靴流通センターになってるっていう、ちょっとショッキングというか。
なんか、俺たちの心の中の時間の計画と、あそこは夢の場所だったのに靴の店になってしまったみたいな。
なんかそういうトラウマがたぶんね、今の30代前半から20代後半ってあんのよ。
なるほどね。
これがパッと出てきたときに、本当にこれはお遊びで描いてるかもしれんし、何気ない風景、面白いものとして描いてる感じはあるんだけど、なんかドキッとしたね、僕はこの感じが。
自分の知ってる景色だっていうところ。
っていうか、そのハローマックだったとこが靴流通センターになってるっていう、このブルース感。
なるほどね。
っていう細かいとこなんですけど、なんかそういう、だからそういうとこにもグッと反応してしまうような感じで、結構細かに描かれてて。
なんかそこがね、どこ引っかかっとんねんだ感じかもしれないんですけど。
あ、いえいえ。
実際僕的にはすごいグッときたんで。
そうですね。
そんな小ネタもありますっていう。
そういう系で言うとですね、僕の中ではホームセンターのシーンがあるんですけど、ホームセンターのガーデニングゾーンにあるちっちゃい小屋っていうのが。
はいはいはい、あそこも素晴らしいですよ。何してるのかわからんとこね、あれね。
そうそうそうそう。で、このホームセンターで僕もバイトをしていたことがあるので、ここでずっとここに籠って働いてる人と、その横で植木鉢みたいなのを陳列してるっていうのがあるんだよなっていう。
なんかだからそういう見てる景色だけど、そこにストーリーが生まれると思わへん場所やん。
そうそう。
例えばカラオケボックスとかってなんかありそうだったりするやん。ドラマとか映画とかでもなんか使われたりするやん。
使われやすい場所ですよね。
そうそうそう。学校の校庭にある鉄棒のところとか、コンビニの裏とか、なんかそういうのってテーマとしてあって、そこにあるよねみたいな、あるよねみたいなそういうノスタルジーじゃなくて、こう通り過ぎてしまうようなさ、ホームセンターのあのちっちゃい小屋の中でなんかやってる人みたいな。
多分外の植木鉢のコーナーとかを担当してる人らみたいな。あそこでこうドラマを展開させようとしてるっていうのはもう、すごい着眼点だなっていう。
誰もステージに選んでない場所で展開してるっていうところね。
見事ですよ。これすごいと思ったもん。
なんかそういうとこも含めてやっぱちょっとね、新しい様子っていうのがどんどん出てきてるっていう意味でもやっぱりこうね、触れておきたい作品、ブンちゃんの恋をですね、特集させていただきます。
この番組、心の砂地は様々な文化や日常の築きをヒントに考え続けることで、言葉の記憶装置を目指す教養バラエティ番組です。私は寺田です。
しゃっくんです。よろしくお願いします。
ということで本日も始まります。心の砂地。
宮崎なつじけい先生の作品紹介
まずは作者の宮崎夏次系先生のプロフィールをですね、簡単にさらっと紹介していきたいと思います。
宮崎夏次系、1987年生まれ宮城県出身。短編集変身のニュースが2013年第17回文化庁メディア芸術祭漫画部門審査委員会推薦作に選出される。
前回特集してからちょうど1ヶ月後ぐらいに宮崎夏次系先生がアフターシックスジャンクションに出演されるっていうことがありまして、宮崎夏次系先生の初めての放送メディアの登場ということで、
文ちゃんの声に関するインタビューを、たぶん3巻ぐらいまで出てる時点の宇多丸さんと宇垣美里さんからインタビューされてる回があるんですけど、僕もそこで初めて夏次計先生のお声を聞いたんですけど、いくつか引用してこの作品についても語っていきたいんですけど、
結末を決めてないっていうこともおっしゃられていて、その時のやれる限界値に合わせて書いてるっていうことも言われてるんですけど、本当に僕もとてもよくわかるなというか、文ちゃんの声って長編なんですけど、一話一話のパンチみたいなものがめちゃくちゃ強いっていうか、絶対にそうなんのっていう展開があって、
引きは強いよね。
前は全力投球やなっていう感じがあって、長編なんですけど短編が連なって長編になってるみたいな感覚があるんですよね。
結構こう、登場人物たちのパチイチとか状況が変わったりとか、時間的にもちょっと飛んだりとかね後半は結構ありますけど、
なんかその辺があるかな。長編といえど短編が連なってる感覚っていうのはそういうとこなのかなという感じもしますけど。
そうですね。特にこの主人公のブンちゃんと三船さんとシモジっていうこの3人の関係性っていうのが、過去の話と現代の話みたいなものがかなり行ったり来たりするっていうのが多いんで、
そういった意味でもかなり宮崎夏次系先生のデビュー作の『夕方までに帰るよ』っていう、これは一貫ものぐらいの長編なんですけど、こっちの方っていうのは結構その辺りがサラサラっと進んでいく感じがあって、
なので結構その短編を経たからこそたどり着いた作品なのかなっていう感じなんですね、文ちゃんの恋っていうのは。
ちょっと絵柄的なとこで言うと、夕方までに帰るよの頃ってブンちゃんの恋と比べるとですね、文ちゃんの恋でよく出てくるダダダダって線をいっぱい引いて急にスピーディーになったりする瞬間とか、
あと黒と白の陰影をガツッとつけたりするシーンっていうのがたくさん出てくるんですけど、夕方までに帰るよの頃はあんまりそういう表現がなくて、
作品の展開と絵柄の変化
なおかつ人のアップの時とかも全然線がないんですよね。一本線でバーって描いてるようなイメージがあって、いろいろと変わってるなという印象があるんですけど。
はい、では作品紹介させていただきます。
あなたは文ちゃんの恋。モーニング2で2020年7号から2022年10号まで連載された作品です。
まず簡単にあらすじをご紹介します。
痛くて眩しいブンちゃんの恋。宮崎夏次系が描く、女、女、悪霊の三角関係。
片思いのやりきれなさ。好きな人に嫌われる前にいっそ自分から嫌いになりたいと願う混乱した心。好きな人を強く思うあまりに取ってしまう奇行。
不器用極まるブンちゃんの恋は、そんなブンちゃんのそばにいても何もできない悪霊、シモジの恋は一体どこへ向かうのか。
簡単に言うと三角関係なんですけど、この作品についてはそれぞれがそれぞれ別の人を好きっていう関係なんですよね。
三すくみというかじゃんけんみたいな。
この難解な設定だと思うんですけど、三人の関係性っていうのが一発でわかるんですよね。この一巻の一話から。
逆にあらすじ読むとちょっと混乱するから、何はともあず読んじゃった方が早いかもしれないな。読むの理解としては。
説明しにくいからね、そこがね。
この一話の最初からブンちゃんが見てる三船さんってこのやっぱり描き方とかがさ、単純にこうブンちゃんが三船さんのことをめっちゃ見てるっていうだけじゃなくて、
三船さんはブンちゃんのことを写真を見返して見た目が変わってるって言ってるけど、ブンちゃんは御船さんのことをずっと待ち受けにしてるから変わらないねってすぐ出るっていうところとか、
そういう描き方あるんやっていう。
特に一巻とかだとブンちゃんがやっぱり暴走していくのに笑っちゃうんだけど共感するみたいな感想が多分一番多いんじゃないかなと思うんですけど、
なんかこれ読み返してて思ったのはブンちゃんの暴走っていうのが、例えばグリーンランドに急に行くっていうところがあるんですけど、
そういったところも、例えばシモジが死んでしまったのが実はドッペルゲンガーを見たからだみたいな話があって、
でドッペルゲンガー、じゃあ三船さんにそっくりな人を探そうみたいなことでグリーンランドに行ってたりとか、
あと急に紙を剃るところとかもドラえもんで何の道具が欲しいかっていう話で石ころぼうっていうところから紙を剃るみたいなところに行ったりとかしていて、
なんかブンちゃんはでもそれを一切口に出してないわけなんで、多分旗から見るとめっちゃ変な人なんですけど、
そのめっちゃ変な人の暴走っていうのが、本人の中ではこういう論理でやってんのねみたいな。
なるほどね。深い読みです。
だからブンちゃんみたいな変な人って言い方おかしいですけど、やっちゃってる人の中を解体してみると実はめちゃめちゃ共感するし、
あ、自分と一緒やったやんみたいなさ。
なんかそういうことでちょっと可愛げが出てくるみたいなところ。
そこが結構ブンちゃんにキュッとカメラが当たってるから、割とブンちゃんの気持ちになるようなさ、すごい心揺さぶるような展開があるから、
すごく持っていかれる感じがするけど、急にブンちゃんがパッて行くから置いていかれるみたいな。
主観と客観のカメラがカンカンって切り替わってる感じみたいな。
その感じのあれはすごいよな。
なんかでも言われたらあ、そうだったなって今寺田も解説聞いて思ったし、そういう理由もちゃんとつけてるけど、
そこも頭の中に入ってきつつ、どっちも寄ったり引いたりしてる感じっていうのが。
そうなんですよね。
ミフネさん大好きやけど、ミフネさんのこと好きみたいなことをマジで全然言ってないんですよね、実は本当に。
うーん、その辺りは結構収束していくテーマの何かにもなっていくし。
そうですね。
理由をつけたって言ってしまえばつけたみたいな感じで言えちゃうかもしれないけど、
登場人物たちがあってなるところで、僕たち読者もあってなるような感じで読めるんちゃうかなって僕は思ってて、そこが。
確かに言葉にしてなかったやんとか。
そうですね。
うーん。
言ったらこれはストーリーテリングとしての上手さというかね、っていうものになってるよね。
そうですね。本当にそこの辺りっていうのはやっぱりどんどん乗せられていってる感覚というかね、読んでいてっていうのがあって。
ちょっとこのメインのキャラクター3人について語っていきたいんですけども、文ちゃんとミフネさんとシモジっていうキャラクターっていうのが、
文ちゃんの暴走と共感
僕の中ではこういうふうに解釈したらわかりやすく描かれてるなっていう見方があって、ブンちゃんはさっきも言ったんですけど、ミフネさんに好きって言えない人じゃないですか。
好きな人に好きって言えない人なんですよね。
なおかつ、ミフネさんのことが好きっていうことは心理描写としてたくさん出てくるんですけど、手を繋ぎたいとか付き合いたいみたいな感情っていうのは一切出てこないんですよね。
まあだからその好きな人に好きって言えない、ある意味ずっと現在のままの人っていう感じ。
付き合いたい云々みたいな話とかっていうのは、好きっていう感情を何に収束させていくのかっていう、ちょっとこの漫画の根幹にもなっているところではあるんですけども。
なので文ちゃんっていうのはずっと前に進んでない、ずっと現在のままの人っていう立ち位置なんですけど、それに対してミフネさんっていうのは好きな人にすぐに好きって言えちゃう人なんですよね。
ミフネさんの好きな人が出てくるんですけど、もうどんどんどんどん前に進んでいく人というか未来に進んでいく人。文ちゃんは好きって言えないままずっと現在にいるけど、ミフネさんっていうのはどんどん未来に進んでいく人、変化し続けるような人として描かれてるなと思っていて。
自分から変わろうとして変わっていく人なんだよね。
僕結構身近にもそういう人を見たことがあって、そういう前に進むエネルギーがめっちゃあって、ある意味ちょっと狂気じめてる感じというか、好きって決めたら言っちゃうっていう人、迷いなく。
そういう未来に進んでいく人っていう感じなんですよね。
そういう人だからこそ、今を見つめてる人からすると、言葉が届かない感じがするっていうか、悪い言い方すると全然見えてない感じの人にも見えちゃうみたいな感覚がすごいと思うね。
この感覚がすごいよくわかる。そういうどんどん変わっていく人に言おうってちょっと思われへんかったりとか、そういうコミュニケーションやりにくいなって思っちゃうもんな、やっぱり。
そうですね。そこの距離感の開き方みたいな、見えてるもの全然違う感じっていうのはね、あると思いますね。
自分で決めれるし、自分で変わっていけれるからね。
ずっと未来に進んでる三船さんっていうのに対して、下地っていうのはずっと過去に囚われている人っていう立ち位置なのかなというふうに思っていて、
もうすでに死んじゃってるっていうのは当然あるんですけど、ずっと過去のことに囚われ続けてる人っていう描き方をされてますね、ざっくり言うと。
なので、この3人のキャラクターっていうのが時間軸で考えると同じ場所にはいるんですけれども、文ちゃんはずっと現在のままで、三船さんはどんどん未来に行ってて、下地はずっと過去にいるままっていう。
そこが全員別々のところにいるなっていう描き方をされてるんですよね。
いやー鋭いと思います。まさしくそうだと思いますね。ちょっと変わった構成だよね、これは。
そうなんですよね。
でも4巻面白かったなー。
4巻はね。
4巻素晴らしいと思った、本当に。とりわけ。なんかこう、時間も飛ぶし、世界もまた広がるし、みたいな。
そうですね。
だからここの3巻までで蹴りつけるっていうやり方もあるわけやんか。もうちょっと3巻1話分あって。
そうね。3巻の最後を持った後に持ってくるって方法は全然あると思うし。
なんかここがこう、4巻5巻の感じっていうのが、あんまり見たことない面白い感じだったなー。
そうですね。で4巻、鬼丸さんっていうね、男の人が出てくるんですけど。
鬼丸さんとの恋愛みたいなものっていうのが、で発生する感情みたいなものが、やっぱりこの三船さんと全然違うんですよね。
世間が想像する恋愛みたいなことを文ちゃんがやり出すっていう感じですよね、この辺りっていうのは。
三船さんに好きっていうような感情じゃなくて、付き合ってなんか両親に挨拶して、みたいな。
これ、もう何でも知ってるもんで例えちゃって申し訳ないんやけど、ハチクロのね、山田さんに対する野宮さんみたいな感じに見える。
いやでもまさにそんな感じがしますね。
なんかでもこういう人ってでもさ、いるやんか。大変なことがあった後に何とか寄り添ってくれるいい人みたいなんて。
なんか人生の中である気がしてる、僕も。見たことあるような気もするし、僕にもそういう人がいたような気がするんだよね。
ただなんていうかな、決定的な救いを全部その人に求めてしまうのかどうかみたいなところとか。
なんかそういうのがまた描かれていったりとかするんだけど、なんかその辺りもやっぱ素晴らしかったなぁ。
そうね。いやなんかこの鬼丸さんとの関係性ってスムーズな感じというかさ、なんか急に別の映画始まったみたいな感覚があるんですけど。
最近の海外ドラマとかである、シーズン変わったら全然違う人との二人が始まるみたいな。
鬼丸さんとの恋愛
そうそうそう。
なんかそういう感じがあるよね。
普通の恋愛っていうものを一回ここで踏ませることによって、振りに使ってるというかね。
最後たどり着く、さっきも言ったんですけど、文ちゃんって三船さんと付き合いたいとか、手を繋ぎたいとか、
そういう鬼丸さんとやってるような世間一般が想像する恋愛っていうのをしたいわけではない。
全然そういうそもそも論題の好きではないっていうのを伝えるための、この鬼丸さんの振りなのかなっていう感じがするんですよね。
うーん、どうなんかな、その解釈も多分最後まで読むとわかるし、僕は結構こういう形もあったかもしれないみたいな。
なんかそういう感覚で話が進んでいく感じがするのね、鬼丸さんのところは。
もしかしたらこっちもあったかもしれないけど、決定的に譲れないところもあって、最後に行っていくみたいな感じもあって。
だから、それこそこの漫画が届いてるのがいろんな好きっていうかさ、そういうもんでもあると思うし、そういうのを見せていく漫画だなと僕は思ったから。
そういうふうに読んだかなー。
なるほどね。イフストーリーな感じはしますよね。
うーん、なんかそうだね。
だけど、解釈としては寺田さんが言ってくれたこととほぼ一緒で、だからこそ映える、最後のテーマに、最後の結末に行くっていうところはあるんだけど。
なんかもしかしたら、ここの描いてる中でもうちょっと歯車が違う方向に行ったら、全然鬼丸さんとの関係は続いてみたいな感じで行くっていうのもあったかなーみたいな感じは。
そういうぐらい、生々しいは生々しい展開だなというふうに僕はすごく思いました。
そうですね。これはやっぱ時代設定とかいろんなものを現代とかリアルな方に寄せてるからこそ描写できてる部分かなって感じもするしね。
そういうふうに読める。
なんかね、正直、夏次系先生の漫画で初めてまともな男でできた感がすごかったから。
あー、なるほどね。
でも本当に完全な理想の子じゃないっていうかさ、実在してる感もあるし、鬼丸さんにもリアルな部分を描いてるっていうところで。
そうですね。確かにな。リアルなのが一番。ホームセンターのとこに一緒にいる末広さんとかと比べると、結構末広さん好きなんですけど。
似てるもんな。
似てんの?
なんかちょっと、ルックがちょっと感じてる。
愛の表現
ルックが?まあ確かにね。目がバキバキですけど。
そうそうそうそう。
なんかでも、リアルではないかもしれんけど、末広さんの寄り添い方もめっちゃ好きやなーとは。
いや、わかるわかるわかる。
3人に比べたら描写が少ないから、とっぴに見えるけど、末広さんもすごくリアルなキャラクターだと思うし、なんかすごいよくわかるよね。
そうですね。恋愛できない人間なりの一番いい寄り添い方だなーと思いましたね、末広さんっていうのはね。
でも、そこは言っちゃう時もあるみたいな。
これもね、なんかね、リアルだ。これはリアルだ。
そうですね。だから、男性キャラクターってかっこいい人は描けないっていうのはあるかもしれんけど、やっぱりリアルやなーと思いますね、そんなとおりは。
いわゆるすごいよく描かれてると思います、本当に。
あと、文ちゃんの家族のシーンとか、僕は結構読んでてきつかったところはありましたね、正直。
ていうか、本当にこの宮崎先生は家族が壊れるとか、人が壊れるみたいなのを描くのがめっちゃ上手いんよ。
で、すぐこの絵柄でやるし、今回は急に斜線でなるみたいな、僕からするとこの梶原一騎の漫画みたいな。
急に言ったら劇画みたいになる。
線が多くなる感じのね。
そう、かっこいいやんか。あの感じの表現とかがあるから、ポップに逆に見せてくれてるけど、もう本当に壊れちゃった感じというかね、この嫌な感じが本当に上手くて。
だから怖いんよね、僕からするとやっぱ、そこがすごいと思うけど、喰らうから、うわーすげーなーと思う。
壊れちゃって、文ちゃんがそれに対して別にどうしようと思ってない感じっていうのが、簡単にはよくわかると言っちゃっていいのかわかんないけども。
なんかね、これは短編の頃から繰り返し出てくるよね、この感じはね。
そうですね。結構夏次系先生の描き方として、不完全な家族だったりとかっていうのは多く描いていると思うし、家族愛みたいなものっていうのは全然描いてないですよね、当たり前なんですけど。
いやでも、この感覚はすごいよくわかるよ、僕は。すごいよくわかるし。あとちょっとずれるけど、この自分の見た目を変えようとするとか、これも結構繰り返し出てくるよね。外見を変えようとするっていう。
多いですね、見た目を急に変えようとする。文ちゃんもあるし、みふねさんもあるし、下地の姿もどんどん変わっていくしね。
どれか忘れたけど、短編でさ、整形して顔を星型にしちゃってるけど、お母さんみたいなやつ。
あー、ありましたね。
あれとかってやっぱすごいうっとなるんやけど、なんかあの感じが消化されてまたいろんなキャラクターに出てくる感じみたいな。
そうですね。確かになー。いやなんかそれがやっぱ見てて、ずっとこう、ちょっと自傷行為に近い感じがあるなーと思いますよね。
そんだよなー。だからやっぱなんかその後に寂聴らしき人の本が出てくるからあれなんだけど、その髪の毛やっぱ剃るっていうのとか、と、やっぱあのレーシックなんだけど、
あー、そこきついね。
目をこう潰すっていう。言ったらあれはレーシック、なんかもう春琴抄的なさ、あ、この人は目をついたんだって俺は思ってさ、あの瞬間。
あ、もう見ることをやめて目を潰したんだと思ったらこう、あ、レーシックっていうんだ。まだなんとかなるんかなみたいな。なんかなー。
出てきた瞬間のこうショッキングさというか。ま、あとあの僕が結構きついなーと思ったのは歯の矯正してるからハサミを持ち歩いてて、おでんとかも全部こう切るっていうか。
いやーあれはすげーわー。
あ、あれってさ、ほんまの経験とかなのか想像なのかもうちょっともはやわかんないんだけど、なんかあんな描き方できるんやって、それでハサミ持ち歩いてんだよねーみたいなさ。
いや、やっぱ宮崎先生のすごいとこって、その辺の人がこうガンって出てきてさ、そのワンショックは多分割と描けると思うのね、いろんな人が。
でもその人が、こうま、普通の人だったり、こう生活した時にどういう風な動きするんかみたいな。なんかそこがね、めちゃめちゃ細かく描写されるから、すごいのよねー。
なんかそれこそ、街歩いててギョッとそう、他人の見た目にギョッとすることってたまにあるんだけど、僕らはその関わらへんからすれ違うだけやけども、多分その人も生活があって、でその人にも多分付き合ってる人がいて、でそういう人が見てるリアルみたいな感じをこう、描かれてる感じがしてて。
そうやね、だから本当にそうしてる人の描写って感じがするよね。
うん。
いやー、あれはなー、すごいなんかなー、なんかそのー、はま寿司でめちゃめちゃ寿司食ってるっていうのもなんか訳分からんけどなんかすごいし、
いやー、すごいなんか血のようなものを感じますね。
そうですね、まあその辺りっていうのがやっぱ本当にそうやってる人というところが、さっき言った文ちゃんの暴走にも論理があるみたいなところも繋がってくると思うし、
この作品の中でもかなりキーポイントになってるセリフだと思うんですけど、あなたを見てるとここにいていいんだという気持ちになれたっていうセリフっていうものは、
まあ宮崎先生が本当にずっと短編集の頃から書かれてる、なんかその自分の持ってる通じゃない部分っていうのを肯定してくれるというか、
変な部分、これはあえてそういう言葉を使うけど、変な部分についていくというか受け入れるっていうことの尊さっていうものをやっぱりずっと描いてるなーっていうのはありますよね。
なんかそこが初めに言ったような、今生きてる現代日本みたいなところ、自分たちが住んでる生活に接続するような点がいろんなところであるからこそ、なんかすごく近くに感じる。
そうですね。
っていうのがあった。だからそれは前にあった短編とか、まあ節々にはあったけど、よりも余計この作品が優れてるなーと思うのは多分その辺なんかなーっていうふうに僕は思ってるね。
そうですね。なんかそのいわゆる変として描かれているものも、原理をたどればやっぱ僕らのこの現代の生活から全然想像し得る範囲のことだったりするっていう。
そうですね。
タイトルの意味
なんかでもちょっとタイトルの話もあるんですけど、このあなたは文ちゃんの恋っていうタイトルって、ちょっと女子があれそこなのっていう感じが多分最初読んだときあると思うんですけど、
あなたと文ちゃんの恋じゃなくて、あなたは文ちゃんの恋ってちょっと意味が通ってない感じがするじゃないですか。
これのタイトルの意味っていうのが僕の考えなんですけど、あなたと文ちゃんの恋だったらあなたとの恋、あなたとの関係性で生まれる恋っていう話になってくるじゃないですか。
それはこう始まりがあって終わりがある。もしかしたら関係性が終わるかもしれないっていうものになりうるけど、あなたそのものが恋なんですっていう。
あなたが文ちゃんの恋なんですっていう風になってるっていうのが、もしミフネさんが別人みたいに変わっていっても関係ないっていうところがあるけど。
だからそこがまさにさっき言ってたような、どんどん変化していったりとか変な要素みたいなところが出てきてもそれを受け入れるというか、そんな全然関係なくあなたそのものが恋だから、
それはもうあなたがずっと好きなんですっていう、そこは変わらないんですっていうタイトルの意味なんやろうなっていうふうに思うんですけど。
一番最後のラストシーンとかもまさにそれを象徴しているような終わり方だと思うんですけど、いわゆる恋愛的な好きっていうものから外れた存在の中にある好きっていうこの輪っかというか、
そういったものを描いてるなっていう感じがしていて、三角関係なんやと思ってたらでっかい好きの輪っかやったんかいみたいな。
本来別に三角とかじゃなくて、それぞれが好きっていうだけの話やったんやっていう感じがします。
関係性がうんうんなるんじゃなくて、別にそれぞれが好きやったっていうだけでもそれが結論なんやっていう。
それが僕はこの作品のタイトルともすごくガチっと噛み合ってるし、やっぱそうラスト読んで最高って思ったところですね。
そうですね、このタイトル恋っていうタイトルやったりとか、そういう鬼丸さんとか末広さんとっていうそういったものを散々いろいろ通過して、最後ただ好きっていう。
好きは好き以外のものではないですっていう。好きは結局その先にあるものは好きでしかないですっていう。そこにいろんな回り道をしてたどり着くっていうのが。
そうね、だから恋愛関係っていうのが恋っていうものではないっていう。
そうですね。やっぱこの恋愛関係の中の好きっていうものに慣れすぎて、ただ好きっていう感情、恋愛とかじゃなくもう好きなんだっていう感情っていうのに見落としがちやなって思いますね。
そうね。
でもなんか友情っていう言葉でもやっぱないんですよね。間違いなく好きではある。
恋ではあったという。
っていうところですね。
振りかぶったようなでっかい愛みたいな感じではないよな。
うん。なんかなんやろうな、とてもパーソナルな人間愛みたいな感じなのかな。表現する。あえて言葉にするとすると。
なるほどね。
ブンちゃんの恋と新しい恋の表現
うん。でもなんか恋っていうものをこういうふうに表現するんやっていう感じ。
そうね。
っていうものとしてとても面白いし新しいなあと思ったし、なんかこの感情を僕の中にも確実にある好きだと思うので、そういったものをもっと大事にしようっていうふうに改めて思える作品でしたね。
うん。なるほど。
はい。というわけで、心の園児は引き続きお便りをお待ちしております。全てのアチャ先は各配信サービスの概要欄に載っているGoogleフォームからお願いします。
アップルポッドキャスト、ポティファイでの評価、番組のフォローもぜひともよろしくお願いします。
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エピソードの概要欄にも様々な情報があるので、よければご覧ください。
ということで今回も聞いていただきましてありがとうございました。
ありがとうございました。
あなたは文ちゃんの声、ぜひ手に取っていただきたいですが、今これさ、全然紙が手に入らないんですよ。
そう、俺度肝抜かれて、4巻まで買ってたんやけど、5巻買いに行こうと思ったら、5巻の紙がほぼ今流通してないっぽくて。
へー。
あ、そうなんですか。
ま、店頭在庫でちょろっと残ってるくらいだって。安易な本屋はほとんど切れちゃってて。
電子書籍とかになっちゃうんですかね。
そうね、Kindleだったら買えるしって感じかな。
なるほど。
俺ちょっとびっくりしたな。なんでこんな変われへんねんと思って。
そうかー。
紙はそういう時代になってきてますね。本当に。
そうですか。
なんで厳しいなと思って、モーニング。そうなんで、ぜひね。
本当は俺は紙で手に取ってほしいけど、ちょっと今難しいかもしれないで、中古で探すかKindleかみたいな感じになると思うんですけど。
そうですね。
それでは皆様。
ごきげんよう。
36:06

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