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カラン、カラン。いらっしゃいませ。
喫茶クロスロードへようこそ。
いよいよ週も後半。ちょっと疲れたなぁ。
今週もなんだかバタバタしていたなぁ。
そんな気持ちが膨らんでくる頃ではないでしょうか。
そんな時こそ一休み。
ここで、のんびりしていきませんか。
喫茶クロスロードでは、毎週木曜日、月ごとのテーマに沿ったエッセイ朗読をお届けしています。
今月のテーマは、【私のパートナー】。
今日は、パートナーと育んできた価値観について綴ったリオのエッセイを、私、池町がお届けします。
それでは、どうぞ。
【私たちのより少ない生き方】
リオ、そろそろ断捨離したくなってきた。
旦那さんがそう言い出すと、
お、来たか、と私は身構える。
私の旦那さんには定期的に断捨離する性質がある。
それはそれですごいなと思うし、私も思い越しをあげるきっかけになってよいのだが。
季節の変わり目ごとに、こう言い出す旦那さんに、半ばヘキヘキした時期もある。
だって私は、どちらかといえば、物に思い入れが強い方で捨てたくない人間だから。
結婚当初は旦那さんが自分の物を吟味して捨てているだけだったし、
私の持ち物には何で取ってあるのかわからない物が多くあったので、
断捨離タイムは楽しかった。
私は特に洋服を捨てるのが苦手だったので、山のように持っていた。
あれこれ理由をつけて、大学の時から着ている服を残そうとする私に、
デザインが若すぎて似合わないと旦那さんにばっさり言われると。
不思議とも着たくもなくなるから、
断捨離する時は人とやるのがいいなんて言うけれど、
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本当だなぁと感心したぐらいだ。ちょうど同じ頃。
旦那さんに勧められた本も私の断捨離マインドを書きたてた。
より少ない生き方、物を手放して豊かになる。
ジョシュア・ベッカー。
これはミニマリストの考え方の本だから面白いよと手渡されたその本には、
方法論ではなく、どうしてより少ない生き方の方がいいのかということが書かれていた。
物が少ないとその少ないものを大切にできる。
選択する時間が少なくて済むので、その分もっとたくさんのことに時間を使える。
私の中で物と時間に対するこの二つの気づきはとても大きく、
家の中の断捨離が進むにつれて本への納得度も上がっていった。
そんな我が家の断捨離タイムに安穏が立ち込める事態が発生する。
我が家にはかわいいかわいい娘がやってきたのだ。
子供の服やおもちゃは一瞬しか使わないけれど、
いただいたものだったり初めてお出かけする時に着てたなど、
思い出も一緒に多くあるのでなかなか捨てにくい。
私としてはなるべく残しておきたい。
でも旦那さんとしては手元にあっても意味がないでしょというものらしい。
毎回の断捨離タイムがなかなか疲れるものになってきた。
うまく貰い手が見つかったら、
自分のとこでしまわれているよりはと思って手放しやすいが、
やっぱり残しておきたい気持ちが勝った時などは、
一時的に実家行きという問題の先送り状態になる。
表だっては言わないけれど、
お互いに何となく不満を抱えている感じがするのだ。
初セックや七五三などの行事ごとにも旦那さんは懐疑的だった。
どうしてみんながやっているからやらなきゃいけないの?
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こう言われるのはすごくしんどい。
お宮前にの写真館で写真を撮った時に、
後から大喧嘩になってしまったことは、
今でも私の中で苦い思い出である。
旦那さんは娘が可愛くないんだろうか?
いや、そんなことはない。
目に入れても痛くない可愛がりよとは、
こういうことを言うんだと言わんばかりの出来合いぶりだ。
ではなぜ?
旦那さんと私でこうも感覚が違うように感じるのだろう。
一つ気づいたのは、
結婚した当初から旦那さんは一貫して姿勢を変えていないということ。
私も旦那さんも、
結婚式をやる意味は何か、顔合わせをやる意味は何か、
そこを突き詰めて考えるタイプで、
むしろ私の方が何でやらなきゃいけないの?を聞いている方だった。
でも妊娠、出産から乳児の育児と旅重なる新しい出来事、
新しい情報の波に溺れ、
周囲と同じにしなければという意識が一段と強くなっていったのだ。
私自身が変わっていたんだな、というのが一番大きな気づき。
そしてこの気づきをきっかけに、
我が家は目的は何かからまず話し合おうという思考に変わっていった。
今日はここの断捨離をしたい。
なんで?
ワンシーズン着なかった服は確認して捨てられるし、
今出ている家具を収納したいから。
うーん、わかった。
ちょっとだけ前進した我が家のこの一駒は、
私と旦那さんが夫婦として少し成長した光景であり、
より少ない生き方に近づいたなと思う瞬間である。
いかがでしたか?
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さて、名残惜しいですが閉店のお時間です。
今後も喫茶クロスロードはあなたがほっこりした時間を過ごせるよう、
毎週月曜日と木曜日夜9時よりゆるゆる営業していきます。
それでは本日はお越しいただきありがとうございました。
またお待ちしております。