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2023-12-07 06:50

【朗読】#21 そうして私は綴っていく

週も後半。ちょっと疲れたなあ、そんなときこそひとやすみ。喫茶クロスロードでは毎週木曜日、月ごとのテーマに沿ったエッセイ朗読をお届けしています。/今月のテーマは「おくりもの」。今日は、想いをのせたおくりもの「手紙」にまつわるエッセイ「そうして私は綴っていく」/ 書き手:レイ/語り:志歩

00:06
スピーカー 2
カランコローン
スピーカー 1
いらっしゃいませ。喫茶クロスロードへようこそ。
いよいよ週も後半。
ちょっと疲れたなぁ。今週もなんだかバタバタしていたなぁ。
そんな気持ちが膨らんでくる頃ではないでしょうか。
そんな時こそ一休み。
ここでのんびりしていきませんか。
喫茶クロスロードでは、毎週木曜日、月ごとのテーマに沿ったエッセイ朗読をお届けしています。
今月のテーマは、【贈り物】。
今日は、思いをのせた手紙にまつわるレイのエッセイを、私、しほがお届けします。
それではどうぞ。
そうして私は綴っていく。
スピーカー 2
レイ
スピーカー 1
手紙が好きだ。始まりはきっと中高時代。
授業中、先生の目を盗んで走らせた石鹸の香りのペン。
あの頃は、そんなに話すことあるってくらい、休み時間が来るたびに、友達と手紙交換をしていた。
部活のこと、彼氏のこと、進路のこと。
いつだったか、参考書の裏表紙に親友が落書きをしていったことがあった。
あなたの頑張りは私が見てる。
だから絶対に大丈夫だよ。
当時は高校3年生。
スピーカー 1
仲のいい友達は、みんな水泉で無事に進路を決め、一般受験をするのは私だけ。
放課後、ファミレスやらカラオケにみんなが行くのを一人見送り、教室に残ってひたすら科学式や英単語を暗記していた。
私立は無理。老人も無理。
お金がなく、特に頭がいいわけでもないのに、少ない選択肢しか持てない私が背負ったプレッシャーは、当時すさまじく。
誰から見てもピリピリしていたらしい。
あれほど勇気づけられた手紙はない。
それから数年の後、私は自分の結婚パーティーで、そのエピソードを綴った手紙を読み、彼女と手をつないでお色直し中座をした。
03:15
スピーカー 1
だいぶ遅くなっちゃったけど、お返事。
あの時はありがとう。
趣味で続けているジャズダンスでは、公演の打ち上げで振付を担当したメンバーと、それを踊ったメンバーとが互いに手紙を交換するという習わしがある。
これはどこのスタジオ、どこの団体で踊っても行われているので、多分かなり広く浸透している監修のようだ。
振付師は一人一人のダンスの素敵なところを、踊り手は振付師の作品がいかに好きだったか、どんな気持ちで踊っていたのかをつづる。
舞台というものの価値は、今ここに集約される。
いくら映像や写真で残せても、あの臨場感、エネルギー、一体感はあの時だけのものだ。
その刹那的な美しさを理解しているからこそ、少しでも何かを残せたら、と私たち踊り手は手紙を送り合っているのかもしれない。
手紙を読んで目を閉じる。
あの一瞬が少し鮮明に取り戻せますように、と。
そんな手紙交換の好きな私だが、なかなか送れていない相手がいる。
家族だ。
いつも一緒にいてくれるパートナーには、伝えたいことはたくさんたくさんあるけれど、
それを送った次の日も変わらず共に日常を過ごさなければと思うと、どうしても気恥ずかしい。
デートの終わりに、家に帰って呼んでねって渡したところで、結局同じ家に帰るのだ。
こっちがシャワーを浴びているときなんかに読まれて、ニヤニヤした顔でお風呂上がりを迎えられたら、枕でも投げつけてしまいそう。
まあでも、そういえば今月は入籍日もあるし、そろそろ何か書いてみようか。
下り顔のあの人を想像するとちょっと尺だけれど、
誰に当てるよりもきっとペンは進むのだから。
いかがでしたか。
06:06
スピーカー 1
さて名残惜しいですが閉店のお時間です。
今後も喫茶クロスロードはあなたがほっこりした時間を過ごせるよう、
毎週月曜日と木曜日夜9時よりゆるゆる営業していきます。
それでは本日はお越しいただきありがとうございました。
またお待ちしております。
06:50

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