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2023-12-28 11:32

【朗読】#24 相手を思いやる豊かな時間

週も後半。ちょっと疲れたなあ、そんなときこそひとやすみ。喫茶クロスロードでは毎週木曜日、月ごとのテーマに沿ったエッセイ朗読をお届けしています。/今月のテーマは「おくりもの」。今日は贈り物を選ぶ時間をかみしめるエッセイ「相手を思いやる豊かな時間」/ 書き手:水原のぞみ/語り:いけちょ

00:06
スピーカー 2
クランクラン
いらっしゃいませ。
スピーカー 1
喫茶クロスロードへようこそ。
スピーカー 2
いよいよ週も後半。
ちょっと疲れたなぁ。
今週もなんだかバタバタしていたなぁ。
そんな気持ちが膨らんでくる頃ではないでしょうか。
そんな時こそ一休み。
スピーカー 1
ここでのんびりしていきませんか。
喫茶クロスロードでは、毎週木曜日、月ごとのテーマに沿ったエッセイ朗読をお届けしています。
今月のテーマは【贈り物】
スピーカー 2
どうか、あなた方の大切な人が笑ってくれますように。
贈り物を届けるお手伝い。
スピーカー 1
伊豆原臨さんのそんな素敵なお仕事の思い出を、私池町がお届けします。
それではどうぞ。
スピーカー 2
相手を思いやる豊かな時間
伊豆原臨
これは私が大学4年生の頃の話です。
私はチョコレートのゴディバでアルバイトをする機会に恵まれました。
ゴディバのアルバイトを通し、お客様の贈り物を一緒に考えた経験から、
贈り物を考えることは、相手を思いやり、自分にとっても豊かな時間を過ごすことだと気づいた経験をお伝えします。
アルバイトの研修の際、ゴディバの企業理念を教わりました。
私はこの企業理念を聞いたとき、言葉に込められた意味にとても感動しました。
スピーカー 1
そのゴディバの企業理念は、心をほどいて差し上げる、リボンを結んで差し上げる前に、です。
スピーカー 2
単に商品を売るだけの接客ではなくて、お客様がどのような理由で商品を探しに来たのか、
というのを程よい距離感で聞いていき、贈り物を選んでいる人の心をまず解く。
スピーカー 1
リボンを結んで商品をお渡しする前に、お客様の心を解いて差し上げる、という意味が込められています。
03:03
スピーカー 1
当時学生になった私は、接客業は単にお店で聞かれたら答えて、お金と商品を受け渡すだけだと思っていました。
この企業理念の説明を聞いたとき、私の中に衝撃が走り、自分の中にある接客の常識が覆されました。
スピーカー 2
私が今までやってきたのは、本当の意味での接客ではなかったんだ、と気づいたきっかけでもあります。
しかし、最初からうまくはいきません。
お客様になんて声をかけたらよいのか、もし自分がお客様の立場だったら、
余計な声かけをされると緊張してゆっくり見れないよな、とか、
いろんなことを考えてしまい、空回りする日々が続きます。
スピーカー 1
どうやったらお客様の心をほどけるんだろう、
もやもやしながら、まだ慣れないボディバテインという立場、
そして目の前のことに一生懸命取り組む日々を過ごしていました。
スピーカー 2
アルバイトも一月経ち、少し慣れてきたある日のことです。
偶然、大学生教のレジのパートさんが娘さんと一緒にお店に来られました。
私は知っている方が来られて嬉しくなり、思わずお二人に声をかけました。
ちなみに私の大学は高校くらいの規模の生徒数なので、
大学生教のパートさんともみんな顔見知りで、とてもアットホームな学校でした。
向こうも驚いた様子で、でもほっと安心したような表情を浮かべてくれて、
せっかくだからチョコレートを一つずついただこうかなと、
薔薇売りのチョコレートのショーケースを指差しながら行ってくれました。
店頭には一粒から購入できる薔薇売りのチョコレートがあります。
綺麗な形をして輝いていますが、見た目からどんな味なのかはすぐには分かりません。
一緒に来ている娘さんは中学生くらいだから、
お酒が入っているのはオススメしない方が良さそうだな。
甘いチョコレートの方がいいのかな?
06:00
スピーカー 2
そんなことを考えていたのですが、思い切って聞いてみました。
甘いのがお好きですか?それともビターなお味がいいですか?
スピーカー 1
お酒が入っているのもありますよ。
その会話をきっかけに、二人がいろいろと好みを伝えてくれました。
スピーカー 2
パートさんは、お酒が入っているビターなものがいいな。
スピーカー 1
娘さんは、甘いのがいいなというリクエストでした。
そこで私は、パートさんにはウイスキーがよく効いたビターなチョコレートを、
娘さんには可愛いハートの形をしたミルクチョコレート味のものを、
いかがですか?と聞いてみました。
スピーカー 2
お二人とも、それでお願いしますと笑顔で答えてくれたので、
お会計を済ませ、ショーケースからチョコレートを取り出しました。
スピーカー 1
それぞれの手の上にチョコレートをお渡しすると、
スピーカー 2
わあ、おいしそう!と幸せそうな笑顔を浮かべ、その場でパクッと食べてくれました。
とってもおいしかったです。ごちそうさま。
そう言って、二人は笑顔でお店を出て行きました。
些細な出来事だけれど、二人のちょっとした日常の幸せに役に立ったのかなと、
私もとてもうれしくなりました。
同時に二人のうれしそうな笑顔が忘れられません。
もしかして私、心をほどいて差し上げられたのかもと気づきました。
難しく考えていたけれど、心をほどくとは、
相手のことを考え思いやる気持ちを行動に移すことなのかもしれないと思ったのです。
この時に私は店員という立場でしたが、
二人のことを考え好みに合わせてチョコレートを選んでいました。
しかし、例えば家族や友達への贈り物を選ぶ時も、
同じように相手のことを考えて、
09:00
スピーカー 2
これは喜んでもらえるかな、どうかなとドキドキしながら過ごします。
この相手のことを思いやる時間は、とても豊かな時間であり、
かけがえのないものだと感じるようになりました。
贈り物をもらうのももちろん嬉しいのですが、
私はこの一見があってから、贈り物を選ぶ時間も大切にするようになりました。
大切な相手を思いやることは、
自分にとっても心が満たされる豊かな時間になると考えています。
スピーカー 1
時は過ぎ、子供が生まれ、私は母親として過ごす時間も増えました。
スピーカー 2
自分の子供にも相手を思いやる時間を過ごすことの大切さを伝えていきたいと思います。
スピーカー 1
いかがでしたか?
スピーカー 2
さて、名残惜しいですが閉店のお時間です。
今後も喫茶クロスロードは、あなたがほっこりした時間を過ごせるよう、
毎週月曜日と木曜日、夜9時よりゆるゆる営業していきます。
それでは本日はお越しいただきありがとうございました。
またお待ちしております。
11:32

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