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2023-11-23 07:21

【朗読】#20 忘れ得ぬ瞬間(とき)

週も後半。ちょっと疲れたなあ、そんなときこそひとやすみ。喫茶クロスロードでは毎週木曜日、月ごとのテーマに沿ったエッセイ朗読をお届けしています。/今月のテーマは「わたしのパートナー」11月22日、いい夫婦の日。この大切な日を噛み締めたいエッセイ「忘れ得ぬ瞬間(とき)/ 書き手:ブアちゃん/語り:志歩

00:06
スピーカー 1
カランコローン
スピーカー 2
いらっしゃいませ。喫茶クロスロードへようこそ。
スピーカー 1
いよいよ週も後半。
ちょっと疲れたなぁ。今週もなんだかバタバタしていたなぁ。
スピーカー 2
そんな気持ちが膨らんでくる頃ではないでしょうか。
スピーカー 1
そんな時こそ一休み。
スピーカー 2
ここでのんびりしていきませんか。
喫茶クロスロードでは、毎週木曜日、月ごとのテーマに沿ったエッセイ朗読をお届けしています。
今月のテーマは、私のパートナー。
スピーカー 1
11月22日、いい夫婦の日。
この大切な日をかみしめたいぶあちゃんのエッセイを、私、しほがお届けします。
スピーカー 2
それではどうぞ。
忘れえぬ時
ぶあちゃん
誰かを好きになることはあっても、結婚したいとは思えなかった。
それは、育った環境が大きく影響しているように思う。
長男である父のもとにとついだ母は、祖母と良好な関係を築くことが難しく、我慢をしたり涙をしたりすることが多々あった。
誰にも愚痴をこぼすことができない母は、時折私に本音を言うことがあった。
幼いながらも心が痛んだ。
祖母も母も大好きだったから。
父のつらい立場も少しわかるような気がした。
結婚とは何かを犠牲にするものなのだ。
私の中でいつの間にか、一つの家庭の形が答えになっていった。
結婚したことを後悔する発言をたまにする母は、結婚的礼儀になった私に何度も結婚を勧めてきた。
彼女の発言に中は呆れながら聞く耳を持たなかった。
スピーカー 1
結婚をして明るい家庭を築くということが描けず躊躇していた。
そして求める幸せばかりを追っていた。
スピーカー 2
幸せは思い通りに作れるものだと思っていたからだ。
03:06
スピーカー 1
夢を追うことに夢中だった私は、彼をほったらかしにしてしまうことがあった。
今思うと申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
彼は結婚に乗り切れない私を長いこと待ち続けてくれた。
スピーカー 2
人生のどん底ともいえる苦しみを経験したときも、彼は一番の理解者だった。
スピーカー 1
生きる気力を失い心も体も動かなくなってしまった。
スピーカー 2
世界がモノクロになり消えてしまいたいとさえ思うようになっていた。
大好きなはずの彼なのに拒絶してしまう自分がいた。
スピーカー 1
その気持ちの変化にお互い戸惑い傷ついた。
それから心が動き出すまでに気の長くなるような月日がかかった。
スピーカー 2
仕事から帰ってきた彼は食事の用意をしてくれたり、身の回りの世話までしてくれたりした。
スピーカー 1
無反応な私に一度も文句を言うこともなく、何かをせきたてることもなく、
スピーカー 2
ただただ隣にいてくれた優しい眼差しで彼の存在にどれだけ救われただろう。
外に出ることもできなかった私は彼との関わりの中で少しずつなくしたものを取り戻して行った。
多くを語ることはないが、彼もたくさん悩んでいたように思う。
スピーカー 1
いつか娘に伝えたい。
スピーカー 2
あなたのお父さんはとても優しさにあふれた素敵な人だと。
そして誰かと支え合いながら生きることはとても豊かでかけがえのないことなのだと。
スピーカー 1
11月22日は私たちの結婚記念日。
スピーカー 2
年を重ねるごとにたくさんの思い出が増えていく。
スピーカー 1
些細なことで喧嘩したことも笑い合ったことも、生活は同じことの繰り返しのようで一度きりの積み重ねだ。
昨日食べた夕食さえすぐには思い出せないスピードで時間は過ぎていく。
それでも共に生きるこの時を愛おしみながら重ねていきたい。
06:04
スピーカー 1
好きや嫌いを越えたところに愛があることを教えてもらったから。
いかがでしたか?
さて名残惜しいですが閉店のお時間です。
今後も喫茶クロスロードはあなたがほっこりした時間を過ごせるよう、
毎週月曜日と木曜日夜9時よりゆるゆる営業していきます。
それでは本日はお越しいただきありがとうございました。
またお待ちしております。
07:21

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