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カランコローン
いらっしゃいませ。喫茶クロスロードへようこそ。
いよいよ週も後半。 ちょっと疲れたなぁ。
今週もなんだかバタバタしていたなぁ。 そんな気持ちが膨らんでくる頃ではないでしょうか。
そんな時こそ一休み。 ここでのんびりしていきませんか。
喫茶クロスロードでは、毎週木曜日、 月ごとのテーマに沿ったエッセイ朗読をお届けしています。
今月のテーマは、夏休み。 田舎でののんびりした時間や、頭を抱えた宿題。
今日は、幼い頃の懐かしい夏休みの記憶を、 私、しほがお届けします。
それではどうぞ。 夏休みの思い出
沢ちゃん、私の夏休みの思い出は、 おばあちゃんの家。
夜遅くまで働く昭和サラリーマンの父と、 専業主婦の母。
私、妹、弟の三人兄弟。
となれば、ワンオペという言葉のない時代でも、 母はそりゃ、夏休みには自分の実家に行こう、となるのは、
自分が二児の母親になった今なら納得。 私が幼い頃は、小学校の夏休みが始まると同時に、
おばあちゃんの家に行くのが恒例だった。 おばあちゃんの家は、いわゆる田舎町で。
庭や畑、蔵がある昔からの広い家。 そんなおばあちゃん家での過ごし方といえば、
午前中は、兄弟や年の近いいとこたちと座敷の大きな座宅に並んで、 夏休みの宿題やドリルをしていた。
百マス計算のタイムを縮めるのが楽しかったり、 工作や絵を描くのは大好きだった。
午後は庭でザリガニを釣ったり、 近くのお寺でセミをとったり、夏野菜をとったり。
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市民プールにもよく行った。 真っ黒に日焼けして毎日遊んでいた。
そして曜日間隔がなくなったある朝、 起きてくると、
母から、 「誕生日おめでとう!」
と言われて、 今日が8月3日だと知る。
そしてまた、いつものように外で遊ぶ日々。 それが私の夏休みの記憶。
夏休みの宿題の話に戻る。 夏休みの宿題といえば、
絵日記、工作、ポスター、自由研究、 そして、
読書感想文。 本を読むのは嫌いじゃないけど、
読書感想文は苦手だった私。 なぜなんだろうと考えてみた。
感想って? 本に書いてあることをまとめるのではないらしい。
本を読んで感じた自分なりの意見がいるようだ。
うーん、私の考え?主張?
ここで思考が止まる。 原稿用紙がちっとも埋まらない。
本を読んで何も感じなかったはずじゃないのに、 いつもここでつまずいていた。
今ならなんとなくわかる。 私には自分の思いを言葉にする力が弱かったのだ。
今も言語家は得意ではないけれど、 表現方法に個性があるように、
言葉よりも表情、文章よりも絵、 文字よりも音、
そういう方が私には合っていたのかもしれない。 伝わらないことに時にもどかしく歯がゆくなることもあるけれど、
それも自分なんだと今なら思える。 私が自然の中でつかんだ感覚なのか、
親がのびのびと育ててくれたおかげなのかわからない。 けれど、
私も二人の息子たちの自由な表現を育みながら、 世界は広くて可能性に満ちていることを伝えていきたい。
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いかがでしたか? さて名残惜しいですが、閉店のお時間です。
今後も喫茶クロスロードは、あなたがほっこりした時間を過ごせるよう、 毎週月曜日と木曜日、
夜9時よりゆるゆる営業していきます。 それでは本日はお越しいただきありがとうございました。
またお待ちしております。