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2023-09-21 09:54

【朗読】#11 おばあちゃんの思い出

週も後半。ちょっと疲れたなあ、そんなときこそひとやすみ。喫茶クロスロードでは毎週木曜日、月ごとのテーマに沿ったエッセイ朗読をお届けしています。/今月のテーマは「人生の先輩」今日は、大好きな大好きなおばあちゃんへの想いをつづったエッセイ「おばあちゃんの思い出」/ 書き手:松ぼっくり/語り:志歩

00:05
スピーカー 1
カランコローン。いらっしゃいませ。
喫茶クロスロードへようこそ。いよいよ週も後半。
ちょっと疲れたなぁ。今週もなんだかバタバタしていたなぁ。
そんな気持ちが膨らんでくる頃ではないでしょうか。
そんな時こそ一休み。
ここでのんびりしていきませんか。
スピーカー 2
喫茶クロスロードでは、毎週木曜日、月ごとのテーマに沿ったエッセイ朗読をお届けしています。
スピーカー 1
今月のテーマは【人生の先輩】。
今日は、大好きな大好きなおばあちゃんへの思いを綴った松ぼっくりのエッセイを、私、しほがお届けします。
スピーカー 2
それではどうぞ。
おばあちゃんの思い出
松ぼっくり大好きだったおばあちゃん。
スピーカー 1
にっこり笑顔が素敵だったおばあちゃん。
真っ白な髪を櫛できれいに整え、
ちゃんとした姿勢で服装にも気を使っていた。
スピーカー 2
ちょっとほっぺが垂れて、笑うとそのほっぺがとてもかわいかった。
スピーカー 1
そんなおばあちゃんが手作りしてくれた厚紙と和紙でできた桜ほりきりの小物入れを見ると、いつも思い出す。
私が小さかった頃、とっても貧乏だったというおばあちゃんの家で食べさせてくれた
ご飯にマヨネーズが少しのせられたマヨネーズご飯とおばあちゃんの笑顔。
子供心にはよくわからなかったけど、何もおかずがなかったから、あのマヨネーズご飯だけだったと思う。
それでもこれが妙においしくて、おばあちゃんと笑って楽しく食べた。
また別の日、奮発したであろうカレーを食べさせてくれた時、
無邪気にカレーにすりおろしたりんごを入れるとおいしいんだって、
というと怖かったおじいちゃんに、
03:01
スピーカー 1
何を言っているんだ、出されたものを食べい!
ってむちゃくちゃ怒られた。
その時もおばあちゃんはおじいちゃんの小言をピシャッと止めてから、
そうかそうか、りんごが入ったらおいしいやろうな、
スピーカー 2
ってにっこり笑顔で言ってくれたっけ、今ならわかる。
スピーカー 1
お金がない中で子供が好きなカレーを一生懸命作ってくれたその愛情が。
スピーカー 2
そこにりんごがなんて言った私の残酷な無邪気さが、
それでも笑顔で言ってくれた心の広さが、
今ならわかる、就職活動がうまくいかなかった時も、
スピーカー 1
おばあちゃんに何気なく相談したら、
スピーカー 2
あたたかい笑顔で包み込んでくれた私の思いを、
そうかそうか、とじっくり聞いてくれた。
反論せず、それでも優しくわかりやすく悟してくれた。
帰り際にはなぜか心がすっきりしてまた立ち上がって頑張ることができた。
スピーカー 1
人生の先輩からの笑顔の励ましはいつだって私を勇気づけてくれた。
ただ、どうしてもどう頭をひねって思い出そうとしても、
スピーカー 2
どう励ましてくれたかが思い出せない。
思い出すのは優しい眼差しとあたたかい笑顔だけ。
スピーカー 1
人生には意味があるとかそういう感じだったんだろうけど、
今となってはどうしても思い出せない。
でも確かにあの時、私の心はおばあちゃんの笑顔に癒されて立ち上がることができたんだ。
おばあちゃんの晩年は子どもたちがそれぞれ仕事で成功してお金に不自由しなくなった。
それでもおばあちゃんの素敵な笑顔は変わらなかった。
スピーカー 2
ほんの少し曲がった背中でゆっくり歩く姿も好きだった。
スピーカー 1
おじいちゃんが亡くなった後はいつもおばあちゃんを中心にみんなで集まって、
06:04
スピーカー 2
その度にちゃんとした姿勢で挨拶するから、そのメリハリの良さに私の背筋も伸びた。
スピーカー 1
年に数回しか会えなかったけれど、
おばあちゃんに会いに行くたびに趣味で作った桜ほりきりの和雑貨を持って帰りなさいといくつもくれた。
スピーカー 2
いつも手作りしては周りの人たちにプレゼントしていたみたい、
細かな手仕事におばあちゃんの貴重面でしっかりした一面を感じることができた。
倒れて亡くなるまでの3ヶ月は子供が孫がみんなそれぞれおばあちゃんのもとに会いに行った。
おばあちゃんは話せなかったけれど、それでも私たちが顔を見せるとかすかな笑顔をくれた。
今でも時々その和雑貨を見ては思う。
スピーカー 1
もっと話せばよかった。
スピーカー 2
もっといっぱい相談して話を聞いておけばよかった。
いっぱい報告したかった。
スピーカー 1
おばあちゃん特製の茶碗蒸しの作り方、教わったのにどうやって作るか忘れてしまった。
スピーカー 2
また聞けばいいやなんて思っていたけれど、それももうできない。
子供ができたんだよ。
スピーカー 1
今にも落ちそうなほっぺがおばあちゃんにそっくりなんだよ。
抱っこしてほしかったなあ。
スピーカー 2
私おばあちゃんみたいにいつも笑顔でいられるかな。
スピーカー 1
それともおばあちゃんも人知れず影で泣いていたのだろうか。
スピーカー 2
苦労しても笑い飛ばす強さがあったのかな。
スピーカー 1
もう教えてもらうことはできないけれど、やっぱり今となってはおばあちゃんとの細かな会話は思い出せない。
思い出すのはいつもあの笑顔。不思議だけど今でもあの笑顔に癒される。
おばあちゃんはいつも見守ってくれているのかもな。
そう思って今日も私は笑顔で前を向く。
スピーカー 2
いかがでしたか。さて名残惜しいですが閉店のお時間です。
09:17
スピーカー 2
今後も喫茶クロスロードはあなたがほっこりした時間を過ごせるよう、毎週月曜日と木曜日、夜9時よりゆるゆる営業していきます。
スピーカー 1
それでは本日はお越しいただきありがとうございました。またお待ちしております。
09:54

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