甘い思い出
カランコローン、いらっしゃいませ。 喫茶クロスロードへようこそ。
いよいよ週の後半。 ちょっと疲れたなぁ。
今週もなんだかバタバタしていたなぁ。 そんな気持ちが膨らんでくる頃ではないでしょうか。
そんな時こそ、一休み。 ここでのんびりしていきませんか。
喫茶クロスロードでは、毎週木曜日、月ごとのテーマに沿った、エッセイ朗読をお届けしています。
今月のテーマは、スイート&ビター。 今日は、甘い思い出について綴った、ミトのエッセイを、私、
セイがお届けします。 それではどうぞ。
絵本と冷蔵庫の甘い思い出。 ミト、お菓子の出てくる本って幸せだ。
特に小さい時に読んだ本の中で出会ったお菓子には、 あの頃だからこそ感じ取った純粋な憧れ、
多幸感、背徳感、 そういったものがぎゅーっと詰まっている気がする。
絵を見るだけで、タイトルを聞くだけで、 幸せが染みてくる。
去年、実家に久しぶりに帰った時に、 実家のすべての本棚の写真を撮ってきた。
時々、思い出の本たちの背拍子を眺めては、幸せに浸る。 ああ、私の幼い時代を彩ってくれた、愛おしい本たち。
森のお菓子屋さんに出てきた、動物たちの姿をしたケーキ。
白いウサギはマシュマロで。 トカゲの光る肌はアメザイクで。
大人になってから子供に読み聞かせをした時に、 そうだったそうだった、と当時の記憶が鮮やかに蘇ってきたのもいい思い出。
郵便サクター山へ行く、に出てきたサクサククッキー。 日常の中の地続きにある、
ちょっとした非日常の世界への憧れの記憶と共にある、 ミリー・モリー・マンデーのお話、といえばジャムの瓶。
直接ジャムを食べて、ああ美味しかった、というお話ではないのだけれど、 ジャムの瓶と家族の愛ある遊び心のエピソードがとっても好きだ。
日本とはまた違った外国の文化、食生活への興味も、 本でたくさん育ててもらったな。
大きな森の小さな家でカエデの木から直接メープルシロップを飲む場面は、 今でも覚えているエピソード、
母の愛
後から後から出てくる、私の中に息づくお菓子と本のエピソード、 私にそれらのエピソードをプレゼントしてくれたのは、間違いなく母だ。
子供の時から家には本がたくさんあった。 寝る前は読み聞かせをしてくれた。
きっと物心つく前にも、 本にたくさん触れさせてくれていたのだろう。
中学校2年生の時、 部活の友人関係でトラブルがあり、どうしても学校に行きたくない日があった。
珍しく、休みたい、 今日は学校にどうしても行きたくない、と主張してみたが、
だったら休んでもいいよ、という方針の過程ではなかった。 体調が悪い以外で休むのはダメ、
行きなさい、と言われ涙目で投稿したのを覚えている。 投稿してみたら、あとは日常で、
心のもやもやは残しつつも、穏やかに一日は過ぎていく。 学校から帰宅すると、母は用事で家にはいなかったのだが、
冷蔵庫の中にいつもは見ないスーパーのちょっとだけ高いスイーツが一つ入っていた。
何かメッセージがついていたわけではない。 ただ直感で、
これは私が投稿した後に心配している母が私のために買ってきてくれた甘いものだ、
と思った。 思春期の私が直接母に向かってありがとうと伝えたかどうかも覚えていないが、
そのスイーツの甘さ、美味しさは今もしっかり記憶に刻まれている。 甘いものと共に受け取った
幸せの記憶の数々。 大切に受け継いで、そしてまた別の人にも渡していく。
そういう人でありたい。 いかがでしたか?
さて、名残惜しいですが閉店のお時間です。 今後も喫茶クロスロードは
あなたがほっこりした時間を過ごせるよう 毎週月曜日と木曜日
夜21時よりゆるゆる営業していきます。 それでは
本日はお越しいただきありがとうございました。 またお待ちしております。