同一性なんか存在しないのであると。ここまで言われて、ん?って思うじゃないですか。私たちっていうのは、私という存在は同一であると、アイデンティティを持って日頃から暮らしてますよね。
この我々というアイデンティティというものは確かに存在するじゃないかというふうに思うんですけれども、これについて答えを出してくれているのがもう一冊読んだ豊さんという方の本なんですけれども、後で言いますね、どういった本だったかというのがあるんですけれども、この方が言うには、我々のアイデンティティというものは常日頃変化しながら、でもコアというものを持ちながら将来的に同じ人格であるということを担保しているという話をしていて、
それが言葉で言えば許しとか約束というものを経て同じアイデンティティを保持しているというふうにおっしゃいます。ちょっとややこしいんですけれども、例えば許しという概念は、昔何かした、昔自分が何かしたことに対して今ずっとそれに引っ張られ続けると、それはそれで過世になってしまうじゃないですか。
何か満引をしましたかわかりませんけれども、昔やってしまったことの許されなければ永遠にもうあなたはそういう人間だねって言われ続けるとかっていうのがあると、ただそれについてちゃんと償い許しを得ることができたら、そういう時もあったけれども今はちゃんと社会のルールを守って立派に生きることができる人間ですというふうに自分が変化したということができるじゃないですか。これがいわゆる許しを表すわけですね。
約束というのがもう一つのテーマなんですけども、言葉なんですが、これは今の自分と将来の自分の同一性を担保するっていうためのものであるというふうに言うんですね。
今私はこういう生活をしたいというふうに思っている、そしてこれを将来にわたって続けたいと思っているっていうその約束をした場合、今の自分と将来の自分を同じであるというふうに保証すること、これが約束だというんですね。
話を戻すと、アイデンティティというものがこの許し、過去から今の自分が必ずしも同じものではないという断絶をしても良いという、これは許し、かつ今から将来に向けての自分のアイデンティティを同じものだとして、コアを大切にするコアを保証すること、これは約束というふうに本屋さんは言ったわけですと、
この許しと約束をもって、同一性というものを我々は担保しており、観念しているのであるというふうに言うことができるというふうにおっしゃいました。
つまりですね、本質が変わらないから同一なのではなくて、何かしら他者との関わりの中で許しを得て約束を守るということで、この同一性とおぼしきものが形成されていくのだと。
難しい話をタラタラとしてしまいましたけれども、秘伝のタレで例えましょうか。
うちは過去、いろいろとここのうなぎ屋のタレは美味いんだよって言われてきましたが、昔からちょっと変わりたい、うちはこういう味にした方が本当は美味しいと思うんだよなという新たな代の店長がいたとして、
昔にとらわれず甘くしていくのだと、場合によっては何なら辛くしていってもいいと思っているんだよなみたいな、そういうことを考えたとしたら、
過去にとらわれず今のタレの味を変えるという、これは許しを得るということだと思うんですね、お客さんに対して。
これからもしかしながらですね、この自家製の醤油は絶対に使うのだと、このタレを作るときにこの醤油だけは使うのだと、
これがコアだとした場合には、これを約束して今後もこのタレのアイデンティティを守っていくということに表現できたりもするかもしれません。
何が言いたいのかっていう話に多分戻った方が良くてですね、この同一性という概念っていうのは本当は何が同一で何が変化なのかっていう話をちょっと
哲学的なところも含めてされていた本を引用しましたけれども、
PMIの文脈に戻れば、変化をしながらその会社の良いところを維持するということが求められているはずですよね。
誰しもやっぱり変えられてしまうということが怖いですし、この怖くなく変わるためにどうしたらいいのかっていう、そういう問いを掲げるといいのかなと思いました。
このPMIをする上でですね。
本質的に同じものっていうものは存在しないというのが小坂井さんの立場ですし、構成物は変わると。
しかしながらそのアイデンティティを維持するためにコアの部分とその周辺部分とというのがそれぞれ存在するということがこの議論の中で分かったとは思いますけれども、
それを前提とした場合にPMIにおいてですね、アイデンティティ、組織のアイデンティティというものを同一性を維持しながら、
それでもってうまく良い変化をもたらすためにはどういう向き合い方が良いのかというのがこれからの話になるのかなと思います。
具体的にどう活かしていくかという話ですけれども、
変われた企業があったとして、その会社が過去どのように顧客から認められてきてアイデンティティが形成されてきたのかという、まずはそのコアの部分を見定めることかなと思いました。
その会社が大切にしていること、そのミッションビジョンバリューとかそういう表現されている言葉のみならずですね、
本当に一人一人の従業員の方が大切にして働いていることは何なのかみたいなことを肌感覚で理解をしていくっていうところがまず第一ステップなのかなというのが、
このPMIにどう活かすかという意味では答えの一つかなと思っています。
この部分ですね、このコアを肌感覚で理解するっていうことが非常に難しくて、やっぱりそのためには現場に足を運んで一緒に働いてみて、
お客と向き合う中でどういった部分をこの人たちは大切にしているのか、お客さんにちゃんと向き合うことなのか、あるいは一つ一つの仕事を丁寧にやりたい、
時間がかかったとしてもちゃんとやりきりたいっていうところなのか、いろんな人々それぞれあるとは思いますけれども、
その部分についてちゃんと理解をする、肌感覚で理解をしているっていうふうに思ってもらうことも含めて大切であろうと。
その部分ですね、そのコアの部分、会社の一部になったとして、その部分は必ず維持していいんですよという約束をその会社とする部分があっていいと思います。
それは給与水準もそうかもしれませんし、雇用の確保とかもそうだと思います。
一方でこのコアの部分以外のところ、それ以外については変わるし変えていくことが必要であるという、
さっきの話が約束なのであれば、しないっていう約束なのであれば、この部分は許しを得るような部分ですよね。
過去から現在への断絶みたいな話になってくるかと思います。
これは共通のセキュリティの水準かもしれませんし、倫理のルールかもしれませんし、
要は変わらない部分と変わる部分、これをはっきり言語化して惜しみなく伝えていくことかなと思います。
PMIで大切なのは、ガバナンスでどうしても入れやすいですし、単なるルールを押し付けるだけで変わってしまうっていうふうな話になるので、
どうしても先にそういうルールばっかり押し付けるようになるとは思うんです。
その中でそれが仮に周辺部分、あまりコアに関わらない部分だったとしても、どんどんルールばっかり押し付けられると、
自分たちの大切にしているところすら変えられてしまうんじゃないかっていうふうに現場の方は不安になるであろうと、
そう考えることが必要で、であればそのコアな部分を我々はちゃんとわかっていますよと示して、そこの部分は変えなくていいですと。
でもルールはルールであるので、これは変えてくださいねっていうその線引きですね。
コアの部分と周辺部分の理解と線引きをちゃんと伝えていくっていうことが必要ではないかというふうに言えるかと思いました。