スピーカー 1
というわけで、きょうは菊水酒造の代表取締役社長である高澤大介さんにお話を伺います。
どうぞよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
スピーカー 3
では、私小竹から高澤さんのプロフィールをご紹介させていただきます。
高澤大介さんは新発田市のご出身で、1982年から東京の大手百貨店に勤務された後、
85年、菊水酒造に入社、89年専務、2001年には代表取締役社長に就任されています。
また、敬和学園大学との関係では、大学の知育連携組織であるオレンジ会の会長も務められています。
スピーカー 1
続いて私松澤から菊水酒造さんについてご紹介します。
明治5年、1872年に16歳の高澤節五郎さんが酒造権を譲り受け、蔵を開いたのが菊水酒造の始まりです。
創業は明治14年、1881年です。
それ以来、客様がおいしいねとおっしゃってくださる酒をひたすら追求するという志を掲げ酒造りを重ねてきました。
昭和31年、1956年には法人化し、昭和47年、1972年には缶入り生原酒、船口菊水一番絞りを日本で初めて商品化。
革新と伝統を併せ持ちながら、知育とともに客様第一の酒造りを貫いていらっしゃいます。
スピーカー 3
菊水さんといえば、先ほど出てきた船口菊水一番絞りですが、それ以外にもたくさんの銘柄があるのかと思います。
それぞれの特徴について教えていただけますか。
スピーカー 1
そうですね、最初に私たちがさっき商品をいろいろ見たんですけど、その中で一番お値段が高かった蔵光です。
スピーカー 3
蔵光というお酒から、名前もかっこいい。
スピーカー 2
蔵光は当社では商品では一番価格の高いものになりますけれども、蔵光というと蔵の光って書いてあったでしょう。
蔵の光って書いて蔵光っていうことなんですけどね。
お酒の質から言うと、一番レベルの高い仕込みをやっている、わかりやすく言うとそういうことなんです。
そこから生み出された純米大吟醸酒であるということなんです。
この蔵光の名前から言うと、実は我々の菊水酒造というのは、昔、皆さんが生まれるはるか前ですよね。
新発田市の蔵光村という村があったんです。そこに我々の蔵があったんですね。
蔵光村という名前の村があって、そこが我々の発祥の地なんですよ。
それにちなんで、蔵光というものを我々のプレステージの商品として位置づけたということなんですね。
これはたまたま蔵光という村の名前だったんだけど、よくよく考えてみると蔵の光だから
これは良いなということで、我々はこの名前を我々の一番トップエンドのものに名付けたということなんです。
スピーカー 1
確かに蔵光の蜜ってすごく高級感。
光だよ。
いいお酒。
スピーカー 3
いいお酒だからして、光を後からつけたのかなと。
スピーカー 2
違います。もともと蔵光村というところから始まっています。
スピーカー 3
他にもあれがありましたよね。
スピーカー 1
無冠帝。
スピーカー 3
無冠帝なんです。
スピーカー 4
無冠帝というのは、話すると長くなって、この番組の尺からするととても物語が切れない物語があるんです。
スピーカー 1
歴史が長い。
スピーカー 2
歴史というか、話すと長い話になるんだけど、簡単に言うと、実力があるんだけれども、あえて自分はその実力を引き出さない。
本当は強い。本当はできる。だけど自分からはそれを言わない。いわゆる無鑑の帝王で。
無冠帝という名前になっているんだけど、これは無鑑の帝王という言葉があるんです。
本当は実力があるんだけれども、それをあえて人にも言わない。引き出さない。自慢しない。
地道にコツコツコツコツ仕事をきっちりやる。やるべきことをやる。
そういった価値観というのかな。あえて人には言わないけれども、自分はかなりできる。
それはわかっているんだけど、言わないでね。
かっこいいでしょ、これ。
スピーカー 4
かっこいいですね。
スピーカー 2
お酒自体もそういうお酒なんですよ。あえてスペックだとかそういったことは言わないで、どうぞ飲んでみてください。
裏側には自信があるわけだ。だけどそれをあえて言わない。
そういうね、言うならばクールなお酒だな。銀杏酒なんだけど、銀杏というのもこうあらかには言ってないので。
スピーカー 1
確かに。
スピーカー 2
そうなんです。無冠帝の無官の帝王なんですよ。
それすらも言わないんですね。
だからこれをかっこよく飲む。それが大事だね。
一戸先生がこれをかっこよく飲んでいたら、みなさんもいずれ飲みたくなる。
先生、かっこよく飲んでるなってね。そういった若い人の憧れになるような飲み物にしようって思いもあるんですよね。
スピーカー 1
すごい。そんな思いがあって。
スピーカー 3
先生にかっこよく飲んでもらって、私たちもかっこよく飲んで。
先生笑ってるね。
それを受け継いでいって、いろんな人に広めて。
スピーカー 2
だって大人の人が、大人っていうか上の人だとかね、先生だとか、そういった人たちがかっこよく飲んでたらやっぱり憧れるじゃないですか。
憧れますね。
やっぱり憧れる飲み物になってほしいなって思いもあるよね。
スピーカー 1
先ほどから吟醸っていう言葉が何回か出てると思うんですけども、吟醸って詳しく聞いてもらえますか。
スピーカー 2
詳しくね、手造用語でよく吟醸とか大吟醸って言うんだけど、あんまりテクニカルな話をするとわけわからなくなっちゃうんで、
簡単に言いますよ。
大雑把に言うと、米を一定以上磨くんです。
簡単に言うと真珠の粒ぐらいまで磨く。
外側はみんな削り落としちゃう。
スピーカー 4
それを低い温度で発酵させる。
スピーカー 2
酵母が生きるか死ぬかの瀬戸際ぐらいで低い温度で発酵させる。
そうすると素晴らしい香りのお酒ができてくるんですよ。
スピーカー 4
へー。
スピーカー 2
ゆっくりゆっくり低い温度でゆっくり発酵させるということで、素晴らしいお酒を作っていくんだけど、これを吟醸仕込みって言うんです。
スピーカー 1
丁寧に丁寧に真ん中のいいところだけ取って作られたお酒。
スピーカー 4
漢字からしてそうじゃない?
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
銀でしょ。銀味をして醸す。吟醸って言うね。
これはやっぱりお酒の中でもグレードの高いお酒というわけですね。
スピーカー 3
なるほど。ありがとうございます。
スピーカー 1
あと個人的に私たち2人気になったものがありまして、主に菊水さんって日本酒をやれてるじゃないですか。
梅酒があって、梅酒もあるんだって思ってちょっとお話聞きたいなって。
スピーカー 2
梅酒ね。梅酒ありますよ。作ってますよ。
スピーカー 4
当社の梅酒なんだけど、一つの特徴は梅酒って言うとよくご家庭で作るのは焼酎で作るんだよね。
ホワイトリカーなんて買ってきてね。それで焼酎で作るんだけど、当社の梅酒は当社の日本酒で仕込んでる。
スピーカー 2
焼酎じゃなくて、清酒で仕込んでる。その清酒は当然うちのお酒なんだけど、純米酒で仕込んでます。
それで仕込んでる。それだけで純米酒で仕込んだ、そこに梅を漬け込んで作ったのがうちの梅酒なんです。
スピーカー 1
私たちが普段飲んでる梅酒とはまた一味違う。
スピーカー 2
違うな。全然違う。よく梅酒って言うとすごく甘いでしょ。
うちの梅酒はあまり甘くないんですよ。結構酸味が立っている。
酸っぱいって言うとちょっとネガティブに聞こえるけど、酸味が立っていて、非常に爽やかな梅酒ですかね。
だから何て言うんだろう。先に甘ったるさがドーンと来るんじゃなくて、非常に味わいがあるというか、奥が深い味わいかな。
これは他社の梅酒とはちょっと宣伝みたいになるけど、全然違いますね。
スピーカー 3
めっちゃ気になる。梅酒は結構飲んで。
スピーカー 4
ロックでもいいし、あとソーダで割ってもいいけども、ぜひちょっと味わってみていただきたいなと思います。
スピーカー 1
あと、純米っていうワードも何回か今出てきていると思うんですけど、純米というお酒、純米酒とまた、純米酒じゃないお酒ってあると思うんですけど、
純米酒ってどのような作り方されているんですか。
スピーカー 2
それはすごくいい質問ですね。だってお酒って米から作っているんだから、全部純米酒じゃないんですかっていうご質問をよく受けるんですけど、
お酒の作る規格っていうのがあって、必ずしも全て米だけで作っているものだけではないんですよね。
今の純米酒なんだけど、原材料は米と米麹だけです。米と米から作った麹。米と米麹が原料になる。それが純米酒。それだけで仕込んだものが純米酒。
だから本当に字の通り、純米だから米と米麹だけ。米だけで作っているお酒が純米酒。
じゃあそれ以外のものがどうなのかっていうとね。
スピーカー 4
例えばそれ以外のもの、純米以外のものになると、その米と米麹のほかに醸造用のアルコールを添加しているというものもあるんですね。
スピーカー 2
それを規定内で一定の我々のルールの中で収めたものが本醸造という名前のものになったりするんだけれども、
米と米麹だけで作ったものが純米酒。だからそれ以外のものは、いろんな呼び名はありますけれども、純米ではないということなんですね。
米と米麹以外の原材料も入っているから、純米とは呼ばないということなんですね。
スピーカー 1
なるほど。ありがとうございます。さて、いろいろなタイプのお酒があることがわかりましたね。
初心者の私たちにまずおすすめのお酒ってどれでしょうか。
スピーカー 2
初心者の皆さん。
スピーカー 1
私たちはまだ20歳になったばかりで、21歳なのでお酒をまだ年月経っていないので、そういう大学生とかにおすすめなお酒です。
スピーカー 2
飲んだことのない人にいきなりこれ飲みなというのはなかなか難しいところがあるんですよね。
だって今のお酒の話だけど、皆さんが知らない食べ物だとか、知らない飲み物をこれ飲んでごらんって言ったら、すぐに食べたり飲んだりしないでしょ。
ちょっと抵抗はありますよね。
ちょっと抵抗はあるよね。しばらくずっと眺めているとか、たぶん皆さんやると思うと誰かが食うのを待っている。
いや、それですね。
たぶん富田さんが食べるのを待っているとか、そういう風になると思うけどね。
まず、我々今回の後からの話にもつながるんだけど、我々そういった初心者というかお酒を飲んだことのない人たちにどうやってアプローチしようかというところから、実はこのガーデンができているという話。
これは後からの話になると思うから取っておきますけれども。
スピーカー 1
取っておきます。
スピーカー 2
まず最初は香りのいいものだとか、すごくすっきりした飲み心地のものから入ったほうがいいと思いますよ。
僕はよくアメリカに行くんだけども、あっちの大学生、例えばニューヨークに行くとニューヨーク大学の近くだとニューヨーク大学の学生がガンガン酒飲んでいる日本酒バーがあるんですよ。
すごいんだ。本当にめちゃくちゃ彼ら飲むのね。
スピーカー 4
その質問をしたことがあるの。一番最初に飲んだお酒って何だったって聞くと、必ず銀城酒、大銀城酒、純米大銀城というグレードが一番高いほうから入っているんですよ。
スピーカー 3
すごい。
スピーカー 2
グレードが高いほうから入っているの。それはやっぱり香りがいいとか、飲み心地がすごくスムーズだとか、決してグレードの低いほうから入っていないんですね。
だから、まず皆さんは良い体験から入ってもらいたいね。今、大学では一気飲みは絶対禁止だと思うんですよ。やっちゃいけないでしょ。
僕が学生の頃は、一戸先生が学生の頃は一気飲みは必ずさせられたのね。それでみんな日本酒嫌いになっちゃう。それでもう具合悪くなっちゃうから。救急車で運ばれていた時代なのね。今はそれは絶対ない。
だけども、一方では日本酒に触れる機会というのもなくなってしまっているので、もしだから最初に触れるということだったら、やっぱり一番グレードの高いほうから。
衣装瓶を買う必要はないですよ。ちっちゃいものがある。缶のものもあるし、当社においては。あと瓶もちっちゃい瓶があるから、そこからトライアルしたほうがいいかなって思います。
飲みすぎないことね。
少しずつ。
少しずつ。最初に悪い体験をするとずっと引くじゃないですか。
スピーカー 4
そうですね。
第一印象を嫌な人ってずっと嫌じゃない。
確かに。
スピーカー 2
そうだよね。同じことなんだよね。だから悪い印象を持たないようなものをチョイスして。グレードの高いほうから入ったほうがいいね。
グレードの高いほうから。そういうのってちょっと高いなと思ったら、そしたら一戸先生に頼めばね。
確かに。
先生は太っ腹だから、言うこと聞いてくださいますよ。
後でちょっと。
スピーカー 3
お願いして。
スピーカー 2
喜んでやってくださいますよ。
スピーカー 1
ありがとうございます。
スピーカー 3
さて、ではここで1曲お届けします。
今日の曲はこちら。宮本浩次「二人でお酒を」。
原曲は1974年3月25日に発売された、梓みちよさんのシングルで大ヒットしています。
歌の途中で梓みちよがステージでアグラをかくシーンでよく知られています。
宮本ひろじさんはエレファントカシマシのボーカリストで、2022年に出したソロアルバムロマンスの中で数々の女性曲をカバーしていて、
二人でお酒をもその一つです。
それでは聴いてみましょう。
宮本浩次「二人でお酒を」
スピーカー 2
敬和キャンパスレポ
スピーカー 3
お届けした曲は、宮本浩次「二人でお酒を」でした。
今日の敬和キャンパスレポは、出張収録で菊水酒造さんにお邪魔して、高澤大介社長にお話を伺っています。
後半もよろしくお願いします。
スピーカー 1
よろしくお願いします。
スピーカー 3
この後は、新しくオープンされたKIKUSUI蔵GARDENについて詳しくお話を伺いたいと思います。
こちらの施設を新たに開設された思いは、どのようなものだったのでしょうか。
スピーカー 2
この蔵GARDENを作ったきっかけというか、
バックグラウンドは、日本酒がどんどん日本の国から飲まれなくなってきているという現実があるわけですよね。
我々は一方では、品質の高いお酒を作る技術はずっと持っていて、レベルは最高水準まで来ている。
どの蔵も、レベル的には最高水準の技術を持ってお酒を作っている。
品質が良くて売れれば、それに越したことはないんだけども、にもかかわらず、やっぱりみんなお酒を飲まなくなっているという相反する現実があるわけですよ。
これは我々にとっては、成り前の存亡にかかわってくる話なんだよね。
どうしようかなというふうに考えたんですね。
我々は今まで品質の良いお酒を作っていたら、黙っていてもみなさん飲んでくださって、買ってくださっていたんですね。
もうそうではない。
じゃあ、もう一回リセットして、日本酒の価値、お酒の価値というものをみなさんにお伝えしていこうじゃないか。
お伝えする一つの方法論として、この蔵GARDENを作った。
我々一番大事にしたことというのは、良いお酒だから飲んでください。
では、もともと飲んで、みなさん飲まなくなっているんだから、良いお酒だから飲んでくださいと言っても、もう飲まれなくなってきているんだから、そうではなくて、
お酒って楽しいですよ、お酒って面白い飲み物ですよというところから入っていただけるようにしないとね。
ただ、飲めばわかるじゃなくて、だって飲んでないんだから。
お酒って楽しいですよ、面白いですよ、あるとすごく場が和むんですよ、すごく深い飲み物なんですよというあたりからお伝えしていかなきゃいけないなというふうに思ったんですね。
でも、みなさんなんかもそうだけど、若い人たちからしたら、そんなこと言ったって日本酒飲まないもんっていうふうに言われて、それで終わりになっちゃうわけだ。
スピーカー 4
それはね、そこで考えたのが、いきなりお酒から入るんじゃなくて、発酵だね。
スピーカー 2
発酵の力でお酒ってできているわけです。日本酒はできているんだけど、その発酵の力っていうのは実は日本酒を作るときに使われているだけじゃなくて、
スピーカー 4
考えてみればね、味噌もそうだよね、醤油もそうでしょ、チーズもそうでしょ、ヨーグルトもそうでしょ。
スピーカー 2
だから紅茶だって発酵、半発酵なわけだよ。完全に発酵させた茶葉なわけだ。半分発酵しているのはウロ茶だったりするんだよね。
だから発酵の力でいろんなものができている。今だとみなさんも使っているかもしれないけど、化粧品なんかも発酵化粧品ってあるんですよ。
知らなかった。
スピーカー 4
知らなかった。
スピーカー 2
みなさんまだ使う必要もないけどね。
スピーカー 4
これから。
スピーカー 2
これから使うかもしれないけどね。発酵化粧品なんてのもあるぐらいで、発酵っていうものが単に食品だけじゃなくて、
いろんな自分たちの生活に深く関わっているっていう、そういったテクノロジーなわけですよね。
発酵っていうものの価値からみなさん知ってもらって、そういった流れがあるんだということを知ってもらって、
そこからその一つの形として日本酒も使われているんです。日本酒にも発酵の力使われているんですっていう長い道のりなんだけど、
そこからお客様にね、これからのお客様には知っていただこうって。
ゆくゆく、そういえば日本酒も発酵の力でできているんだな、醸されてできているんだなということを知ってもらって、
ファンになってもらおうということで、いきなり飲んでください、ファンになってくださいじゃなくて、
本当に長い道のり、我々の長い童貞っていうのかな、それを考えてこの施設を作ったんですね。
発酵から入ってもらう。発酵っていうのは、やっぱり現金に売ったらカフェで発酵の素材を使った食べ物があるんです。
必ず何か入っているんですよ、発酵の力を使う素材が。
現金に売ったらさ、発酵っておいしいねって言ったら発酵のファンになってくれるでしょう。
発酵がまずかったらさ、いらないって話になるけど、
だけどあそこにあるものはみんなおいしいものを出しているつもり。
それで発酵っていうのは、こんなにおいしいんだっていうあたりから、
スピーカー 4
でも体にもいいんだよねっていうことを知ってもらって、
スピーカー 2
そこから日本酒の世界に、ちょっと時間かかるかもしれないけども、
入ってもらうということで、発酵っていうものを五感で感じてもらう。
我々は発酵エンターテインメントって言ってるんだけど、
発酵っていうものは実は我々の生活にすごく意味があって、すごく有用でね。
しかも発酵食品だとか発酵の力で作られたものがあると、
なんか生活豊かになるよねっていうことを知っていただくことね。
我々は今言ったけど、そういったものをひっくるめてパッケージ化して
発酵エンターテインメントで訴えていこうよというふうに考えているわけなんですね。