1. ”心理学に触れる” 一日一語
  2. #735【スロールッキング】3分..
2025-08-08 10:28

#735【スロールッキング】3分、同じ美術作品を見れますか?(Igdalova & Chamberlain, 2025)

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【本日の一語】
スロールッキング:通常よりも長い時間をかけて、1つのアート作品に意図的に注意を向けながら鑑賞する実践。

【本日の論文】
Igdalova, A., & Chamberlain, R. (2025). Slow looking at still art: The effect of manipulating audio context and image category on mood and engagement during an online slow looking exercise. Psychology of Aesthetics, Creativity, and the Arts, 19(3), 522–534. https://doi.org/10.1037/aca0000546

【8月31日(日) から 「あいまい会議2025~伝統・ビジネス・科学から「美」の可能性を考える in 京都~」】
https://aimaikaigi2025.peatix.com

【8月16日(土) から 「『研究』の未来をみつめる―“良き研究者”をめざす若者と科学の行く末に関心をもつ市民の対話」】
https://www.shiminkagaku.org/sciencedialogue_03_20250816/

【8月18日(月) から 「近藤弥生子さんと対談:台湾感性―台湾と日本の美意識の違いに迫る」】

【8月28日(木) から 「業界を超える「学際」で新たな価値をつくる - 京大・宮野公樹氏と探る、研究と社会のこれから」】
https://academist250828.peatix.com/

【研究サポーター募集中!】
https://academist-cf.com/fanclubs/358

サマリー

今回のエピソードでは、スロールッキングという芸術鑑賞の方法論が紹介されており、意図的に長い時間をかけてアート作品を鑑賞することの意義が探られています。特に、歴史的な音声ガイドが鑑賞体験を向上させることが示されており、心の健康に寄与する可能性が強調されています。

スロールッキングの紹介
おはようございます、心理学者のじんぺーです。
心理学に触れる一日一語のお時間です。
この番組では、心理学に関するキーワードを一つ取り上げて、
それに関連する論文を紹介しながら、心理学の世界に少しだけ案内したいと思っています。
今日の一語は、スロールッキングという言葉です。
本題に入る前にお知らせをさせていただきます。
8月のイベント情報を概要欄に載せております。
8月の31日は京都で、28日は東京で、16日にもオンラインで研究の、
どれも研究に関することであるんですが、一般の方向けにお話しする機会ですので、
ぜひ遊びに来ていただけると嬉しいです。
特に31日の京都のイベントは、自分が企画をしているんですけれども、
美しさについていろんな角度から考えるという、豪華ゲストの方々も来られますので、
ぜひ会いに来ていただきたいなというふうに思っています。
オンラインでも申し込めます。よろしくお願いします。
そういうわけで、今日はスロールッキングという一語についてご紹介をしていきたいと思います。
これは芸術鑑賞に関する言葉になっておりまして、
自分は普段は美しさと芸術認知鑑賞に関する心理学研究をしているので、
自分の専門に割と近いテーマになっています。
スロールッキングというのは、通常よりも長い時間をかけて、
一つのアート作品に意図的に注意を向けながら鑑賞する実践のことを指しています。
皆さん美術館とかにどれくらい行かれるかとか、人それぞれかなと思うんですが、
もし行かれる方がいるなら、どれくらい一つのアート作品に時間をかけているかというのを思い出していただきたいんですよね。
自分もどうだろうな、そんなにゆっくり見れているかと言われると、
特に最近は時間に追われてみたいなところがあるかもしれないんですけど、
先行研究によると、平均鑑賞時間は27秒から33秒、一つの作品と言われているそうです。
これはおそらく人による部分が多いのかなと思いますし、
大きな美術館だったらもっと短く、あまり芸術とかに普段触れていない人だったらもっと短く、
みたいなところももしかしたらあるかもしれません。
これを超える長さで見るということを促していくということをスロールッキングと言うんですけど、
これは実は別に最近言われている、今日紹介している論文は2025年で、今年出たばっかりの論文なんですが、
言われだしたの自体はそんなに新しくもなくて、特に2000年代以降かな、言われるようになったそうです。
起源としてはジョン・デューイって書いてますけどね、デューイがここでも名前出てくるかという感じですけど、
ちなみにデューイはアート鑑賞を単なる視覚刺激への反応ではなく、体験として捉えるべきだと論じたというふうなこととかも言わされてますね。
2000年代以降に美術館への来館者とかにスロールッキングというのを体験してもらう、
意図的にそういうプログラムを組むということがやられだして、
実験の方法と結果
最近、こういう芸術鑑賞の心理学者とかがその効果とかを実験しているということです。
今回の研究はオンラインでスロールッキングができるかということを試しています。
具体的な方法に移っていきたいんですけど、3分間静止画を鑑賞するということをするみたいです。
その前後で気分レベルとか、あとは快不快の感情であるとか、そういったことを聞くという全体の枠としてはそんな感じです。
その3分間を3作品という感じかな、やってもらうんですけど、その3分間でもういくつかやり方を変えていて、
一つが基本的には何も言わずに、ただ時間をもって見てもらうということをしてもらう群。
あと二つのうちの一つがマインドフルネスみたいな条件になっていて、
今どんな感情が湧いていますかとか、線や色に注意を払ってみましょうみたいなマインドフルネス的な音声が流れると。
その3分間の静止画を見ている間にそういう音声が流れるということです。
三つ目、最後の条件が歴史的な音声が流れるというので、作者の背景であるとか、作品の時代、モチーフとかを美術史的に解説するという、そういった群になっています。
これらがどういうふうに後の感情とか、あとはエンゲージメントですね、どれくらい興味を持ったかみたいなところで聞いています。
結果に移りたいと思うんですが、スロールッキングをした後に参加者の気分が優位に改善しているということがまず重要な結果としてありました。
だからセラピートまではいかないんですけど、ビルビングの工場って言った方がいいのかな、どちらかというと、みたいなことに寄与するんではないかということになっています。
スロールッキング、ゆっくり美術作品に触れることが気分状態を改善させるというのがまず重要な結果です。
3つ条件があったんですけど、特に歴史的な音声ガイドというのが良かったみたいで、理解度を上げるということとか、あとは文化的なエンゲージメントを高めるみたいな質問で、特に顕著に得点が高かったということのようです。
なので、ゆっくり見てくださいというだけでもいいんですけど、その中でもそういった歴史的な背景を説明するということが良さそうであろうというのが今回の結果になっています。
マインドフルネスとかももっと良い結果が出たらいいなみたいな感じで、ちょっと期待外れというか仮説とは違ったみたいなんですけど、こういう結果になっています。
残念ながら、というか割と研究の限界点としてはクリティカルかなと思うんですけど、スロールッキングの影響を調べたいと言っているんですけど、早く見る条件がないんですよね。
だから今回の研究だけだと残念ながらスロールッキングが良いのか、美術作品を見たのが良いのかということまではよく分からないというのがすごい弱点だなと思います。
鑑賞体験の推奨
これで良かったのかというふうにすら思うんですけど、まあでも論文になっているので、これはこれで重要な結果かなというふうには思います。
他にもスロールッキングの言及はいくつかあるので、また紹介していきたいなと思いますし、こういった方向性は割と推奨したいですよね。
自分はファストの方に抵抗していきたいという気持ちがあるので、ショート動画に関してもたまに論文紹介させてもらっていますけど、
ショート動画に飲み込まれない鑑賞体験が作れたら良いなと常々思っているので、曖昧さとかよく分からないけど、そこで鑑賞し続けるみたいな方が良いなと思うので、
今回のスロールッキングみたいな話は結構推していきたい方向性かなというふうに思っています。
なかなか普段の生活は難しいと思うので、むしろ美術館とか博物館とかやや非日常的な空間だとそういったゆとりのある時間の使い方とかできると思うので、
ぜひスロールッキングってなったなというふうに思い出してもらえるとすごく嬉しいなと思います。
全部の作品を3分見ろっていうのはなかなかきついので、余裕で100作品とか1つの展示とかでも、1つの展示会、特別展みたいなのでもあるじゃないですか。
300分とか大変ですよね。それだけで5時間とかって感じなので。
それはそれでいいけど、気に入ったものだけでもいいのでゆっくり見てみるということをぜひやってみていただけると嬉しいです。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。今日もいい一日にしていきましょう。
陣平でした。心を込めて。
聞いていただきありがとうございます。
お話ししているビザの話なんですが、無事に受け取ることができまして、一昨日かな、取りに行ってきました。
間に合いそうでよかったなと思っています。
日本にこれで家族で帰れるかなと思います。
ちょっとね、自分の滞在許可証が問題があるんですけど、それで全然大丈夫というふうにウェルカムセンターの方には言ってもらっているので、大丈夫と信じて出国したいなと思います。
多分またパスポートコントロールとかでちょっと止められるんですよ。
それが辛いなと思うんですけど、事情説明すれば通れるかなと思うので、強く行きたいなと思います。
自分は悪くないという気持ちで行きたいと帰りたいと思います。
ご心配本当におかけしました。
日本に帰るまでちょっとドキドキが続くんですけど、本当にめちゃくちゃ帰りたいので、楽しみにしているので、その気持ちを持っていきたいなと思っています。
10:28

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