こんにちは。明治大学で生涯学習講座の講師をしています、遠藤美保です。
この番組では、社会人や学生向けの生涯学習講座を10年以上行ってきた私が、日常生活でも活かせる心理学を、ポッドキャストでお伝えしていきます。
今回のテーマはこちら、沈黙のコミュニケーション。
今回は、沈黙のコミュニケーションのお話です。
お伝えしている心理学ですが、皆様にとっての日常的で身近な話題とも自然とつながっています。
その見方、活かし方をご紹介します。
今回は、沈黙のコミュニケーションについて。
それなりに身近でよくある沈黙。その沈黙にも意味がある。受ける影響がある。
そのポイントを知ることで、何が起きているのか、どうすればいいのか、気づくヒントが得られます。
第1回目、承認欲求は誰もが持っている原点。
第2回目、心の仕組みは世界共通。誰もが持つ親・成人・子ども。
第8回目、承認欲求を満たし合うコミュニケーション3つの法則ともリンクするお話です。
皆様は沈黙する方ですか。それともされる方ですか。
コミュニケーションといえば、言葉を活用した会話、仕草でのやり取りなどなど、沈黙とは無関係のようにも思えますが、本当にそうでしょうか。
中学生だったか、高校生だったか、それくらいのお年頃だった時、こんなことがありました。
兄弟がいるのですが、どうやらカメラが欲しいらしい。
今ならスマホに高性能なカメラがついていて、気軽にパシャ。
そんな時代ですが、その頃はカメラはカメラ単体だった時代。
それも欲しがっていたのは本格的なもの。
確か写真部などの部活動で欲しがるようなもの。
あまり詳しくないのですが、お高くて気軽に買えないようなものだったかと。
そんなカメラを欲しいとお願いしている場面に遭遇。
うわあ、高そう。無理じゃない。
案の定、却下。
そりゃそうだよね。
とは言え、相当本気で欲しいらしい。
私なら欲しいと騒ぎ立て、ダメと言われてちょっとした喧嘩になったりするところ。
それとは違う。黙って引き下がっている。
どことなく悲しそう。
でも言い返したり騒ぎ立てたりする気配なし。
その後どうしたかといえば、欲しいカメラのカタログをどこからか入手。
見てるんです。
ページを一枚ずつパラパラめくりながら、何も言わずに黙って見つめてるんです。
次の日もそのまた次の日もパラパラ。
見ている。見つめてる。ただ黙ってそうしているだけ。
それを見ながら心の中がざわざわ。
ええ、そんなに欲しいんだ。
無関係のはずの私がそわそわ。
うわぁ、きょうも見てる。
うーん、ついにこんまけ。
ねえ、私がためてるお年玉があるでしょ。
あれで買ってあげて。
珍しくそう申し出てしまいました。
あのお年玉、使っていいの?
うん、いい。だって、もう買ってあげてよ。
そう、確かそんな親との短い会話があったような。
それからしばらくして、無事カメラが我が家に到着。
よかった、ほっと一息。
余談ですが、さらにそれからしばらくしてのこと。
あなたのおかげでカメラを買えたね。
いやあ、私のおかげっていうか、
あれ、ほんとに私のお年玉使っちゃった?
いいって言ったでしょ。
言ったけど、ほんとに?
全部使っちゃった?
一部とかじゃなくて?
そんな親とのやりとり、
あとになってそれとなく惜しい気が。
実際のところ、どこまで使われたのか、使われていないのか、
今となっては忘れてしまいました。
どうだったんでしょうか。
さて、今回のお話、コミュニケーションの法則から考えてみます。
法則は3つ。
第一法則は、誰もが心の中に持つ、親・成人・子どものうち、狙い、狙われたところから反応、やりとりが続くもの、相互に補うと書いて相補交流。
第二法則は、違うところから反応、やりとりが一時停止するもの、交差点の交差と書いて交差交流。
第三法則は、表面上の社交的なやりとりと心理的なやりとりが別に繰り広げられるもの、表裏の裏の面と書いて裏面交流です。
今回のお話は、第一法則の相補交流か、あるいは第三法則の裏面交流かあたりでしょうか。
まず最初に、カメラが欲しいと実際の子どもが実際の親に向かってお願い。
この時、心の中の子どもから相手の心の中の親に向かってのお願いで、断られはしたものの穏やかにスムーズに続くやりとりをしていました。
その会話の後も、日常の親子の会話が平和に続く日々。
コミュニケーションの第一法則、相補交流。
ただその後、それで終わりはせず、表面上はただ黙って欲しいカメラのカタログを見ている子とそれを見ている親、そしてなぜか同じくそれを見ている私。
表面的なやりとりとしては何事もない、ある意味それぞれフラット平らな状態。
親子でも<今、ここ>にふさわしい心の中の成人同士、何気ない日常が続いている。
けれど心理的なやりとりとしてはざわざわ。
カタログを見つつ、欲しいな心の中の子どもとそれを見て、うーんそんなに欲しいのか。
心の中の親とのやりとりが裏面で展開されていたのでは。
コミュニケーションの第三法則、裏面交流。