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こんにちは。明治大学で生涯学習講座の講師をしています、遠藤美保です。
この番組では、社会人や学生向けの生涯学習講座を10年以上行ってきた私が、日常生活でも活かせる心理学を、ポッドキャストでお伝えしていきます。
心の中の「親・成人・子ども」
今回のテーマは、こちら。「プレゼント、心の中の「親・成人・子ども」 」。
今回は、「プレゼント、心の中の「親・成人・子ども」 」のお話です。
お伝えしている心理学ですが、皆様にとっての、日常的で身近な話題とも、自然とつながっています。
その見方・活かし方を、ご紹介します。
今回は、「プレゼント、心の中の「親・成人・子ども」 」について。
前回に引き続き、プレゼントがテーマ。
心の中の「親・成人・子ども」を軸に考えてみることで、違う角度から、何が起きているのか、どうしたら良いのか、気づくヒントが得られます。
第1回目「承認欲求は誰もが持っている原点」。
第2回目「心の仕組みは、世界共通。誰もが持つ「親・成人・子ども」 」。
第18回目「心の中の、メンバー5人。その付き合い方。」とも、リンクするお話です。
プレゼント。前回は、承認欲求を軸にしたお話でしたが、今回は、心の中の「親・成人・子ども」を軸に、お話を進めてみます。
お世話になっていた先輩が、出産された時のこと。
ご恩があり、大好きでもある先輩。そんな先輩が無事に出産され、病院にお見舞いと言いますか、お祝いに行くことになった、ある日のお話です。
細かいことは忘れてしまいましたけれども、まとめてのお祝いではなく、個人的に選んだ品を持参した記憶があります。
「何がいいかな。赤ちゃんのものってよくわからないけど、かわいい。きゃあっ。」と、少し浮かれつつ、あれこれ考えに考え、これぞというひと品を購入。
気が早かったかもしれませんが、赤ちゃんは成長も早いし、すぐ使えるようになるはず。
そう思って、確か靴下セットだったような、いずれにしろ、赤ちゃん関連のものを購入しました。
「喜んでくれるかな。結構かわいいし、質もいいし、使えるし。大丈夫だよね。」
そんな風に思いをめぐらせつつ、「おめでとうございます。」と手渡し、「ありがとう。」そう言って受け取り、「開けてもいいかな。」、開封する先輩
喜んでくださっているはずなのですが、心なしか満面の喜びには見えない。
今となっては、はっきりしませんが、「どうしたんですか?」とか何とか、こちらから聞いたのかもしれません。
先輩からは、「皆、いろいろくれるんだけど、全部赤ちゃんのものばっかりなんだよね。
出産を頑張ったのは、私なのに。ちょっとぐらい、私に何かあってもいいのに。」と言った趣旨の、率直な本音。
想定外のことで驚いたものの、「そう言われてみれば、確かにそうだな。」と、妙に納得し、「すみません。気が利かず。
あぁっ、気がつきたかったです。」。そんな反応を返したように思います。
さて、皆様はどう思われますか?
「わかる。同じことを思ったことがある。」とか、
「出産祝いは、赤ちゃんのものになって当たり前。」とか、
「親になったんだから、喜ばなきゃ。」とか、いろいろなお考えがあるかと思います。
承認欲求を軸にしても考えられますが、今回は、心の中の「親・成人・子ども」を軸に、考えてみます。
基本は、世界共通。誰でも、まずは生まれて育てられ、成長して、大人になります。
その過程で、心の中に出来上がるのが、「親・成人・子ども」。
私たちの心の中には、誰でも、「親・成人・子ども」の部分があります。
「親」は、親や親的な役割の人から取り入れた、「行動・思考・感情」が入っている部分。
成人は、<今、ここ>にふさわしい、「行動・思考・感情」が入っている部分。
「子ども」は、子どもの時の経験や決断が入っている、「行動・思考・感情」部分。
通常、上から円を3つ描き、縦に並べます。
円が3つ、縦に並んだ状態。上から、「親・成人・子ども」です。
その際、円はぴったりとくっつけて描きます。
この3つの状態は、一人の心の中にあり、私たちは自由にそれらの状態の中を移動し、状況や場面、相手に応じて、臨機応変に使い分けています。
さらに詳しく言えば、「親」と「子ども」の中身は、過去のデータ。その部分が、記録された動画のように自動再生される部分、と言われています。
そこに「成人」の現在のデータも加わって、通常は特に意識することもなく、瞬間的な出来事の中で、自然とやりとりがつながっていくわけです。
それがうまくいっていれば、特に何も意識しなくていい。
ただ、なんだか違和感があったり、どうもうまくいかなかったり。気になることがあれば、そんな時は少し、つながるやりとりについて、立ち止まって解きほぐしてみることをお勧めします。
「ありがとう。」そう言って受け取り、「開けてもいいかな?」と確認して開封したのは、先輩として、出産したばかりの親として、心の中の「親」か「成人」あたりの可能性が高い。
喜びつつも、心なしか満面の喜びには見えない。
「全部、赤ちゃんのものばっかり。出産を頑張ったのは、私なのに。ちょっとぐらい、私に何かあってもいいのに。」これは、心の中の「子ども」の本音のように思えます。
年齢も性別も、立場も何も関係ない。
誰の心の中にも、「親・成人・子ども」の部分がある。
時として、大人が子どもっぽく見えたり、子どもが大人びて見えたり。
それは、その人の中のどの部分が現れるかによる。違って見えても、どれもその人自身。
ちなみに、心の中の「子ども」の部分には、2種類の機能、表れ方があります。
1つはFree Child=「自由な子ども」、英語の頭文字を取って、FC。
もう1つは、Adapted Child=「順応する子ども」、あるいは「順応した子ども」、英語の頭文字を取って、AC。
「FC」=「自由な子ども」は、自分本来の自由で自然、例えば、楽しみややりたいこと、モチベーションに関わっている部分。
「AC」=「順応する子ども」は、周囲に合わせて順応している、そんな反応。
例えば、周りを見て、合わせることや合わせないこと、反抗なども関わっている部分です。
「頑張った自分へのプレゼントも欲しい。」そんな本音は、この「FC」=「自由な子ども」からの言葉だったのではないでしょうか。
ストロークの重要性
「FC」は、私たち本来の活力の基になる部分。そんな「FC」が喜ぶようなプレゼント。承認欲求を満たす刺激=ストロークは、活き活きと進む力になる。大切なエネルギー源となります。
相手の、そして、もちろん自分自身も、「FC」がたっぷりとポジティブなストロークで満たされるよう、しっかりとストローク交換ができたら、何より。
そこには、年齢も性別も、立場も何も関係ない。
大人になるに従って、色々なフィルターから、選別してしまいがちなストローク。
空気や食べ物と同じくらい必須のものなのに、フィルターでふるいにかけられ、目減りされてしまっては、飢餓状態となってしまう。
そうなると、何もないよりはマシ。ネガティブでも何でも、取りに行くようになってしまいます。
例えば、親の立場だったとしても、子どもに嫉妬。もしかしたら、ちょっぴり意地悪をしたい気持ちにもなりかねません。
ポジティブなストローク、中でも特に、「FC」が喜ぶストロークは、極上のプレゼント。大きな意味があるもの。
意識して、ポジティブなストロークを獲得したり与えたり、積極的に交換したい。
それは、目に見えるものとも限りません。
言葉や態度、思いやり、言語や非言語の刺激もストローク。
好きなことを思い切りできたり、好きな時間を過ごせたり。これらも、プレゼントになる。
心の中が、ポジティブなストロークで満たされるよう、交換し合いたいものです。
では、今回覚えていただきたいポイントは、「プレゼント、心の中の「親・成人・子ども」 」。
まずは、気づくこと。そして、いつもと違う変化を味わってみませんか?
ここまで聞いていただき、ありがとうございます。
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お相手は、遠藤美保でした。ありがとうございました。