こんにちは。明治大学で生涯学習講座の講師をしています、遠藤美保です。この番組では、社会人や学生向けの生涯学習講座を10年以上行ってきた私が、日常生活でも活かせる心理学を、ポッドキャストでお伝えしていきます。
今回のテーマはこちら。『生み出すチカラと、心の仕組み。』今回は、「生み出すチカラと、心の仕組み。」のお話です。
お伝えしている心理学ですが、皆様にとっての日常的で身近な話題とも、自然とつながっています。その見方、活かし方をご紹介します。
今回は、「生み出すチカラと、心の仕組み。」について。
何もないところから何かを生み出す、生み出したい。そんな時、どんなコツがあるのか、何が起きるのか、気づくヒントが得られます。
第1回目「承認欲求は誰もが持っている原点」、第2回目「心の仕組みは、世界共通。誰もが持つ、親・成人・子ども。」、第18回目「心の中の、メンバー5人。その付き合い方。」、第51回目「人生のプログラム=脚本と、パン食い競争」ともリンクするお話です。
何かいいアイディア、企画はないかなぁ。いや、なくても出さなきゃ。そんな状況、誰でも一度は経験したことがあるのでは?とは言え、何もないところから生み出すのは、なかなか大変。
実は私も、そんな場面を何度も体験してきました。と言いますか、過去形ではなく現在進行形。短いポッドキャスト番組をささやかに配信中ですが、毎週となると、やはりそれなりに、生み出すチカラが必要で。
と、そんな話はさておき、そういった場面で役立つ方法はないか?ということで、以前、アイディア発想法というものについて、勉強したことがあります。アイディアは、量を出せば出すほど、その後の質が上がるとか。たっぷりな量を出した後に、現実的な検討、取捨選択をする。その流れが、大切。
そして、たっぷりな量を出す手法として、有名なのは「ブレインストーミング」ではないでしょうか。
批判しない。自由に発言。質を気にするよりも、量を出す。そして、他の人のアイディアにどんどん乗っかる。というもの。このルールを守って、アイディアを出す。
ブレインストーミング、体験したことのある方も多いかと思います。実際に体験してみて、うまくいった方、いかなかった方、どちらもいらっしゃるのでは?
うまくいかなかった方は、批判しないで自由にって言われても、そうそうアイディアなんか出なかった、とか。なんだか数は出たけれど、そんなにいいものでもなかったし、わいわいしただけで終わった。とか。あたりでしょうか。
うまくいった方も、実際のところ、いつもうまくいくとは限らなかったり、そもそもどうしてうまくいったのか、よくわかっていなかったり。そうなると、安定的に品質を確保はしにくい。そんなこともあるのでは?
さて、今回、このブレインストーミングのコツを、心の仕組み、心の中の「親・成人・子ども」から考えてみます。私たちの心の中には、誰でも、「親・成人・子ども」の部分があります。
「親」は、親や親的な役割の人から取り入れた「行動・思考・感情」が入っている部分。「成人」は、<今、ここ>にふさわしい「行動・思考・感情」が入っている部分。子どもは、子どもの時の経験や決断といった「行動・思考・感情」が入っている部分。それぞれの部分の「行動・思考・感情」は、つながっています。
外から見て「子ども」の「行動」をしているなら、その時、「思考・感情」も、「子ども」の状態。「成人」の「行動」なら、「思考・感情」も「成人」。「親」の「行動」なら、「思考・感情」も「親」です。見える部分が、見えない部分とつながっている。
ブレインストーミングのルール、批判しない。これは、心の中の「親」が関係している可能性が高い。さらに詳しく言うなら、心の中の「親」のうち、特定の「親」の部分が、関係していそう。
実は、「親』は2種類。一つは、Critical Parent「批判する親』、Controling Parent「支配する親』とも言われる部分。英語の頭文字をとって、CP。もう一つは、Nurturing Parent「養育する親』と言われる部分。英語の頭文字をとって、NP。
CPは、例えば、ルールとかリーダーシップの取り方とか、マネジメント像など、批判したりコントロールしようとする「親』。NPは、例えば、見守り慈しんで育てようとする「親』です。
ブレインストーミング中、CPにはぜひ前面には出てこないで、大人しくしておいていただきたい。同じ「親』なら、見守り慈しむ、NPのサポートの方がありがたい。
そして、自由に発言。質を気にするより量を出す。他の人のアイディアに、どんどん乗っかる。これは心の中の「子ども』の出番。さらに詳しく言うなら、心の中の「子ども」のうち、特定の「子ども」の部分に関係していそう。
実は、「子ども」も、2種類。一つはFree Child「自由な子ども」。英語の頭文字をとって、FC。もう一つはAdaptid Child「順応する子ども」。英語の頭文字をとって、AC。
FCは、自分本来の、自由で自然な状態。例えば、楽しみややりたいこと、モチベーションのもとなどにつながっている。生きる活力、エネルギーの源、生み出すチカラの源、とも言える部分。
ACは、周囲に合わせて、順応している状態。例えば、周りを見て合わせることや合わせないこと、反抗なども表れる部分です。
フレインストーミング中、FCに、ぜひ活躍してほしい。自由にのびのび、ふざけあったり、盛り上がったり。わいわい、ガヤガヤ。周りと協力し合うという意味では、ACも大切。相手のアイディアを褒めたり、アイディアに乗っかったり。楽しい相乗効果につなげたいところ。
これらの心の仕組みを押さえることで、どうしたらCPが大人しくしてくれるか、FCが自由にのびのびできるか、具体的な対策につなげられるのでは?