前回の第4回では、東日本大震災をきっかけに被災地へ飛び込み
12年間も地域医療に尽くしてこられた前川優子先生に
震災で芽生えた使命や寄り添う医療への思いを伺いました。
聞きながら私自身も胸が熱くなりました。
さて、第5回も引き続き、徳島県立三好病院循環機内科副部長の前川優子先生をお迎えしています。
前川先生、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。三好病院循環機内科の前川優子です。
今日は職場のチーム力についてお話しできればと思います。
前川先生は東京大学から千葉大学医学部への編入を得て医師となり、
震災を機に岩手県の被災地で12年間地域医療に尽力された後、
2023年からは地元徳島県三好市の三好病院に戻って活躍されています。
詳しいお話、被災地でのご経験については、ぜひ前回の第4回もお聞きください。
こういうラジオでお話しするのが初めてですので、前回はとても緊張して身震いしてしまいましたので、
声が震えてしまっているかもしれませんが、前回のお話もぜひお聞きいただきたいです。
本日もよろしくお願いします。
さて、今回のテーマはズバリ、徳島県立三好病院のチームワークと若手が育つ環境についてです。
三好病院では診療科同士の距離がとても近いみたいです。
また、すぐに相談できてすぐに助け合えるという文化も根付いているそうですね。
さらに柔軟な勤務体制や外部研修のサポートなど、若手の先生がどんどん力を伸ばせる仕掛けも充実しているそうです。
今回、前川先生には、内会全員で総合診療を支える現場の空気感ですとか、
当直分けのフォロー体制、働き方改革のリアルなところ、
それから若手医師がぐんぐん成長していくサイクルなどなど、詳しくお伺いしたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
私自身、いろんな病院を、都会の病院、田舎の病院、いろんな病院を経験してきたからこそ、
三好病院のチームで見る文化の良さも実感しています。
その辺りも交えて、実際の現場のお話をしていけたらと思います。
お願いします。
まずは三好病院の一番の特徴、診療科同士の距離が近いという点についてお伺いいたします。
実際の現場はどんな雰囲気なんでしょうか。
例えば前川先生が他の先生に何か相談したいなって思うときには、
どんな感じで声をかけているんでしょうかね。
医師のいる医局が、課ごとに細分化されているわけではなく、
一つのフロアに医師が集まっていますので、
その医局で相談したい先生がおられたら、
先生、今ちょっと忙しいですかっていうふうにちょくちょく声をかけたり、
緊急でなければきちんと手順を踏んで紹介しますけれども、
早めに相談したいなとか緊急の場合にはすぐに声をかけられます。
医局で相談できるっていうふうにおっしゃったんですけれども、
医局って何人くらい先生いらっしゃるんでしょうかね。
もちろん皆さん忙しいので、そんなに医局でのんびりしているわけではないんですけれども、
病棟の仕事が終わって、ご自身の書類仕事であるとか、
そういったことをしている先生方は、数人はおられると思います。
常勤の先生は30名ちょっといるんですけれども、
その中で研修が1人いるんですけれども、
だいたい皆さん忙しくバタバタバタバタされていく中で、
何か用事が終わったりとか、お昼ご飯食べる時とか、
皆さん医局には戻ってきますので、
その時に必ず顔を合わせる機会はあります。
そこで診療科関係なく先生同士で雑談をしたり、
セキュリティ話したりという中で先生すいませんみたいな感じで
相談し合えるっていうことですか。いいですね。
電子カルテもあるので、そこで隣で座った先生に
先生すいませんとかって声をかけて、
そしたらその声をかけられた先生方も全く嫌な顔もせずに、
ご自身の仕事をしながらとか、あるいは仕事の手を一瞬止めてとか、
ご自身と話をしてくれる先生方ばかりなので、
相談もしやすいですね。
ごめんなさい。これは僕が単純に微妙に思っちゃったんですけど、
逆に都市部の病院とかってどんな感じの雰囲気なんですか。
大きな病院だと、特に大学病院は、
医局自体がカーごとに仕切られていたりとかして、
他の科の先生が隣のデスクで仕事をするっていうことが
ほとんどないと思うんですよ。
大きいので、患者さんの紹介もちょっとちょっとっていう、
そういう相談の仕方はなかなかできなくて、
陰内紹介状を書いて、それを担当の先生が見て、
それで診察に来てっていうような、
手順がかっちりと。
もちろんどこの病院でもその手順自体はあるんですけれども、
そうしないと混乱してしまうんですね。
もちろん陰内紹介っていうんですが、
患者さんの紹介の手順は踏みつつも、
急ぎのような患者さんの診察とかには、
柔軟に対応できるっていうのがあると思いますね。
大きい病院だと、なかなかその科の先生を捕まえることが
まず難しかったりしますよね。
書面だけだと伝わりづらいことってありますもんね。
言葉で表情見ながらだったらどういった症状なのかとか、
わかりやすいかなと思いますね。
それこそ患者さんの心の状態だったりとかも、
直接先生同士で話をすることで伝わりやすいとかあると思いますね。
具体的にこういう患者さんですっていうことも伝えやすいですし、
その患者さんのキャラクターとかも大事なんですよね。
すごく大事なんですよ。
ニュアンスもなかなか書面だと伝わりにくかったりしますし。
そうですね。
わかりました。ありがとうございます。
よく私も患者さんにはお盆も正月もないけどな、みたいなことはよく言って、
大晦日とかお正月早々呼ばれて大変ですねっていうふうに言いますし、
患者さん側からもお正月早々すみませんとかって言われるんですが、
でも患者さんにはお盆も正月もないですからねって言っていて仕方がないところはあるんですけれども、
でも時間内で納められることはきちんと時間内で納めるという意識が以前よりは高まってしている、そういう雰囲気だと思います。
やっぱり制度がちゃんと働き方改革っていうのでちゃんとしてくるのに伴ってドクターの皆さんも声かけしていこうとか、
ちょっとやっぱりね、声かけとか帰りやすい雰囲気づくりみたいなのがないと、やっぱ制度があったとしても若手職員とか特に、
あるんあるんやけど休暇も使いにくいとか帰りづらいなどうしようかなみたいな、
私たちでも仲もなんとなくありますよね。
上の人が帰りなよとか言って声かけてくれたら、じゃあすいません帰ります。
帰りやすいんですけどね。
私たちがもっと年取っていけたらちゃんと。
そうですね。
実践していきたいですね。
そうですね。それはもう。
規模が入るね。
大事だと。
言っていくことは大事ですよね。
雰囲気づくりっていうのは。
雰囲気づくりもね、とっても大事ですよね。
昔の時代はやっぱり全然長勤という概念がないぐらい、
どの職種でもどの業種でも長かったと思うんですが、
そういう世代で育ってきたからこそ、若い人たちにはちゃんと休んでもらうようにちゃんと声かけをしてあげないと、
長く働くことが当たり前の時代ではないと思います。
変わってますもんね。
自分自身が時間が決まってなければいつまででも仕事をしてしまう人間なので、
ですから自分自身がまず意識を変容させていかないといけないなっていう。
そうしたら休養が確保できる分、勤務時間中は集中して診療ができるということですね。
分かりました。ありがとうございます。
三好病院では聞いたところによると、内科医全員で総合診療になると伺ったんですけども、
若手の先生が多彩な症例を経験できるのは大きな魅力なのかなと思うんですが、
専門の枠を超えて患者さんを見ることでどんな経験が詰めるんでしょうか。
三好病院はそれぞれの専門科に常勤医がいるとは限りませんので、
常勤医のいない科であったりとか、後は高齢の方で悪いところが一つではない、
どの専門科で見てもその科には収まらないっていうような、
なかなか振り分けが難しいような患者さんも多くおられまして、
そういう患者さんたちは内科全員で手分けしてみて、
総合診療科として内科全員で、あと救急科の先生も一緒になってみています。
ですので、その総合診療科として見る患者さんは、
主治医としては我々は専門外の疾患であったりとか病状である方が多くて、
自分たちも学びながらですし、
あとはいろんな複合疾患を持っている方なので、
たくさんのいろんな複合的な疾患への対応を学べるというか、
それに対応できるという難しさもありますが、
それを若い先生たちは、もちろんその科の専門を学ぶことも大事なんですけれども、
特にこういう地域の病院だと、やはりその科で収まる病気ではない方が多いので、
この症状は自分の科で見る症状ではないので、
見れませんというふうにして許されるものではありませんから、
そこの部分を若い先生にも一緒に学んでもらえるというのがあると思います。
いきなり専門外の症例を一人で見るというわけではなくて、
もちろん上級医と一緒に。
心強いですよね。一緒に教えてもらいながら学んでいけるというか、
いろんな症例を見れるというのが、やはりすごい大きな魅力かなと思いますね。
もちろん研修院の先生方には、一つの専門科、
循環器内科だったり呼吸器内科だったり外科だったり、
そういうところに所属をしてもらいながら、
その専門分野をまずはしっかりと研修してもらいながら、
その中で総合診療的なところ、
あるいは総合診療科という研修機関も設けていますので、
その総合研修科としての機関と、
あとはその年間を通して学び続けることができると思います。
本当に幅広いということですよね、内科の皆さんって。
もちろん専門外のことを自分たちだけで解決できないこともあるので、
我々のような年数を経た医者でもわからないことは、
非常勤で外来に来ている専門科の先生に相談したりとか、
場合によっては県立中央病院や中央大学病院の先生に相談したりとか、
そういうふうに相談できる窓口もきちんとありますので、
すごく困ってしまって、悩んでしまうということもあまりないようにしています。
さっきお話を最初にしたときに、
やっぱり診療科ごとに書き目が低くて、
すぐ相談できるというのをお話ししたと思うんですけど、
こういう総合診療科とかも、今あった問題のように、
たくさん取りこぼしがないように、
自分の班以外のところで相談できるというのは、
やりやすい環境が見失うように整っているんだろうなと思います。
若手育成の仕掛けが豊富というか充実しているんだろうなと思いますね。
内科全員で総合診療科カンファレンスというのを週1回やっているので、
そこでいろんな先生の意見を聞いたりとか、
毎朝ミニカンファレンスみたいなのもやっていますので、
チーム体制というほど確立はしていないかもしれませんけれども、
内科全員のみを通してその患者さんを見ていくというスタンスで出ることも志です。
私たち医療にあまり携わったことのない視点で見るイメージですけど、
主治医みたいな先生が一人ついてくれているというイメージが、
普通の世間ではないんじゃないかなと思うんですけど、
実はそうではなくて、主治医という形はあるんでしょうけど、
そこの中でいろんな先生が意見交換というか、
診断に関わってくれているというところ、治療に関わってくれているというところで、
それを聞いて、やっぱりこういう病院ってすごい信頼できるなというか、