日本版ソブリン・ウェルス・ファンドの設立
インベストメントブリッジがお届けする、いろはにマネーのながら学習。
この番組では、インターン生2人が、株、投資、経済関連の気になる情報を分かりやすくお伝えしていきます。
インターン生の会話をながら聞きする感覚で、一緒に勉強していきましょう。
おはようございます。インターン生の竹井です。
おはようございます。インターン生の斉藤です。
斉藤さん、最近気になるニュースがあって、超党派の議員連盟が立ち上がったと聞いたんですけど、
何について議論するんですか?
いいところに気づきましたね。
実はこれ、日本版ソブリン・ウェルス・ファンドの創設に向けた議員連盟なんです。
自民党、公明党、立憲民主党などが参加しているんですよ。
ソブリン・ウェルス・ファンド、難しそうな名前ですね。
そうですよね。でも、実は私たちの将来にも関わってくる重要な話なんです。
簡単に言えば、政府が運営する投資ファンドのことなんです。
政府が投資、税金を使うという感じなんですかね?
いえ、今回は新たに税金を使うのではなくて、
政府が既に持っている資産を法律的に運用して、新しい財源を生み出そうという構想なんです。
なるほど、それは気になりますね。
今日は日本版ソブリン・ウェルス・ファンドについて詳しく教えてください。
その前に恒例のちょこっと株辞典のコーナーです。
今日の用語は何ですか?
今日の用語はGPIFです。
正式名称は年金積立金管理運用独立行政法人といいます。
年金ということは、私たちの年金を運用している機関ということですか?
はい、その通りなんです。
GPIFは私たちが将来受け取る公的年金の積立金を運用している組織なんです。
2001年度から本格的に自主運用を開始していて、
2024年度までの累積収益額はなんと、155兆円にも上るんですよ。
155兆円ですか?
すごい金額ですね。
そうなんです。
そして特に直近の5年間では約100兆円も資産を増やしていて、
これは日本の国家予算1年分に匹敵する規模なんです。
日本にもそんなすごい運用機関があったんですね。
そうなんですよ。
そして今日のテーマである日本版ソブリンウェルス・ファンドでも、
このGPIFの経験やノウハウが重要な役割を果たすと言われているんです。
ただしここで大事なのは、あくまでGPIFがこれまで培ってきた運用のノウハウや
年金資産そのものを新しいファンドに回すかどうかは全く別な議論だという点です。
なるほど。それでは本編に入っていきましょう。
運用資産の候補とその規模
はい。ソブリンウェルス・ファンドについて基本から説明していきたいと思います。
ソブリンウェルス・ファンドとは、政府が所有・運用する投資ファンドのことで、
政府系ファンドとも呼ばれています。
政府が運用する投資ファンド。具体的にはどういうことをするんですか?
資金源は国によって違うんですが、
例えば、原油収入、貿易黒字、外貨準備などをもとでに、
株式、債券、不動産、インフラなど、多様な資産に投資を行うんです。
目的は将来世代のための貯蓄や国内経済の安定化、特定産業の育成などです。
日本以外の国ではもう実施されているんですか?
はい。世界のソブリンウェルス・ファンドの運用資産は、
2025年に15兆ドル、日本円で約2,350兆円を突破しました。
前年から1割も増加しているんですよ。
2,350兆円、想像もつかない規模ですね。
そうですよね。
どの国が有名なんですか?
代表的なのは、ノルウェーの政府年金基金、
サウジアラビアのパブリックインベストメントファンド、
アラブ市町国連邦のアブダビ投資庁などですね。
最近では中東諸国の投資が特に活発で、
2025年は過去最高の1,206兆ドルの投資を行っております。
中東の産業国が資源で得たお金を投資に回しているイメージですね。
はい、まさにその通りです。
ただ、資源がない国でも貿易工事や外貨準備を活用して
ソブリンウェルス・ファンドを運営しているという例もあります。
シンガポールなどがその代表例ですね。
なるほど。それで日本でもそういうファンドを作ろうという動きなんですね。
でも日本は資源国ではないんですよね。
はい、すごくいいところに気づきましたね。
日本の場合、資源収入ではなく、
すでに政府が保有している資産を活用する構想なんです。
政府が保有している資産、具体的には何があるんですか?
主に3つが候補として挙げられています。
まず、先ほど説明したGPIFの年金積立金が約250兆円、
次に外国為替資金特別会計、
レクステ外貨特価が約200兆円、
そして日本銀行が保有している上場投資新宅、ETFが約80兆円です。
全部合わせると500兆円以上になるんですね。
はい、そうなんですよ。
あくまで資産上の話ですが、公明党の資産によると、
仮に平均的な運用効率が1%改善した場合には、
現在よりも1%高い運用益を出すだけで、
なんと年間約5兆円の新たな財源が生まれる可能性があるとされているんです。
リスクと懸念事項
5兆円ですか?それってどれくらいの規模なんでしょう?
例えば、公明党が導入した軽減税率による減収分を、
年間約1兆円と言われていますから、その5倍の規模ですよね。
つまり食料品などの消費税8%をゼロにしても、
まだお釣りが来る計算です。
すごいですね。でもそんなにうまくいくんですかね?
リスクとかないんでしょうか?
いい質問ですね。本当に竹井さんの質問はごもっともです。
メリットから整理していきたいと思います。
お願いします。
一番の大きなメリットは、税金や国債に頼らない新たな財源を確保できる可能性があることです。
高齢化で社会保障費が増える中、新しい財源の選択肢が増えるのは重要ですよね。
確かに、増税や国債発行以外の選択肢があるのは魅力的ですよね。
はい。そして2つ目は、巨額の資金を長期的かつ安定的に運用することで、
資本市場の安定に寄与する可能性があることです。
そして3つ目は、戦略的な産業政策の手段として活用できる可能性もあることです。
なるほど。でもやっぱりリスクや懸念もありますよね。
はい。もちろんあります。
まずは運用のリスクですね。
専門家がどんなに優秀だとしても、市場環境によっては損失が出る可能性があります。
一時的な成功があっても、長期的に安定した成果を上げ続けるのは簡単ではありません。
投資である以上、必ず儲かるわけじゃないですもんね。
はい。その通りです。
それから公的資金が投資に回ることで、民間資金の投資余地が狭まって、
資源配分を歪めてしまう懸念も指摘されています。
あと、素朴な疑問なんですけど、日本って借金が多いじゃないですか。
だったら、投資するより借金返済に回したほうがいいんじゃないですか。
本当に素晴らしい指摘です。
そういう意見もあるんですよね。
日本は巨額の政府債務を抱えていますから、
資産があるなら、運用するより債務返済や減税を優先すべきという考え方も十分ありえます。
なるほど。他にも懸念はありますか。
はい。政治的な影響の問題もありますね。
公的資金の運用は、完全に政治から独立するというのが難しいんです。
特定の産業や地域への救済的な投資を求める政治的働きかけが生じる恐れがあります。
確かに、政府が株主になるってちょっと複雑ですよね。
政府系ファンドの設立への議論
そうなんですよ。株主権の行使が政府による経営関与になって、
他の株主の利益を損なうという懸念もあります。
だからこそ、しっかりとしたガバナンス、つまり運営の仕組み作りが重要になるんです。
なるほど。メリットもデミリットもよくわかりました。
実際のところ、実現する可能性はどうなんでしょう。
そうですね。正直に言うと、現時点では予断を許さない状況です。
2025年に、超党派の議員連盟が立ち上がったばかりで、
ファンド運営の詳細はまだ決まっていません。
まだ始まったばかりなんですね。
ただ、順調に進めば、2026年に議論が活性化する可能性があると言われています。
公明党が2025年7月の参院選挙で、この政策をマニフェストに掲げ、
両野党を超えて賛同の声を上がっているというのは事実です。
超党派ということは、政権が変わっても議論は続く可能性があるということですか。
はい、そういうことですね。
ただし、慎重な検討が必要です。
日本の財政状況や様々な懸念を十分に踏まえた上で、
国民的な合意形成に向けた議論が求められます。
海外の成功例と日本の課題
もし実現したら、株式市場にも影響がありそうですね。
はい。日本株への追加的な資金流入がどの程度生じるのか、
運用ガバナンスやリスク管理の枠組みも含めて、市場関係者が注目しています。
斎藤さん、海外の成功例から学べることってありますか。
いい質問ですね。
例えば、ノルウェーの政府年金基金は、透明性の高い運用で知られています。
運用方針や資産内容を開示して、倫理的な投資基準を設けているんです。
なるほど、透明性が大事なんですね。
はい、そうなんです。
シンガポールの政府投資公社も参考になります。
運用収益の最大半分を国の予算に充てることができ、その額は国家予算の2割に上るとされています。
2割、それは大きいですね。
はい。ただ、その一方で政治的に利用されたり、運用が不透明だったりする例もあります。
だからこそ、日本版を作るなら、独立性の高いガバナンス体制と透明性の確保が不可欠なんです。
いろいろ教えていただきましたが、斎藤さん個人としてはどう考えていますか。
はい、私は基本的には前向きに検討する価値があるのかなというふうに考えています。
ただし、リスクや課題もしっかりと認識しています。
特に重要なのは、政治的独立性の確保と透明性の高い運用体制の構築かなと思っています。
バランスが大事ということですよね。
はい、そうです。
それから、GPIFが蓄積してきた運用のノウハウや人材を活用できるのは日本の強みだと思います。
ただ、年金資産の運用目的と新しいファンドの目的は異なるので、そこはきちんと分けて考える必要があります。
そうですよね。年金は私たちの将来に直結しますもんね。
はい、そうですね。だからこそ、すぐに決めるのではなく、国民的な議論を重ねながら慎重に検討していくことが大切だと思います。
今日の話を聞いて、単純に良いとか悪いとかじゃなくて、メリットとデメリットを両方理解することの大切さが分かりました。
はい、その通りです。
リスナーの皆さんも今後の議論の意見をぜひ注目してみてください。
新たな財源確保の可能性とそのリスクのバランスをどう取るか、日本の将来を左右する重要な議論になりそうです。
本日も最後までお聞きいただきありがとうございました。
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