生成AIの電力消費の実態
インデストメントブリッジがお届けする、いろはにマネーのながら学習。
この番組では、インターン生2人が、株、投資、経済関連の気になる情報を分かりやすくお伝えしていきます。
インターン生の会話をながら聞きする感覚で、一緒に勉強していきましょう。
おはようございます。インターン生の古田です。
おはようございます。インターン生の渡辺です。
渡辺さん、最近チャットGPTとかの生成AI、めっちゃくちゃ使ってますよね。
そうですね。いろんなところで助けてもらってますし、このインターンの業務の中でも結構使ったりしてますね。古田さんはどうですか?
私もほぼ毎日使ってます。相談したりとか、すごい褒めの言葉しかくれないので。
会話してるってことですか?
すごいですね。そんな使い方があるんですね。
でも最近気になることがあって。
どんなことでしょう?
AIって電気めちゃくちゃ使うらしいよっていうのを耳にしたんですけど、私たちがこんなに便利に使ってるけど、実は地球に負担かけてるのかなってちょっと不安で。
それ結構実は重要な話になっていまして、今日のテーマにも関係していることになりますね。
結構、生成AIの電力消費って投資の観点からも注目されてるんです。
投資の観点から何か関係があるんですか?
はい。実は今、AI関連の電力需要で恩恵を受ける企業の株価が注目されているんです。
今日はその辺りを詳しく解説していきますね。
それでは恒例のちょこっと株次典のコーナーです。今回はデータセンターについてです。
データセンターとは、企業や組織が持つデータを大量に保存、管理、処理するための専用施設の総称になります。
チャットGPTなどをはじめとする生成AIの需要が高まっている中で、その運用のためには大量のデータが必要となっていきます。
このデータの保存から処理に至るまでを一括してになっているのがデータセンターになっています。
大量のサーバーストレージ、ネットワーク機器などのIT機器と、それに伴う安定的で大量の電力供給を可能にする必要があるということになっています。
データセンターはもう今や欠かせない存在になっているっていうことですね。
電力需要の急増と投資機会
本当にそうですね。やっぱりAI時代においては本当に欠かせないですし、今後も需要が見込まれるということですね。
それでは本編に入っていきましょう。
まず古田さん、チャットGPTで何か検索するのと、Googleでウェブ検索するのってどっちが電気使うと思いますか?
うーん、でもどっちも画面をタップするだけですから同じぐらいじゃないですか。
これがですね、実は全然違うんですよ。
チャットGPTの回答に必要な電力量というのは従来のGoogle検索のおよそ10倍とも言われています。
10倍も?なんでそんな違うんですか?
データセンターでの処理方法が全く違うということですね。
これAIの場合、大量のデータを高速で処理する計算が必要で、そのために高性能な専用チップ、GPUやTPUといったものを搭載したサーバーが必要になっていきます。
これらが通常のデータ処理に比べて数倍から10倍以上の電力を消費するということですね。
なるほど、処理が重いってことですね。
はい。加えて、生成AIの関連設備でも大量の電力を消費します。
どこで消費するんですか?
まず最初に冷却システムです。
サーバーはパソコンと同じで、稼働すると熱を発するので冷まさなければいけないんですけれども、
AIに対応したサーバーは従来のサーバーよりも発熱しやすいというのがあるため、冷却に費やす電力量もより多く必要になります。
確かに高性能なゲーミングPCとか友達使ってますけど、
すごい隣にいると熱いみたいなファンがめっちゃ回ってるなっていう印象で、そういうことですよね。
そういうことなんです。
そして2つ目にAIに使用される半導体を製造する工場での電力消費となっています。
半導体の工場を稼働することによって電力を大量に消費するっていうのは想像しやすいかもしれないです。
なるほど。つまりAI使用時だけでなく、AIを支える設備自体も電力を消費しているっていうことですね。
これ世界的にはどれくらいの規模になるんですか?
これは国際エネルギー機関が2024年に衝撃的な試算を発表したことがありまして、
生成AIの利用拡大を背景として、2026年の電力消費量っていうのが2020年比で最大2.3倍程度に膨れ上がるというふうになっています。
2.3倍、それはすごい数字ですね。日本はどうですか?
日本も同様の状況になっていて、需要想定でいくと、これまで節電とか省エネとか話題になっていて、
これまで減少傾向にあった電力需要というのが、データセンターや半導体工場の新増設によって2024年度から増加に転じるとしています。
つまりAIのせいで日本の電力需要も増加しているっていうことですよね。
これって投資的にはどう捉えればいいんでしょうか?
実はこれ大きな投資チャンスなんですよ。電力需要の構造的な増加で複数の業界に投資機会が生まれています。
まず一番分かりやすいのは電力会社ですよね。
電力会社の株が人気になっているっていうのは聞いたことあります。
そうなんですよ。これもやっぱり構造的な電力需要の増加で電力株は注目されています。
それから送電メーカーも大きなチャンスです。
データセンターまでに効率的に電力を送るための送電設備や変電設備の需要は急拡大しています。
なるほど。道路が混雑したら道路を拡張するっていうのと一緒で、電力需要が増えたら送電網も強化しないといけないっていうことですもんね。
例えばお上手ですね。
ありがとうございます。
日本国内ではデータセンターと半導体工場の新増設による最大需要電力が2034年度には2025年度比で約13倍になるという試算もあったりします。
13倍ってもはや別次元じゃないですか。
他にも恩恵を受ける業界はありますか?
はい。電気設備工事会社も特殊状態です。
データセンター建設ラッシュで電気設備工事の需要も急拡大しています。
実際に2020年から2023年までの3年間で約55%も上昇しているというデータもあります。
55%めっちゃ上がってますね。
そうなんですよ。ですからAIの発展とそれに伴うデータセンターの増加で、こういった電力関係の企業は今後長期的に見て勝っていくのではないかと個人的には思います。
注目企業の紹介
そんな中で渡辺さんが注目している企業などありますか?
では今回は注目企業を3社紹介しますね。
まずフジクラ。これが証券コード5803になります。
データセンター向けの光ファイバや電力ケーブル、送電線などの需要拡大で大きな注目を集めています。
フジクラって結構老舗の会社ですよね。
そうですね。最近データセンター間の接続用途を想定した光ファイバケーブルの新製品を市場投入したと発表しました。
業績への影響も劇的で、2024年度の最終利益は4年連続で過去最高を更新したんですよ。
4年連続過去最高ってまさにAI特需ですね。
そして海外展開も積極的でして、これが1億5500万ドルを投入して、今後2から5年の間にアメリカで150人以上の新規雇用創出を見込む光ファイバケーブル事業拡大というのを発表しています。
業界初や業界最高といった製品がいくつもあるイメージなので、技術面での優位性も生かして成長していってほしいですね。
次にヒタチ製作所、これが証券コート6501です。
送配電事業において電力を効率的に制御する技術で注目されています。
2020年にスイスのABBからパワーグリッド事業を買収して、そのエナジー部門が勢いを増しているんです。
ヒタチは総合力がありそうですね。
そうですね。電力系統の送電を最適化する技術を開発して、送電ロスを抑制して送電可能な容量を増やすということを可能にしているらしいです。
そもそもヒタチはデータセンターも提供しているので、効率的なIT機器や電気設備の開発によってデータセンター全体の省電力化も目指しているみたいですね。
なるほど。それでは最後の注目企業はどこですか?
はい。こちらが北海道電力証券行動9509です。
これは少し特殊な事例なんですけれども、ラピダスという会社が千歳市内に次世代半導体工場を建設していて、これが道内最大級の電力需要を創出する見込みなんですよね。
ラピダスって最近よくニュースで聞きますね。
本当ですか?これがAIに使用される次世代半導体の製造を行う会社で、2027年から量産開始を目指しています。
生成AIと電力の関係
ただ、北海道電力にとっては課題もあってですね、止まり原発がまだ再稼働していないので、電力供給が十分とは言い難い状況なんです。
それは確かに課題ですね。でも長期的には大きなチャンスっていうことですか?
そうですね。北海道電力も積極的に対応は進めていまして、2023年頃からこのラピダスの関連の営業体制を整え始めましたので、長期的に見て成果が出る可能性は大いにあると思います。
今日の話を聞いて、普段何気なく使っているAIが実は電力業界全体に大きな影響を与えているということがよく分かりました。
そうですね。生成AIの市場は今後も年率2割のペースで成長していって、2030年には世界で30兆円市場にまで拡大するとされています。
投資面では、あとは電力関連銘柄の割安感も魅力的だと思います。
ただ、電力不足のリスクもあるっていうことですよね?
はい、その通りです。電力需要の急増というのは同時に電力不足リスクも払っているため、各企業の電力調達戦略だったりとか、あとは効率化技術の優劣とかが今後の投資成果を大きく左右する原因になると思います。
個人的にはやっぱり再エネを強化するという流れもあるとは思うんですけれども、再エネだと電力量が限られてきたり不安定なところもあると思うので、電力安定供給みたいなところは今後ちゃんと必要になってくるのかなというふうには思います。
確かに。今日の話はAIを便利に使いながらも、その背景にある電力というインフラの重要性を改めて感じる内容でした。投資を検討される皆さんもぜひ参考にしてみてください。
個人的には、生成AI×電力というテーマは単なる短期的なブームを超えて、デジタル社会の基盤インフラ整備という長期的な成長ストーリーを内包していると自分は考えています。
なので、投資家の皆さんにとっては、AI革命の恩恵を電力インフラ面から取り込む絶好の機会かもしれませんね。
お話しした内容は情報提供を目的としたものであり、過去の実績、予想、見解、将来の成果を示唆あるいは保証するものではございません。
投資のご判断はご自身でしていただくようお願いいたします。
最後までお聞きいただきありがとうございました。
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