ノーベル賞受賞者の紹介
インベストメントブリッジがお届けする、いろはにマネーのながら学習。
この番組では、インターン生2人が、株、投資、経済関連の気になる情報を分かりやすくお伝えしていきます。
インターン生の会話を、ながら劇する感覚で一緒に勉強していきましょう。
おはようございます。インターン生の古田です。
おはようございます。インターン生の山口です。
山口さん、先日すごいニュースがあったんですが、ご存知ですか?
何でしょうか?何か特に古田さんが注目しているニュースがあるんですか?
はい。2025年のノーベル賞で、日本人研究者が2名も受賞されたんです。
10月6日に生理学医学賞、そして10月8日には科学賞と連続での解決となりました。
それは素晴らしいですね。日本の技術力の高さを改めて感じます。
そうなんです。そして投資家目線で注目したいのは、
この受賞がどんな企業に影響を与えるかということなんです。
なるほど。ノーベル賞の研究って、実は私たちの生活や経済にも大きく関わってくるんですよね。
まさにその通りです。
ということで、今日のテーマは、2025年ノーベル賞と注目の関連銘柄について詳しく見ていきましょう。
その前に恒例のちょこっと株辞典のコーナーです。
今日の用語は何ですか?
今日の用語はテーマ株です。
テーマ株とは、特定の話題や出来事、政策などに関連して注目される銘柄群のことを指します。
なるほど。今回のノーベル賞受賞もまさにテーマ株として注目される材料になるということですね。
はい、そういうことです。
例えば、ある技術がノーベル賞を受賞すると、その技術に関連する企業の株が買われやすくなります。
これは投資家がその技術の将来性や実用化への期待を高めるからなんです。
ただ、テーマ株は一時的な人気で株価が大きく変動することもあるので、長期的な企業価値をしっかり見極めることが大切ですよね。
はい、おっしゃる通りです。
それでは本編に入っていきましょうか。
まず、今年のノーベル賞受賞者についてご紹介します。
10月6日に発表された生理学医学賞は、大阪大学の坂口志文特任教授が受賞されました。
なるほど。坂口先生はどんな研究で受賞されたんですか?
坂口先生は制御性T細胞という免疫細胞の発見で受賞されました。
この細胞は免疫反応を抑えるブレーキ薬として働くんです。
ブレーキ薬ですか?
はい。私たちの体には外敵から身を守る免疫システムがありますが、
時にこの免疫が暴走して自分自身の体を攻撃してしまうことがあります。
これが自己免疫疾患と言われるものです。
なるほど。制御性T細胞がその暴走を止めてくれるということですね?
はい。その通りです。
坂口先生は制御性T細胞の存在を発見し、その機能を解明しました。
この発見はどんな治療に応用できるんですか?
はい。がん治療、自己免疫疾患やアレルギーの治療など幅広い分野での応用が期待されています。
関連企業の株価の動向
実は坂口先生は2016年にレグセルというバイオベンチャー企業を設立されていて、
2026年からアメリカで初の臨床試験を始める予定なんです。
すごいですね。研究から実用化へと着実に進んでるんですね。
はい。そうなんです。
そしてですね、10月8日には京都大学の北川進特別教授が科学賞を受賞されました。
こちらはどんな研究なんでしょうか?
北川先生は金属有機構造体、略してMOPHという新素材の開発で受賞されました。
MOPHは金属イオンと有機分子が結合してできたナノレベルの小さい無数の穴が開いた構造を持つ物質なんです。
穴が開いている物質って、それどう役に立つんですか?
はい。ここがポイントなんですが、MOPHは1gあたりの表面積がサッカー場ほどにもなり、
狙った機体を選択的に吸着・貯蔵できるんです。
例えば二酸化炭素だけを分離して回収したり、水素を効率的に貯蔵したりすることができます。
なるほど。それは環境問題やエネルギー問題の解決にすごく役立ちそうですね。
そうなんです。北川先生は機体を出し入れできる安定したMOPHの開発に成功し、この分野の実用化への道を開かれました。
匂い除去や精密機器の保護など、すでに一部では実用化されているんですよ。
なるほど。今後の脱炭素社会の実現に向けて、さらに重要な技術になってきそうですね。
そうですね。
それでは、これらのノーベル賞研究に関連する上場企業を見ていきましょう。
はい。
まず、坂口先生の制御性T細胞研究との関わりが深いのが、中外製薬、小健康の4519です。
中外製薬といえば大手製薬会社ですよね。坂口先生の研究とはどう関係しているんですか?
はい。中外製薬は坂口先生の研究室と共同研究を行っています。
制御性T細胞の働きに重要な役割を持つBOXP3タンパク質を制御する新たな仕組みの発見など、研究成果を挙げているんです。
企業と大学の連携が進んでいるということなんですね。業績の方はどうなんでしょうか?
はい。同社の2025年中間期決済は売上収益が5785億円で、前年同期費4.6%の増加。
営業利益は2733億円で、前年同期費5.8%増加と顕著な業績となっています。
なるほど。10月24日には第三四半期の決算発表もあるんですね。
はい。実用化にはまだまだ時間がかかりますが、今回のノーベル賞受賞により、制御性T細胞を用いた免疫治療への注目がさらに高まることが期待されます。
次に北川先生のモフ研究と関連が深いのが、レゾナックホールディングス、証券コード4004です。
レゾナックというと化学メーカーですよね。
そうですね。レゾナックの子会社であるクラサスケミカルが、北川先生と長年にわたってモフ技術の産業応用について共同研究を進めているんです。
なるほど。具体的にはどんな研究をしてるんですか?
はい。具体的にはですね、工場の廃ガスから効率よく二酸化炭素を分離・回収する技術の開発です。
実用化できれば従来に比べて分離回収コストを3分の1に抑えられると期待されています。
それはすごいコスト削減ですね。脱炭素への取り組みが企業にとって重要な課題となっている中、大きなビジネスチャンスになりそうですね。
レゾナックは石油化学やアルミ、ハードディスク向け材料などを手掛ける総合化学メーカーで、日経平均採用銘柄でもあります。
ノーベル賞受賞の発表後、株価に動きはありましたか?
はい。10月9日には一時株価が6%も上昇し、7年ぶりの高値をつけました。市場でもモフ技術への期待の高まりが反映されたと言えますね。
さて、これらの技術は今後どのように発展していくと考えられますか?
そうですね。制御性T細胞については、がん免疫療法や自己免疫疾患治療での実用化が着実に進んでいます。
坂口先生が設立したレグセルは、2026年から臨床試験を開始する予定ですし、中外製薬のような大手製薬企業も研究を加速させるでしょう。
なるほど。モフ技術についてはどうでしょうか?
モフは脱炭素社会の実現に向けた切り札として期待されています。
二酸化炭素の回収・貯蔵だけでなく、水素エネルギーの貯蔵・触媒としての利用など応用範囲は非常に広いです。
なるほど。しかし、投資する際の注意点もありますよね。
その通りです。まず、ノーベル賞・受賞は確かに注目材料となりますが、すぐに業績に直結するとは限りません。研究開発から実用化、そして収益化までには時間がかかります。
日本の研究環境の課題
短期的な株価の動きに惑わされず、長期的な視点が大切という動きですね。
そういうことになります。さらに言えば、今回ご紹介した企業以外にも関連する技術を持つ企業は多数存在します。
例えば、三井金属5706もモフの研究開発を行っていますね。
なるほど。幅広く情報を集めて自分なりの投資判断をすることが大切ですね。
そうですね。
今日は、2025年のノーベル賞と関連銘柄について詳しく見ていきましたが、古田さんが一番印象に残ったことは何ですか?
やはり、私たちの生活や社会を変える可能性を秘めているということですね。
坂口先生の眼治療への応用や北川先生の環境技術など、どちらも人類の課題解決につながる素晴らしい研究だと思います。
そして、それらが投資の機会にもつながっているんですよね。
ただ、最近は日本の研究力低下が懸念されているという話もよく聞きますよね。
そうですね。今回の受賞大賞となった研究の多くは、20から30年前のものです。足元では研究費の不足や若手研究者の環境整備が課題となっています。
今後も日本がノーベル賞を排出し続けるかどうかは、今の研究環境にかかっているということですね。
はい、そうですね。
投資家としても、こうした基礎研究を支援する企業や大学との連携を積極的に進める企業に注目することは、長期的に見て意義があると思います。
なお、本日ご紹介した企業は主観による情報提供であり、投資を推奨するものではありません。
投資判断はあくまでご自身の責任にてお願いいたします。
本日も最後までお聞きいただきありがとうございました。
Apple PodcastやSpotifyなどお聞きのプラットフォームにて、ぜひ番組への感想・評価の投稿をお願いします。
また、概要欄にはご意見フォームのURLも貼っておりますので、番組へのご意見もお待ちしております。
それではまた次回お会いしましょう。