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けんすう
はい、というわけで経営と執行の後編でございますが、まず最初に、僕、経営者なんで経営と執行の違いってなんとなく勉強して知ってるんですけど、普通の人にとってやっぱりこれ難しいなと思ったんですよ。
尾原
いや、今ね、けんすうと聞いてて、すげーその匂い感じた。
けんすう
そうなんです。たとえば多くの会社、自分の会社の社長が結構有名な執行者で出世していって社長になったみたいなところにいらっしゃる方とかも多いと思うので、なんかわかりやすい事例で経営と執行、こう違うよみたいなのってもう一回まとめとして話してもらっていいですか?
尾原
だから結構やっぱりオバラ勘違いしちゃったのは、ツイートしたときに、経営と執行の違いがわからないことが、日本の経営が変化に弱くなっていることだ。
それはなぜかというと、執行はできることをやり切ることで、経営はできないことをできるようにすることで、一方、日本はスーパー執行者が経営者になって結果を出した分、できないことをできるようにする経営を学ぶ機会がなかったことが、日本の今の弱さなんだみたいなポストをしたときに、200リツイートくらいされて、ちょっとそれで気分よくなってた。
尾原
それでちょっと説明していけば説明していくほど、件数がめっちゃリスナーの方、ハイパー企業家の方に届くように、届くように細かく質問してくれてるなっていうのをすげえ感じたので、ちょっと暴走編の手前で今みたいな感じで、バンバン噛み砕くための質問みたいなことをしていってくれると今回嬉しいなと。
けんすう
なるほど、そうしてみましょう。
尾原
最初に言ったら、わかりやすい具体例だよね。
例えばわかりやすい話で言うと、政界主義の時代のマチコーバが変化の時代になった時どうなったかみたいな話がわかりやすくて。
けんすう
マチコーバ、わかりやすい。
尾原
例えばマチコーバってさ、昔はいい車を作ることがめちゃめちゃ日本の経済に貢献したし、その時ってやっぱり日本の車ってやっぱり安くて高品質っていうのでめちゃめちゃ選ばれてたから、どちらかというともう発注してくれる人はトヨタとかコンダとか、
もう系列って呼ばれる大手の下で引いてくれた設計図を、できるだけ失敗が少ないように、もう後でネジが緩まないように、ひたすら高品質なネジ作りますみたいなことが経営として正しかったわけじゃないですか。
でもそれがEVに変わった時に何が起こったかっていうと、基本的にEVってエンジンっていうさ、常に熱を出しながら振動でガタガタしながら動くものから、電力でモーターで動くように変わっちゃったわけだよね。
そうすると、それを構成する基盤って、熱を逃がすための精密な構造だったりとかっていうよりかは、そのバッテリーと電力をうまくつなぐように、むしろ3Dプリンターで動かす方がいいみたいな、めちゃくちゃなゲームチェンジ起こっちゃったんですよ。
けんすう
そんなに複雑できちっとしてなくても大丈夫になったっていうことですね。
尾原
そうそう。むしろその複雑さとかきちんとするっていうのは、ネジの作り方じゃなくて、3Dプリンティングでいかにそういう構造設計ができるかってことだったりとか、3Dプリンティングの結果をどうやって精密、よく立体的に印刷するかみたいな話になったわけでしょ。
だってそれが証拠にさ、イーロンマスクのテスラって、2つの車の型を作ってガシャーンってくっつけば、それで本体出来上がりみたいな時代になっちゃったわけでしょ。
けんすう
へー、なるほどね。今までだったらもういろんな部品があって、いろんな構造が頑張って作ったやつを精密にやってたのが、もう本当にミニ四駆みたいな感じでできるってことですね。
尾原
そうすると、結局このマチコーバーが生き残っていくためには、そのものづくりとして、ここの部分が筐体が弱くなるから、ここを補強すればいいよねみたいなスキルは残るけど、それを結局実現するために3Dプリンティングの設計図を作るみたいなソフトウェア技術がなかったりと困るよねとか。
けんすう
はいはい。
尾原
今までは精度が高くてっていう素材も、熱によって歪みにくい素材開発みたいなところは残るけど、じゃあどっちかっていうとそれを3Dプリンティングで印刷できるような形で素材を作ることが大事だったりとかっていうふうに、全然必要なスキルが変わっちゃうんですよ。
けんすう
はいはいはい。
尾原
そうするとさっきの話なんだけど、できないをできるにするっていうところの、何ができないをできるにしなきゃいけないんだっけっていうことをちゃんと未来の技術の進化見て、まず特定しなきゃいけないじゃん。
けんすう
はいはい。
尾原
っていうふうに、できないをできるにするっていうところの分野が、そもそもこんなに劇的に変わるっていうのをちゃんと知らなきゃいけないし。
けんすう
はいはい。
尾原
じゃあ知った上で、じゃあ自分が生き残るとしたら、自分たちの強みがまだ残りながら、次の強みに変えていくために何の強みを大事にして、次必要な重要な領域のできないをできるにするっていうところを獲得していくっていうのが大事になってくるわけだよね。
尾原
なるほど、これ分かった。もしかしたら、小原さんは今の時代の変化に対してこうしなきゃいけないと言ってると思うんですけど、もっと手前かもしれないです。町工場の人において経営は何やって、執行何やってが分かんないかもしれないです。
なるほどね、なるほどね。
はい、経営は何やってんすか、町工場の人の。
今までのこの場合の経営で言うと、やっぱりトヨタさん日産さんなど発注してくれる会社から、俺たち次こんな車作ろうと思ってるんだよねっていうことをできるだけ早く教えてもらえるっていう関係性づくりと。
けんすう
関係性、はいはい。
尾原
じゃあ関係性に対して、またこんな無茶な高性能な小型カー作ろうとしてるんですか。分かりました、やってみますっていう、今までより強さは変わらないけど軽さを3分の2にしたネジ作ってくれだったりとか。
こんな角度からネジ締めるんすかみたいな、そのネジ締めができるようにするためのネジ締め機を作ることだったりとかっていうふうに、上が言った無茶な計画に対して、今の技術の炎症前兆でどうにか達成するっていう技術進化をどう導くかということだったりとか。
で、その結果生まれたネジの技術を発注してくださる会社が起こらない程度に他の会社にも導入していくっていうことをどういうところに売りに行けばいいかっていうことを考える力とかっていうのが、今までのマチコーバの経営だよね。
けんすう
経営なんだ。執行ではないですか。取引先と飲みに行って受注するみたいなのって、その執行の部分の営業とかでやりそうじゃないですか。
尾原
だからそういう意味で言うと、経営と執行って限りなくマーブルですね。混ざったものですね。
結局、経営というものが適切なゴールの設定と、そのゴールっていうものが維持できるように環境を作ることっていう定義で言うと、今までの戦い方って今までの重要な発注先からできるだけ早く次の変化を受け取ることっていうのが経営資源の一番大事な上流になるじゃないですか。
けんすう
マチコーバの経営で言うと、基本的には次に作りそうなものの情報をキャッチして、それができるような環境を整えておいて、従業員が働けるように銀行とかからお金を借りたりして、できるような状態にしておきつつ、発注先と仲良くなっておいて話が来るようにしとくみたいな、こういうのを経営がやって、
実際に頼むよってなったら、その執行のところの人たちがいかに良いものを安く作るかの工夫をしたりとか、そういったことをいろいろ頑張っていくみたいな、それをやっていくということですね。
尾原
っていうのが事例っていう話だけど、さっき言ったように嫌顔もなく、車っていうものがEVの方に向かいますよね。とか、EVに限らず全ての製品ってものが、ハードウェアじゃなくてソフトウェアが付加価値を出すようになっちゃうし、さらに言うとソフトウェアの付加価値って結局AIが付加価値を出すように、
こういうのをソフトウェアディファインドっていう言い方とかAIディファインドっていう言い方するんですけれども、ものづくり大国日本としてはどんどんハードウェアの付加価値で売ってたものがAIの付加価値に変わってくるから、そういう意味で自分たちの資源っていうものをどこから調達するのって敏感に作っていかなきゃいけないよねっていうのが1個の分かりやすい事例ですね。
あともう1つ別の事例で言うと、さっき言ったスタートアップが分かりやすくて。スタートアップって残念ながら日本の場合は自分たちでプラットフォーム作るんじゃなくて、人のプラットフォームの上で反映するってビジネスが多いから、そうするとプラットフォームのライフサイクル、寿命が次のプラットフォームに移った時に、
その次のプラットフォームでの戦い方を装着しなかったりいけなかったりとか、例えばスタートアップとかで最初はゲームで儲けたんだけれども、次はオンラインショッピングで儲けてみたいに、自分たちの今いるメンバーの力をベースとしながらも全く別の戦場で戦って勝ち続けるって事が大事になるみたいな経験がスタートアップの場合多いじゃないですか。
そういう場合にその目標の再設定と目標が再設定されると、同じと何ができないけどできるようにしないとその新しい戦場では生き残れないっていうのが決まるから。
じゃあその決まったできないをできるにするっていうのが売り上げの中期計画を作る以上に、何のできないをどうできるようにするのかっていう、できないをできるようにするケーパビリティの中期計画みたいなことがすげえ大事になってくるってことだよね。
けんすう
なんか前回かな、日本だと執行者が上に上がったケースが多いから、執行能力高くても経営能力低いみたいなケースがあると思うんですけど、これってやっぱり問題なんですか。執行者が上に上がることってやっぱり経営としては間違ってる。
尾原
だから問題というよりかは、そもそも経営者として必要な能力と執行者として必要な能力が違うから、執行者が経営者になってもいいんだけれども、その執行者の方が自分の執行のやり方だけで勝てるって思っちゃったら違うし。
じゃあ、執行者の方が経営者のスキルをどうやって得るのっていうのを、自覚的に最短期間で得るのであれば全然問題ないっていう話だとは思うんだね、まず1点。
その辺とかは、リクルートの江添さんが、マネージャーに送る言葉20章っていうものすごい素敵な格言があって、これを全部20章読み上げるのが多分それに対する答え1になると思うんだけど、1章だけ読むと、マネージャーに送る言葉20章、江添博雅大賞。
マネジメントの才能は、幸いにも音楽や絵画と違って生まれながらのものではない。経営の才は豊天的に習得するものである。それも99%の意欲と努力の産物である。その証拠に10代の優れた音楽家はいても20代の優れた経営者はいない。っていう言葉から始まるんですよね。
だから、後からラーニングできるよっていうことも含めて、今回こういうお話をしたいなっていうのはあるわけですよね。
けんすう
うーん、なるほど。日本だとやっぱり一方で、執行能力高い人が尊敬されて上司になって、社長になって、あれを作ってきたあの人だからついていこうかなみたいな、他の会社よりも強い気がしているんですけど。
尾原
オシャロですね。
けんすう
アメリカとかだとなんとなく経営と執行が結構分離している感覚があるんですけど、そういう違いはあるんですか?
尾原
そうですね。そもそもアメリカはやっぱり会社は社員のものではなく、株主のものという意識が非常に強いので、そうすると株主からしてみると、社内で憧れている人かどうかは知らないけれども、やっぱりプロ経営者に見てもらえようみたいな圧力が強いっていうのが一番目。
けんすう
株主からのプレッシャーが。
尾原
でも一方で、僕が日本の優れた経営者を輩出している企業の特徴を見て、日本の中で意外と普及してないなっていうものが2つあって、経営集合としてね。
けんすう
1つはボスマネジメントっていうものが、あんまり普及してないよなっていうのが1個目と、あと2個目が何を褒めるのかっていう、その褒めのマネジメントっていうのが日本って意外と広まってないなって個人的に思いますね。
ボスマネジメントっていうのは、自分のボスをマネジメントする?
尾原
そうですよ。だからニクルートと言われなかった?
上司を育てるのも部下の仕事って。
けんすう
僕は結構言われてましたね。要は、むしろ部下側の方がマネージャーをどう使うかみたいな。
でも確かに他の会社だと結構、上司が自分をマネジメントしてくれると思ってる人の方が多そうだなと思いました。
尾原
そうなんでしょ。だからこのボスマネジメントって概念で、やっぱり1個のリクルートの発明だと思ってて。
おっしゃる通り、リクルートって事業長となるとちょっと違うけど、やっぱり支部長とか支店長とか、そういう人は基本的にトップ営業番が上に行くんだよね。
けんすう
やっぱり結果を出してるやつの言葉しか俺たち聞かないからみたいな。モサどもがいっぱいで、リクルートの場合は。
尾原
何よりもあの人みたいに俺慣れてるんですよね、みたいなことを考えると、やっぱりトップ営業番の方が上に上がっていくっていうのが自然なんだけど。
一方でもう一つの感的な話として、経営処方とかはボスマネジメント上手いメンバーがやるんですね。そこはお互い様ですよね、っていう話なわけですよね。
けんすう
そうか、やっぱり役割の違いではなくて上下関係とか、師匠と弟子みたいな感覚で会社運営しちゃってるところが多いのかもしれないですね。
そうだと思うんですよ。
尾原
やっぱり師匠と弟子っていうのは強烈なエンゲージメント、頑張り力を引き出すので、それがそれで大事にした方がいいと思うんですけど、一方、先ほども言ったように経営の能力とか、後天的に習得するものだから。
それは最初は周りがサポートすればいいんじゃないですかって言って、リクルートにしても楽天にしても事業長の周りにはものすごい補完的なメンバーをギシッて固めて、そういったメンバーがボスを育てていくわけですよね。
そうですよね。
これって別にGoogleもそうで、Googleってやっぱりある程度事業の型が見えて伸ばすときに、当時、エリック・シュミットというもうすでに大手の企業のCEOをやられた人をハントしてきて、
CEOをエリック・シュミットにやってもらって、ラリー・ペイジとセルゲイは製品を良くすることに専念するという執行者をやりつつも、エリックのやり方で経営を学んでいって、ラリー・ペイジが育ったときに、じゃあもうエリックさん大丈夫ですよ、僕たちでできますからって言って、ラリーは経営者に就任したわけじゃないですか。
けんすう
いわゆるグレーヘアーな人を入れるみたいなこと言いますよね。
尾原
そうですね。髪の毛がもうグレーになるぐらい経験をめちゃくちゃし、アメリカではバトルテスティッドという言葉を大事にしますけれども、経営として切ったハッタをやりまくったおじさんに来ていただくっていうのがボスマネジメント。
けんすう
もう一つ何でしたか、ボスマネジメントと?
尾原
褒め方のマネジメント。要は、できないことをできるにするっていうことは、新しくできるようになることを褒めるってことが大事だし。
あともう一個は、とはいえ今まで褒めてたことがなくなるわけじゃないから、会社がどんどんAI化していくから、AI使えない土営業は褒められるべき人じゃないみたいなふうになっても困るわけじゃないですか。
けんすう
確かにね。
尾原
つまり何かっていうと、結局組織経営って評価をどう評価するかっていうことで、ついつい僕たちKPIがとかOKRがとか、給料にどう紐づけるインセンティビがあって大事かみたいな話をするんですけど、組織経営の基本は何を褒めるのかっていうことのデザインなんです。
けんすう
確かに。それがどういう人たちを重要視してめでてるかのメッセージになりますもんね。
尾原
はい。なので例えば、リクルートの事例が増えちゃってごめんなさいなんですけど、僕マネジメントを学んだのはリクルートなのでどうしても多くなるんですけど、
リクルートの先代の社長のミネギスさんは、土営業でむちゃくちゃ売り上げ伸ばしてた住宅領域に組織改革に入って、そこからさらに売り上げを1.5倍に伸ばした男なんですけれども、彼が何をやったかっていうのがさっき言った褒め方を揃えていくっていうことで。
要は土営業を褒める組織だし、土営業が一番のさばる組織の方がそのタイミングは安定してたんだけど、インターネットになってどんどん効果が可視化されて科学的な分析ができる時代になったときに、その土営業だけだとヤバくなってくるわけですよね。
だとした時に、その分析的な営業をできる人をどう褒めれば、いわゆるできない上司が分析ができる部下を褒めていかなきゃいけないので、どうやれば褒めれるのかなみたいなことの褒め方を揃えつつ、とはいえガッチリお客様の関係性を握れる土営業も大事だから、
どういう部分は今後褒めちゃダメだけど、こういう部分は褒めていこうねみたいなことを、もう本当にミネニスさんって1年ぐらいかけてずっと褒め方だけをマネージャーミーティングで徹底されていったりしたんだよ。
けんすう
へー面白い。
尾原
だから売り上げの数字はどうでもいいとは言わんけど、売り上げの数字はほっといてもお前ら達成するだろうと。
どちらかというと次に大事なのは、新しい褒め方をどういうふうに褒め方を揃えていくことが大事なんだみたいなことをものすごい徹底的にやっていらっしゃって、結果的に人間はね、結果を褒めるんじゃなくてプロセスを褒めた方が人は育つし、
もっと言うとプロセスじゃなくて、今までやらなかった一歩目を踏んだ時に、お前チャレンジしたな、すげえじゃんって褒められるのが一番変化するし一番育つんですよ。
この変化への一歩目、特に今後褒めていくべきできないをできるようにするっていうチャレンジをした一歩目をちゃんと見てちゃんと褒めるっていうことにむちゃくちゃ力使うっていうことをやると変わっていくんですよ。
そうすると今までの同営業は同営業ですげえかっこいいんだけど、その人たちもゾス3.0みたいな感じでかっこいいも微妙に変化していくし、何よりもそういう同営業を支える分析マンとかAIパーソンとか、そういう人もその人たちをその組織の中では何が輝くのかっていう褒め方をしていると成長していく。
っていうこの褒め方のマネジメントっていう話と、ボスはメンバーが育てるものでしょっていうボスマネジメントってこの2つがあると、今まで輝いてた人がトップでいながら、変化に強くなる組織になるって話だったりするんだよね。
けんすう
今のは執行が優れてる人が経営に行った時に、その人は何をするべきかというと、ボスマネジメントの概念をみんなに浸透させることと、自分はその褒め方をもっと上手にして組織的に新しい方向に進みやすくするっていう2つが大事だよっていうことですか。
尾原
だからね、そこはね、そもそもの話なんだけど、経営者だけが経営を作るもんじゃねえからさ、だからその経営者になっていく人を周りでどうやって育てていくのだったりとか、その経営者になっていく人を周りが経営能力を育てるようにするにはどうするのっていうのが周りの仕事だったりするので、
経営者が自分一人で経営者になるってまず思わない方がいいんですよ。
けんすう
なるほど、なるほど。
尾原
で、小原はどっちかっていうと経営者にはなりたくない。なぜならば経営者になったら同じ会社にずっといなきゃいけないから。
けど、その経営者になる人とか新しい事業をする人をどうやって変革していくかみたいなことばっかりずっとやってた人だからさ。
だからさっき言ったように、経営者が一人で経営者になるんじゃなくて、周りの人が一緒になって経営者を経営者にしていくみたいなことを含めてやっていくとすると、ボスマネジメントっていう概念と米の変革ってことが大事って思います。
けんすう
なるほど。ちょっと前の話に戻ると、例えば出版社みたいなところがあるとして、めっちゃ記事書ける人がいて、その人の書いた記事がとにかくすごいと。
で、その人が出世していって社長になったとします。
ただ時代はもうテキストから動画とかの時代になりました。
だから会社としてはもうライティング能力よりも動画とかに出て話せたりする人にならなきゃいけないみたいになりましたって時に、その経営者になった人側はちょっとこの褒め方として新しい文章以外のことをやってる人を褒めるみたいなことをするし、
メンバーの方はボスマネジメントをしっかりやって、文章で上り詰めた人だけど、文章以外もやった方がいいっすよねみたいな雰囲気を一緒に作っていって組織を変革していくっていうのが、日本における上手くいく経営能力のアップの仕方みたいな感じの解釈であってますか、今の話。
尾原
そうですね。その解釈で半分あってると思います。
けんすう
半分。はい。
尾原
要は経営者が、自分が変わっていきたいとか、変われる場合は今の話じゃん。
けんすう
うんうん。
一方で経営者って単なる肩書きのタグだからさ、たくさんのスタートアップにおいて、いやー俺そういうちょっと戦い方のコアが変わったときは、俺会長兼新規事業になって、自分が戦える新規事業をやりつつ、今の経営に大事な人に任せるわっていう会社もいっぱいあるわけじゃないですか。
尾原
例えばそれのわかりやすいのは、やっぱりミクシーの笠原さんだったりとか、スマートHRのCEOだったりとか、みたいにたくさんあって、例えば笠原さんなんてすごくわかりやすくて、結局ミクシーそのものがやっぱり収益を上げていくっていう話になったときに、やっぱりゲームがコアですねっていうときは、ゲームが強い方がトップになり、とはいえゲームもどこかで頭打ちになるよねって言ったら、
コミュニティかけるゲーミフィケーションっていうところが次強くなっていくよねって言って、Tipsterを牽引されてる木村さんに次の経営者を渡して、じゃあ笠原さんはやっぱりテキスト時代の繋がりを大事にするSNSみたいなことをじーっとやってたら見てねみたいな形で、
その赤ちゃんの写真とかそこに寄せた言葉みたいなところが蓄積していく写真共有サービスが実は気づけば日本の子供を生まれた方の半分がお使いになるサービスとして10年がかりで成長させたり、今ミクシー2としてSNSがメディアみたいなアテンションを集める場所を見に行く場所になっちゃって、
気づいたら繋がりを軽視する場所になってたからミクシー2を作りますみたいに戻ってくるみたいなことがあるから、一回経営者になった人がその執行者に別に戻ってもいいわけだし、新しい変革の時代に経営者として次の経営者は誰だっていうことを考えるってことも経営者の役割で、だから経営者のいろんな機能の中の最後の役割って後継者氏名なんだよね。
けんすう
今の話って執行ですごい人を社長にしてるみたいな感じでも聞こえちゃったんですけど、ゲームが伸びそうな時ってやっぱりゲームに詳しい人を社長に置いた方がいいんですか?
尾原
そういう意味で経営者の最強の仕事は次に強い執行者を経営者の一部として抜擢するってことだからね。
ただ一方で、例えば一番わかりやすいので言うとセプテンニの佐藤さんってわかりやすいんですけれども、彼は広告の現場から漫画のプラットフォームっていう時に、その執行者として経営者から降りていくわけですけど、
とはいえやっぱり漫画のプラットフォームを立ち上げるためには漫画の会社からIPを下ろしてもらうみたいなことだったりとか、漫画のアプリを立ち上げるためには集客のテクニックみたいなことがいるから、
集客のテクニックみたいなのをセプテンニは広告事業をもともと強くて漫画の方に移っていったんですけど、セプテンニの広告事業の中からアプリの集客に使えるような人を抜擢してそっちに持っていったりみたいなリソースの再編をやってるわけですよね。
そこらへんが、その執行してるから経営として必要な資源の見極めだったり、その経営としての資源のパートナーをくどきにいく才能が、執行者が強いケースが多いから次の経営者として抜擢する一方で、やっぱり人の採用だったりとかお金の調達だったりとか、重要なパートナーを見極めてくどく才能みたいなところは、
経営者として後天的に熟練していくものだから、そこの部分が今の執行者が経営者として育つまでは今の経営者の方がそこを補完してあげるみたいな例は多いよね。