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スピーカー 2
はい、というわけで、前回は初期のFacebookの経営的な観点からお話ししましたが、今回はどちらかというと執行の話ですかね。
スピーカー 1
そうですね。前回は、今までというのは、Facebookがコアとしてなぜ成長できたかというネットワーク外部性、
アトミックネットワークを大学単位で積み重ねていくことで優先結合を誘い、
その急成長の裏側には資本として、本当にユーザーの拡張だけに専念して、
ある種マネタイズは後回しにできるための経営としてのリソース集めという話をさせていただいたんですけども、
今回は戻ってですね、じゃあ本当に、尾原はネットワークエフェクト大好き人間でございますけれども、
そんなにネットワークエフェクトだけで成功できるのかよ。当たり前ですけれども、
その裏側にはコツコツと積み上げたユーザーに支持され続けるための機能の積み重ねがあるわけですね。
これを振り返っていきたいというのがメインのテーマで、
今日のテーマはニュースフィード革命、ユーザー体験の転換点という話をしたいと思います。
スピーカー 2
ユーザーフィード、今となっては当たり前の機能で、SNSといえばこれという感じですけどね。
スピーカー 1
そうなんですよ。ただ、フェイスブックって、実はニュースフィードを入れたのって2006年なんですよね。
だから実はフェイスブックが始まってから、2年と半年ぐらい経ってからなんですよ。
それまでの間、どうやってユーザーに支持されるサービスになり続けたんですかという話と、
ニュースフィードによって何が革命が起こったんですかという、この前後後編で話をしていきたいわけなんですけれども。
その手前で前回言い忘れた大事な話があって、ケンスが思い出させてくれたんだけれども、
新しい機能を入れていくためには、やっぱりタイミングが満ちてるってことが大事なんですよね。
じゃあこのタイミングの時のタイミングが満ちるかっていうと、2つの因子があって、
1つはやっぱり通信速度と通信の気軽さ。
これに比例する形で、ユーザーが情報をアップしていいという習慣に慣れていくっていうユーザーのアップする情報量。
この2つが因子になってきて、前回やっぱりケンスからフィードバックがあったように、あのタイミングって通信速度も遅かったし。
そして拍車をかけて、ユーザーがここまでネットに情報を出していいのっていうユーザー習慣ですよね。
これが定着していくっていうのには結構時間がかかって。
これって大事なことは、人ってやっぱり機能がうまく動けば、いきなりユーザーの行動が変わるって思いやすいんですけど、
機能が満ちても、ユーザーがその機能に重当することをやっても大丈夫かなっていうところに至るまでには時間とステップがいるんですよね。
スピーカー 2
そうですよね。わかりやすく言うと、YouTubeが始まってから15年ぐらい経ってから、いわゆる芸能人の人も入ってきたと考えると、
アップロード機能は15年前からあったけれども、やっぱり習慣的にそこまで時間かかったって言えますよね。
スピーカー 1
そうなんですよね。という中で、じゃあこの習慣っていうものをうまく誘うための機能を埋め込んでいくことによって、ユーザーがどんどん情報をアップしていいよっていうふうになっていくわけなんですよね。
そういう観点で考えたときに、初期の頃のFacebookの機能担当だったりUX担当だったら、件数だったら、もちろん今思い出したらこれだなみたいなのでもいいんですけど、どういうものを機能として重視して入れていきます?
スピーカー 2
どちらかというとプロフィールページなので、プロフィールページの更新とか編集がしやすくすると、プロフィールページの表示速度を上げるとかにコースを割きそうですね。
スピーカー 1
というか、本当にあなたすごいよね。おっしゃる通りで、このタイミングの通信速度であって、かつユーザーもまだ慣れてないっていうことだと、いかにそんなに更新頻度は上がらないんだけれども、
友達に対してアップデートをしていくっていうことだったりとか、友達につながっていくっていうような機能を充実していくよね。だから前回そのための機能として、初期のFacebookがプロフィールだけのページにウォールっていう自分のページに掲示板を作って、自分がアップデートしていくみたいな形から始まってるんだよね。
だけど、僕は本質的にこのタイミングのFacebookの一番のイノベーション機能は、写真のタグ付けだと思ってるんですよね。
スピーカー 2
おだしょー なるほど、ここからあったんですね。
スピーカー 1
そうなんです。実は写真のタグ付けって2005年なんですよ。
スピーカー 2
おだしょー へえ、知らなかった。
スピーカー 1
しかもすごいのが、写真をアップしたいっていうのはみんな言ってたわけですよね。当たり前だけど、友達とつながってどうやるためのものですから。だけどこの写真のアップをすることのときに、もう本当に遅れ2週間1ヶ月ぐらいで写真のタグ付け作ってるんでしょ。やっぱりこれって結構すごくないですか。
スピーカー 2
おだしょー すごいですね。早いですね。
スピーカー 1
しかも大事なことが、日本だとパイレーツ理論って言ってわかるかな。ARRRっていうフレームワークのほうがみんなわかるかな。
おだしょー そうですね。ちゃんと説明いたします。ちょっと古すぎてARRRは最近言わなくなったのかもしれないんですけど、新しいサービスを定着するときに何のステージにフォーカスして機能開発していくかっていうフレームワークがARRRってやつで。
これは順番に言っていくと、最初はやっぱりユーザーを獲得しなきゃいけないから、アクワイヤル。要は獲得ですね。次に獲得したユーザーが来ても、使わんかったら意味ないわけじゃないですか。
今はボーディングって言い方をしたりするんですけど、自力させるっていう意味で。このタイミングではアクティベート。アクワイヤルで獲得して、アクティベートで活性化させて。じゃあ次どうするかっていうと、今度はリテンションですよね。何回も来たくなる。
その次が友達とかを他の人も連れてきたくなるリファー。最後にマネタイズをしていくってところのレベニュー。アクワイヤル、アクティベート、リテンション、リファー、そしてレベニューでARRRっていうんですね。
このステージのネットワーク外部経済性を使って、アクワイヤルは比較的順調なFacebookが、やっぱり本質的に大事なステージがこのARRRでいうと、やっぱりアクティベートなんですよね。
そうなったときにアクティベートとして、やっぱりここにいないとダメだって思わせ続けるための機能の重要視が、やっぱ写真へのタグ付けだったと思うんですね。
なんで写真へのタグ付けがそんなに効いたんですか?
スピーカー 2
FOMOなわけですね。Fear of missing outですね。
見逃したら怖いなっていう恐怖で引き付けるみたいな感じのやつですよね。
スピーカー 1
そういう意味で仲間との写真って、自分だけ仲間外れされたくないじゃないですか。
そういう意味で単に写真がアップされてるだけじゃなくて、その写真にちゃんと俺の名前もタグが付いてるよっていう話になったら、やっぱり自分のだけタグが付かないのって嫌だし。
最初は仲間がみんなタグが付くってことは、ケンスがあるイベントに行っていて、樋口さんとキャッキャしてましたというタグが付いてますと。
友達である僕にはそれが見えますと。そうするとなんで俺いないのってなるじゃないですか。
そういうふうに繋がり続けることへの恐怖感を煽るって、アクティベートとして居続けなきゃって思わせるのにすごい重要なんですよね。
スピーカー 2
なるほど。これも今聞くとピンとこないかもですが、当時はiPhoneとかもないので、柄系とかでもそんな写真ないので、みんなデジカメで撮ってパソコンに取り入れてやってたんで、一枚一枚の写真がちょっと重いんですよね。
重みがあるんですよね。
スピーカー 1
さらに言えば、常時接続という感覚がまだないので、言い方悪いんですけど、ニュースフィードっていうのは常時繋がってる時代に常に今何やってるんだろうなんですよね。
それに対して、この写真へのタグ付けっていうのはおっしゃるように、よいしょっていうちょっと重めの写真を上げた時に、そこに俺がいること大事だよねっていう。日本の民族学的な言い方で晴れとけっていう言い方をしたりするんですけど。
日常におけるフォーモの設計と、この晴れの場における非日常的なところのイベント間の時にいる、そこに俺いないのっていうフォーモの設計ってちょっと違うんですよね。
そういう意味では、その晴れの日の設計としての写真へのタグ付けっていうのは、なんかあいつ写真上げてんの?それは見なきゃだし。そこに俺いないの?なんかちょっと絡みたいなとかっていうところを設計していくみたいなのって非常に大事だったりするわけですよね。
スピーカー 2
なるほどな。今だとね、写真アップするってすごい気軽な感じですけれども、当時は重い作業だし、そういう時って本当特別なイベントの時だけっていうのがより強かったんでしょうね。
スピーカー 1
これがシフトするし、じゃあこのステータス更新を見に行くっていうのをしてるんじゃなくて、自分がログインしたページに、友達が今何アップデートしてたっけっていうのを一覧で見ますっていう変更っていうのがニュースフィードなんですよね。
スピーカー 2
これ多分今の人ピンとこないと思うんですけど、要は今までは友達リストを見て、この人の情報を見よって言って初めてその人のステータスとか、最新情報を見れたけど、それが全部一括でタイムライン、ニュースフィードとして並ぶっていうのがめっちゃ革命的だったんですよね。
今聞くと何がってなると思うんですけど、当時確かめっちゃ炎上した記憶はあるんですよね。
スピーカー 1
おっしゃる通りで、一方でさっきのユーザーの習慣からしてみると、友達の何か更新したのが見えるってことは、私のも誰かに伝わってること?みたいな、やっぱりプライバシーの懸念がすごいあったんでしょうね。
それですごい炎上したっていうのがあって。
スピーカー 2
わざわざ見に来る分にはいいが、別に見る気がない人にも情報が全部伝わっちゃう。え?っていう感じですよね。
スピーカー 1
この辺って、例えばオンラインショッピングが出た時って情報が盗まれるんじゃないの?みたいな話とか、不安って慣れてないものに対しては、ポジティブよりもネガティブな想像力って人間が働くので、よりそこを見ていく必要性があるんですよね。
で、大事なのが、じゃあマーク・ザッカーバーグはそういうプライバシーの懸念があるからやめたかとか、炎上したからやめたかって言うと、彼はどちらかというと、いやここで踏ん張らないと結局その友達との本当のつながりっていうことがずっとこの場所で見続けれるっていう本当の価値を実現できるようにならないからここは踏ん張るんだって。
ここは踏ん張るんだっていうやっぱり決断をしてるんですよね。
じゃあ彼が何をやったかっていうと、初期の頃から埋め込まれてるんですけれども、要はこのタイプのアクティビティは友達までしか見せない。
このタイプだったら友達の友達まで見せるっていう、ここをこの設定をものすごくわかりやすく、最初は固めにして徐々に広げていくっていうことを今やっていくってことをむちゃくちゃ丁寧にやるんですね。
スピーカー 2
なるほど、これタイミング的にもうツイッターで出てるんでしたっけ。
スピーカー 1
いい質問しますね。ここは常に議論を呼ぶ話なんですけれども、ツイッターは2006年3月21日にスタートします。
で、Facebookがニュースフィードを正式に導入したのは9月5日です。半年あります。
やってんじゃないですか、これ。
そうなんだよね。
スピーカー 2
でも、発想の一つには絶対なったでしょうね。
スピーカー 1
ただやっぱり、ツイッターって初期からみんなに全部公開するぜっていう前提で始まってたんですじゃないですか。
スピーカー 2
そうですね、パブリックな感じですもんね。
スピーカー 1
しかも、ツイッターってわざわざそれを明示するために、昔は入力欄に今何してるのだっけ。
そうですね、これ大事なところなんで調べないとですけど、時期によってちょっと違ってたぶん。
スピーカー 2
今何してるとか、ちょっとずつジャック同士が権限を持ってるのか、エヴァンウィリアムスが持ってるのかによって。
スピーカー 1
あのタイミングだとエヴァンさんな気もするな、確かにな。そういう柔らかいところはエヴァンさんだもんな。
スピーカー 2
つながり重視かメディアっぽく扱ってるかとかで全然違うんですけど、この話するとツイッター編が始まってしまうので。
スピーカー 1
また別のシリーズが始まるな。特にジャック同士好きの小原とエヴァンウィリアムス好きのケンスで、多分宗教論争が始まるぐらい、多分ツイッターに関しての議論はまた別に言っちゃうんだけど。
少なくとも大事なことは、ツイッターは初めからオープンに単文で今何してる。
だからどっちかっていうと自分自身のプロフィールを流すというよりかは、今どんな行動をしてるのとかっていうことを中心に設計されたもので。
それに対してFacebookはプロフィール欄をお互いに見に行く。写真も投稿できるようになった。
このタイミングでニュースフィードを入れていってるから。
スピーカー 2
そうですよね。Facebookのニュースフィードって要はステータス更新のログが見れるみたいな感覚に近くて。
そうです。
ツイッターは昔のSkypeとかにあるステータスみたいな。今何してんのみたいなことを。
スピーカー 1
今何してんのっていうのを単文で書いてあって。