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スピーカー 2
はい、というわけで前回はニュースフィードの登場についてお話ししましたが、引き続き機能の話とか執行の話に近いんですかね。
スピーカー 1
今回は逆側で、じゃあなんでFacebookは先ほどの写真のタブ付けだったりとか、様々タイミングに合った機能をきちんと作れたのか。
それはザッカーバーグという天才があったからではなく、実は経営としての仕組みづくりがあったからだという話をしていきたいと思います。
スピーカー 2
なるほど、なるほど。じゃあ、いわゆる機能を作るのは執行の話だけど、今回はまたちょっと経営の話に戻って、機能が作れる組織づくりみたいな。
そうです。
これって感じですかね。なるほど。
スピーカー 1
具体的に言うと、グロスハックチート、1%ロールアウトルール。
スピーカー 2
有名なやつですね、グロスハックは。
スピーカー 1
そうなんですね。つまり、ちなみにグロスハックって今でも周り使ってんのかな?ケースってグロスハックみたいなこととか周りに言ったりする?
スピーカー 2
いや、もう死後ですね。ほんとにずいぶん前に消えちゃった言葉な気がしますね。
スピーカー 1
それが当たり前になっちゃったのかな?結局グロスハックっていうのは何かっていうと、成長のレバーって何によって行われるかって見えづらいから、どっちかっていうと質よりも量をまず担保して、
その量をこなす中で筋がいいものをどんどん見極めて、それを拡張したりそれを横展開したり、何よりもいろんなアイディアをどんどん入れていこうっていう回転数っていうところを見ていくっていうのはグロスハックの基本なんですけども。
スピーカー 2
あとデータ主義みたいなイメージもありますね。
スピーカー 1
実際にいちいち検討してみるぐらいだったら実装してみて、実装してみる中で結果が出たっていうところから冷徹に判断していきましょうっていうところだったりするよね。
スピーカー 2
今となったら多分やっぱり当たり前になってるって感じでしょうね。
なるほどね。
だって、たくさん試して数字を見て一番いいのを残して成長しましょうってことって当たり前じゃないですかって多分聞いてる人は。
思っちゃうのですが、本当にFacebookのグロスハックチームが有名になる前はそうでもなかったっていうのがちょっとポイントですね。
スピーカー 1
たださ、一個確認したいんだけど、とにかくデータ主義でいろんなテストをやってて、いいものをどんどん残すっていうときに、どのぐらいの数のトライアルやってますかって話なんですよね。
例えば、2018年の段階でNetflixって1年間にこのグロスチームが何回トライアルしてますか。Amazonは何回トライアルしてますかっていうとどのぐらいだと思いますか。
えーわかんないっす。
Amazonで2000回。
2000回。
スピーカー 2
Netflixで1000回。
スピーカー 1
すごい。
それに1日に5、6個やってるわけですよ。その量みんなやってるか。
スピーカー 2
なかなかできないですね。1日にってなるとね。
スピーカー 1
そうなんですよ。で、やっぱり実際Twitterとかもこのグロスハックチームとかを2011年ぐらいから入れていくんですけど、2011年前まではやっぱり2週間に1回のテストをぐるぐる回していくって感じだったんですよね。
それがやっぱり2011年ぐらいにやっぱもうFacebookがグロスハックでやべえっていう話になって。で、週に10回やるように切り替えるんですよ。そこでやっぱりユーザーの成長率って4倍になってる。
で、このぐらいの桁感のトライアルを回していくっていうことをちゃんと組織の中に埋め込んでるんですかっていうところがみんなどうなんだと思っちゃう。
そういうところまで言うところで言うと、やっぱもうそのぐらいの速度感が当たり前になってきてるって感じなのかな。
スピーカー 2
そうですね。1日1回アップデートしましょうとかやってる組織もあると思いますし、我々とかも試すときは1日2、3個とかを1ヶ月試すとかはやるときもあるし。
割と手法としてはもう定着してる感じがしますけどね。
スピーカー 1
なるほどねーってことなんだな。だから逆にその定着をしていくときにトライアルとしての回転数も大事なんだけれども、この回転数の中で本質を見極めていくためにはどうすればいいかっていう話と、
その回転数を作っていくための組織作りっていう話にちょっと今日話していきたいんですよね。
おー楽しみ。
スピーカー 1
じゃあFacebookが何をやったかっていうと、誰でもユーザー1%には実験していいよっていう権利をエンジニアに与えたんでしょうね。
ここはFacebookの面白いところで、結局Facebookってこのタイミングで言うと1億人ぐらいユーザーいるから、1%のユーザーって言っても100万人いるわけですよね。
しかもFacebookの1%だったらどんな実験やっていいよっていうのがすごく面白くて、1%のユーザー未満だったらどういうユーザーのスタートの切り方でもいいんですよ。
だからハーバード大学の中から始めたいですとか、20代の女性から始めたいですとか、友達が5人以下の人から1%で始めたいですとか。
そういうどういう1%でもいいから、自分でいざんだちっちゃいユーザーサイズで実際実験してみて。
で、それの結果が良ければ、それを1%を5%にし、やがて100%にしていくわけなんですけど、その拡張していくときにトップダウンの中の相談があって、
実際1%でこうだったらこういうリスクあるよね。本当に戦略が達成しているのかねっていうのを議論してやっていくという形になっているんですね。
スピーカー 2
つまり1%でも100万人に試せるから、そこで出たデータを基に議論ができるっていうのがポイントで。
そうなんです。
1%以下なので現場のボトムアップの自由なアイディアがすごく試しやすくなるってことですよね。
確かに、昔Facebookで働いていたエンジニアさんに聞いたら、ちょっとうろ覚えですけれども、やっぱり許可とかいらずに、まず自分だけに機能をオープンして、その後自分の友達10人とかに機能をオープンして、
別に増長の許可とか取ってなくなってますよって言っていて、すげえことするなって思ったんですよね。
スピーカー 1
そうなんです。
スピーカー 2
やってみてすごい良かったし、データもいいからこれってどうで広げていいですかって時に初めて増長が出てくる。
スピーカー 1
これはすごいことですよ。
そうなんです。さらにこの文化は、もともとFacebookがハッカーウェイっていう、一人一人が創意工夫をうまくやっていくっていうところを大事にしてるってところから文化が発生するんですけど、
どんどんどんどんそのやり方が進化していってですね、僕がFacebookに取材に行った2009年ぐらいだと、アイディアを入れる人とアイディアを実装する人みたいなのもどんどん分割していくんですよ。
アイディアボックスって言って、みんなこういうことやったらいいんじゃないかっていうアイディアは誰でも掘り込めるんですね。
スピーカー 1
エンジニアはどう評価されるかっていうと、どのアイディアボックスから俺は実装するっていうのを自分で決めていいんでしょ。
1パーセント実装してみて、うまくいったらその子が拡張されて、彼の評価っていうのはあくまで実装された結果、そのFacebookとしての戦略指標が何パーセントどれがアップしたんですかっていうインパクトで評価される。
だからもう本当に高度とインパクトが全てっていう形だし。
あともっと面白いのが、じゃあ例えば2週間かけてアイディアボックスから拾ったものが実装できなかったら、そこで同僚と相談して、これはアイディアを分割したらお前でも作れるよっていうのか、
これお前もちょっと返したほうがいいよっていうのを決めて、あくまでエンジニアが自分でどれをインパクトあるものとして選ぶ才能をやるし、
スピーカー 1
一方アイディアを出した人でアイディアを出した人でインパクトが生まれたらアイディアを出した人は別で評価されるしっていう、こういう形になっていて。
この辺、やっぱりシリコンバレー文化と日本文化のエンジニアの違いを昔よく言ってたのは、日本っていうのは与えられたものを開発するっていうことがエンジニアの評価なんだけれども、
FacebookやGoogleをはじめとしたエンジニアの評価の特徴って、エンジニアは自分で開発できる最大のインパクトのある課題を自ら拾ってきて、それを作り切る才能のことをエンジニアの才能って言うんですね。
こういう自分がきちんとできるアイディアをきちんと拾ってくるっていうところまでエンジニアに任せちゃうっていうところまでラディカルにやり切るっていうのがFacebookの特徴だったりするんですよね。
スピーカー 2
僕の聞いた当時の話だと、社内に統一のTo Doリストみたいな、まさにアイディアボックスみたいなのがあって、もちろん拾ってやるっていう今の話と、人からこれお前やった方がいいじゃないかっていうのを勝手につけられるし、自分じゃなくてあの人だけどって言ったら勝手に人のタスクにするっていうのが結構されてるっていうのが面白かったですね。
スピーカー 1
そうなんです。だからこの辺がやっぱりもうエンジニアはエンジニア同士、ピアレビューっていう言い方をするんですけど、評価も同僚からのフィードバックみたいなことも重視するから、これだったらあいつに任せればいいじゃんみたいなところもやるし。
でも一方で最終的にエンジニアの評価っていうのは、そのTo Doの中で積まれたものの中で実際自分でコーディングして、それが1%ロールアウトを通過して、実際実装されて、じゃあインパクトが出たかっていうところで評価されるっていう結果主義に基づくっていう。この辺のバランスの良さっていうのがこのタイミングを。
スピーカー 2
エンジニアが考えて自分で一番良さそうなものを選ぶっていうのは要は、エンジニアもインパクト順で実装しようっていうインセンティブになるし、その中でこの仕事はあの人がいいよっていうその要はマネージャーが決めるのではなくて現場同士でお互いの現場の能力を知ってるからタスクを渡し合うみたいなちょっと協力文化をちゃんとあるっていう。
竹林 そうなんですね。
競争部分と協力部分がちゃんとバランス良くなるっていうのが面白いですね。
スピーカー 1
そうなんです。あくまでやっぱりユーザーインパクトというところで競争するし、一方であいつがやるといいよねっていうところのともにやっていくっていうコラボレートっていうところはあるし。
何よりも自分でやるっていう責任を持ってるからこそのフリーダムっていうところが、もともとハッカー文化っていうところをベースにしたFacebookの面白さっていうところがあって。
こういう戦略的中心であるノースポールと圧倒的な回転数をトップダウン的にバランスをとっていくっていうところの全体設計と、それを個別を支えるために一つ一つのアイディアをどんどん出てみんなエンジニアがどんどん試せるようにしていく1%をロールアウト。
こういうふうに、もちろんこれがSNSで1%ロールアウトがやりやすいからっていうものがあるものの、ちゃんと人々が活躍できるような舞台設計をしていくっていうところも経営の観点ですごく大事って話なんですよね。
スピーカー 2
これはすごい経営力ですね、本当に。設計がうまくいってるから、それが拡大していってもそのままうまくいくとかありますし、多分、ザッカーバーグさんの頭の中にあったのは、いわゆる大きくなればなるほど官僚的になったりとか、組織が重くなったりとか、ユーザーメッセージがなくなるみたいなことの失敗例をいろいろ意識した上で、
現場のエンジニアの力を最大化するっていうのを最初から意識してたんだろうなというのはちょっと思いますね。
スピーカー 1
そうなんですよね。だから、やっぱりそういった文化形成みたいなものを学んでいくっていうところも、やっぱり経営者の役割だし。だからどちらかというと、やっぱり執行者っていうのはやっていくっていうワットが大事だけど、経営者はどっちかっていうとどういうプロセス設計にしていくのかって、やっぱハウが大事だったりするんですよね。
だから、もちろんその裏には大量の失敗があって。例えば覚えてるかな。Facebookって一時期、ギフトを送り合ったらめっちゃ収益化とアクティベートにつながるんじゃないかみたいなことをやってた時があって。
今で言うSNSの投げ銭だよね。ライブの投げ銭というよりかは、もう本当にバーチャルギフトで送るっていう形だったんですけど、これとかももう1%テストでは割とうまくいったから、2、3ヶ月かけて大型開発してロールアウトしてみたら、ユーザーの利用率が下がったから、もう2、3ヶ月後にパサってやめたりみたいな。
こういうところのダイナミズムみたいなところをどうやって織り込んでいくか。戦略って全部意図した設計で当たるっていう方が難しいから、そういう戦略的な重要なところは外さないんだけれども、確率論的に成功を呼び込むための組織、経営、設計をどうしていくかっていうことですね。
スピーカー 2
面白いっすね。
スピーカー 1
みたいな話になると経営がセールスよりのバックグラウンドの人が強みになるけれども、
どっちかというとやっぱりアメリカのビッグテックってプロダクトの力そのものがユーザーを巻き込む力を持っていたりとか、
ユーザーを巻き込んでいくとプロダクトの魅力が勝手に上がっていくから、
結果的にユーザーが居ついてくれる場所になって、
というプロダクトがネットワークエフェクトとしての商品価値を高めていくというところまで織り込まれているものがやっぱり大きなプラットフォームになるので、
そういった場合はやっぱりプロダクトをどう磨き込んでいくかというところの経営としての組織作りという話になっていくようになっています。
寺田 そうですね。だからベースでもうすでにめちゃくちゃ成長角度があって、
スピーカー 2
すさまじくユーザーが伸びているという場合じゃないと、この今言った1パーセントロールアップとかタスクをアイデアボックスから拾うみたいなことを入れても、
ほぼインパクト出ないんじゃないかなって気がしますね。
寺田 そうなんでしょうね。でも逆に言えば、セールスリードマネジメントの場合はリクートみたいな話になっていくわけですよね。
スピーカー 1
寺田 そうですね。
スピーカー 2
寺田 完全に価値マネジメントをして、この価値をこのぐらいのお値段でご提供すれば、
スピーカー 1
うちの営業だったらこのぐらいの人口に対してこのぐらい売ってくれるはずだから、
じゃあそれに対してマーケティングは集客としてこのぐらいの量を集客していきましょうみたいな話になってくるので、
これはどっちがいいという話よりは、やっぱり自分たちがどっちの方向性を目指したら、
そのマーケットにおけるそのプロダクトのあり方がフィットしているのかという話と、
じゃあそのフィットするものの中で自分たちがどっちの方向性を目指したら、
どっちが得意だからどっちで勝ち切るんだという話だと個人的には思うんですよね。
寺田 確かに。いやいや面白いですね。バリバリの経営の話でしたね。
スピーカー 2
寺田 ネットフリックスの場合はプラットフォームも大事だけど、結局コンテンツっていうものが花だから、
スピーカー 1
そのコンテンツを生かすためのコンテンツプロデューサーが生き生きと働くための組織っていうのが最終形態だから、
ネットフリックスへの最終みたいな形になったし。一方でリクルートっていうのは、
セールスリードマネジメントという形で作っていくっていう話になっていくから、
リクルートへの組織のところで話したみたいな話になってくるし。一方、
Facebook の場合は、プロダクト自体がネットワークエフェクトを内包化することによって、
ネットワークエフェクトを内包化することによって、
プロダクト自体がユーザーに対しての魅力を引き上げていくから、
いかにそれを実装していくための組織になっていくっていう、たまたまですけど、
その3者3様っていうところを見る機会にもなったんじゃないかなって思いますね。
寺田 そうですね。我々が今までやってきた中でいうと、ちょっと比較してみると面白いかもしれないですね。
スピーカー 2
三沢 そうですね。ぜひまたご参考にしていただければと思います。
寺田 じゃあ今日はそんな感じですかね。ありがとうございます。次回はどんな話をしますか。
三沢 次回はですね、ちょっとタイムライン戻すんですけど、実はこういったプロダクトの経営手法というものが確立していく中間としてIPOがあるわけですね。
スピーカー 1
じゃあこのIPOを無料で使っていただくというのが、
三沢 わかりました。楽しみです。じゃあ今日は以上です。ありがとうございます。
三沢 はい。おめでとうございまーす。