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生物学者と書店員のインターネットラジオ、本の虫のススメ。
本を偏愛する生物学者の椿と書店員の佐藤が、本にまつわるあれやこれやをゆるっとお届けします。
今回も始まりました、本の虫のススメなんですけどもね。イエーイ。なんか見覚えのある本を椿さんが持っているんですが。
小さく美しい本ですよね。本当にそうですね。これ、佐藤さんが実は、めちゃくちゃこの番組の最初の方の回で紹介してくれた本で、
読みたいなぁと思いつつ、買ってつんどくせたんですけど、なんだかついにその時が来ちゃったのかな。来ちゃったのかな。
読みました。タイトル、優雅な生活が最高の復習である、カルビン・トムキンズ著、青山みなみ役を読みました。
はーい。どういう感想を持ったのか、すごい聞いてみたいです。
ちょっとまずは、内容の簡単な紹介を。
これ、1920年代に、南仏、フランスの南側のリビエラーかな、っていうところで暮らしていた、ジェラルド・セーラー・マーフィー夫婦が、とても優雅な暮らしをされていて、
その時の、ピカソとか、夜は優しいっていう有名な小説を書かれた、フィッツ・ジェラルドとか、当時のいろんなアーティスト、小説家から、詩人から、画家から、バレー団から、いろんな人たちと交流しながら、優雅に暮らしてたっていう時の暮らしぶりっていうのを、
カルビン・トムキンさんっていうのは、ライターの方なんだけれど、記者かな、ニューヨーカーの。その記者の方が、偶然、ご夫婦とアメリカに住んでる時に知り合う機会があって、家が隣だったらしくて、偶然。
それで、そんな生活をされてたんですかっていう。
で、フィッツ・ジェラルドの、夜は優しいのモデルになってるご夫婦っていうのもあって、その当時の暮らしっていうのを、じゃあどういう風にこれまで歩んでこられたかっていうのを教えてくださいっていうことで聞き取って、書き起こしたっていうのが、この、優雅な生活が最高の復讐であるという本の概要になります。
で、サトゥーさんが確かこれ、紹介してくれた時は、その当時の空気感が匂い立つように伝わってくる。
あ、そう言ってたね。言ってた言ってた。香水とか汗の匂いまで、匂い立つような。
いや、よくわかった。しかも、だから余計に驚いたんやけど、その時代を体験した人ではなくて、このカルビン・トムキンさんっていう記者の方の聞き取りを通じて、その空気感を書き起こしてるっていうことにまずびっくりした。
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本人じゃなくてっていう。
筆力がだから、ささまじい。
そうそう。で、その後書きで、この役者の青山美奈美さんも書いてらっしゃるんやけど、そんなに一人一人の人物を美に入り才に入り描写してるっていうわけじゃないんだけど、すごい一人一人が強い印象を残すんだよね。
あ、そうやね。
それもなんかすごい筆力だなって思った。
で、サトゥーさんの言ってた空気感が本当に、1920年代が舞台なんだけれど、メインの。
なんかその時代って、いわゆる現代アートというか、の邦画的な時期で、いろんなピカソとか出てきた時期でもあるんだけどさ。
パプロ・ピカソと写ってる写真もね、ありますもんね。
真ん中に、これも口入れじゃなくて、真ん中っていうのが変わった構成なんですけど、真ん中にその実際の当時の写真、いろんな。
本の途中のページに写真が載ってるんですよね。
そうそう。で、マーフィー夫妻が南仏に構えた優雅な住まいは、ビラアメリカっていう看板をかけて、なんかお二人が住んでて、ビラアメリカっていう名前で本の中にもたくさん登場するんだけど、
それの写真とか、あとはその海岸でいろんなアーティストと呼ばれるような人たちと、一緒に楽しんでる姿とか。
なんかあれなんよね、確か。王様みたいな暮らしをしてるっていう意味の優雅じゃなくて、暮らしぶりのその雰囲気というか、それが優雅っていうような。
あ、そうそうそうそう。もう暮らしそのものが芸術品みたいな。
そうそうそうそう。
なんか印象に残ってるのが、二人の旅行に立つと、誰でも野暮に見えたっていう。
でもなんかそう、なんとなく二人のね、お写真しか見てないけど、わかる。
すごい洗練されてるから。
で、これそのタイトルが意味深な感じなんですけど、これはスペインのことわざらしいですね。
でその、ご夫婦のジェラルドさんの方が、なんか見つけてきたというか、言ってた言葉らしいですね。
まああの、ネタバレっていうほどじゃないかなと思うので、言っていいかなと思うんですけど、
そのやっぱり、ままならないことっていうのは、たくさんその優雅な生活を外から見て、すごく優雅な生活を送っていく中でもやっぱりあって、
その中でも、そのやっぱままならない状況の中でも、優雅であり続ける、優雅な生活を送り続けるっていうことが、そのままならない状況そのものに対しての復讐になるみたいな、
まあそういうメッセージというか、メッセージというとちょっと違う気がするんだけど、
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そういう生き方をしていたご夫婦がいたよっていう記録。
だから誰かに対しての復讐じゃないんだよねな。
そうなんだよね、そうそうそう、もっとちょっと構えてしまうようなね、ある意味、タイトルでもあるんだけれど。
誰に?親に?とかさ、障害に?みたいな。
それとも寝取られたあいつに?とかなんかいう。
そうそう、なんかね、ちょっとしたこう重みのある復讐って言葉だけど、
あ、そうじゃないんやっていう。
ね、それも嬉しい意外感というか。
それが確かその復讐の意味が書かれてるのが、漢末に近いところに書かれてて、だから余計に、ああそういう意味かみたいな。
そうなんだね、そうなんだね。
なんか納得感というかがある。
本当にでもその空気感がすごい、その新しいものっていうのを作っていこうとする時代だったんだっていうのがさ、
で、そういう時ってさ、すごい不思議と、なんか核になるみたいな人たちがさ、寄り集まったりするやん、なんかそういう空気っていうのをすごい読んでて感じた。
で、なんかちょっと時代は違うんやけど、これを読んでて、ふと思い出したのが、1910年代、だから一時大戦後なんだけどね、10年代は。
だから一時大戦前に、画家のカンデンスキーって、
お、なんか聞いたことは。
いるやんか、まさにその抽象絵画っていうのが花開くような時期に、その中の中心人物というか、そして活躍したのがカンデンスキーなんだけど、
そのカンデンスキーと、フランスマルクっていうドイツの画家で、かなり創生してしまった、36歳で亡くなってる方なんだけれど、
なんか内面の主観的なその表現をしようみたいな、ドイツ表現主義っていうのがなんか、私も全然詳しくないんだけど、前衛芸術だよね。
があって、なんかそれのまあ、何やろう、機種というか、いろいろ活動してた人らしいんだけど、その2人が、1912年に、青岸っていう、ブルーの青に、ナイトの岸ね、青岸っていう芸術史を発刊したんやんか、
で、それがなんか、その当時の前衛的なというか、最先端の芸術をしてる人たちが集まって、その芸術評論とか、実際に絵画とかを寄せて作った、まあ同人誌みたいなものを発刊して、で、それが結構、なんかいろいろに再生とかがあって、結局その最初の1巻しか、2巻しか出なかったんだけど、
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結構その後の美術界にすごい影響を与えたっていうので、かなり有名な本になってて、それの翻訳版をひょんなことからもらって、で、ちょっと読んでたときに、やっぱりその時代の空気が膨らんでいって、これまでの絵画アートじゃないものを作っていこうっていう、すごい空気をすごく感じて、
それをちょっと、優雅な生活が最高の復讐であるを読んでて、ちょっと、まあ時代は10年ぐらい違うんだけど、なんか同じような空気をすごい感じて、面白いなって思ったりした。
なんかそう、実はその本を、その青岸を手に入れたのは、実は2月に父が亡くなって、その父の肩見分けというか、の時に父が持ってたんですよね。結構彼は芸術を愛好する絵画かな、絵画を好きな人だった。
結構でも評論とかすごく、中傷的な概念をすごい使って書くやんか。だからああいうのをお父さんが読めたとは私はあんまり思わないんだけど、でもすごい感性の人だったから、なんかこれを見てたんだと思って、絵とかを眺めてただけかもしれないけど、なんだかねすごい不思議な気持ちになったり。
なんか本を通じてお父さんとつながったというか、ちょっと。
なんかあんまり生前そんな話したりとかしなかったからさ、特にその内面に触れるような話っていうのはしなかったから、すごいね不思議な感覚だった。
そのね、亡くなった後に内面に触れるような体験を、時間を置いてするっていうのってね、なかなかやっぱ本が持ってる一つの側面かもしれないなと思ったりしましたね。
それこそこういう本を読むことで、その時代の空気感を今にちょっとなんか持ってこれたりとかさ、で、今の空気感もたぶん100年後の人とかが、その本がもし残ってれば、その世界観とか価値観とかは空気感をまた体験したりっていうさ。
そうやんね、そうやんね。
遅い手紙みたいな良さが本にはあるななんて。
そうやんね、そうやんね。
思ったりするやって。思ったりする。思ったりします。
でも、それですごい面白いなと思って。
ちなみに青岸を読んでて、またちょっと脱線、脱線ってないやろな。
脱線などない。全部本編やから。
今日は特にそうやな。
特にね。
テーマがね、そんなある日じゃないから。
そうです、そうです。
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そうそう、それでその青岸を読んでて、私の好きな作家の一人トーマスマンの話も出てきたりして。
トーマスマンが神の剣っていう短編を書いてるんだけど、確か岩波のなんか短編集に入ってたと思うんだけど、それがすごい印象的な始まり方をする。
ミュンケンは光り輝いていた。
あー、いいな。なんせかカミユの、なんだっけ、今日ママが死んだだっけ。あれ?
異邦人か。あれをちょっと思い出した。
なんか急な印象的な、ボッて立ち上がってくる。
そう、で、その後、本当に臭い立つようなミュンケンの描写が続くんやけど、
で、青岸もミュンケン、全員がじゃないと思うけど、ミュンケンが大舞台としたその芸術活動も含まれてたりして、なんかすごいその、ふわーっていう空気感を味わってすごい、
なんだろうな、読書してるけど、あんまり読書してるっていうよりちょっと歩いてるみたいな。
旅したりとかね、散歩したりとか。
そうそうそうそう、そんな気持ちに、タイムクリップですね。
最高の読書体験ですね、それは。
ほんと、あらすじ読むとかでは絶対に。
そもそも体験できない。読書体験やからね。
そうそう、適当に言ったけども、この番組をめっちゃあらわしてるよね。
そういう番組やから聞いてくださってんのかなって、なんか思いますけどね。
そうやんね、そうだと思います。
だって、この時代、そういうようやくとか、あふれてるもんね。
あふれてる、どこでも手に入るから、すぐに。どこでもはちょっと言いすぎや。
むしろここだとようやくはあんまり手に入らない。
手に入らない。
読んでやから。
でもあれですね、ちょっとこう、その紹介した本を読んでくれて、またその違った視点から紹介してくれるっていうのはすごい嬉しかったですね。
そういうのもいいね。しかもこの、完全に自分のタイミング。
そうそうそうそう、それがいいよ、それが。
そうやんね、そうやんね。
課題図書とかいうとなんか違うやん、そういうことじゃなくて、自分のそのタイミングがあるから。
自分が読みたいときに、その課題図書っていうかね、テーマを決めてやるのはいいけど。
そうやんね、そうやんね。
なんかね、そう。
なんかついさ、その、あの、そばきさんが紹介してくれた本でも、うわぁ面白そう、面白そう、面白そう、とか毎回思うねんけど、
なんかそっちを読んじゃうと、自分が紹介する本がなくなっちゃうと思って。
えぇー、いやいやいや、私そうしてもらわなかった。
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あ、ほんま?
めっちゃもう、自由気ままな読書ライフ。
だからこう、気になりながら、だから欲しいものリストに本がめっちゃ増えてくる状態なんやけどさ。
私でもそれ、あれかも、所有の、所有で欲を満たして、いったんこう、
はいはい、積読リストに入れるっていうね。
なんか、プレッシャーを感じず、でもなんか、読んでもないのになんか、積読したらなんか、お前は俺のだかんみたいなのが、できて、なんかバランスするのかもしれない。
なるほどね、私はあんまり所有しないのでね。
それはあるかも。
その違いありますね。
これまた想定がいいんですよ、話がもう唐突に戻るけど。
そう、想定がいいよね。
そう、優雅な生活が最高の復讐である。
羽元さんどこやったっけ?
タバタ書店やった、あんま知らん。
タバタ書店?
あー、知らへんなー。いいよなー、なんかこの、なんていうんですか、このレイアウト?
そうだし、サイズと、ハードカバーなんですよね、ちっちゃいんですけど。
文庫よりちょっと大きいくらい?
そうだね。
不定形やんな、これ。
多分不定形やね。
カバーじゃないや、帯もついてて、それはなんか読むときにちょっとあれで、捨てたんだけど。
いい帯だったよね、半透明な感じの。
あー、ちょっと大きいね、やっぱり文庫より。
文庫とちょっと今比べたんですけど、そうですね。
でも文庫を、サイズをハードカバーにしたみたいなサイズかな。
確かに確かに、本文は文庫っぽいな。
文庫っぽいね。
こういう感じみたいですね。
ね、これでハードカバーってなんか可愛いんだよね。
可愛い。
そんな子が本棚におったら、もうなんかときめいてしまう感じがする。
そうやんね。
食べようとしてました。
なんかそう、ちょっとね、シルバニア感っていうのも、ミニチュア感もね。
そう、ミニチュア感が可愛いよね。
で、その、レイアウトっていうか、想定も可愛いし。
可愛いよね。
ちょっとね、なんか時代が生まれていく中で、自分らしくって言ったら、ちょっとなんか安っぽいよって思えるけど、
なんていうんやろ、自分たちとしての暮らしを、うまく言えないけどね。
ね。
でも変わっていく中で、でも。
スタイルを貫いているってことかな。
そうね、そうね。
まあまあならないこともね、ある中で。
うんうん。
ジェラルドマーフィーさんが、そんなに生涯に。
あ、ジェラルドマーフィーさん自身もその、画家として活動されてた時期があって。
でも、多散な方ではなくて、今残ってるのが10作品とか、生涯で。
僕が活動した期間も短かったんじゃない?
あ、そう、そう、すごく短くって。
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で、残ってるのはもう10点ないぐらいなんだけど、それの残ってる作品の写真なんかもあって、それもすごいいいんですよね。
語彙力。
確か、モマに飾られてる。
あ、そうそうそうそう。
ニューヨークのモマっていう。
現代美術館。
そうそうそう、現代美術館。
なんか、その当時ってやっぱり機械とか技術とかに対して、今よりももっとキラキラした気持ちっていうのをみんな持ってた時代。
ちょっとやさぐれた気持ちを持ってる気がするもんね。
ちょっと怖いというか、あんまりキラキラとはひもなくなってきるんやけど。
なんか、これからこんな新しいものが生まれて、どうなっていくんだろうみたいな気持ちを、ちょっとプラスの気持ちみたいのを感じる時計っていう、時計の中の機構、メカニカルな部分をちょっと技学化というかしたいような絵画とか。
でもなんかその、モチーフの選択っていうのにもやっぱりその当時の空気っていうのを感じたりとかして、面白いですね。
時計なんか、なんか管理社会とかさ、なんかネガティブなイメージにちょっと使われたり申しするようなゼンマイとか、もうさ、社会のゼンマイの一個になるとか。
だけどその絵はちょっとポジティブな印象を受けるよね、そのものに対して。
なんていうの、ちょっとスチームパンクじゃないけど、社会が変わっていく一つの。
浮き浮き感というか。
そう、象徴っていうかね。
うん、があるよね。
今回は一冊の本をじっくり紹介する、もう一回紹介するっていう回でしたね。
いいよね、そういうの。
うん、ね。
また思い出してもらって、また本を見てもらう機会になったらいいなと。
うんうん、同じ本を2回読んじゃいけないという本は。
ない。
ないない。
そうだそう。
はい。
なので、ぜひぜひみなさんも手に取っていただけると、優雅な生活。
優雅な生活?
その本でいう意味のね、優雅な生活。
ね、の助けになったりもするかもしれない。
はい。
ではみなさん、また良い読書体験を。
良い読書体験を。
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