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2024-09-06 23:21

Ep.80 最近何読んだ?ほっこりエッセイから痛みを感じる本まで

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本の世界にゆったりと浸れるエッセイから、90年代の少年少女の切迫感を描いた漫画まで、最近読んだ本について縦横無尽に紹介します。

【紹介した本】

・小川糸「今日の空の色 」幻冬舎文庫
・寺地はるな「川のほとりに立つ者は」双葉社
・岡崎京子「リバーズ・エッジ オリジナル復刻版」宝島社
・魚喃キリコ「blue」東京ニュース通信社

【よりぬき】

・小説家の理想的な暮らしを描いたエッセイ
・片方向からの人間関係を描いた小説
・90年代前半の空気感をまとった漫画
・思春期の切迫感をうまく描いた漫画

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生物学者と書店員のインターネットラジオ、本の虫のススメ。
本を偏愛する生物学者の椿と書店員の佐藤が、本にまつわるアレやコレやをゆるっとお届けします。
はい、今週も本むすの時間がやって参りました。やって参りました。なんかしっとり始まるね。
そうそう、ちょっとね、あの、旅館のおかみみたいな、知らんけど。
夜を起こしやすみたいな。
そうそうそう、そういう感じでちょっと今日は、やってみようかな、9月だしみたいな。
なるほど、ちょっと秋にも差し掛かりつつあるし。
そうそう、ちょっとしっとり。
しっとり。
よくわからんな。
よくわからんな。
そんな感じで、秋の夜長に、そろそろね、差し掛かってくるかなぐらいの。
うーん、読書の秋ですよ、読書の秋。
読書の秋、そう。
はい。
ネットインってね、きっとまだ暑いんでしょうけど。
そうですね。
私らのギャップがちょっとあるんでしょうね。
ちょっとね、あの、中六なんでね。
予想でしゃべってます。
予想でしゃべってます。
まあ、そんな感じで、読書の秋が近づいてきている中ですが、
さつさん、最近何か面白い本読みました?
なんかね、理想の生活みたいなのが描かれてる素敵な本に出会いましたよ。
え、気になる。
何がってさ、本もやけどさ、
さつさんがどういうのを理想の生活としてるかっていうのが気になる。
えーとね、じゃあ紹介しますけど、
小川いとさん、検討者文庫から出てる、今日の空の色っていう本ですね。
何が理想か言うたらさ、
なんかパートナーの人がいるんやけど、
なんかその人と一緒に住んでる東京の家をリフォームすることになったから、
数ヶ月だけ鎌倉のほうにちっちゃい古い家を借りて、
一人暮らしをその人とは別に暮らして、やるっていうので、
で、朝なんか早起きして、
で、ちょっとなんかお湯沸かして、コーヒー飲むの待つ間に、
ちょっとこう床掃除したりとかして、
で、ちょっとぼーっとして、鳥の声とか聞きながら、コーヒーゆっくり飲んで、
で、そっから文筆業、仕事して、
で、午後はちょっと出かけたりして、みたいな、
なるほど。
なんかもう、余裕自適なわけよ。
なるほど、余裕がありつつ、
でも、執筆っていう、なんか、自分の表現じゃないけど、する手段もありつつ、みたいな。
そうそうそうそうそうそう、なんかその、
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マイペースに暮らしながらも、なんかいろんなその、周りの自然だったりとか、
周りの人とか、そういうものとも関わってるみたいな。
わかるわかる。
もう理想、みたいな。
理想だったら確かに、そうやわ。
最高。
で、夜になってきたら、
しかもその鎌倉の家が、屋上とテラスみたいなのがあるんよ。
ほうほうほう。
で、そこ、それが森に囲まれてて、鳥とかいろんな生き物が遊びに来るんやけど、
タマムシとか出そうやな。
たぶん撮れると思う。
コウモリとかもいるんちゃうかな。
で、そこで夕方になったら、ちょっとこう、ビール片手にテラス席で飲みながらちょっと、
理想やな。
最高やろ。
みたいな、こう、体をよじって、こう、もんどり打つぐらい、うらやましい生活をしてあるんやけど。
なんか、その生活のぶりが、もちろん理想的でもあるし、
なんかすごい、語感に訴えかけてきて、いいよね。
その、実際に小川伊人さんが鎌倉で生活してる、その生活ぶりを、
実際に自分も小川伊人さんの目で見て、鳥の声を耳で聞いて、
鎌倉のちょっと湿った空気を感じながら、呼んでるような、
なんか、そういう、その、書きぶりがうまいなぁと思って。
エッセイ?
エッセイで。
そうなんや、そうなんや、なるほど、なるほど。
で、その鎌倉で過ごした日々を中心に、というか。
そうそうそうそう。
まあ、バカンス、バカンスじゃないけど、まあちょっと、
回想の間。
回想の間、暮らしてるみたいな。
へぇー。
じゃあ、けっこう何かが起こって、ドラマチックみたいなのがなくて。
ああ、ではなくて、そう、生活の一部をちょっと切り取っているような。
で、その中でも、小説を執筆してて、新しくこの本が出ましたとか、なんかそういうことが書かれてたりして。
小説家のリアルなその、本当に素敵な生活を、ちょっと覗かせてもらっているような、
そういう意味でも、またこうほっこりするような、いいエッセイですね。
なるほど。
やっぱり、小説とかって、まあ人によるんでしょうけど、
ある程度その、余裕がないと、書けなそうだよね。
ああ、そうやね、そう思うね。
苦しみの中から生まれ、小説みたいなのもあるかもしれないけど。
そうそう、だからね、人によるんやろうけど。
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そういう生活の中でっていうのは、何か私たちの思う、けっこう小説家像の一つかもね。
うん、かもしれないね。
ちょっと理想の、小説家の生活像の一つやな、というふうに思いましたね。
だから、素敵ライフを覗いてみたいなっていう人も、いいかなと思いました。
確かに、確かに。
で、もう一つ全然違う小説読んでて、これもちょっとお勧めしたいなと思う本があるんですけど、
小説ですね、今回は。
これは小説ですね。
寺地春奈さんっていう方、双葉社から出てる、
川のほとりに立つ者は、っていう小説です。
うん、いろんな内容。
えっと、そのカフェ店員の店長さんをしてる女性が主人公なんやけど、
なんかその人が、いきなりその病院から連絡を、電話を受けて、
恋人が、意識が戻らないんです、みたいな連絡を受けるところから始まる。
重いね。
重い、そう。
その恋人とは、ちょっとなんかこう、添えんじゃないけど、ちょっとこう、
ちょっとなんていうかな、仲違いして、少し距離を置いてる状態。
やったから、なんでこんなことになってるんやろう、みたいなのが、全然わからない状態。
なるほど。
で、二人が意識がない状態なんやけど、
主人公の恋人と、その恋人の親友みたいな男の人がいんねんけど、
で、その二人が、なんか目撃した人の情報によると、
喧嘩して、で、暴力振るって、で、お互いがこう転げ寄って、
歩道橋のところから転げ落として、意識を失ったみたいな。
交通事故とかじゃないんだ。
っていう、ちょっと不穏な感じなんやけど、
でもその恋人は、誰かに暴力を振るうなんてことは絶対ないような穏やかな人のはずなんや。
その主人公から見たその恋人っていうのは。
やけど、そういうことがあったんですっていう、ちょっと謎が一つある。
なんでそんなことになったんやろうとか、本当にそんなことがあったんやろうかとか。
って謎があったりとか、
あと、恋人が意識を失ってる間に色々ちょっとこう、知らなかった事実みたいなのが浮き彫りになるんやけど、
実家との関係があんまり良くなくて、
で、実家のお母さんとかお父さんとかが言うには、
こいつはもう暴力がひどくて手がつけられない子供だったみたいなことを言ってたみたいな。
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でもそれは、全然自分が見てたその恋人像とかけ離れてるもので混乱するみたいな。
で、そんな中でその恋人が書いてたノートみたいなものがあって、
そのノートを見てまたちょっとなんか色んな、その意識を失ってるその相手だったりとか色んな人とのちょっとこう、
絡みが明らかになっていくっていう。
ちょっとサスペンスっぽいような。
ちょっとサスペンスっぽいような要素がある本やね。
だからなんでこの恋人が意識を失ったんやろうっていうところも気になるし、
どうなっていくのか、その恋人の意識が戻るのかとか、恋人とその主人公の関係はどうなるのかとか。
それも恋人が意識がない状態やから、
一方的にその色んな事実を知ることで、関係性が一方的に変わっていくっていう面白さがあって。
なるほどね、確かに確かに。
人間関係だとなかなかないパターンだよね。
そう、なんかやっぱり双方向で色々言ったり言われたことで関係性変わったりするけど、
何か知らなかった事実を知るっていうことで、一方が失ったまま一方が、あれこういう面やったんや、こういう面やったんやとか、
私が信じてたこの人ってどういう感じやったんやったっけとか、
なんかそういう心の揺らぎが描かれてたりとかして。
なるほど、なるほど。
面白かったですね。
結構あれに言えない要素が。
そうですね。
小説あるあるですね。
小説あるある。歯に物挟まったみたいな言い方になる。
またね、今度ネタバレ回もしたいねっていう話。
ぜひね。
ずっとしてるけどね。
ずっとしてるよね。
何のネタバレがいいでしょうね、今度の本はね。
それを選びきれずにというところがね。
一回50peopleっていう本でやりましたけど、あれも好評やったからね。
確かに、ああいう歯に物を挟まらせない回もね。
いいですね。
周りの人でホーム数を聞いてくれてる人から、
50peopleの回だけ聞いてないんですっていう。
それは本当にありがたいね。
ありがたいね。大事に持ってくれてる。
日本武蔵ってね、持ってくれてるって。
あと買いましたっていう意見とかいただいて。
すごいありがたい。本当に本当に。
なかなか良い本が多すぎるっていうのは問題ですよね。
問題?
選びきれない。
本当に。
さっきの川のほとりに立つものはっていうの、タイトルが結構いいなっていう。
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そうなんだ。
これも説明してしまうとちょっと壊れなんで、もったいないんで説明できないんですけど。
川のほとりに立つものってそういう観点だったんかっていうのが最後の方で明らかになって。
なるほど。
言えない。言えないけど、いいなっていう。
結構問題行動を起こしたりとか、一癖も二癖もある人物が何人か出てくるんですけど。
その人物を悪く書いてないっていうのもこの小説のいいところやなと思って。
問題行動をするのにはその人自身じゃなくて、その問題行動をすることになったその原因が悪いっていうような。
なるほど。
悪い悪いというか。
背景を丁寧に。
そうそうそう。描いてる感じがあって。
なるほど。
例えばカフェ店員の部下の一緒に働いてる人が、全然仕事ができないみたいな感じで主人公を怒ってたりするんですけど、
実はカフェ店員さんが発達障害を持ってて。
だからその、何だろうな。
例えば、主人公が過労で倒れてしまうっていうシーンがあるんですけど、
主人公のそのことを見ててって言ったら、目で見るっていうふうに理解して。
なるほどなるほど。結構あるやんね、発達障害でよくあるコミュニケーション。
そうそうそうそう。で、見てましたみたいな感じのコミュニケーションがうまくいかなかったりっていうので、仕事がうまく立ち行かなかったりっていうのがあるんやけど、
主人公はそれが発達障害が原因になってるっていうのがわからなくて、なんで仕事できへんやみたいになっちゃったりとかして。
苦しいよね。
でもなんかそういうふうになってしまう人間の心もわからないではないし、その原因がわからない以上ね。
でもその発達障害側の苦しさっていうのも描かれてるし、なんかいろんなサイドから、
主人公は一人で一方的な目線で描かれてるけど、でもこういう目線もあるよね、ああいう目線もあるよねっていう意味で、
うまく言えないんですけど、視野が広い物語だなっていうふうに思いました。
で、そういう生きづらさみたいなところで思い出した最近読んだ漫画が2冊あるんですけど。
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ほう、漫画。
漫画。これもね、古いけど有名なんで知ってる人は多いんじゃないかなと思うんですけど、
1冊目は岡崎ぴょうこさんのリバースエッジ。
知らんな。
もう1冊はナナナンキリコさんっていう方のブルーっていう本。
いや、私は両方知らないな。
どっちもちょっと同性愛的な漫画の要素があるんだけど、
リバースエッジの方は、美少年、美青年やけどちょっと不思議な存在感のある青年がすごいいじめを受けてて、
それを助ける女の子とその少年を主に描いてる話なんですけど、
90年代の漫画なんやけど、特有のどこにも行けない感とか、切迫した感じというか、世紀末感じゃないけど。
そうやね、ちょっとまだ後継期の残り感みたいなのがあって、いけいけのこれがいい生き方みたいな、バシってあるみたいな雰囲気があったよね。
それに強く意を唱える青少年だったりとか、四周期ぐらいの人の強い切迫した心みたいなものも現れてて、
例えばその接触障害を持ってて、食べ過ぎてしまうモデルの女の子が出てきたりとか、
オムニバス形式みたいな感じ?
オムニバスじゃなくて、軍道劇じゃないけど、いろんな登場人物が絡み合ってる感じ。
主人公の女の子が助けるいじめられた青年は、助けてくれたお礼ということで、自分の秘密を打ち明けてくれるんですけど、
それがまず自分が同性愛者だっていうことと、もう一つ河原の矢部の茂ったところに死体があるんですよ。
結構大きいみたいな。
そうそう。
で、その死体があって、それを見ると自分は心が落ち着くんだっていうふうに言うんですよ。
なんとも言えない切迫感というか。
で、その死体は誰が殺したとかじゃ、分かんない?
分かんない。たぶんだけど、野垂れ死んでしまったっていう感じなんじゃないかなみたいな。
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そこは核じゃないんだね。
核じゃない。
でもそこから結構事件がいろいろ起きていって、
ちょっとあんまり言うとまたネタバレになっちゃうので、言えないです。
もごもご。
もごもごしちゃうんですけど。
なんかその10代とかぐらいの時の、余裕のない感じっていうか。
分かるよ。なんか、世界がここにしかないってなってるというか。
あの時特有の張り詰めた感じ。
なんか世界がここにしかないと思っててさ、世界が膨張してるんよね。
なんか自分の周りの世界っていうものが世界だと思ってるから、
なんかそれが行き場がないともうすべてが行き場をなくしてしまうみたいな。
なんかそういう切迫感をすごくうまく描き出してるなっていう本なんですよね。
その時代感とともにすごいこう、とてもいい本。
岡崎ひょうこさんは事故に遭われてて90年代に。
そうなんだ。
でも結構体が不自由になってしまって、なかなか新しい漫画を描けるような状態じゃないんで。
ものすごく残念なことではあるんだけど。
岡崎ひょうこさんの本はすごくね、そういう意味で、
彼女にしかない世界観っていうものがすごいあって、
いろんな少女漫画の作家さんとかにも影響を与えた作家さんなので。
そういう方が今をどう捉えて描くかってね。
すごい見てみたいかったなと思いますけどね。
ただまあその90年代の初頭とかぐらいのあの感じ。
浮かれてるけどでももうなんか花火が打ち上がった最後の終わる感じみたいな。
これからどうなってくんやろうっていう、
崖っぷちに立ってるような不安感みたいなものもよく現れてて、すごくいい作品です。
もう一つ、七段キリ子さんのブルーっていう作品も、
10代の切迫感っていうのがすごい現れてる。
これはなんか女子高生のお話なんですけど、
なんか女子高生、女子に限らないけど、
中学校高校生ぐらいの時って、
今がいつまでも永遠に続くような気がしていたりして。
一日もさ、今と違って長く感じるし。
一学期なんてもう永遠みたいな気持ちだったよね。
だったよね。
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瞬きよ今なんかな。
今なんかな。
言ってみたらたった3年同じ箱の中に入れられてさ、
で、たまたま近いからとか、
そういうような理由、世代が近いとか、地域が近いとか、
そういう理由で放り込まれてるような、ただそれだけの共通項でさ、
一緒にいるのにさ、
永遠に一緒にずっといるような気がしちゃうっていう側面と、
だけどそれも、たった3年間のことだっていうことを、
うすうすはわかっているっていう、
そういう切なせいみたいなものが両立してて、
だからやっぱり切迫感っていうところに気をするんやけど、
今ここにしかないものっていうものを追い求めてたりとか、
今ここにしかない自分たちの世界っていうものが、
世界のすべてだって思ってる感じとか、
その辺の切なさとか、ナイフで切られるような痛い感じ。
あ、痛たたってなるようなこの感じ。
自分がやっぱりこのぐらいの頃の気持ちというか、がよみがえるみたいな。
よみがえるし、それをすごくうまく書いてるなっていうふうに思いますね。
という感じでですね、脈絡なくいろんな本を紹介しましたけれども、
最近読んだ本ですからね。
最近読んだ本ですからね。
いいんですよ、脈絡なんて。
という感じで、また来週も楽しみにしていただければ幸いです。
よい読書体験を。
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