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2024-04-26 22:36

Ep.61 コンクールをめぐる人間模様を描いた本、この世を呪い倒す本

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今回はコンクールをテーマにした恩田陸さんの著作2冊をご紹介。本屋大賞も受賞した有名な「蜜蜂と遠雷」ですが、意外と正確なタイトルを言える人は少なくて......?
そこから、つばきがどうしても正確なタイトルを覚えられない本の話に。絶望の仕方も人それぞれだと知る本もご紹介。


【紹介した本】

・恩田陸「チョコレートコスモス」角川文庫

・恩田陸「蜜蜂と遠雷」幻冬社

・E・M・シオラン「生誕の災厄」出口 裕弘 (訳) 紀伊国屋書店


【よりぬき】

・コンクールをめぐる人間模様

・天才の苦悩、凡人の苦悩

・惜しい!正確な書名を覚えるのは意外と難しい

・この世に呪詛を吐きまくるシオラン

・突き抜けた呪詛はむしろ心地よい

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生物学者と書店員のインターネットラジオ、本の虫のススメ。
本を偏愛する生物学者の椿と書店員の佐藤が、本にまつわるあれやこれやをゆるっとお届けします。
4月もいよいよ終わりに差し掛かって、皆さんそろそろゴールデンウィークでお休みだったりするんでしょうかね。
ね、そろそろね。
私はあまり、その、小読みが関係のない生活を送っているので、あれなんですけれど。
今回はでも、今回というか、今年はちょっとそんなカレンダー良くないですね。今見てたんですけど。
27、8、9とお休みで、
お休みというか、カレンダー通りだったら休日で、で、31、2とお仕事して、また3から6がお休みって感じっぽいですね。
なんか身が入らなさそうやね、その中の。
中のね、そう。
ふわふわして。
お休みとってね、帰省される方とかも多いんじゃないですかね。
有給を取れば長く休めるかな、みたいな感じやね。
そういう時って、私もそんなまともな仕事あんまりしたことないですけど、
結構やっぱり休む人が多くて、結局仕事の量が言うほど多くなかったりね。
クライアントがそんな動いてなかったりとか、そういうのはあるような気もしますが。
なるほどね。
ゆっくり皆さんもできるといいんですが。
椿さんは本を読まれるんですかね、ゴールデンウィークもね。
読むんじゃないですかね。
すごい。
他人事。
なかなかね、いろんなことしたいことがたくさんあるから、
結局全然本読まんかったみたいな。
それもあるよね。
全然ありそう。
ありそうありそう。
読書ポッドキャストでありながら。
本読まんかもっていう話をするっていう。
実際でもね、自分のタイミングというか、結構波ってあるやん。
あるよね。
めちゃめちゃ本読む時と、なんか読まない時と。
あるあるある。あれなんやろね。
やっぱり、ブームなんじゃない。
ブームなんかね。
結構実は最近あんまり読んでないから。
私もまあまあやな。
最近ね、読んだ本で一冊ね、ちょっと面白かった本があるんで紹介したいなって思うんですけど。
オンダリクさんの有名な作者さんのチョコレートコスモス。
タイトルから想像つかない。
本ですね。
どういう話?チョコレートコスモス。
まあ簡単に言うとオーディションの話かな。
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オーディションとは。
役者さんを決めるためのオーディションにまつわる話。
お仕事もの中か業界ものみたいな感じ?
ああ、いや。
そういうわけではない?
ちょっと違うかな。というよりかはその、
役者個人個人の心の動きとかを追ってたりとか、そのオーディションっていうものを通して、
自分の俳優の人生を見つめ直したりとか、
あまり言い過ぎてもあれなんですけど、
芸能一家みたいなところで育った、
サラブレットみたいな芸能人の俳優さんというか女優さんが出てくるんやけど、
でも自分のいわゆる天才みたいな人で、
なんとなくスルーっと仕事を子役からやってこれちゃって、
自分に実際その俳優として仕事を本気でやっていくっていう覚悟があるのか、
勇気がちょっと出ないっていうようなステージに立ってるとか、
そういうなんかそれぞれの人の立場での悩みとか葛藤とかを結構描いてる感じ。
じゃあ一人の主人公がいてっていうんじゃなくて、その一生ごとに違う主人公がいてみたいな?
あのね、短編連作みたいな感じではなくて、結構絡み合いながら、
何人かの主要人物の心の動きとかっていうのを見ながらちょっとそのオーディションが進んでいくっていうような。
オーディションはじゃあ一つのオーディションなんだ。
そうですね一つのオーディションですね。
なんかいっぱいオーディションがあるような印象を受けてた。
じゃない大きなオーディションがあるんだけど、
そのオーディションが結構謎めいてて、
2人の女性を起用するっていうことは決まってるけど、脚本もまだ完成してなくて、
誰をどういうふうに起用するのかも決まってないみたいな。
でその2人の女性の関係性ももちろんわからないし、年齢も決まってない。
だから子供かもしれないし、おばあちゃんかもしれない。
自分が真面目に役者やったらって今考えて応募できないな。
でしょでしょでしょ。
だけどそのオーディションするのがものすごいこう、
この先生の元の作品やったらもう拍がめちゃめちゃつくよみたいな。
黒沢明みたいな。
そうそうそうそう。黒沢明が主催するオーディションってなったら。
なるほどな。役わからんでもいっぱいみんな行くよね。
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行くやんかっていうところで、でも詳細が明かされないっていうので、
勇気が試されるというか。
なるほどね、覚悟っていうか。
覚悟も試されるし、でそのオーディションの内容がまだちょっと特殊で、
ものすごい実力を突きつけられるような感じなんですよ。
だからその今まで自分が貯めてきたその俳優としての実力が白日の下に晒されてしまう恐ろしさとか、
それに立ち向かってやっていけるのかっていうところとか、
まあまあそういういろんなところが描かれてて面白いんですけど。
なるほど、なるほど。
結構じゃあ言い方は陳腐になるけど、人間ドラマじゃないけど。
そうそうそう、描かれてるのが上手い。
でそのオーディションが謎に満ちてるっていうところで、
一体どういう風になるのとか、
それからその黒澤明みたいな。
監督とか。
そうそう有名な人からオーダーを受ける脚本家っていうのも出てくるんだけど、
その脚本家もどういう話にするのかっていうのが全然浮かばなくて悩んだりとか。
なるほどね、いろんな立場の人が。
人の葛藤みたいなものが描かれてて、すごいこう面白い引き込まれる作品なんですよね。
でちょっとあのだから似てるなって思った作品があって、
思い刷面白かった作品なので紹介というか、でも有名だから知ってる人多いと思うんですけど、
三橋と縁来。
同じ女力さん。
タイトルしか知らんけど。
本屋大賞も確か取ってたと思うんですけど。
これもコンクール。
これはピアノのコンクールを元に描かれてて、
オーディションもそうだと思うんですけど、役取れるかどうかっていうものの競争じゃないですか。
天才って言われる人にはその天才って言われる人の悩みがあるし、
で才能がないけど、努力で上がってきたみたいな人はそれの人の天才に対しての嫉妬心だったりとか、
自分に対しての、
歯がゆさだったりとか、
自信のなさだったりとか、いろいろなんかこう、
ピアノのコンクールなんですけど、この三橋と縁来は。
そんなにその一般的な世界の話じゃないやん。その役者さんもそうやし。
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ピアノもそうやし。
だけどでもなんかその、そういう天才に対しての歯がゆさとか、
凡人であることの苦悩とか、そういう意味ではそのいろんな人に共通する人間っていうものをよくうまく描き出してるなっていう。
なるほど、なるほど。描かれてるね。その対象はちょっと自分に関係なくてもね。
そういう真理っていうのは共通してるもんね。
オンダレクさんのその文章がすごい、文体が素敵で、
そうなんだ。知らなかったな。
三橋と縁来はね、
タイトルがもう綺麗やね。
綺麗やね。
その縁来の音とか、そのなんか天才が出てきて、
すべてのこう自然物の音がこう、
ピアノの音に変換されるっていう才能がある子が出てくる。
なんかすごいね。
すごいよね。
ハワイアンみたい。
ハワイアン?
フラの後ろで鳴ってる音楽とかって全部自然の音で表現してるみたいな。
そう、そうやね。それを地で言ってるみたいな感じやね。
なんかプリミティブな感じやけどさ、ハワイアンは。
伝わらなかったな。
そうそう、そのなんか天才が出てきたりするんやけど、
なんかその文体も、
これはそのピアノの主要なアイテムっていうんですか、
になってることもあってか、
なんか音楽を聴いてるみたいな読み口だよね。
これ感覚的なものなんで説明しづらいんやけど、
いやわかるわかるわかる。
なんか本当にこう文章を読んでるんやけど、
音楽を聴いてるのと同じようななんか脳の捉え方をするというか。
私でもそう結構。
あ、そうなの?
小説、小説あんまりむしろないかな。
エッセイとか読むときそう。
へー、音として。
音っていうか、音楽聴いてるのと似た感じ。
似た感じ。
あれなんなんやろうね。
わからんけど、だから結構私音楽聴きながら本読むって結構苦手。
前ね、どっかの収録のときも言ってたもんね。
そう、だからもう多分音楽聴いてるのと似たような感じのところがもう。
ごちゃごちゃになる。
そう、ごちゃごちゃになる感じだし。
へー。
難しくって。
クラシックなら間切り。
あの、人の声が入ってないから。
あとまだ、あとジャズとかも厳しいなって感じ。
ジャズはなんかちょっと人間っていうものが出てる感じがするもんね。
そう、ちょっとね、だからあんまり私は音楽と聞かないんですけど。
うーん、なんかちょっと話が変わっちゃう、書店目線の話がちょっと変わっちゃうんですけど。
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いいね、いいね。
三橋と遠来が本屋大賞を取った、確か取ってたはずなんですけど取ったときに、
やっぱり話題賞になったんで、すごい問い合わせが殺到してたんですけど、
結構その三橋と遠来って正確に言える人が少なくて。
確かに確かに、そうかも。
蜂蜜と雷はないですからね。
でもわかるな、わかるな。
言いたいことはわかるよね。
あー惜しいみたいな。
三橋となんかそういうのなかったですかとか。
なんか人間の記憶力って面白いなって思うんですけど。
そこでさ、バンと三橋と遠来出されたら、それそれってなる程度には。
にはあるのに。
関連性はあるんだけど言えない。
またよしさん、芸人のまたよしさんが、
芥川賞でひばなかを受賞したときも問い合わせが殺到したんですけど、
花火っていう人がどんだけ多かったか。
あーそうやろうな。
でもそれさ、一回間違えた覚えたらもう直らへん人もいっぱいいるやん。
そういうのってあるあるやろ。
それで言うと、私ずっと名前を間違えてて覚えてて、
言えなくて困ってて、今もどっちかみんと言えない本があって。
なにそれ。
手元にあるんですけど。
しおらんっていうルーマニア人の人がフランス語で書いた。
なんなんやろこれ。
随筆でもないし。
今でも自分の思ったことを書き殴るみたいなのをした本で、
生誕の厄災。
おー覚えにくそうやな。
っていうのがあるんやけど、生誕のまではいいねんけど、
最悪と厄災ってさ、どっちでもさ、ほとんど同じ意味やんか。
翻訳の問題でもあるんやけど、日本語の放題は最悪なんですよ。
最悪の放題ね。
どっちやったっけって。
厄災やっけって。
これがめっちゃおもろいんですよ。
どんな本って難しいかもしれないけれど。
いや、意外とこれはそうでもなくて、
このしおらんっていう人が、
反出生主義っていう、生まれてきたことは不幸だっていう立場。
生きづらいな。
うん、なるほどね。
なんだけど、その人が書いた、生まれてきたことを呪う言葉で、
全編満たされてる本やねんけど。
すごいなー。
これ最高。
恨み帳みたいなもんやね。
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そうそうそう。
これ想定もよくて、
その中で多分、表紙のデザイナーの人が痺れた本か、
編集者が痺れた言葉かわからんけど、
中の罵声が一部載ってて、
そこに例えば書いてあるのは、
生まれたという屈辱を未だに消化しかねているとか。
つらい。
中にあって、よく印象に残ってるのは、
私は様々な愚を犯してきた。
父親になるという愚を除いてはとか。
本当にね。
すごいなー。
一冊の本は延長された自殺だとか。
ひどい。
すごいマイナス仕事やった。
そうそうそう。
でも一周回って、元気出てくるね。
ほんまにほんまに。
逆にね。
そう、読んでほしい。本当に。
太宰治さん読むと元気になんねんけど、
そんなようなもんかな。
あそこまで行っちゃえばみたいな。
そうそうそうそう。
生まれてすみませんとまで言っちゃうんやったら、
もういっかみたいになる。
あの感覚かもしれない。
そうそうそうそう。
なんかもうすごい、
全部音読したいぐらい面白くて。
全部音読。
結構分厚い本ですよね。
分厚いけどほとんど地理ないから。
ほとんど地理ない言い過ぎか。
言い過ぎ言い過ぎ。
感覚湧いてる。
そうそう。
私も字が詰まってるほど得したなって思うタイプの読者なんで。
本気のね。
読書家の方のね。
そうそうそうそう。
いやこれ面白いんで。
ほんとになんか次々とこう、
すべてに絶望していくんで。
カフカみたいな感じかな。
あーちょっと分からん。
私カフカって変身と死霊しか読んでなくて、
あんまりその2作で。
あと短編はまあ読んでるかな。
でもあんまり絶望のイメージなかったな。
ちょっと何年か前に話題になった本で、
絶望名人カフカの人生論っていう。
あったな。流行ってたな。
カフカがこうネガティブなことを言いまくってるのをこう、
名言集として集めてるっていうものなんですけど。
どうなんやろうな。なんかでもその、
カフカのそういう部分って私あんまりちゃんと見てないから分かんないけど、
詩をらん読んでて、
面白いなって思うのが、
話題とかその、
テーマがもうかき殴ったみたいな感じ。
だから守備一貫した世界像みたいのを、
自分の中で作りたいっていう気持ちもなんか、
あーない?
なさそうな感じ。
でなんかこれが理想だっていうものがあったらよかったのにみたいな気持ちもあんまり感じなくて、
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ただただなんか、
もうだから生まれてきても、
生まれてくるんじゃなかったっていう。
どういう人生を送ったらそういう価値観になるんやろうね。
いやでもどうやろう、私結構わかるけどね。
本当に?
だからこんな喜んで読んでるかもしれない。
喜んで読んでる。
でもなんか読書が好きな人ってどっかにそういうなんかこう、
なんていうんかな、陰性というかさ、
そうかも。
なんかこうネガティブさっていうものが持ってるような気はするから。
本を読む人だったら。
なんかやっぱりその、なんやろうな、
生きてて周りに自分が血肉を持ってこう感じる世界ってさ狭いし、
いつもやっぱり似たようなものになるんじゃない?
それに対してやっぱりちょっと不満足な気持ちがある人が本を求めやすいかもしれない。
自分だけでは経験しえないものを知りたいっていうところやんで。
そうそうそうそう。
しかもこれ面白くてさ、面白いっていうかそう言ったらなんやけど、
このしおらんってでもめっちゃ長生きしてて、
90何歳ぐらいまで確か生きてて。
それも含めてすごいいいなって思うね。
30とかで亡くなるんちゃうんや。
違う。
生まれたことを呪いながら90まで生きるんや。
だから結構なんかそういう楽しさもあったんちゃうかな。
呪う楽しさ。
呪う楽しさね。
なんか逆転してなんかさ、
なんか2週ぐらい回ってる感じがするけど。
なんかこれやったかな。
違う本で読んだんかもしれんけど、
しおらんがどうやってそんな絶望ばっかりしてて生きていけんのみたいな聞かれることあるけど、
毎日シャツを着替えるようにその日の絶望を着替えてるからだみたいなの言ってて。
楽しそうやな。
そうやろ。
そうやろ。
そんな感じ、そんな感じ。
明るいよね逆に。
明るくそう、明るく絶望してんのよ。
だからちょっとあんまり真面目に落ち込んでる人は読んだほうが逆にいいかもしれない。
シャツを着替えるように落ち込めばいいやって。
そう、シャツ着替えれるかもしれへん。
独特ですごい。
面白いね。
もし本当になんかこう重苦しく絶望してたならば91までは生きられないような気がする。
私もそう思うね。
するよね。
そう思うね。
だからなんだかんだ言いながら楽しんでた。なんか悪口じいさんみたいな感じかな。
そうかも、そうかも、そうかも。
その悪口が一人一人のその時のタイミングではまる悪口がきっとあるんちゃうかなって感じ。
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なるほど、なるほどね。
知らんけどね、もうちょっと真面目にいやお前はしおらんの何をしとるんだねみたいな感じで言われるかもしれんけど。
でも読書はまあ自由だと思うから。
そうやね。
なるほどね。
そんな感じ。
なるほど。
いろんな話になったね今日も。
本当に。
じゃあそんな感じで、また来週もきっといろいろな話をするのでしょう。
他人の。
誰?何目線っていうね。
他人目線。
でもこうやって皆さんとポッドキャストを通じて本のお話ができるのが毎週楽しみです。
ではまたお便りも待ってます。
待ってます。
良い読書体験を。
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