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生物学者と書店員のインターネットラジオ、本の虫のススメ。
本を偏愛する生物学者の椿と、書店員の佐藤が、本にまつわるあれやこれやをゆるっとお届けします。
今回も始まりました、本の虫のススメ。
今回もね、お便りムスムスのちょっと拡大版じゃないですけど、実際にいただいたお便りを紹介したいと思います。
椿さんお願いできますか?
はい、今回はラジオネーム、あ、間違えた。間違いでもないけど、本物ネーム、うきさんからいただきました。
うきさんありがとうございます。
ありがとうございます。
こんばんは。最近、本の虫のススメを知り、ご飯を作っている間の楽しみとして毎日聞かせていただいています。
嬉しい。
毎日。ありがたい。
ありがたい。
私は新卒の社会人です。新卒というと、新しい環境で余裕がなくなるものだと不安に思っていました。
しかし人に恵まれ、家も職場に近いこともあって、毎日楽しく半年が過ぎようとしています。
学生の時と比べて金銭的余裕もできたので、本も欲望の赴くままに買うことができるようになりました。
そんな私ですが、最近、あの時、例えば高校生の時とか、つらいかった時など、これを読みたかったなぁと思うことが多々あります。
そこでお二人にはこのような経験はあるかをお伺いしたいです。
また、22歳におすすめしたい本もあればお聞きしたいです。
これからも応援しています。ということです。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
嬉しいね。
嬉しい。
毎日ご飯を作る時の楽しみにして下さいっていう。
一番嬉しい楽しみ方ですね。
本当だよね。確かに。
ちょっとお供にこうね、してくれるっていうのはね。
両手がふさがってるけど、なんか耳が開いてる時ね、お供にしていただけると嬉しいですよね。
新卒22歳。お若いですね。
そうですね。
いやだからそういう結構幅広いさ、あのデータで見られるんですけど、その年齢層みたいなのが。
リスナーさんの。
ね。
が結構さ、60代以上の方も聞いてくださってるし、
10代の方もね、聞いてくださってる人がいらっしゃるんですよね。
そうそう。毎回似たような比率だから、たぶん似たような方が聞いてくださってるのかも。
ね。ありがたいね。
いやありがたい。本当に継続してね、聞いてくださる方が多くて嬉しいです。
嬉しいですね。
どうやろうね、自分がそういうそれぐらいの年齢だった頃って、何を考えてたんやろうね。
なんか私も佐藤もちょっといわゆる普通のね、大学卒業して、
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違うな、あの、4年生で就職活動して、
新卒で社会人になってっていうルートじゃないもんね。
そうなんだよね。だからちょっとなんかその、私たちのイマ、
イマジナリーな、イマジナリー新卒みたいな。
実際には経験してないからね。
でもなんかそれぐらいの感じやんな、そのなんか、社会人になって余裕はできたけど、
なんか、でもその時々でなんかこうちょっとこう、悩んでることとかあるやん。
そうやね。
やっぱりどの年代になってもさ、そういう人にもし送るとすればみたいな感じやんね。
あとは、あの、ああ、昔あのつらかった時にこの本読みたかったなぁ、みたいな。
どうですかね。
なんかちょうどつらい時には、そのぴったりくる本に出会えてるかもしれない、私。
ああ、なるほど、なるほど。
あの前回でちょっと話をしたんですけど、
あの、つんどくで置いてた本も何年か後にこう、手に取ったら、ああ、イマや、みたいな。
あるから、やっぱりなんかこう、吸い寄せられるようにして、
なんか必要な本とか欲しい情報っていうのが入ってきてる気はしますけどね。
どう、そういうのある?なんか。
いや、わかる。あの、佐藤の言うことはよくわかる。
なんか、今、例えばなんだろう、この本が昔出会えてればっていうのは、
私もそんなにないかなっていう気はする。
なんか、なんて言うんだろうなぁ。
視野がさ、やっぱり狭くなっちゃったりとか、ここにしか居場所がないとかさ、
そういうふうに思ったりした時の逃げ場が、
想像の世界だったり、本の世界だったりしたから、
時々、その時々でなんか、助けを求めて助けられてきたような気がするかな。
なんか、面白い本に出会って、なんで今まで気づかんかったんやってことはあるかもしれない。
ああ、それは、うん、あるよね。あるあるある。
そうやね、だから恵まれてたんかもね、本当の出会いが。
でも逆に、私大学、卒業して大学院に行ったんですけど、
その期間は結構なんか、本あんまり読んでなかったかも。
忙しかったってこと?
いや、というより、忙しい、忙しいのかな。忙しくはなかったと思うけど。
なんか、必死だったとは思う。忙しい。
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心の余裕がなかったって感じかな。
そうだね、お金もだし、なんだろうな、なんか、
気負いもあったのかもしれない。私の場合は、もともと文学部で入学して、
で、理系の大学院に行って、っていうのはちょっとなんか、
自分の中でちょっと距離を、本とか小説とかと距離を置くのがなんか、
今頑張ってる証じゃないけどさ。
ああ、理系としてやっていくんやぞ、みたいな。本はちょっと今は違うね、みたいな。
みんななんかね、全然そんなことないのに、そんな風に思ってたのかもしれない、今思うと。
だからその時に、今思うともったいないことをしたなと、時間もやっぱりあるには、もちろんあるしさ、と思ったりするけど、
でも一方で、その時のなにやろ、一途、一途、なんていうんやろ、一直線な感じ?
っていうのもまあ、人生には、必要というか、私の当時に戻れたとしても、
もっと効率よくいろいろできるとは思うけど、
でもそれがいいってわけじゃないよね。
そうなんだよね、と思って、なんかそれぞれの、そのタイミング、タイミングで、
頑張るっていう言い方あるやけど、常に頑張れみたいな、そういう話では全然なくて、なんて言うんだろうな。
その時にはもう、そうしようって一生懸命考えて、やってたことだから、それぞれでいいのかなとは思うかな。
なんかそういう、最短ルートとか効率性とかじゃなくて、そういう寄り道っていうか、みたいなものが、むしろその人の肥やしになってるっていう、
その人作り上げてるっていう意味で、ちょうどそのおすすめしたいなって本が、
素晴らしい流れ。
そういう内容の本だったんで、ちょうどこの流れで説明したいなと思うんですけど。
ぜひぜひ。
えっとね、何冊か本があって、それをまとめた本なんで、漢本、漢本かな、漢本っていう、
漢前のかに。
はい、本、ブックの本で、漢本道草日記っていう本があるんですよ。
道草春子さんっていう方が書かれてる漫画のエッセイなんですけど、
なかなかこれすごい、なんていうのかな、ヘビーな人生を送ってる方で、
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なんかそのこの方がね、ちょっと冗談半分に、人生が出落ちだったっていう風に言ってるけど、
パワーワードやろ。
パワーワードやろ。なんでかというと、13歳、13歳やで、13歳の時に千葉哲也さんの漫画の賞を取って、
すごい。
すごいよね、天才少女みたいな感じだったのに、でもその後ちょっといろいろ学校のこととか、いろいろなことが重なって、
14歳、だから中2ぐらいかな、で、精神病院に入院し半年。
早いわな。
早いよな。ほんで14歳から、もうほぼ学校行けなくなって、で、20歳まで6年間か、精神病院に入院っていう。
長いね。
長いよね。で、結局こういう風に漫画エッセイを出せるようになったんやけど、それが30歳の時確かやったから、
13歳で賞を取ったのに、その漫画家人生っていう意味では17年間も未熟さというかさ、
うよ曲折しまくってるねんな。
で、なんかその、私の場合はなんですけど、大学卒業前後とかの進路を決めないといけないみたいな時期って、
なんかこう、なんていうのかな、決められてるようなイメージしやすいようなレールしか想像がつかなくて、
いやわかるよ、そうだと思う大半の人が。
なんか大卒になったら会社勤めるのか、珍しい人だと起業するのか、あと大学院に行くのか、密、終わりみたいな。
いろんなものが本当はあるのに、それが知らなかったり見えなかったりしたからこそ、
だからその、例えば大学院に行けなかったらとか、会社に就職できなかったら、もう人生おしまいなんちゃうかみたいな、
なんかこう、これかこれ、なんか1か0かみたいな考え方あったんやけど、
でもそういう時に、こういう13歳から、ある意味で道草って言ったらあれやけど、
本当に自分が望んでる道と違うところに苦しんではったわけやんか、そういう人もいるけど、
でもその人の人生が、だからその17年間が無駄だったかって言ったら、絶対そんなことないやん。
その人しか送れない、その人の豊かな人生があるわけやから、
そういうものを本で読んだら、すごい助けられる気がするから、すごいこの本を送りたいなって思いました。
確かにね、今それこそ、さっきの話じゃないけど、しっくり来なかったとしても、しっくり来る時が、今後来るかもしれないしね。
この本がね、そうやね、そう思うよ。
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結構そうやね、どういう人が読んでも、勇気をもらえる本やと思うな、この本は。
そのタイミングが来てる人にとってはね。
やっぱり大事かなっていう気はする、確かに。
でも本当に、ちょっとやっぱ想像のつかない人生ってたくさんあるからさ、当たり前やけどさ、
それを覗くというか、あるんだって知るとさ、それだけで救われたりするよね。
本当に本当に。
ちょっとこの流れで、このままもう一冊紹介したい本があって、紹介しても大丈夫でしょうか。
もう一冊が、ひとり相撲っていう、これ漫画版も出てるんですけど、私が読んだのはエッセイ版なんで、そっちをちょっと紹介したい。
さくらももこさん、小学館から出てる。
エッセイ上手な、エッセイの名手ですよね。
名手、名手の本なんですけど、これがタイトルひとり相撲っていうところからも、ちょっと現れてるように、
さくらももこさんが10代後半ぐらい、高校生からぐらいで進路を決めないといけない、みたいな状況の時に漫画家を目指して、みたいな話なんですけど、
なんかさくらももこさんってさ、もうエッセイも本当に天才的やし、なんかたっかんしてるようなものの見方があるような感じがするから、
ちょっとね、突き放してね、自分を。
突き放してみたり、状況をシニカルに言ったりするやん。
なんか天才って感じがするから、あんまりこう、なんていうのかな、挫折とかの想像が私できなかったんやけど、
なんかスルッと結構若くして漫画家にもなってあるしさ、なんやけど、でもなんか最初はエッセイ漫画じゃなくて、正統の少女漫画を目指してたけど、
でもなんかもう、応募しても箸にも棒にも引っかからないみたいな状況があったりとか、
あとその後に、
誰かに言われはったんやっけ、なんかそれやったエッセイが変じゃないみたいな。
そうやね、
なんか私も読んだことが。
これ?
それかな、何かさくらももこさんの何冊か読んでるから。
あ、本当に?なんかその、えっとね、担任やったかな。
なんか、まあとにかく高校の先生に、あの麦作部みたいなんで書いたものが素晴らしい。
これエッセイ調ですごい、なんかまあまあすごい素晴らしいみたいなことを言われて、
それをきっかけに、あ、じゃあエッセイで漫画書いたらいいんちゃうかと思って、そっちの道に行って、こういう風に大人気になるんやけど。
でもその正当な少女漫画であれば、が私の道やと思ってたんやったら、
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それが壊れた時に、もうなんか人生の全部失ったみたいになるやん。
そうやね、そうやね。
だけど、このさっき紹介した道草日記と近しいところがあるのは、
そのまあ本当は目指してた最初の原点じゃなくても、もっと自分が生かせる。
じゃないとちびまる子ちゃんとかさ、できてなかったよ、正当な少女漫画やったらさ。
だからあのいろんな道があるよっていう救いになるって意味で、これをちょっと夢を追う人とかにおすすめしたい本ですね。
なるほど。
どうですか椿さんは。
私はちょっと視点が違って、結構自分が新卒じゃないんですけど、大学院で博士号を取った後、私大学京都で、
その後初めて、私生まれも大阪なので関西を出て、
まあもう27の時かな、なんですけど、茨城県筑波市に引っ越して、そこで初めてそのいわゆる、
働くっていうんですかね。その前から、なんか研究員の給料みたいなのもあったんですけど、
まあでも学生じゃなくて、初めて。
社会人として研究員になる。
社会人なのかなあれ、社会人よねきっとね。
社会人じゃない?お経理もらってるんやもんな。
じゃあ社会人として、働いて、働いてみた、働き始めたのが筑波市だったんですけど、
そうするともう寂しいんですよやっぱり。
寂しい。
なんか、そんな、なんていうの、やっぱり大学院ってちょっと特殊なところでさ、
その、毎日研究室に行ったら同じメンツがいて、で、仲良く話もできたりさ、
で、なんか年齢も似たようなもんやからさ、似たような問題を抱えてたりとかさ、
まあ、私としてはすごく安心できる場所だったんだよね。
それがもう、まあなんか先輩がいたりしてすごく心強かったのはもちろんあったんですけど、
自転車で通ってたような、通学の形も変わって車で通えるようになったりとか、
で、8時半には絶対行かなあかんとか。
まあ、なんか社会人の人にしたら当たり前のことかもしれないですけど、そういう経験もなかったし。
それで、まあ個人的に、その時ちょうど結婚したっていうこともあったりして、
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ライフスタイルがガラッと変わっちゃって、で、住んでる場所も変わって、
全然なんか京都と筑波って違うじゃないですか。
何でもチャリで行けて、友達もたくさんいてっていうところから、
初めて家帰ったら人もおるし、なんかすごい大変みたいな。
共同生活やもんな。
周りに人間がいるっていうのが、私ほんとあんまり得意じゃなくて、
長い時をかけて慣れて、もうなんか何も感じないんですけど。
当時はすごく…
よう結婚したな。
本当に本当に本当に。
向いてなさそうな感じがするけど、それだけ聞いたらね。
そうか。
それで、すごいその相手がどうこうとかは全く関係なくて、
自分の特性として。
誰であろうがってことやね。
そう、苦手で人といるのが。で、状況も環境もすごい変わってっていうので、
すごいホームシック、ホームシックっていうかちょっとわからんけど、になっちゃって。
で、その時に結構救われたのか、より辛くなったのかよくわからんけど、
結構読んでたりしたのが、京都を舞台にした小説で、
ゴリミ・トミヒコさんって知ってる?
読んだことはないかも。
有名。
そうそうそう。本当にね、京都の。
で、彼も京都大学の出身で、私もそうなんだけど、
だからあの頃の学生生活とかがありありと浮かぶような、
学生ばっかりが主人公じゃ全然ないんだけど、
なんか京都の街の描写とか、
なんか懐かしくて、泣きながら読んでた。
だから、切ない。
そういうホームシックを癒やすのか悪化させるのかわからないけど、
新しく働き出したりする人って、
自分のふるさと遠く離れて違うところでっていう方も結構多いと思うので、
そういう時は自分の地元とか、懐かしい場所を舞台にした小説とかを読んだりしても、
泣いてまいそうやな。
泣くよ。
でもなんかね、泣いた夜はぐっすり寝れたりするのよね。
なんか自分の中でちょっとずつ折り合いをつけてるんかな。
多分その段階でこう、
受け入れていって新しい環境を。
ちょっとね、鎮痛剤みたいな。
根本的に効くわけじゃないけど、
対処療法やけどってことか。
そう、みたいな感じで取ってもいいのかなとか思ったりした。
なるほどね。
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すごいね。
私は2013年に、
10年前か。
ちょうど10年前。
うわー、そっか。
そうだね。
に初めて、つくばで就職というか、
なんていうの?
働き始めて。
働き始めて。
その時にちょうど森見敦彦さんの
ウチョウテン家族っていう作品がアニメになって。
それで初めて見たんですよ。
なんとなく近すぎて避けてて。
京都が出てきたりってこと?
大学も同じ大学やし、
学年も一個しか違うのよ。
そうなんや。
たぶん知り合いの知り合いぐらいの距離感。
ヒャダインさんもそうなんやけど。
ヒャダインさんって兄弟なんや。
みんなうっすらワンステップでつながるぐらいの距離感やからさ。
なんかちょっと逆に避けちゃうって言ってたんだよね。
でもアニメになると見ようかと思って見たら、
懐かしくてさ。
それで森見敦彦さんの他もいろいろ呼んで、
一人でぐすぐす泣いてたら、
いつの間にかホームシックも治る?
治らんようになってたかな。
四畳半とかの人だっけ?
そうですそうです。
アニメ化してる。
そうそう、あれもしてる。
結構アニメ化してあるよね。
結構アニメ化してる。
なるほどね。
そうなんですよ。
読みやすそうやね、だから。
小説もシャダツで面白い。
シャダツ。
読みやすい。
オシャレって意味だっけ?
シャダツって。
オシャレ、オシャレやけど。
シャダツ。
ちょっとニュアンスが何やろう。
オシャレ。
なんか息みたいな感じやね。
シャダツってあんま言わない。
言わない言わない。
私はそう、そうやな。
この本をぜひっていうよりも、
ちょっとふるさととか離れた人は、
ふるさとの本とか、逆に、
まだなじめないなって思ってる土地でも、
そこをお舞台にした本を読んだら、
また見方も変わったりとか、
するのかなと思ったりしましたね。
なるほど。参考になったでしょうかね。
ね。
じゃあ今回はちょっと、
親切な方に送りたい本っていうような感じで、
回答させてもらいました。
じゃあまた次回も、楽しみにしていただけたら幸いです。
幸いです。
では良い読書体験を。
何や、声が高い。
良い読書体験を。
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