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生物学者と書店員のインターネットラジオ、本の虫のススメ。
本を偏愛する生物学者の椿と、書店員の佐藤が、本にまつわるあれやこれやをゆるっとお届けします。
今回も始まりました、本の虫のススメ。秋も深まってますね。ですね。たぶんね。たぶんね。ちょっとね、タイムラグがあるからね。そうそうそう。
そう、なんか、ほらほら、秋はさ、読書とか言うやんか。あ、読書の秋や、そうや。読書の秋。
最近読んだ面白い本とか、なんか出会った本とかってありますか。えっとね、意外と最近、読書の秋できてなくて。おりゃおりゃおりゃおりゃ。なんかすごい、
いろんな、いろんなことが。起こって。同時に、起こって。うん。なんかちょっと引っ越しを私することになったりとかして。はいはいはいはい。
その準備とかもあって。うんうん。パニックみたいな。いろんなことが同時多発的に起きてる感じですかね。そうなんですよ。うん。
なんであんまりちゃんと読めてないんですけど、これは、
ジャケ買いというか。へー。面白そうと思って。うん。あと軽く読めるかなと思って。買った本で実際結構軽く読めて、面白いです。うんうんうん。
大正時代の身の上相談
タイトル、大正時代の身の上相談。おー。カタログハウス編。うん。ちくま文庫から出てる本なんですけど、これ、あの新聞に身の上相談ってあるじゃないですか。はいはいはい。
なんかお悩みを投稿して、記者が答えるみたいな。うんうん。それの、あの大正時代の新聞に載ってた身の上相談とそのお答えが載ってる本で、なんかすごい言葉遣いとかも面白い、面白いというか、いましない言い回しとかも多いので、なんか読んでるだけで、こう日本語獣みたいな楽しさもあるし、
いまと全然、全然っていうか、いまと違う価値観もある一方で、悩みの根幹っていうところはあんまり変わらんよなっていうのを感じたりとか、結構なんか生々しくその、歴史の教科書とかに載ってこない、資生の人たちの悩みっていうのが生々しくて、結構面白かったりする。へー。
で、これすごい、なんか想定もかわいいんですよ。あ、かわいいねー。おー。なんかそれぞれのあの、章みたいなのをテーマごとに、縁談結婚に関する旬順とか、困った夫に対する妻の並行とかなんか、それぞれのテーマをこの編集の方が決めて、悩みごとをこう、章にまとめてるんやけど、
その章扉が、なんか、なんやろ、ムーミンの塔みたいな。
あ、住んでる家みたいなね。
いや、あの岬の、
おー、なんていうんやっけ、灯台か。
ほうほうほう。
灯台みたいな、そう、ちょっとレトロな感じのところに、その章タイトルを入れて、で、その周りにちょっとイラストを散らしてるみたいな感じで、すごくかわいいんですよ。
で、結構なんか、今と価値観がやっぱり違うな、みたいなこう、ズバリ感がすごい、はーってなるし、
で、これ、二重に実は、ジェネレーションギャップがあって、一つは、その、この大正時代の相談してる人と、それに答えてる記者さんの、大正時代と、今の令和の私たちとのギャップが一つなんだけど、この本、実は2002年が初版らしくて、だからもう23年前の本なんですよ。
で、このお悩み一つ一つの、その、内容に対して、この編集した方が、コメントを入れてるんですよ。
そんな男やめちゃえ!みたいな、そこもなんかちょっと、バブルの残り感みたいなのがあって、
ちょっと今の時代の香りとも違う感じだよね。
そうそうそうそうそうそう。それがまたなんか、二重にジェネレーションギャップがあって、面白いわと思って。
何やろうなぁ、けっこうそれで、諸女信仰がすごくて、なんか妻が諸女じゃなかったみたいな、悩みがめっちゃ多い。
はぁーと思って、その辺はほんとに、時代だなぁと思って。
この本のその、編集した方のコメントでも、すごい、昭和ではないな、平成やけど、平成前期っていうのを感じた言葉が、
ハイミスとか、今言わんよね。
ハイミスって何?
言わんよね。
え、何それ?
あの、結婚してない、高齢女性。
あー、なんかそんな言葉、昔あった気がする。
あったやろ、あったやろ。なんかすごい、おぉーっと思う。
今まず言わん言葉やな。
言ったら、大騒ぎ。
大事よ、大事よ。今や感じないよ。
あー、なるほどね。おもしろいね、二段階時代のギャップを感じるっていう。
そう、二段階時代のギャップを感じるって、一段階のつもりで勝ったから、そこの意外感もあって。
なるほど、なるほど。
おもしろかったりしますね。
で、なんかすごい、今以上にその、お答えがズバッとしてんのよ。
それもなんか、今やとちょっとこう、言い切ったら責任問題になるじゃないけど、ちょっとやっぱり、柔らかく答えたりしがちやんか。
もうすごい、ズバッと言うねん。やはりその方と結婚するのが一番良いと思います。
もうその結論言っちゃうやん。
もう、ズバッと言っちゃう。
それも、おもしろくてさ。
あなたにはあくまでもその人と沿い遂げるという熱心さがないようです。
親の言うことに従って自分を勝利した方が安全でしょう。とか。
おー、はっきりしとんな。
ズバッと言うからね。
なるほど、なるほど。
それもなんか、おもしろくって。
で、なんかやっぱ今あとさ、あの、ヤフー知恵袋とかさ、SNSとかにさ、お悩みって匿名で書き込めるやんか。
そういう場がなかった時代に、やっぱりこれを出してるっていう切実さっていうのをすごい感じて。
そのあたりもおもしろい。おもしろいっていうか、なんか、ああそうだよな、今投稿欄に投稿するのとはまた違った意味を持ってくるよなっていうのを考えたり、いろいろしましたね。
あと単純に章ごとに特に、特に関係なくもないか、あの、それぞれのお悩みに関係した当時のその宣伝のチラシみたいなのが、広告とかが載ってたりすんねんけど。
これはなんか、背が低くて悩んでる青年のお悩み投稿に対して、
そのページにシークレットブーツっていうのを背を高く見せる。
大正時代からあったんやな、そういうの。
あるか。
身長ゴム大流行のファインとか言う。
男の人が横から見た図が2つ載ってて、
背高い人と背低い人みたいになってるわけね。
つけた人の徳とか書いてる。
ほんまや、徳があのあれですね、尊徳の徳じゃなくて、徳が高いの徳になってるのが不思議な。
徳が上がるんちゃう?高徳じゃ。
徳が上がらんのちゃう?
知らんけど。
つけない人尊みたいなのが多分書いてるんかなこれ。
で、低い人のところにラベルみたいにつけない人尊みたいなのが書いてるように見えますね。
そういうのもさ、時代を感じて面白くって。
そんな宣伝あったんや。でもなんか、今も違うけど、同じようなYouTubeとかでめっちゃ出てくるなみたいな。
そうやな。
なんかちょうどさ、その本に近しい本、私も最近読んでてさ。
あ、ほんとは?
そう、えっと、今日も誰かが悩んでる人生案内100年分っていう。
めっちゃ近いね。
近いやろ?やろ?
ほんまに?
そう、ほんま読んでた読んでた。
すご!
読売新聞生活部長ってなってて。
読売新聞のところから、中央厚労審者から出てるんですけど。
言ってる本、私も読みましたよ。
どう?それも100年やから、だから対象だけじゃなくて、変遷だよね。
そうやね、そうやね。
いろいろ書いてて。
だからそのやっぱりその時代の違いっていうのも、その諸女信仰っていうのもすごい私も感じて。
びっくりするよね。
なんかさ、中学生か高校生かちょっと忘れたけど、
10代ぐらいの女性が男性と親のいないところでキスをしてしまいましたっていう投稿があって、
それに対する回答が、「そんなことをしてしまって残念です。」みたいな。
そうやね。
えぇーみたいな。
その対象次第の身の上相談でも、そんな感じで。
あった?あった?
なんかもう穢れて背負った覚悟をしなさいみたいな感じが。
重いなみたいな。
重いんだよ。
覚悟が偉いって言って。
全然違うよなと思って。
そう、それに対してこれはなんかその平成の軽みみたいなのも載ってて、その差もおもろいし。
なるほどね。
なんか平成令和もかなり違うみたいな。
そうやな。時代って結構変わるんやな。
いや、ほんまにほんまに。
なんか今日も誰かが悩んでるの、あの本の中では、結構そういう、なんていうのかな、今とは全然違う価値観の中で、
でもやっぱり女性が身分が今より全然低い時代にあって、
その現実はありながら、どういうふうにしてその倫理観とか現実とかがある上で、
その女性の悩みに応えていくかっていうことを真摯にやってる相談者の方の、
もちろんそんなことをして残念ですみたいな、バッサリみたいなのも多いんやけど。
そうそう、そういうのが見られてよかったですね。
相談文化の変遷
あとこの本を読んで知らなかったので、わーっと思ったのは、最初の方は直接出版社に来て対面で相談に乗ってたんやって、すごくない?
すごいね。
それがすごい素敵やなと思ったのが、あの識字率が当時、女性の識字率がそんなに高くなかったから、相談すらできない女性が結構いらっしゃったから、
だから対面でっていうのを最初やってたんやって。
なるほど。それはじゃあ、自分のが乗ったかどうやって確かめたんだろうね。
確かに。
でも乗るのは確定してるから、さすがに行ってるのか。
かもね、そうかもね。
で、誰かに読んでもらったりとかあったのかな。
かもしれないね。
なんかすごい本当、私たちが今、言われるまで私もはーっていう感じだったから、
やっぱり全然違う社会背景の中での悩みにある意味共通点もあったりとか、すごい面白いなと。
そっちは読んでないけど、この大正時代の身延べ相談、読んでいて、もうなんか要素としては出尽くしてるような感じがして。
やっぱ人間って、変わらないというか、真のところはそうだよなと思ったりもしましたね。
今日も誰かが悩んでるの方は、そっちとは違って、100年分の人生相談が載ってるので、だんだん現代に近づいていくにつれて、その倫理観とか、特に恋愛とか結婚に対してとかの倫理観に対して、
あと男性と女性っていうジェンダーの倫理観とか感覚とか、そういうものが編成していく様が面白い感じだったかな。
うーん。
そっちも読んでみたいなと思いました。
いや、面白かったですよ。
やっぱりその、椿さんも言ってたけど、時代が変わって、えーっていう部分もあるし、変わっても人間っていうものは悩んでることは一緒なんやなって思うこともあったし、なんか両面から楽しめる本でしたね。
たぶん、椿さんが紹介してくれた本もだと思うんですけど、電車とかでね、そんなに時間をとってガッと取り組むっていうよりも、移動の時にパラパラっと読んだりとかもできるので、そういう意味でも使うっていうか、読みやすい良い本かなって思いました。
はい。といったところで、今回もあのコーナー行ってみたいと思います。
最近お便り本当にたくさんいただいてありがとうございます。
ありがとうございます。なかなかこうお答えできる期間が空いてしまって申し訳ないんですけれど、今回も読ませていただきたいと思います。
せーの、お便りむすむす。
お便りむすむすはお便りを通じてリスナーの皆さんと楽しく交流するコーナーです。
はい。
えっと、今回は、はらはらあおむしかっこ夫さんからのお便りをご紹介したいと思います。
これ、おそらくそのお便り内容の中にも、妻がよく聞いていてっていう一節があるので、おそらく以前お便りいただいたぺこぺこあおむしさんの。
ね、旦那さんなんちゃうかなっていう気がしますね。
かっこ夫っていうのもそれを示唆しているのかなと思うんですけれども、そうだと仮定してご夫婦で聞いていただいて本当にありがとうございます。
いやー嬉しいですね。
めちゃくちゃ嬉しいですよね。
なんかそのご夫婦でさ、今週のホームスどうやったこうやったみたいな話とかしてくれてはんのかなーなんて思ったらすごい嬉しい。
ねーそうだよね。今週あれめっちゃ笑ったんやけどみたいな。
そういう会話の種になってたら嬉しい。
めちゃくちゃ嬉しいですね。
思いながらありがとうございます。
ありがとうございます。
では読んでいきたいと思います。
読書スタイルの違い
つばきさん、さとぅさんこんにちは。お二人のポッドキャストは妻がよく聞いていて、私は妻からおすすめされているものを時々聞いているぐらいではあるのですが、楽しく聞いています。
以前、エピソード28の文章の理解の仕方の回についても、妻は頭の中で音声付きの実写映画、キャストも実在の俳優さんで決まっているそうです、を思い浮かべながら読むタイプ。
私は漫画ベースで、シーンによってはアニメに切り替え、時々声もイメージして読むタイプでした。
28回は文章を読む時に、どういう風に理解しているかというのを文字から映像を想像しているよ、とか、いや私は文字は文字のままで理解しているかも、みたいなのを。
あとあれやね、文字を一回音声に直して音として捉えて読んでいるか、みたいなとか。
いろんな、一緒くたに小説を読むとか言っても全然違うよねっていう話をしている回なんですけど、それを聞いてくださって、
奥様とハラハラ青虫さんがどういう風に認知しているというか、読んでいるかというのを教えてくださいました。
アニメっていうのも、アニメに時々切り替えてっていうのも面白いですね。
でもやるよ、私それ。
本当?
うん、やるやる。
そうなんや。
あるある。
へー。
そういう映画とか漫画とか、実際に音声とか動画があるものについては、なんかその声で聞いてなんか再生したりとかもする。
なるほどな。
へー。
それでお便りの続きなんですけれども、
妻と私の小説を読むスピードに大きく差があり、その要因はこれだったのかと納得したものです。
しかし先日他の要因もあることに気がつきました。
それは書かれていない空白や裏をどう保管するかです。
時間や場所、視点が頻繁に変わる小説では、時間の空白や裏の別視点で起きていることなど描かれていないことがよくあると思います。
妻は描かれていないことで唐突に感じて以前の文章にそれを保管するような内容が書かれていたか、
戻ってみたり、何が起きたのかいろいろと思いを巡らせてみたり、すっきりせずにもやもやを抱えたまま読み進めるそうです。
なので私はそれらを気にしないか、自分の中で一番しっくりくる一つのストーリーや解釈を無意識に埋めて読んでいます。
お二人はこのような書かれていない空白や裏はどのように読まれますか?
読書の楽しみ方
他にも読み方が実は違っていた、こんな読み方楽しみ方をしているのは自分だけだったなどの経験があればぜひ教えてくださいということです。
結構でもこれ、言われてみればっていう視点ですね。
佐藤さんはどうですか?書かれていない空白とか裏って。
佐藤さんは群像劇みたいな、人がたくさん出てきて最後一つのところに収束していくみたいな物語が好きな印象があるんですけど、
そういうのを読むときって、結構本当に描かれていない空白みたいなのが多くなるかなと思うんですけど、それについてどう読んでるみたいな。
本筋でこれを理解してないと無理みたいなこと以外は、もう全部ざっくりぼんやりすっ飛ばして読んでる。
だからどっちかというとハラハラオムシさんに近い読み方をしているような気がしますね。
でも私も結構そう。
本当?
うん。なんか、再読していろいろ気づくことが多い。
分かる分かる分かる。
これってここに繋がってるなみたいな。
そうそうそうそう。
ほーみたいなことある。
楽しみ方が浅いのかなって思って、ちょっともったいないなって思うときはあるんですけど、でもなんかもう癖っていうか、直すとか読んでもない。
いや、そうやね。楽しみ方の違いだからね。
そうですね、それはある。
けど、あともう一つ、こんな読み方をしてる、自分だけではないと思うけどだったみたいなのだと、結構描写が、文章の描写が綺麗な本が好きで、
なので、実際にその書かれているせせらぎの、ちょっと上手く言えない例が出てないけど、せせらぎがある川のそばで私は縁側でお茶を飲んでいたっていう、なんか全然美しくないけど。
でもそういう描写があったとしたら、実際に脳裏にもう鮮明にこういう木の肌の質感で、これぐらいの長さの縁側があってみたいなのを景色に思い浮かべて、それにぼーっと浸ってるのが好きっていうのはある。
へー、なるほどね。私はそういうのはあんまりないかな。
なんかあんまり映像を思い浮かべないって言ってたよね。
そうね、だからかもしれんけど、でも文章は文章そのものの美しさとしてかみしめて、好きなフレーズとかは書き留めたりはしてるから。
私もなんか声に出して、舌で転がして遊ぶみたいなことしてるかも。音が綺麗な文章に対して。
そうね、わかるわかる。
なんだろうな、ことたまとかそういう言霊とかそういう言葉が好きなんですけど、そういう言葉が出てきたことだまことだまとか言ってこう舌で転がして遊んだりとか、そういうことはするかな。
もうちょっと私結構長い単位かも。一文とか一節ぐらいの単位で結構美しいなって思ったり、意外なハッとする文章の組み合わせとかは書き留めたりして。
私は書き留めたりはしないんですけど、実際に声に出して読んで楽しむ派かもしれないですね。
結構いろんな楽しみ方ありますね。
お手紙の内容と直接は関係ないんですけど、結構28回ってすごい、もう2年近く前の回じゃないですか。
それをこうやってまた、今聞いてくださってるっていうこともすごく嬉しいですね。
嬉しいですね。2年間っていう月日、2年半以上ですかね、やってきてよかったなって思うことですね。
積み上げてきたものがちゃんと届いてるっていう、新しいものだけじゃなくてずっと前に収録したものも楽しんでいただけるっていうのはすごく嬉しいことですね。
きっと他にもたくさん蓄積してきたエピソードありますので、またお時間のあるときに楽しんでいただけると嬉しいです。
嬉しいです。
はらはらあおむしさんお便りありがとうございます。
ありがとうございました。
また時々聞いていただけたらすごく嬉しいです。
嬉しいです。
こんな感じで来週も楽しみにしていただければ幸いです。
それでは良い秋の読書体験を。
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