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2024-01-12 23:44

Ep.46 制度の外にいる人について書かれた本、古今東西!

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日本が一つの国としてまとまる前。室町時代を生きた人はアナーキーだった?!
今回は、中世文化の無秩序さに焦点をあてた本や、福祉・貧困について書かれた本について語っています。


【紹介した本】

・清水克行「室町は今日もハードボイルド 日本中世のアナーキーな世界」新潮文庫
・坂本慎治「大阪に来たらええやん!  西成のNPO法人代表が語る生活困窮者のリアル 」信長出版
・中村 淳彦「東京貧困女子。 彼女たちはなぜ躓いたのか」東洋経済新報社

【よりぬき】

・和を以て貴しとなさず?室町文化について書かれた本
・大阪市西成区ってどんなイメージ?
・本当に必要な人に救済の手が届きにくい
・経済的困窮。他人事ではないよね

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生物学者と書店員のインターネットラジオ、本の虫のススメ。
本を偏愛する生物学者の椿と書店員の佐藤が、本にまつわるあれやこれやをゆるっとお届けします。
今回も始まりました本の虫のススメですけれどもね、今回も今週も皆さんどんな週でしたか。
もうあれですね、正月休みも終わって。
ね、あれだ。なんだっけ、七草粥だね。
七草粥。ああ、そうか。
おいしいよね。
本当の粥だとね、お塩だけとかでしょ。
ちょっとストイックすぎるよね。
私はちょっと中華粥風にしてる。
ああ、だとね、おいしいよね。
でもあれは、トラディショナル七草じゃないね。
トラディショナルではない。
良いようにしたら、食べたらいいと思うんですけどね。
ね、皆さんも食べられるんでしょうかね。
ね。そんなまだ新年の雰囲気の漂う46回?
46回目?もう少しで50回。
すごいよね、ありがたいわ。
本当に皆様のおかげで続けてこられたのは本当にありがたいことです。
で、どうですか、椿さん。また最近読んだ本っていう、いつもの。
えーっとね、なんかその、いろいろあるんだけど、印象的だったのが、
清水克幸さんという研究者の方?歴史の研究者の方が書かれてる、
室町は今日もハードボイルド、日本中世のアナーキーな世界っていう新調者から出てる。
面白そう。
これがすごい面白くてさ、なんか私たちがさ、よくなんか伝統的日本人感みたいなのって、
なんとなくさ、つつましくて、で、なんかすごい礼儀正しくてみたいなさ、
で、なんかすごい人道的でみたいな、なんかそういうさ、
和をもって尊しとなすみたいな。
そうそうそうそうそう、そういうイメージあるやん。
でも中世って全然違くて、
京都燃えてるしな、ほとんど。
いや、ほんまになんかアナーキーでさ、なんかその具体例というか、
いろいろ挙げててすごい面白くて。
当時はさ、まだその、いろんなところにいろんな村みたいなのがあって、
一つのこう大きな中央が管理してるっていう時代ではまだなかったっていうのがあって、
なのでその何とかの乱、何とかの変みたいな、
まあ反乱みたいのが日本中そこかしこでもういつも勃発してるような状態だったから、
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だからなんか私たちがその、
基本的にその一つの国っていうふうな単位でまとまるのって当たり前だよねっていうような、
ちょっと思ってるところあると思うんですけど、
それとはもう根底から違う。
なんか背景の中でその育まれたも全く違う。
でもその当時のその背景には理にかなった価値観とか倫理観っていうのがあるんやなっていうのをすごい感じて、
めちゃめちゃ面白いんですよね。
たとえばさ、その室町の芸能って言うとさ、
かん編み、ぜ編みの作ったって言われてる能が日本史にも出てくるさ、
めちゃめちゃ重要っていうか、
その有名な演劇というかの形態。
芸能?
芸能だと思うんだけど、
その能のテーマでもよくその人身売買っていうのが出てくる。
確かになんか言われたら聞いたことあるよなみたいな話で、
でもそれってなんか人がいいからうまい子と子供を取り返せたみたいな話が多いんだけど、
それってでもなんか逆に言うと、
それがちょっとみんなの、
今だってそんな人身売買とか私たちの身近いあんまりないから、
ある意味共感しづらいテーマだったりもするんだけど、
当時はもうめちゃめちゃ普通に人身売買って行われてて、
でもそれって別にマイナスの側面、
人権完全に蹂躙してるみたいな、
それだけじゃなくて、
食べさせていけない、
くちべらしいって言われるような、
人たち自分で生まれたけど、
ちょっとこの子たち全員は育てていけないっていう時に、
くちべらしで本当に川に沈めたりするんかっていう話で、
そうじゃなくて、
でもその方向みたいな形で何円みたいな、
ちょっと単位わからんけど、
売ることによってその人たちも、
言ったら手に食じゃないけど、
つけながら食べて生きていくことができるっていう側面もあったりして、
だから私たちの今の尺度だと、
人身売買悪に決まってるみたいになるけど、
大企業に就職じゃないけど、
そういうような側面もあったみたいな話とか、
だから売買っていうのはやってもいいけど、
ちゃんとその当時の倫理観っていうか、
相場はこのぐらいだからそんな値切りすぎはよくないんじゃないとか、
ある意味システマティックな、
だからただただ残忍だったとかじゃなくて、
私たちが今生きているこの日本っていう土地で、
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でも背景が違うと全然こういう違う倫理観が育つんだなみたいなのがあったりとかして、
すごい面白かった。
あとなんかその浮気っていうのは、
なんか基本的にその制裁がいて、
でなんか即失みたいなのもまあまあいたりして、
でもなんかそういうのはすごいムカつくはムカつくから、
制裁がなんか即失の家燃やしてもいいみたいな話もあったとか、
そういうのもなんか、
なんかみんなで押しかけてもいいみたいなのだったよね。
それがなんかどんどんでもちょっとあんまりに被害が大きすぎるから、
それを儀式的な方向にみんなで押しかけて、
なんか壊すだけ壊して満足して帰ってくるみたいなのになったりとか、
この人学校の大学の先生やからその話を大学でしたら、
女子大生の子がそれなら私も参加したいですって言ってたとか、
ちょっとね、そういう面白いのもあったりして、
なかなかね、私たちの尺度だけやと測りきれない意識があったりして、
落書きとかも中世ってすごく多くて、
今も私たちも古いお寺とか行くと落書きって結構墨の達筆なの。
意外とあるなみたいな感じだけど、
あれもむしろ来たら残したくなるっていう、
人間心理自体は中世の人はある程度知らないっていうような意識があって、
本伝はやめてみたいなお触れが出てたとか、
面白いね。本伝じゃなかったらいいんや。
そうそう、むしろいいんやみたいな。
今さあ、すごい文化遺産みたいなところに落書きになって、
言語道断みたいな倫理観をみんな持ってて、
それだけですごいネットで炎上されちゃって、
就職とかも今後難しいぐらい叩きのめすみたいなのがあったりするけど、
それって私たちがずっと持ってる価値観じゃ当たり前だけどないよなとか。
だからって落書きしていいというのともまた違うけど、
そういうことじゃなくて、
バッファーっていうかを持ちつつ、
そうだよね、人間ってそういうとこもあるよねみたいのが、
いろいろ感じられたりして、
面白い本だった。また文章が上手なんですよ、これ。
本当にいろんなトピックごとに、それこそ人心バイバイとか落書きとか不倫?浮気?とか、
テーマごとにそんなに長くなくまとめてるので、電車とかでも読みやすいかなと思うし、
今の倫理観でちょっと疲れちゃったりしたら、
ふふってちょっと解放してもらえるような気持ちにもなるかなと思います。
歴史変われば全然変わるみたいなのでちょっと思い出したんやけど、
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ところ変わればとか、その状況によって全然変わるっていう意味で、
最近読んだノンフィクションっていうのかな、
まあ本で面白かった本が、
大阪に来たらええやん。西成のNPO法人代表が語る生活困窮者のリアルっていう本ですね。
気になる。西成ってやっぱり特別な場所だよね。
そうなんですよね。大阪の西成区なんですけど、どういうイメージある?西成って。
なんていうの、生活困窮者の方が多いっていうのは実際そうだと思うし、
で、あと今知らないけど、10年ぐらい、20年ぐらい前かなに聞いてびっくりしたのが、
身分証明書がなくても口座が作れたりするんだよね。
メジャーな銀行じゃないとは思うけど、
そうやっぱりだからちょっと私たち、私たちっていう言い方は良くないですね。
なんていうの、日本の多くの人たちが当たり前って思ってるのとはやっぱりちょっと違う生活のありようがある場所だなっていうのは、
なんかいろんな話を見聞きして感じる場所ですよね。
なんか大阪の外国って言われてたりする。
確かに外国の方も多いよね。
西成区に住んでた知人が、住んでたというか生まれ育った知人が話してたんですけど、
たまに銃声が聞こえるねんて。
だからそういう時は家の中でじっと静かにして身を潜めて。
流れ玉にあったら嫌やもんね。
嫌とかもうそういうレベルじゃん。
だから本当にちょっと常識外のようなことが結構意外と起こったりするような場所ではあるんですよね。
そうだよね。大阪ってでもやっぱりこっち、関東よりはそういう、
やんちゃなとことか。
やんちゃなとこもやし、ちょっとスラムっぽいところって。
多いよね。
多いよね。私も出身地が門真市っていうところなんですけど、
結構若干スラム感あって。
下町って言ったらいいのかな。
なんか企業上下町で、もともとパナソニックの本社があった、今もあるところなんだけど、
それがやっぱりこう、労働者の数を減らしたりとかに従ってどんどん町としてもなんか、
スラムっぽくなっていってしまったというか、搬給する人が出てきちゃったって。
めちゃめちゃ家賃とかが安かったりとか。
っていう背景もあったりして。
そうなんよね。暮らしやすいのにね、門真ってね。
そう、アクセスも良くて、色々安いっていうので、
そうなるとやっぱりどうしてもスラム化しやすい条件じゃないですか。
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なるほど。
なので、だからこっちに引っ越しさないといけない。
自分が生まれ育った町って客観的にというか、それが普通やと思うじゃないですか。
だから何回か前の時に、尿の入ったペットボトルの話とかしたんですけど、
そういうのもなんか普通に落ちてるような場所で。
落ちてたよ。
だからなんか西成とか聞いた時に、
引くっていう気持ちは私自身はなくて、
ちょっとなんかふるさとみたいな。
なるほど、親近感があるってことね。
親近感が私は結構湧いてくるかな。
すじもんみたいな人も結構いたりして、
うちの近所にも近いほうが。
その人たちと結構調和じゃないけど、
ある意味普通にいるのが普通みたいな感じで暮らしてたから、
逆に進行住宅街みたいなとこだと息苦しいから、
西成は私はちょっと好きっていうか、
いい町だなと思ったりする。
最近ではアートを呼び寄せる授業やったり、
あと星野屋だっけ?星野グループだっけ?
星野リゾートか、の系列のホテルができたりとか、
ちょっと街が変わったりもしてるみたいなんですけど、
基本的にちょっと柄が悪いというか、
っていうイメージがすごいある。
私はちょっと西成とかの地域にはあんまり縁がないかったので、
なんでちょっと怖いイメージがあったんですよね。
やっぱり治安が悪くて。
それは一つの側面ではね。
もちろんあるよね。間違いなく事実ではあると思うんですけど。
っていうイメージが強かったんですけど、
この本に書いてある西成の様子っていうのが、
温かい街として書かれてて、
っていうのはやっぱり生活困窮者の方が、
ほとんどって言ったらあれだけど、かなり多いから、
だから生活が貧しいっていう理由で、
差別をしたりする人とかが全然いない。
だからみんな温かいっていうような書かれ方をしてて、
確かにそうやなって。
とにかく西成って聞いたら、やばい怖いっていう。
何も知らないけれど、聞く話は怖いところみたいな。
私はイメージがあったんやけど、もちろんそればかりじゃない。
そういう側面もあるんやなと思って。
この中で生活保護を受けている方々の支援をしてるんですよね。
この著者の方が。
いろいろ見てたら、本当にちょっと嘘やみたいな事例とかが紹介されてて。
例えば6人家族で暮らしてて、
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おじいちゃんおばあちゃん年金暮らしで働けない状態。
その息子さんか娘さんかお子さんが両親で2人で、
さらに子供2人。
子供まだちっちゃいから働けないし、
そのご夫婦も障害があって働けないらしいんですよ。
だからもう誰も働かれへんやんかっていう状況なのに、
生活保護の申請に行ったけど、それが通らなくて。
だからおじいちゃんかおばあちゃんか2人の年金だけで6人が暮らしてて、
だから一つのパンを1日6人家族で割って、
飢えをなんとかしのぐみたいな話があったりとかして、
たまたま当たった行政の方があんまり知らない人だったりとか、
あんまり理解がない方だったりとか、
そういうのに当たってしまうとそういうケースもあるという。
確かに、ああいう窓口の判断って結構俗人的なところもあるんやろうね。
それってもう20年30年前ぐらいだと、
そういう窓口が冷たい対応するみたいなのってあったけど、
今の時代って結構さ、いろいろその辺がさ、
よくなってきてるから。
透明性がね、上がってるしね。
すぐにSNSとかでもみんな。
まあね、良い面も悪い面もあるけど、
でもその、よくなってきてるなっていう印象はあるんやけど、
そういう対応とかっていう意味では。
でもそれでも、そういう対応が不運にも正直悪いところに当たっちゃうっていう事例が結構紹介されてて、
だからやっぱり本当に支援が必要な人や、
6人家族の方とかって、
誰よりも先に支援してあげなあかんような人に、
結構それが支援の手が行き届かないみたいなのがあって、
この著者の方はそれを支援する。
そんなおかしいやないかとかって言いに行ったりとか交渉しに行ったりとか、
そういうこととかしてる。
それってでも大事やんね。
やっぱり日々の生活もあったりさ、
本人が動ける状態その人ばっかりじゃないから。
そうそうそうそう、そうなんよね。
むしろ動けないから困ってたりとかも。
そうやね、そうやね、本当にそういうこと思う。
そうそうそう。
本当に実際にそういう現場にいる人じゃないと、
絶対に知り得ないような情報とか、
やり取りとかっていうのが書かれてて、
全然人ごとじゃない話だと思うので、
なんかちょっと働けなくなるとか病気になってしまって、
生活が困るとかっていうのは。
すごく明るい、ハッピーな本ではないけれども、
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すごく大事な、知っておいた方がいい内容の話じゃないかなと思って、
ちょっとお勧めしました。
その話を聞いて、まだ実は読んでないんだけど、
積んでる本を思い出して、
これは舞台が東京で、
女性の貧困を扱った本なんだけど、
著者が中村敦彦さんっていうライターの方で、
東京貧困女子、彼女たちはなぜつまづいたのか。
知ってる、読めないけど有名な本だね。
私も説明書きしかまだ見てないんだけど、
家賃が高くて遅延、
その土地にずっといるっていう人ばっかりじゃ東京はないから、
地の縁ね。
貧困っていうのがどんどんスパイラル的にネガティブな要素が重なっていって、
女性たちが抜け出せなくなっている現状を書かれた本らしいんだけど、
それも私自身も、
女性でこっちに縁があって暮らしているわけでもないし、
人事じゃないなと思って買った本なんですよね。
やっぱり、男性ももちろんだと思うんだけど、
今の社会って一度レールというかから外れるとなかなか戻りにくいし、
本人も自分を責めてしまったりとかっていうところもあったりすると思うんだけど、
その背景とかを丁寧に取材されている本だという話をちょっと友人に聞いたので。
去年の11月にワウワウで連続ドラマ化もしてるみたいですね。
すごいそうなんだ。
確かにでもそういう問題って本当に読んでないからわかんないんですけど、
さっきのサーツの話じゃないけど、ディスレクシアとか何がしかの障害とか。
ディスレクシアって文字が読めないっていう。
そういう文字が読めない人とかが、もしかしたらそういうのが背景にあって、
貧困というのにつながっていったりとかっていうケースもあるのかなと思うので、
こういういろんな映像とか、違う媒体での発信っていうのはすごい意味がありそうな本ですよね。
とか思い出したりした。
なるほど。
まだね、読んでないんだけど。
でも買ってあるんやね。
そうそうそうそう。
なんで買っちゃうよ、本は。
確か何年か前に流行った、結構流行った。
流行ったというか売れた。
売れた本ですよね。
2019年かな?出てるみたいですけれど。
これも読んでないけど、もしかしたらお勧めできるかもしれない本ですよね。
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やっぱりさ、自己責任論みたいなのがさ、結構いまだにあったりする。
そのあたりのなんかね、無理解だなって自分も思う。
自分自身に対しても思うし、
その自分が生きてる土地、身の回りの、でもないものみたいにされてる人たちっていうのは、
ちゃんとその実像っていうのを知った上で、
私にできることはないかもしれんけど、
知りたいなって思うんですよね。
知っとくことで何かできるようなことがあった時に、
アクション起こせるもんね。少しでもね。
知らないとさ、できないやん。できることができないというか。
自分自身も他人ごとじゃないから。
対岸の舵じゃないっていうことやね。
で、同じ社会にね、生きてるわけだし、
そういうふうに捉えたいなと思って買ってるんですよね。
まだ読めないけど。
なるほど、なるほど。
思い出したりしましたね。
なるほど。じゃあ今回は、
なんて言ったらいいんでしょうね。
なんだろう、アナーキーな日本中世の話から、
ところ変わればまあいろいろ考え方とか変わるよねっていうような話だったのかな。
別にまあ無理にまとめなくてもいい。
いいんですけど。
今回はそういう感じでお送りしました。
来週も楽しみにしていただけると幸いです。
良い読書体験を。
良い読書体験を。
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