00:00
生物学者と書店員のインターネットラジオ、本の虫のススメ。
本を偏愛する生物学者の椿と、書店員の佐藤が、本にまつわるアレやコレやをゆるっとお届けします。
私たちが収録している時点では、3月の22日が桜の開花宣言らしいんですけど。
嘘?
そう。どうでしょう?そちらの世界線では。
これ、21日にリリースされる予定のエピソードですもんね。
そうなんですよ。そろそろ桜が、ちょっとなんか今年は早めっていう予報になってるんだけど、どうかな?
確かにね。ちょっと早いね。
ね。咲き始めてるのかな?
3月終わりっていうことでね、こう生活が変わる人も結構いらっしゃるんじゃないかと思いますが。
新しく就職だとか、転職だとか、新しいところで、新天地で人生を始められる。人生を始められる?今まで何してた?
新しい生活を始められる方が、多いんじゃないでしょうか。
ね。どうでしょうか。
そういえば3月といえば、私忘れてたんですけど、3月号、2025年の3月号の岩波書店が毎月出してる図書っていう雑誌が。
ありますね。無料のやつ。
違う違う違う、あれ100何本すんねん。無料じゃないねん。
そっかそっか、そうですそうです。
そうそうちょびっとね。
ちょびっとそうだ。
そう、お気持ちみたいなお値段の。
そうでしたそうでした。
そう。でも無料っぽいのよね。
ね。
あれ悪気なく持って帰ってる人いそうやと私もずっと思って。
ほんまに新刊案内やと思って。でも間違うんやけど。
そうだそうだ。
そうそう。三段組のね、後半な感じの。
そう、岩波さんという感じのね。
そうそうそうそう。あれにエッセイというか書いたんですよ。
なので、ちょっとどうかな、ウェブにも載るんかな。ちょっとそれわかんないんですけど、もしご興味あったら。
ぜひ本屋でも手に取っていただいて。
ぜひぜひよろしくお願いします。
はい、すごいね、あの図書に。
環境とか生き物、生物とかのテーマで自由に書いてくださいっていう風に、声かけていただいて。
で、私は砂の問題に興味がずっとあるので。
砂ってその辺にいくらでもあるやんと思うんですけど、意外と今、特にコンクリートとかガラスとかに使われるような砂っていうのはすごい枯渇してて。
しかもそういう資源になる砂だけじゃなくて、川を下ってくる砂とかもダムでせき止められたりとか。
03:04
で、あの崖みたいな、海沿いのところも、もう崖が崩れていったら困るっていうんで、そのコンクリートでバシッと固めちゃうやんか。
護岸工事みたいな。
あ、そうそうそう、もやし。そうなると、それって砂の供給源でもあったから、もう砂がどんどん供給されなくて、砂浜とか沖合にある砂の量っていうのはどんどん減っちゃって、どんどん痩せ細っていっちゃってるような状況になってて。
で、そうなると何が起こるかっていうと、砂はその海岸に来る波の力を柔らげるクッションみたいな役割を果たしてるのね。
だからその、海を守ろう、海辺のその構造物、ビルとか道路とか、守ろうっていうんで護岸を作ってるけど、護岸とかダムとか、
水の害、広い意味での水の害から守ろうって言ってしてるけど、まあ皮肉なことだと思うんだけど、それによってクッションとなる砂がどんどん痩せ細っていっちゃって、海岸はより強い波に現れて、より侵食されやすくなるみたいな状況があるとか、まあそういうことを書いたり。
なるほど。
真面目な。
真面目だ。
活動?
活動?やな。執筆活動みたいなのもしてますので、良ければ是非。
面白そうって言ったらあるかもしれないけど、興味深い内容ですね。
でもそんなその、やっぱ図書って、本好き、読書好きの方がターゲットのあれなんで、そんなダイレクトに環境問題みたいなの言ってもちょっと違うかなと思ったんで、ちょっと切り口を変えて、
なんか、地球の物語みたいなのと、そこに砂を配置するというか。
めっちゃ面白そうやな。
射程を大きめにとって書いてみたので、まあそれも一つのチャレンジみたいな感じでやってみたので、是非気が向いた方は読んでいただけると嬉しいです。
ホームスじゃない、私の椿の側面も見れるかも。
見ていただいてね。
という、はい、そうだ、この宣伝をしたいなって思ってたけど、もう3月の半ばも過ぎて。
過ぎて。
あるかな、店頭に。あったらいいなと思ってます。
ね、是非是非、手に残ってたら、なるべく手に取っていただけたら、めっちゃ嬉しいです。
よろしくお願いします。
ちなみにあれですよね、ホームスも忘れてたけど、2023年の3月10日からスタートしてまして、実は2周年スルーしてしまってるんですけど、100回をあんなにお祝いしたのに。
もう100回であれやな、やりきった感があったからやな。
多分ね。
06:00
実は2周年です。
2周年も本当にみんな、みなさんのご愛顧に支えられて、ありがとうございます。
愛顧はせめへんな、ちょっと違うな。
でも本当にね、愛していただいたから続けられたので、本当に本当に。
ありがたい限りです。
2年ってすごいよ、だって。
すごいよね。
赤子がしゃべりだすよ、ベラベラとね。
いやー、動き回ってね、しゃべっちゃうね、2歳やったらね。
いやー、本当にすごい年月ですよ。
本当、ハツカネズミなら何世代重ねてくるとか。
そうやね。
すごいよ。
スケールが。
ひひひひ、おばあちゃんが聞いてた番組だちゅーみたいな。
聞いてくれてるんや。ちょっとほっこりするかも。
嬉しいね。
嬉しい。そんな代を重ねても聞いてくれるなんて。
まあ人間もハツカネズミさんもいろんな人が、人?聞いていただけると嬉しいですね。
生きてとし生けるものに。
欲深い。欲が深すぎるな。
あー、面白い。
いやでも本当にね、聞いてくれる人がいないと、ただのボール投げてるだけになっちゃうんで。
そうやね。
誰もいない。
それでも2人やから、まあかもしれんけど、でもやっぱりこれだけ続けるってのは無理かもね。
かもしれないよね。
いや本当にみなさんのおかげです。
本当にありがとうございます。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
というような長い前振りが。
長かったね今日ね。
どうですか?なんかいい本に出会ったりしてますか?
最近めっちゃ面白い本読んだ。
おー、どんな本?
有吉沢子さんの女二人のニューギニア。
おー、読んだことある?
えっと、秘食っていう、色にあらずって書いて、
非常口の秘で、なんとかじゃないっていう意味の秘があるじゃないか。
に、色で秘食っていう小説が多分代表作かなと思うんだけど、
それは、ちょっと色っていうところで、暗示されてるかなと思うんですけれど、
人種差別の問題を扱ったような本で、
日本人女性が日本に駐在してた黒人の米軍兵かなと結婚して、
アメリカに渡るっていうような小説らしくて、
私それはタイトルは知ってるんですけど、まだ読んだこともないんですけど、
それが代表作っていうのは知ってて、
だから、結構小説家さんっていうイメージで、
気候文みたいなの書いてるって知らなくて、
多分これ生涯で唯一書いた気候文かなと思うんですけど、
09:02
タイトルの通りで、女二人ニューギニアに行くわけなんですけど、
そうなるとさ、タイトルからやと、
どっちも同じ立場っていうか、
二人で成田空港からニューギニア行って旅してみたいな感じ。
じゃないの?
じゃないのよ。それも面白くって、
これそもそも舞台というか、
この有吉さんがニューギニアに行かれたのが、
結構その、私たちの親の親世代ぐらいのお年かなと思うんだけど、
海外旅行の色合いが今とちょっと重みっていうか、
そうそう、1968年に行かれたっていう話なので、
もう50年以上前。
じゃあ、そもそも海外旅行にあんまりポイッと自由に行ける?
自由には行けたと思うけど、
簡単に行けるあれではないよね?
ひょいとは。
今ほどはっていうところで、
で、これ女二人って言っても、
同じような環境にある友達二人でひょいと行ったじゃないって言ったんやけど、
もう一人の、有吉さんともう一人の女二人のうちの一人は、
文化人類学者で、ニューギニアでフィールドワークをされている、
畑中幸子さんっていう有名な方らしいんやけど、
研究者として。
が、もともとその、著者の有吉さんの同級生。
すごい縁やね。
そうそう、やったらしくって、普通にもだから友達やったらしいよ。
ほんで、ニューギニアいいとこやでおいでみたいに、
ちょっと誘われてて、
で、そうなんや、そんないいとこなんやみたいな感じで、
で、有吉さんもちょっとその出自が、当時としては特にだと思うけど、
ずっと日本でっていう方ではなくて、
ちょっとだからあの、移植の出自というか経歴を持ってらして、
子供時代を何年ぐらいかな、ちょっと忘れちゃったんだけど、
インドネシアですごさはったらしい。
で、その新しい作品の構想を練るのも兼ねて、
インドネシアに旅行するっていうのを企画されてて、
で、地図で見たら5センチぐらいしか違わへんから、
ニューギニアも行こうと思って。
地図やとな。
ていうので始まる。
なるほど、なるほど。
で、すごいもう、その畑中さんっていうその文化人類学者の方がもう、めちゃくちゃパワフルなんですよ。
まあそうやろうな。
だから彼女の姿を描いてる本だと私はこれ思ってて、
だから女二人ニューギニアって言って、なんか二人で鎮道中みたいなのを想像したんやけども全然違って、
12:05
違って、ただただその、
思った思った。
あの、有吉さんが、そもそもその畑中さんの、その学者さんである畑中さんが研究してる村まで行くのに、
最寄りの空港から丸3日歩いてたらしい。
すごい、歩いて。
歩いて。
車とかじゃなくて。
歩いて歩いて。
はえー。
それで有吉さん自身はそんなにその、歩き慣れてるような方でもないから、
歩き慣れてても丸3日はちょっとなかなか。
ほんとに、ほんとに、それであの、彼女が言ってて面白かったのが、
私は日本だと日本橋から東京駅でもタクシーに乗るみたいなのを描いてあって、
そんな私がそんな3日も歩いてみたいな。
シティガールというか。
小説家さんやしね、こんなガシガシ歩いてみたいな感じではない方が、
その、ええとこやねっていう一言で、
大した下調べもせずに行ったっていうところから始まるんやけど、
だからその3日間の歩く道中の大変やった話とかから始まって、
で、シシミンっていう民族の村に彼女を滞在されたらしいんだけど、
そこでの生活っていうのが、またこれがその、この本をあの、
単なる旅行記ではない色合いを持たせている特色やと思うんやけど、
あんまり、まあ書いてるんやけど、そんなにその、
その現地の人たちの暮らしっていうのを、
紙、すごいあの、書いてるっていうわけじゃないんですよ。
あ、そうなんや。
で、なんでかっていうと、その畑中さん、研究者の畑中さんの働きぶりを、
その現地で見て、すごい心を打たれて、
有吉さんが、あの、多分こうだと思うけど、
ちゃんと裏を取るというか、いろんな情報を集めて、
確かにこうだって言えるまでは何も言えないっていう、
まあ学問としての姿勢の誠実さにすごい心を打たれて、
それをなんかたった1ヶ月とか滞在しただけの私が、
ほいほい書き散らすなんていうことはできないっていう、ものすごく誠実な。
なるほどね、そっかそっか、簡単に書けないっていう意味で、
そんなには書かなかった。
そうそうそうそう。
だからその今後発表される、その学者としての畑中さんの成果にそこは委ねないっていう。
なるほど、誠実やね。
そう、すごくね。
そうそうそう。だからその、
ニューギニアっていう舞台でありながら、主眼は本当にその畑中さんと2人の生活に置かれてるっていうのがすごいまずユニークですごく面白い。
でその畑中さんがめちゃくちゃ魅力的な人なんですよ。
もう、日本にいた時はなんかちょっと大人しくて可憐みたいなイメージを有吉さんは持ってらしたらしいんやけど、
15:06
もうポーターを怒鳴りつけてみたいな。
ポーターって荷物を持つ人だっけ。
そうそうそう。で、機械とかを持ってもらうときはガラスとか割れたら大変やから、
これはなんかお前がちょっとでもぶつけたら爆発するんやぞとか言って。
強いな。
それを現地の言葉と、あとピジンイングリッシュって呼ばれるような現地の言葉の色合いを合体した英語みたいなのと、あとは関西弁を交えて。
強そうやな。
言ってるっていう。
それで、どういう生活をそこで畑中さんが送られてるかっていうのを有吉さんがすごい、
畑中さんへの敬意と、あとは愛情をやっぱり感じるかの、あふれる腕で照らして、
本当にこういう本を読んでなかなかないねんけど、その対象とされてる現地の人じゃなくて、畑中さんのことがすごく心に残る、すごい面白い本でしたね。
で、なんかすごい有吉さんも意地らしいんですよ。
意地らしい。
いるときはすごい、結構、バンカラって言うんかな。なんか大胆っていうか、性格な方らしいんやけど、なんか向こうに、その村に生活すると、自分にできることはなんもないっていう。
水を汲みに行くのも、なんか力がないから、全然できないし、ただただごく潰しで、
しかも畑中さんもその、援助もほとんどないような、どっかの今正規の職に就いてるっていうような状況では当時なかったみたいで、
博士論文を書くためにその村に滞在してはったから、すごい言ったら極貧生活の中で、極潰しとして、そこにおらしてもらってるっていう。
で、なんでその、じゃあそういう自覚がありながら帰らへんかっていうと、やっぱり足をすごいその3日歩き続けて痛めちゃって。
そう、だからほとんど養生みたいな感じで。
本当は1週間の予定が1ヶ月になったみたいな感じで居張って、だからそういう経緯もあって、なんかすごい申し訳ないっていう気持ちもあって、
だから東京での生活と、性格と、自分自身すごいガラッと変わってしまって、
で、その当時の村やと、みんなその下履き、ズボンとか履いてないような状況で、ズボン履いてるのがちょっとなんかかっこいいというか、みたいな感じで。
で、まだ貨幣経済が浸透してなかったから、その畑中さんが通訳とか、その荷物持ちとかの人、現地の人を雇うときには基本的に物を渡すっていうのになってて、
18:09
で、畑中さんは裁縫が全然できない方やったらしくて、でもその、まあいろいろいるやろうっていうので、結構短物っていうか長めの布みたいのを持ち込んで貼ったらしくて、
で、それで荒芳さんがひたすらズボンを縫いまくるっていう、すごい気投げなシーンがあったりして、
で、そのズボンですごい、村に来て初めてすごい、畑中さんにめちゃめちゃ褒めてもらったみたいな話とか。
すごいね、なんか波の旅行記じゃないというか。
なんかそれで畑中さちこさんも本を書いてらっしゃるらしくて、だから実際にそれはそのフィールドワークの成果を本にされてるらしくて、ただそれは残念ながら絶版で私はまだ読んでないんですけど、
それも本当にぜひぜひぜひ読みたくなる、めちゃくちゃ素敵な本だったので、荒芳さんの誠実な姿勢も相まって、これはこの畑中さんがこれだけのことをして、
得られた知見っていうのを読んでみたいなっていうふうに素直に思える、めちゃくちゃ50年以上経っても色褪せない、めちゃくちゃ面白い本でしたね。
聞いててすごい読みたくなるもんな。
ぜひぜひ読んで。
絶版にはなってないよね?
なってないなってない、これは本屋さんで売ってる。
売ってる、素晴らしい。
なんか紙で買うかすごい迷って、結局Kindleで買ったんだけど、読みやすかったそれ。
そっかそっか、なるほど。
めっちゃいい本、めっちゃ面白い。
気候文って言っていいのか分かんないけど。
そうだね、余計分かんない。
初めてだった、ああいうのは。
海外のことを書いてるとか、関わりを書いてるってだけで面白そうやのに。
余計その人柄っていう意味でも、なかなか興味を引かれる感じの本ですね。
本当にその、いろんな本当に、
花の穴の間に豚のイノシシの牙みたいなのを通したりとか、結構そのユニークな文化がすごい残ってる村に滞在しはったんやけど、
その著者の有吉さん自身が、帰ってきた後のエピローグじゃないけどみたいなとこで言ってたのが、
あの、私の心にやっぱり一番残ってるのは、
畑中さんの姿だっていうふうにおっしゃってて、
21:02
それはもう、有吉さんの筆から読者にも伝わってくるっていうか、
読んだ後、私の胸にやっぱり残ったのも、
孤独って言ったらあれやけど、
一人で、身も知らぬ場所で、まさに奮闘されてる畑中さんの姿っていうのがすごい強く印象に残った本でしたね。
なるほど、なるほど。
ぜひ私も含めて読んでみたい本ですね。
ぜひぜひ。
読んでないから、おすすめとは言えないけど、
読んでみたいし、読んでみてほしい感じがしますね。
ぜひ。
そんな感じで、ちょっと珍しい気候文も楽しんでいただけたら幸いです。
では、新生活で慣れない環境で、風邪などみなさん引きませんのよ。
続き同じ環境で頑張る方も、やっぱり風邪など引きませんのよ。
本当に。春も意外と寒くなったりして、風邪ひいたりすることあるからね。
花火とか言ってさ、桜の季節はカッと最後の冬の悪あがきみたいなのがあったりもするので、
みなさん気をつけて、温かくして良い読書体験を。
良い読書体験を。
本の虫のすすめでは、皆様のご質問・ご感想をお待ちしています。
取り上げてほしいトピックも随時募集中です。
ツイッターのDM、または番組説明欄に記載しているメールアドレスにご連絡ください。
本の虫のすすめは、毎週金曜日17時に配信しています。
アフターファイブに、読書トークをお楽しみください。