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生物学者と書店員のインターネットラジオ、本の虫のススメ。
本を偏愛する生物学者の椿と書店員の佐藤が、本にまつわるあれやこれやをゆるっとお届けします。
はい、今週もやってまいりました、本の虫のススメのお時間です。
佐藤さんは何かちょっと古めかしい本を持っていますね。
そうですね。これは、実は東京神保町の鳥海書房っていう古本屋さんがあるんですけど、
そこが生物系の古本をいっぱい扱っている専門書がいろいろある本屋さんで、
椿さんと一緒に鳥海書房に行った時にゲットして存読してたっていう。
そうそう、実は私も覚えてたんやけど、ふりしちゃった。見たことないような。
実はそういう。
一緒にね、行った時に、買ってたよね。
で、残念なお知らせなんですけど、この本絶版なんですよ。
でたー、大丈夫よ、鍛えられたホームスリスナーは絶版慣れしてるはず。
慣れしてるよね。
すいません、前回はもう終わった展覧会の話をして、今日は。
もう手に入れにくい本の話をして。
でもまあ、古書店なんかでね、きっとまだ。
あるとは思います。
私が持ってるのは、これ読み方が合ってるのかわかんないんですけど、文字同書店っていうのかな。
文字上書店っていうのかな。文章の文に病気を治すっていう字に、本屋であるなんとかどうとかっていうのを、
文字上書店さんっていうところが出版をしているところなんですけど、新編たぬき汁っていう本ですね。
気になるタイトルだよね。
佐藤光関さんっていう、今の法治新聞社の記者をされてた方で。
あ、そうなんや。記者の方が書いてるんだ。
記者の方が書かれた本だったね、この本は。
すごい古い本で、昭和の戦前ぐらいとか、戦後何年かとかぐらいの時代のことを綴ったエッセイかな。
なんですよね。
その佐藤光関さんは釣人でもあって、今で言うエッセイ師ということをされてた方で。
40回で、クマの肉には飴が合うっていう、ジビエ的な、どういう食材を使って肉の臭みを消すかとか、いろいろそういうのを書いている小説なんですけど、
それを紹介したんですけど、そういうジビエ的なものとか、食に興味が結構あるので、
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このたぬき汁っていう、たぬきを食べる映画が引きがあって、それで購入したんですけど、この本めちゃくちゃ面白いんで、
ぜひ古本と、あと青空文庫ってあるじゃないですか。
え、じゃあもうほんのり古いな、戦前って言ってたな、そうやねん。
そうそうそうそう、そうやねん。
で、たぬき汁は、文庫帯のものは見つけられたので、ちょっと読みづらいかもしれないんですけど。
それ、今佐藤さんが持っているの、新版って書いてるもんね。
そうなんです。これは、なんていうの、放語帯って言うんだっけ、普通に読める我々が。
放語帯に書き下してるんだ。
書き下してるんで、読みやすいんで。
え、読みたい。
どうぞ、後でお貸しします。
っていうのはあるので、青空文庫でネットで検索しても、一応読められるので、ぜひぜひぜひぜひ読んでほしいんですけど。
え、どういうエッセイ?なんか釣りとかがされるって言ってたから、そういう話?
釣りというより、いろんなことが本当に書いてるんですけど、
2つ、すごい、自分の中で面白いなと思ったエピソードがあるので、紹介したいんですけど、
まず1個は、ハチの子を食べるピクニックをしようって、
当時、名前違うんですけど、法治新聞社の同僚が誘い出してくれて、みんなでハチの子を探しに行くっていう、森の中に行って。
記者の人ってそういうとこあるよね。
あるよね、なんかバイタリティーってか、好奇心が大勢なところが。じゃないと記者なんてやれないなって思うんですけどね。
で、そのハチの子を探すために、ハチの巣を探すわけなんですけど、その探し方っていうのがすごい、結構私衝撃的だったんですけど。
追う役?
追うっていうかね、なんかね、なんかね、あの、ヤマカガシやったかな?マムシのヘビを。
ヘビがね、ヤマカガシって。
ヘビを、頭をカーン叩いて、いきなり捕まえて、その記者の一人が皮を剥くんですよ、その場で。ヘビの皮を。
そこでそのヘビ肉団子みたいなのを作って、で、宙に浮かせて、ヘビの肉の団子を差し出してると、ハチが寄ってきて、
そこでそのヘビの肉をちぎって運んでいくやって、宇宙に食わせるために。
黒スズメガチやもんね、確かハチの子って。
あ、そうなんや。そこまで言ってないんだけど。だからそもそもハチがヘビのお肉食べるんやっていうのが、同じ虫の肉とかでもわかるんですけど、
ヘビの肉やで、食べるんやなっていう。
結構でもね、ハチは肉食、肉食みたいなの結構いる。
いるんよね。だから全然知らんかったんやけど、ビックリやったんやけど。
で、そのヘビの肉をちっちゃく何ミリかぐらいに削ってやって、そこにこう、綿みたいな、こよりみたいな風にして、綿を引けるんですよ。
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だから、ハチってちっちゃいけど、その綿の紐みたいなのがちょーっと飛んでても見えるから、
ハチオイってやってた?
ハチオイって言うんや、それを。
イナチホウとかでやられてたんや。
ギフとかでやられてたんや。
ああ、やり方なんや。食べはるもんね、あの辺のハチの子って。
聞いたことある、それ。たぶん私が生物系のバックグラウンドの人間やからやってたみたいな。
え、でもそんな話も載ってるんや。面白いね。
で、それでそのハチがこっちの方向に行ったっていうのを見といて、で、時計を見といて、何分かかったか。
もう一回取りに行くよね、また。肉があるって取りに行くんだけど。
それまでに2分とか1分とかしかかからなければ、ハチの巣が近いから、探しに行くぞって言って探しに行くことになる。
なるほどー。
で、その後、何かの煙、火薬か何かでいぶすんやとか、それ忘れちゃったんですけど、
なんかハチの巣を一気に煙に満たして、みんな気絶したみたいな状態で、ハチの子をガーってガッサリガッサリ持っていくっていう。
で、そういうハイキングをやったみたいなツアーが書かれてたりしたんですけど。
おいしいもんね、ハチの子。
食べたことある?
あるあるある。
あ、私ないね。
なんか、おいしい。
らしいね。
なんか、なんちゅんやろ、独特、でも全然臭みとかえぐみとかなくって、なんか炊き込みご飯みたいにして食べてんけど。
へー。
食べたい。
ほんと?いやいや、私虫、なんでも食べるけど、意外と下手者って言われてしまうような虫食とかはちょっと苦手なんですね。
なんやけど、そのポウセキさんの文章があまりにもうまいから、だからハチの子食べたいなって思うようになって。
へー、なんかどっかに探そう、たぶん、この東京大都会。
大都会、アンテナショップとか行ったらね、もしかしたらビン詰めとかあるかもしれない。
いこいこ、なんか食べようよ。
ねえ、なんか食べたくなっちゃった。
炊き込みご飯、へぼ飯って言うんやん、あのギフレ。
へー。
そう、おいしくってさ、食べたくなってきたのが、よだれ。
めずらしい、虫食によだれを。
いや、でもやっぱ他の虫よりおいしいよ、稲穂とか、全然ちがう、ほんとにおいしい。
なんか、虫やったら合格って言うんじゃない?普通においしい。
そうなんや、へー。
好みはもちろんありますけどね。
もちろんね、あるけどね。
あとなんかちょっと目があったりするの、生理的にダメって人もいるやろうから。
まあ、幼虫やとそういうのはね、あんまないからね。
そうそう、っていう話があったり、もう一つすごいこの時代感を感じるっていう意味で面白いなって思った話があったんですけど、
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なんかその、この広関さんの知り合いの人が、最近猫を引っかまえて食べてるんや。
時代やー、ほんまに。
しかも、その猫っていうのが野生の猫じゃなくて、そのへんをうろついてる猫を罠にかけて、食べてると。
やばいなー。
で、でもその当時やから、今って室内飼いしてる方が多いと思うんですけど、
普通ね。
でも飼い猫も外で飼ってるやん、そのぐらいの時代やったら。
だから、たぶん山田さんとか田中さんとかが飼ってる猫を罠にかけて、猫汁にしてしまうっていう話が載ってて。
やばいねー。
だから、やばいやろ。
でもなんか、昔のほんとに話読んでるとさ、時代がほんとに違うよね。
なんやった?何で読んだんかな?しがなおややったと思うんやけど。
で、なんか読んでたら、なんか普通に犬捨てに行くとかさ、
え、そんなカジュアルに?みたいな感じで捨てててさ、
特にだから、それで批判が起こるわけもないっていう。
そうやねんな、そうそうそう。
時代は変わったなって思うよね。
思うよね。
なんか、私の田舎が、母の田舎が山形なんですけど、
その母の兄嫁っていうか、だからたぶん今に聞いてはったら90ぐらいかな、の人が猫を川に捨てに行ったっていう話。
そうやんなー。
うちのおじいちゃんも、毎回ずっと犬飼ってる人だったんだけど、
でもある時、ペットショップみたいなのにたぶん勧められて、ずっと芝犬を飼ってたんやけど、
ポメラニアンか日本スピってかわからんけど、とにかくちっちゃい小型犬、楽ですよみたいに言われて、飼ったらしくて、
そしたら、思ったより吠えて、すぐに交換してもらった。
交換みたいな。
なんか、どうぶつとか生き物とかの捉え方が、もうまるで違う。
まるで違う。
交換みたいな。
派手んじゃないんやけど。
不良品みたいな。
しかもさ、子犬が親から引き離されて、1日泣いてるとかさ、むしろちょっとかわいそうやな。
そうやんなー。
じゃないんやみたいな。交換なんや。
びっくりするようで。
びっくりするよ、ほんまに。
猫もおいしかったって、確か書いてたっけなー。びっくりするような。
猫ちゃん。
猫ちゃん。しかも、ひとんちの猫やで。
それがこう、なんていうんでしょうかね、本として書いて許される時代というか、すごいことやなって思って。
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愛入れない時だってあるもんな、私らもさ、年上の方と話してて、
とかに私犬飼ってるからさ、なんで犬そんな大事にしてんのみたいな、よくある。
なんやろ、断飯あげるみたいな、デザインの方はさ。
そうやな、そうやな。
だからおやつとかも、これは塩が入ってる人間のやつなんであげれないとか言ってんのか。
そうなるよねー。
なるよねーと思いつつ。
私らちっちゃい頃でもまだそんな感じやったやん。
やったやったやった、まだ野良。
野良犬もおったしね。
おったおったおった。
感覚がもう本当に全然違うっていう意味で、
時代感、なんかこう外国のエッセイを読んでる、でも日本の話やっていうので、そういう面白さがありますね。
その時代のエッセイって私はもう読んだことないかも。
小説とかはなんか。
あるけど、エッセイやからさ、本物の話が書いてあるからさ、猫くくり罠につけたとか。
そうやんな、そうやんな。
もう一つね、価値観が違うっていう意味で、おかしいので紹介したい話が、
一文目がな、私は娘を盗まれたことがあるっていうこと。
おっと不穏。
不穏すぎません?
当時、子供が生まれないようなお家の人に養子をあげるじゃないけど、
そういうのってあったやん、普通に。
あったあった。
私らの親世代くらいまで普通にあった。
あったよね、あったよね。
そういうので、親戚の子から娘がおって、娘くれろって言ってもらってきたっていう話が書いてある。
それこそ野良犬みたいな感じかな。
そうやね、なんか子供に対する感覚が違うよなっていう。
そうやな、そりゃ違う社会が出来上がっていくよな。
でも、その娘を奥さんはすごい可愛がってちゃんと育ててあって、
自分のその後に子供が生まれるんですよ、孔雀さんと奥さんの間にね。
でもわけ隔てなくすごい愛情かけて育ててるっていう話が出てくるんやけど、
その後でもらい受けたっていうのが、娘さんの親が惜しくなって返してくれって言って。
で、ある日娘が帰ってこなくなっちゃって、なんでやなんでやって問い合わせしたら、
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本当の実望っていうかが娘をさらっていってしまったっていう。
時代だね。
時代でしょ。
それこそさ、昭和初期とか大正の小説とか読んだらもう普通やもんな、そういう状況。
普通やろ。
普通やったよな、やっぱり。
そうそう。でもなんか小説で読むと、なんとなくフィクションとして考えるけど、
エッセイだと、そうそうそう、本場の話でこういうことあったんやっていうのが続々出てきて。
そうやんね。
日本やのにこんなにも時代がちょっと変わると、変わってしまうんやっていう意味でもすごく面白い本なので、
ぜひ読んでほしい本ですね。
なんかちょっと2個ぐらい紹介って言ってたんですけど、さらにもう1個紹介したいなと思ったエッセイがあるんで。
無限に出そう。
本の全部を解説してしまいそうなんですけど、このままだと。
小関さんが明治の時期に木こめ先を奔放して、高地に飛ぶねんけど。
自由だ。
自由。でも時代やと思うよな。そこで働き口を見つけようとしたけど見つからなくて、今度は神戸に行ったんですね。
神戸からまた仕事を見つからずに、今度は大阪の天王寺っていうところに友達を訪ねて行って、さらにそこから電車鎮を借りて京都まで行くとか。
昔の人ってさ、気軽に人の家に突然現れるよね。
客人の扱いとかも全然違う。
違うよね。
何も言わずにさ、ピンポーンとか来たらさ、「え?どうした?」ってなる。
どうした?何があった?みたいな。
家が水没したぐらいの事件があったんかなって思う。
寝床しつらえてあげてとかできない。
ないもん余ってる布団とか。
でも全然やっぱり時代が違うから。
結局どこに行った?小田原かな?まで行って、そこの友人の家にお金がないから居候してるんですけど、そのご友人には奥さんがいらっしゃるんですよ。
結構その家もカツカツやのに、居候として置いてくれるみたいなエピソードがあったりとか。
昔の話って本当にそういうのあったんやみたいな。
っていうようなことがあって、その後さらに友人のところに転がり込むんですけど、その友人にすでに一人友達の居候がいるんですよ。
だから二人居候を抱えることになって、友人は。
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でもこのままだ、俺らはもう友倒れするから、なんとかせなあかんって言って、旅に出すんですよ。そっから。
で、みんな歩きで旅をして、ゾンビで。
ロギンはどうされてんの?
ロギンが、もうこれこそなかなかその時代だと思うんやけど、廃坑をしたためて、その廃坑を売って、お金をもらって旅をするみたいな。
私もそうやって旅したい。
廃坑読めないけれども。
読めないけれどもね。でもほら、今と違って、それこそ知らん人の家に訪ねて行って、廃坑を読んでも、困ってるんやったら買ったろか、いうような温かみも逆に言うと。
温かみも温かみかやけどさ、自分も知らん人が来た時にさ、そうしてるのもね、連鎖っていうか、みんながそうしてるんよね。
誰かがただ乗りしてるって言うんじゃないから成り立ってるんよね。
成り立ってるんやと思うんだよな。社会が違うってことで、なんとかロギンを加えながら、3人で旅をするみたいな話も載ってたり。
盛りだくさんすぎるな。
読んでみる。
ぜひ。
それ聞いて最近ちょっと読み直したおてんなんですけど、思い出したのが、泉教官の荒野ひじり。
荒野ひじり自体は旅してた僧が、昔あった不思議な出来事を回想するっていうような筋なんですけど、
それと岩波文庫版の荒野ひじりでセットになっている眉隠しの霊の方が、全然知らん人が来て止めてやるみたいなところを思い出した話で。
それもちょっと泉教官一流の階段になってるので、エッセイとは全然違うタッチだし、
泉教官は内容、あらすじの奇想天外さ、意外さを楽しむっていうのよりも多分文体を味わうみたいな。
文学だから、ちょっとまた違うんだけど、久しぶりに読んで。
お茶をたしなむみたいな小説ってあるね。美味しいお茶を味わいながら飲むみたいな。
たしかに、たしかに。すごいね、独特なんですよ、教科って。
読んだことないのよ。
私けっこう好きで、飛行文とかもね、味わいがあっていいね。
あのエッセイやから、そういう意味でつながりがあるかも。
当時の列車の様子とかも書いてて、大正くらいかな、だから。
泉教官って本当に独特の文体で、まず文が普通に長い。
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一文が長いってことか。
それってけっこう今の文学はあんまりないっていうか、けっこうカッコ悪いっていうのが主流かなと思う。
わかりにくいとか。
けっこうでも泉教官はこの長さが芸術というかに消化されてる感じがして。
だから文の中で、ちょっとわかりにくいように構造してることもあるんだけど。
これは長い文じゃないんですけど、ちょっとなんか泉教官っぽいなっていうところをちょっと読ませてもらいたいなと思うんですけど。
これはストーリーテラーというか、語りをしてるお坊さんが蛇に出くわした時の描写なんですけど。
いいね、なんか一緒に引き込まれるような。
そう、まずこの疑問のぬたりっていうのも蛇のなんか怪しいぬねっとしたような肌の感触を伝えてるしさ。
あとこの文体が今見るとすごく古いのもすごい味があって。
なんか水木しげるさんを私は思い出したな、今ちょっと。
あーでもそういう影響はあるんかもしれない。
すごいなんか独特の本当に。
なんか異世界に急に引き込まれるような、異世界とか異界って言ったらいいのかな。
階段とかの化け物妖怪みたいな世界にひよっと引き込まれるような。
本当に泉教科のお箱というか階段だから、まさにもうそれにどこかに明確な出たーみたいなっていうのも、
出たもあるんやけどっていうより全体がこういう怪しい空気。
ゆっくり一文一文読んでふふってしたり。
素敵な怪異の世界に、素敵でもないけど、なんていうの。
怪異時代は素敵じゃないんですよ。
幻想的な世界に身を浸したりする日本語体験になるのかなと思って。
私は泉教科すごい好きですね。
一文聞いただけでもなんかちょっと虜になりそうな予感がありますね。
そうやろ、佐藤さん絶対好きやな。
今回は何でしょうね、古い時代の異世界観を味わう本って感じですかね。
そうね。
雑白なまとめ方だとすると。
でもね、両方の本をおすすめしたいので、ぜひぜひ泉教科いただきたいなと思います。
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ではみなさんまたお便りも待ってまーす。
待ってまーす。
良い読書体験を。
良い読書体験を。
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