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生物学者と書店員のインターネットラジオ、本の虫のススメ。
本を偏愛する生物学者の椿と書店員の佐藤が、本にまつわるあれやこれやをゆるっとお届けします。
はい、今回も始まりました本の虫のススメなんですけれども、今回は最初にちょっと皆さんにお知らせしたいことがあります。
次週第86回は、ゲストをお迎えしての放送になります。
やったー!
そしてゲストとしてお迎えするのは、69回の時、斉藤哲夫さんという、いわば文系と言えばいいんですかね、
ルーマニア語の小説家の斉藤さんをお招きしたんですけれども、今回はそういう文系利権という視点で見たらですけど、
もしかしたら対照的と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
なめくじ研究者の宇鷹博子さんをお招きしての放送になります。
宇鷹さん、本の著者でもありまして、2022年に改正者さんからチャコーラさんの秘密を知りたいなめくじの話というタイトルで、
みんなの研究という改正者のシリーズから本を出版されています。
一応、自動書に分類されるようなものにはなるんですけれども、大人が読んでも非常に面白い内容になりますので、
その本の話なんかも深掘りしながら、宇鷹さんにいろんなお話を聞いていきたいと思いますので、
皆さん来週も楽しみに待っていただけると幸いです。
というわけで、今回の本題、ブルシッド女部会に移っていきたいと思います。
はい、今週も始まりました。ほんの虫のすすめでございます。
なんかしっとりしてる。
こんにちは。ほんの虫のすすめです。
というわけで、今回はネタバレ感想会になります。
83回、前の前の回ですね、に予告して、もしかしたら読んでくれたよっていう方もいらっしゃるかもしれませんが、
今回は、デイビッド・グレーバー、ブルシッド女部、クソどうでもいい仕事の理論の感想会をやりたいと思います。
実は私たち、第64回に、フィフティーピープルという韓国文学のネタバレの感想会をやって、
それですごい、結構好評いただいて、私たちもすごいやってて楽しかったっていうのもあって、
で、あの今回、じゃあ前回は小説だったので、小説じゃない本でちょっとおすすめの面白い本、
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読んで感想を言い合う会、やりましょうということで、この本、クソどうでもいい仕事の理論を選びました。
ちなみに翻訳は3名の方でされていて、坂井たかしさん、羽賀辰彦さん、森田和樹さんの翻訳になっています。
結構、すごい盛りだくさんです。
すごい盛りだくさんやったね。なんかどうでしたか、読んでみて。
あの結構この本、私たぶん普通に読んだら4,5時間ぐらいかかるかなっていう感じですけど、
実際に読んだ時間が、7,8時間ぐらいかかってて、っていうのは、各章とかで、誰々が何々でこうであるみたいな文章を読んだときに、
ああ確かに、じゃあそうしたら日本ではどうなんやろうとか、なんか試作がどんどんどんどん広がって深まっていって。
これ、タイトルが結構刺激的じゃないですか。
それでだから、何やろう、ちょっと出落ちじゃないけど、そういう本なんかなって、もしかしたらちょっと思われるかもしれないんですけど、
実は、なんていうか、そもそもこれ、タイトルに、クソどうでもいい仕事の理論って書いてるから、経済学者さんとかが書かれた本かなと思われるかもしれないんですけど、
実はこれ、人類学者の方が書いた本なんですよね。
だから、その試作がどんどん、人間にとって働くとは、人間の価値とは、みたいなところにどんどんどんどん入っていくんですよね。
最初、この著者のデビッド・グレイバーさんが、インターネット上の雑誌というか、メディアに、
ブルシットジョブ現象、クソどうでもいい仕事現象についてっていう、
小論というか、論考を発表して、それが、実は私たちっていうのは、自分の仕事がすごく価値があるよって思ってやってる人っていうのは、それほど多くなくって、
自分が社会から、この仕事がなくなっても、会社がなくなっても、全然なんの影響もない、クソどうでもいい仕事をしてるんだって思ってる人が、
めちゃくちゃ多いんじゃないかっていう。その時はまだデータに裏付けられたとかではないんだけれど、そういう論考を掲張って、それに対する猛烈な反響があって、その反響をもとに、いろんな労働者の方にヒアリングとかを進めながら、歴史的な仕事、働くことに対しても、
小説を深めていくみたいな構成だよね。
またこの最初のさ、この一番最初に発表された論考が、すごい刺激的だよね。
そうね、もうなんか死にかる死にかる死にかる死にかるみたいな。
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いや、やっぱりさ、私たち、81回、何もしないことの豊かさで、ジョニー・オデルさんの何もしないっていう、これもすごいいい本なので読んでほしいんですけど、で、それを、その本についてお話しするときも、キーワードとして、二人がよく口にしてた生産性っていうのがあるんですけど、それを、まあ私は、その話をした時点ではまだこの本読んでなくて。
で、なんかちょっと結構、思考停止的に使ってたなっていう部分が。
わかる、わかる。
そうそう、だから、このブルシッド・ジョブの大きな主題としては、私たちはもう、この資本主義経済の中で、生産性っていうのを高めるように生きてるんだ、市場っていうのはそうなってるんだって思い込んでたんだけど、そこに対するすごい大きな挑戦というか。
そうやね。
疑問を停止する。
見方が変わるよね。
なんか資本主義は進めば進むほど合理化が進んでいくみたいなことが前提として物事が動いてた気がしたんやけど、実はそんなことないんちゃうかっていう。
なんか結構衝撃的やったんが、私たちは資本主義の中にいないんじゃないかっていうようなことが書かれてて。
っていうのは、アダム・スミスとか、そういう経済の父みたいに言われてる人とかが言ってた、想定してた資本主義とは絶対違うよね、今の資本主義っていうような。
労働イコール価値っていうのが相関しないっていうのを結構いろいろ、例えば保育士さんとか看護師さんとか掃除する人とか、そういう結構自分の仕事がブルシッとどうでもいいって思ってない人たちで、実際に社会的に価値があると。
実質的な価値っていう、また言い方がすごい難しいんだけど。
リアルジョブ。
うん、そうそう。リアルジョブの人たちの給与が低くて、で、金をこねくり回したりするような、なんか、この本では結構6種類ぐらいの書類埋め人とか、取り巻きとか、いろんなそのブルシッとジョブの。
脅し屋とか、そういうなんか怪しいのがあった。
あ、そうそうそうそう。そういう、まあリアルジョブじゃない人たちのほうが給与が高いっていう、労働がなんか価値を通じてお金に還元されるという、なんていうんやろ、ある意味これまで経済学がたぶん基本としてきたような考え方やと、ありえない矛盾があるっていうような話があったり。
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で、なんかプロテスタントって、まあ労働がこう美しいみたいな一応価値観やんか、ピューリタリアンって言ってたっけ?
うん、ピューリタン。
ピューリタン?ピューリタンか。ピューリタンって、まあ私よくわかってないんですけど、プロテスタントの一派みたいなことやね。なんか改革派のプロテスタントみたいな意味らしいんで、まあ要するにプロテスタントですよね。
なんか、だから労働は美しいっていう、素晴らしいっていう精神のもとで生きてるなら、そのリアルジョブって言われる人って尊敬されて給与が高くなるはずじゃないのかなって思うのに、なんかそこでねじれが生じてて、むしろこう、下に見られるというか。
そうやんね。なんかでも肌感覚として私たちもあるよね。
あるよね。
なんか、そういうふうに見られがちだっていうのを、なんか社会全体で多分共有できてるから、それはまあ日本だけじゃなくて世界全体でそうなんだと。
それに対して、さっき佐中さんが宗教に言及してくれたんですけど、すごく印象的だったのが、経済学っていう分野自体が道徳哲学から生まれてるっていうような話が書いてあって、道徳哲学ってじゃあ何かっていうと、もともと神学、キリスト教神学の一部門だったっていうような話があったりして。
だから直接その、宗教的に働くっていうことは良いことなんだっていう、その内容が何であれっていうことが、もう資本主義というか、今の社会システムも西洋でまあ基本的に組み上げられたもので、そういう歴史的な背景と切り離せずにあるんだっていうようなことも書いてたりして。
だから、キリスト教神学に起源を持つようなその労働にまつわる価値観っていうのが、普遍的にあまりに授与されすぎてて、みんなが当たり前だよね、労働って尊いよねってなりすぎてて、そこに何か疑問を覚えることすらないっていう。
なんか、で、面白いのが、その労働をする人じゃない人、失業した人とかに対しての視線がすごい厳しくなるっていう、裏返しとしてね。
本当に、本当に。
それは確かにそうやなって思うんですけど、なんかちょっと脱線しちゃうかもしれないんですけど、どこで読んだかちょっと忘れちゃったんやけど、最近なんかこんなことを言ってる人がいて、ああ確かにと思ったんですけど、
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なんか今の世の中、私たちはこのお金に対して信仰心を持っているっていうことをその人は書いてて、だからその宗教とちょっと似てるっていうことですよね。
だからそのお金を稼がない人、失業者とか、生活方法を受けてる人とかは、その信仰心が足らないっていうような怒り方になってるっていう。
いや、でも、かなり通定するものは近いし、無意識に結構そう思ってる人、本当にいっぱいいるよね。
いや、本当そうやね。
仕事のその価値がないって思うから、自分の仕事をブルシとクソどうでもいいって思うっていう話から、じゃあ価値って何なんだっていうところにも議論が展開されるんだけど、
それって、やっぱり究極的には、人の役に立ってるっていうところがすごく重要なところだっていうのが、一つの結論というか、大きな要素だよねっていうことが言われていて、それは本当にその通りだなと、自分としても思うし。
で、この中で、ブルシットジョブの一つの形態として言われてて、もうなんか佐藤さんが言ってた、不穏な脅し屋とかも、まさにだから、自分が不道徳な行い、人のためになってない、逆に人を害するようなことをしてるっていうことが、自分のジョブ、自分の仕事をブルシットって感じる原因になってるっていう。
そういうこととか、なんかね、まとまりがないんだけど、本当にいろんなトピック。
いや、本当にね、ありすぎて、もう、なんかどれからどう話せばいいのか、困惑するぐらい。
いや、で、その、ブルシットな人は、だから、ブルシットは嫉妬ジョブとはまた区別されてるんですよね。それで、嫉妬ジョブは、まあやりがいはあるんやけど、その、待遇とかが良くなくて、割に合わない仕事を嫉妬ジョブって言ってたんだよな。
うん、そうそうそうそう。きつい。
きつい仕事。
いろんな意味で。
でもブルシットジョブは、まあ大抵その、こう、見入りはいいんやけど、その人自身が、働いてる人自身が、もうクソどうでもいい仕事やなって思いながらやってる仕事っていうことで、それは別のものだっていうことらしいんですけど、だから、要するにホワイトカラーの人が、まあ大抵、そうなんでしょうね。ブルシットジョブについてるんでしょうか。
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この本によると、どこの国やったかな、忘れたけど、半分とか4割とかの人が、自分の仕事はなくても、社会に影響ないどうでもいい仕事って思ってるっていう、結構衝撃的なデータも出てたよね。
なんかそういう立場の人が、なんでしょうね、その、クソどうでもいいな自分の仕事っていうことを思ってるからこそ、どうでもよくない、必要な価値があってやりがいのある仕事をやってる人が妬ましくて、で、そういうことで給与がどんどん下がっていくっていう、すごいねじれを感じる。
これ、道徳的嫉妬って書いてたよね。自分の仕事に比べてモラルがすごく高くて、いい仕事だから嫉妬してしまうっていう。
なんやそれって思うんですけど。だから、そもそも、やること自体にすごく価値があるから、それにプラスしてお金まで要求するなんてズーズーしいみたいな。
いやいや、なんでそうなんの?みたいな。一瞬だから途中読んでて、は?ってなったんですけど。
なんかその、デビッドさんが、グレイバーさんが、聖なる仕事だからそういう仕事は、だからお金は必要ないだろうみたいなことを思ったみたいなことが書いてて、いやそうはならんやろって。
で、あるなら、お金とはまた違ったところで、その人の家屋とか、自由環境とか、住んでる生活を素晴らしいものにするとかさ、尊敬してるならさ、そういうふうな社会的な扱いになってくんちゃうんかなと思ったら、
だからずるいってやっぱなるんやって思ったときに、なんかこう尊敬するっていう感情と、うらやましいっていう感情と、ネタましいっていう感情って、なんか実はちょっと近いところにある場合があって、
そうやんね。
簡単にちょっとひっくり返ってしまったりする。
やっぱり、自分がそこになれたはずっていう声をしてしまうと、尊敬から、なんかねたみになるかもしれんね。
そう、だから自分がそれをできるかっていう可能性の濃さ薄さみたいなところで変わる。
そんな気がする。
だけで実はちょっと近しい場所にある感情やなっていうふうに私は思ったんですけど。
で、この本ですごい印象的なのが、労働者一人一人の証言というかを取り上げてる部分が、どれもほんとに痛ましいんだよね。
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そうだね。なんか、うん、そうね。なんか本人が別にそれをやりたくてやってるわけじゃないのに、やらざるを得ないみたいな。
そう、そんな思いでみんな働くのが当然ってなってるのがさ、なんか肌感覚としては感じるやん、やっぱり。
感じる感じる。
感じる感じる。
とかさ、自分もそこにある程度身を投じることもあるしさ。
なんかうまく言えないかったことをかなり言語化してくれた本だなとも思いますね。
そう、そうなんだよ。
今までもやもやと思ってたことが、ちゃんと形になったというか。
なんか電車に、満員電車とか朝の通勤時間に乗ったりとか、帰りの北クラッシュの時間に乗ったりして、なんかみんな楽しそうな人が一人もいないなとか。
ほんとに、ほんとに。
苦役とかのなんか、帰りに、生き返りに行ってるみたいな感じで。
で、それでどうしてなんだろう、ずっとそれでやっていけるのか。
それがその子供がいはるとかやったら、しょうがないっていう部分はあると思うんですけど。
独身の方やったら、別に辞めて違う仕事探すこともできそうなもんやけど、
なぜこんなにつらそうに毎日多数の人が働いてるんだろうっていうのが、ちょっとこう疑問だったんですけど。
ブルシッドジョブの人の割合が強いんだったらば、それはそうなるのかなっていう気がして。
転職とか多分そういう話じゃないんだよね。
そうそうそうそう。
なんかいろんな仕事に言及されてて、例えば私たちがすごく創造的だ、クリエイティブだって思うようなハリウッドの仕事も、実際はそのなんとかエグゼプティブみたいなのが何人も何人も挟まって、
官僚組織の肥大みたいなことが一つの大きなトピックとして扱われてて、それが何かっていうと、実際のリアルジョブが行われるまでの発案というか、実際にその仕事をやるでってなってから、
その手を動かして、まあ例えばハリウッドであれば映画を作るに行くまでの間の部分を引き伸ばせば引き伸ばすほど、そのお金が発生するっていうような構造がいろんなところであって、例えばその何かの福祉のお金の支払いプロセスとか、大学のなんかの承認プロセスとかも全部全部そこが肥大していってしまってて、
それが実質的にはこれよろしく、じゃあやるわっていうのがそうならなくなってるから、これいらんやんってみんな思いながらやってるっていうのが結構確信の多分ところで。
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あとあのカーストガールっていうことも言ってましたよね、そういう映画業界だとか、そういう一部のなんて言ったらいいの、その業界の一部のその専門職の人に、そもそもなれないみたいな、なんかの偽、俳優さんとかなんか偽がいたりとか、閉じられた世界の中にいてっていうような話も、ああ確かになっていう。
いやーそれ本当に共感したね、なんていうかそのクリエイティブっていうか、その自分が本当に価値ある労働、価値あることに打ち込むっていうのは、なんかヨーロッパのそのもともとの都定制度みたいなのの精神がなんか結構息づいてるっていうような話があって、
だから都定制度って何かっていうと、親方のところに弟子入りして、で辛い期間を終えて、それで初めて自分の家業というか、仕事を開業して自分で自営していくっていうような、そこでこう、初めてリアルジョブにつけるっていう、そういうような多分幻想というか、
そのシステムの模倣みたいなものがまだあって、で、でもその都定制度っていうのは解体されて、私たちがずっとだから、デッチ暴行のまま、ずっと一生いかなきゃいけなくなって、で、逆にその親方的な身分の人たちはそのデッチ暴行を経ずに、すぐに親方にまた子供たちを、お金がたくさんあるから、再生産することができて、
クリエイティブ、真にクリエイティブと言えるような、価値のありそうなことをしてる人たちが価値のありそうなことをできる人たちを再生産していくっていうような、つまり身分が固定化されていくっていうことが書かれてて、ほんとそうだよなと思って、生活のために働かなければならないっていうところから解き放たれたら、何が起こるかっていうことなんだと思うけど。
そうなんでしょうね。ベーシックインカムがもし本格的に導入されていったら、どういうふうになっていくのか。
最後にそのベーシックインカムの導入っていう、ちょっと実践というか、活動されてる人の紹介で本は閉じられるんですけど、なかなかね、かなりドラスティックな変化だから、すぐにちょっと想像することってやっぱ難しい。
難しいよね。今までになかったものと言ってもいいけどね。
インドでちょっと導入されてるみたいなことが書いてあって、そうすると、差もありなんとそれは思ったけど、家庭内暴力。
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書いてたね。減ったってね。
やっぱりそういう、お金を買いした支配関係みたいなのが薄まるっていうのは間違いないんだろうね。
家事労働みたいなものの価値っていうか、それを受ける側の人が思う価値も上がるかもしれないね。
そうやんね、そうやんね。
どうせ無料で、金を生まずにやってることっていうのって、かなりさっきのお金の振興につながる話で軽視されるやんか。
結構それを、この本ではケアの仕事って言ってて、結構伝統的にというか、古くは家庭で女性がするとされてたような仕事っていうのは、
基本的に工場で何かを生み出すとかと交代所を成すもので、人を維持するとか、家を維持するとか、
そういう、生産するっていうんじゃなくて、ケアしていくっていうところにフォーカスが置かれてるっていうところ。
で、そういうものは仕事、金銭的な仕事としては見なされなかったっていうような。
なんかそのキリスト教的な考え方で、女の人が子供を産むっていうことに並んで男性が労働するっていうのに、それほどの価値があるんだっていうことが書かれてて、びっくりしてさ。
そうやんね、もうなんかやっぱりキリスト教って違うなって思う。
そういう、そこの方から価値観ちゃうんやってことを認識して接しないといけないな、キリスト教的な文化にってすごい思った。
本当になんかちょっと違う話で、また昔読んだ本やからあやふやないんけど、キリスト教で思い出して昔読んでびっくりしたのが、
えっとね、推理小説を書いてるのでミステリー作家として有名な方なんですけど、ギルバート・キース・チェスタトン、正統とは何かっていう本があって。
はい。
で、チェスタトンってブラウンシンプシリーズとかって知ってる?
うーん、ピンとこーへんな。
なんかね、そういうミステリー作家なんですよ。
で、私すごいミステリー、中高の時めちゃくちゃ好きやったからチェスタトン読んでたんですけど、大人になってからこういう、なんていうの、論考なんだけど、書いてるっていうのを知ってへーと思って読んで、すごく驚いた。
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これどういう本かっていうと、正統ってオーソドックスっていう意味なんだけど、そのオーソドックスっていうのが何かっていうと、
正統ってどの漢字の正統?
正しいに統一の統。
あー。オーソドックスって正統って意味だったんやね。
あ、そうそうそうそうそうそう。
なんか汎用性があるみたいな意味だと思って。
多分ちょっと、だから日本語的なニュアンスにした時に訳せないんだと思った。
なるほどなるほど。
これを読んで。だからその、聖書に乗っ取ってるじゃないけど、そういうようなニュアンスがちょっと含まれてる言葉で。
で、これが宗教とか社会におけるオーソドックスっていう考え方っていうのはどういうものなのかっていうのを考察していってるんやけど、
その中でやっぱりキリスト教っていうのがある種のいろんなものの行動規範というか軸になって、社会っていうのも展開されていってるっていうようなことを、
ちょっともう細かいことを忘れて、ほとんど忘れちゃったんですけど、それが結構私にとって衝撃的やったんですよね。
確かに、そっか、だからこういう社会なんだじゃないけど、だからこれもおすすめです。
めっちゃいい本です。
すごい印象的やったのが、狂人狂った人っていうのはみんな理性を失った人やと思うやんか。
でも違うって言って。
いや。
狂人の描く世界っていうのは、冷徹無比なほど筋が通ってるって言って。
だからその、例えばこういうふうな声が聞こえる。
まあ幻聴ですよ。
聞こえるって言って、でもそれってその人の閉じた世界の中やと幻聴が聞こえて、だから自分はこう行動したって。
筋通ってるよね。
他人が解体しなかったらさ、その中で閉じた世界の中やと完全に筋が通ったとその人が知るっていうことになるやんか。
じゃあなんで狂ってるかっていうと、外の世界との干渉が起こったときに、おかしいことしてるって周りの人が思う。
異質なものだって周りが判断するってことよね。
そうそう。
それは本当にその通りやなと思って。
でもじゃあ、社会規範みたいなものって言ってもいいんかもしれんけど、それを決めるもの、このぐるぐると狂人と呼ばれる人たちが自分の中でマラソンをしているこの運動場から出て行って、
じゃあどういう社会、どういう筋道で行くのがいいのかっていうのを考えたときに、その軸になるのはその宗教的な信仰、聖書に書かれていることとか、
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そういうところがよりどころになって、みんな暗黙のうちに、これっていいことだよね、悪いことだよね、みたいなのを判断して、そこからどれだけ外れていったかで正当でないかを判断しているみたいな。
で、社会もそれを前提として作られてきたみたいなことが書かれていて、すごい、なんだろうな、やっぱり日本ってかなり今、ぱっと見似たような、というかグローバリゼーションで同じような力で駆動されてはいるけれど、かなりやっぱり社会の成り立ちが全然違って、
その通定するものがあるから、道徳とか倫理とかも、ある意味社会と整合性を持ってやれるっていう気持ちが、西洋のキリスト教圏の人たちは、これが正当だって言えるものをある程度共有しているんだろうなってすごい思って。
だからサトゥーさんがさっき言ってたような、子供を産むっていうのと同じぐらい男の労働っていうのは価値があるみたいな話とか思った。なんかやっぱりなかなかちょっと、あって、なんかなるやん。
なんかハテナってなる。
そうそう。
なんか、飲み込むというか理解するのに時間がかかるっていうか、どういうこと?みたいな。何その世界観みたいになる。
でも確かになんかその、読んだらさ、そういう前提で発展してきたって言われたら、ああまあそうなのかもっていう納得感があるよね。
なんかキリスト教的な世界観と違う日本やから、全然同じようなことをやって社会を回してるようで、実は中身は違ってたりするんやろうなって思ってたんやけど、でもなんか、そうやな。
だからアメリカってもっと合理的、合理主義みたいなのが強いと思ってて。
うんうんうん。わかるわかる。
そうそう。なんか無駄なものは減らせじゃないけど、自由資本主義みたいな。だからさ、そもそもそんなブルシットって思うようなジョブがある、そんなにもあるんやっていうのも驚きやし。
なんかこう、無駄でいらないミーティングとかがやたらあるとかさ、なんか日本のイメージだったわけ、そういうのって。
でもアメリカでもそういう、同じような現象が起こってるんやっていうのがちょっと、なんて言うんでしょうね、ちょっとところ変わっても、やってること変わらずで、ちょっと親近感じゃないですけど。
なんかでもちょっとまだ、なんやろ、敗戦国根領じゃないけどさ、日本人ってちょっとそういうところあるよね、なんか海外に行けば効率的な何かがあるみたいなさ。
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だからもうコンプレックスやんな、もう完全に。
コンプレックス、完全に、本当にそう思う。
もう、もうボキッとおられてしまった、こう挫折があるからさ。
いやー、それが、もう世代を、私らのおじいちゃんおばあちゃんぐらいの頃がそうなんだろうから、2つ3つまたいで、広く共有されてるってすごい。
すごいよね。
国民病になっちゃってるよね。
いや本当に、なんかアメリカのもんって、とにかくとりあえず正しんちゃうみたいな雰囲気があったりするやんか。
本当に本当に、そうそうそう。
まあだから狭い世界を生きてるってことですよね、要するにその、狭ったというか偏った世界に。
それはどこの国でもそういう面はあるかもしれないけど、
でも特に日本はちょっとアメリカにすごくものすごく偏った世界観の中にいるってことは間違いないなって思うんですよね。
まだにも、あれやもんね、本屋さん行くとスタンフォードシュリーズとかさ、全米なんとかみたいなさ、本当にあれは痛ましいよね。
こんなに心が痛めつけられてしまったんやと思うと胸が苦しいよ。
しかもそのなんか、まあそのへし折られた超本人に憧れを抱き続けているっていう、それがまたつらいなと思うところなんですけど。
それで思い出したら、だってんしていい?
全然しよしよ、それが醍醐味。
なんかね、最近すごい面白い本を読んで、
これなんていうか、サイエンスコミュニケーションの本で、これすごく面白くて、
もともとアメリカで芸能人をしていた、俳優さんか俳優さんをしていたアラン・アルダっていう方が、
自分がサイエンス番組をやったきっかけだったかな、ちょっときっかけ忘れちゃったんですけど、
どんどん科学っていうものに興味を持っていって、でそれを伝えるためにどうしたらいいかっていうのを、
自分はその俳優っていうバックグラウンドがあって、演劇っていうものの実践を通じて、
サイエンスコミュニケーションする人とか、あるいは研究者とかに演劇、特に即興劇みたいなのを教えて、
そうしたら、自分がただ壇上に立ってブワーって喋るんじゃなくて、相手のリアクションを見ながら、自分もそれに合わせて動きを変えていくっていう、
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つまり、自分がジャガイモに話すようにしろとかよく言うけど、緊張しないようにとか、そうじゃなくて、本当に肉体を持った違う他人として、相手を見つめ直すことで、そのコミュニケーションの質っていうのは上がるんだよみたいなのを、
いろんなこの人の実践を通じて書いたすごい面白い本があるんだけど、それの英語のタイトルが、
Would I Have This Look? My Adventure in the Art and Science of Relating and Communicatingっていう。
だから、このまま訳すと、私があなたを理解してるって言った時に、私の顔にどんな表情が見えますか?
私のコミュニケーションと他者との関わりにおけるアートとサイエンスのこれまでのアドベンチャーみたいな。
まあまあその内容のこのままのタイトルないけど、これがどういう風にタイトル翻訳されてるか日本に。
全然変わって翻訳されてそうやけど。
これヤバくてさ、全米視聴率男の最強の伝え方。
こんなんさ、読みたくなるわけないやん。痛ましいよね。これいいよ。
でもね、日本あるあるやな、その全米とか。
脱力だよね。
いや売れるんですよね、そういうタイトル入れた方が。
これ売れたんかな?でも。
いや、わからんけど。わからんけど。
いやこれ、本当に内容がいいだけにさ。
タイトルがね。
買うのもためらうわみたいな。
さらに脱線したいんですけど、いいですか。映画に脱線するんですけど。
映画、映画のタイトルすごい変わるよね。
そうなんですよ。
えーとね、ちょっとタイトルが死ぬまでにしたい10のことっていう放題で出てるんやけど。
そのタイトルを聞くと、生きるのを大事に毎日を大切に生きていこうねっていう自己啓発的な香りがちょっとするんやけど。
でも現代は、my life without me なんですよ。
あー、全然違う。
全然違うでしょ。
私のいない私の人生。
だからその死ぬ支度をする、私がいなくなった後にも世界が回っていくようにその準備をしていくっていう話なので。
伝えたいニュアンスが全く違うんですよね。
ただし、私のいない私の人生っていう映画のタイトルにするよりは、死ぬまでにしたい10のことっていう風にした方が、
わかりやすいし、売れるっていうか、人を惹きつけやすいっていうことでそういうタイトルにしたのかなって思うんですが。
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どうなんだろうね。なんかすごい不思議でさ、結構その内容と乖離が出ちゃうやんか。
そうやね、そうやね。
そうなった時に、長いメールだから見ないからか。
あー、その時の興行収入みたいなね。
なんか不思議やん、だって言ってさ、なんか違ったな、なんかクラーみたいな、話クラーみたいになって終わる人もきっといたりしそうやんか。
内容を思ってたのと違ったな、みたいな。
それってなんか、本当は1回見てリピーターになるような人を1人逃すと、機械スポンサーが2回になるのか。
確かに、確かに。
本でもそうやけどさ、なんかタイトル微妙と思って買わなくてさ、でも内容見たらあれ全然タイトルと違う本やみたいなこと多いから。
そうやね。
どうなんでしょうね、その機械を逃してるっていうのと、引きつけてなんかいろんな人にアピールしてるっていうの。
その引きつけ力が強いと思ってそういうタイトルにしてるんやと思うねんけど。
でもギャップっていうのはかなり失望と結びつきやすいからさ、こんな失望させていいの?みたいなところあるよね。
不思議。
そういう意味ではさ、このタイトルはすごい良かったなと思っててさ。
そうやんね、本当に。
なんかクソどうでもいいっていう言葉でさ、言ってくれることによってさ、シットっていうのが無意味なみたいな役があるっていうことが書いてるんですけど、どうでもいいっていう言葉ってすごいそれを包括的に言い表してるじゃないですか。
で、それにクソって書いてることで、スラングっぽいニュアンスだっていうこともこの中に入ってるから、ブルシッド・ジョブがクソどうでもいい仕事っていう役をしてることで、ほんまにどうでもいい仕事をしてる人の理論っていうことがすごい明確にわかるんで、めちゃくちゃいい。
なんか変に書いてないから。
アメリカの人類学者が書いた、なんとか。
そうそうそうそう。
シット考察が岩波って感じ。これ岩波なんやって。
ね、岩波珍しい気がするけど。
これでもめちゃめちゃ多分売れた本で。
そうなんや。
だって私が持ってるのが2021年3月15日に刷られたものやけど、第8冊。
おー。
すごくない?
うん。
で、あの、1年やでまだこれ。1年経ってないや。半年。
へー。
相当売れてるよね。
期間だけど。
うんうん。
こういうののおかげで、海面ステキなふかふかが出たわけですね。
42:02
売れてる方に。
蓄積してるおかげでね。
これはどうでもいいんですけど。
ネットとかで売れたんかな。
結構その、岩波の本を本屋側が入れるのって勇気がいることで。
でもこれ平積みされてたよ。
ほんま?
うん、あの、確か私、あの、丸の内の丸全で買った。
多分だから一番ブルシッとな仕事をしてる人が多いんじゃないとか。
すいません、丸の内の人たち。
中心やからな。ホワイトホワイトカラーが湾坂いはるからな。
お昼に行くと、でもあそこでうろうろしてる人結構見るよね。
あの、丸の内の丸全でうろうろしてるタラリーマン。
タラリーウーマン。
タラリーウーマン?
ビジネスマン。
ビジネスマンたち見るよね。
うーん、なんか特約契約してたんかもな。
これに関しては返品了解を聞きますよみたいな。
まあそうかも。
これは、特にその、丸の内の丸全とかまたパワーがあるショッピングやから、余計そうかもしれない。
そうやんね。
それで確か買った気がする。
それこそ丸の内、ビジネスパーソンとかもこれを読んでいろいろ感じたりするんじゃないですかね。
ねー。
結構最後の方に載ってて印象的だったのが、大学でのなんかの承認プロセスの図みたいのがあって。
あー、すんごいなんか刺さってるやつね。
そうそうそう。
例えばこれ試験問題を作成するときの図。
まず試験問題の表紙の注意事項についての要請を大学職員が大学教員にして、
でその後問題冊子の表紙を大学教員が提出して、また表紙ですよ。
で次に大学職員が試験問題の内容の作成を依頼して、でまた今度は職員が内容を、あ違う、教員が職員に提出して、
でそれを見て、えっとフォーマットこれちゃうでっていうのを職員が戻して、教員があ、じゃあそれに対応しますっていう、たぶんここは複数ある、この解説をやって、
でそれでよっしゃこれでいったってなったら経理担当者にこういうふうなんで行きますよっていうふうに送って、
そしたらこれちょっと予算超えそうに見えるんだけど予算超えた時どうすんの、それ回避する方法どうなってんのみたいな話になって、
でその返事があって、でようやくこれだったら予算内になりそうやなってなって承認、で承認が終わったらようやく試験を担当している試験本部に送って、実際の試験の承認がされる。
はぁはぁはぁ、でもそうやなと思ってさ。
そうなんや。そうなんやろうな。
45:01
え本屋さんでもでも結構そういう感じはなかった?
本屋さんで?
店頭やとあんまり。
店頭やとあんまり。
あんまりなかった?
なかったかな。
私やっぱ大学とか研究機関と仕事することも多いから、なんか全然なんかそうそうって感じで。
あぁそうなんや。
例えばあの前いた職場で印象的だったのが、私引っ越したんですよ。そこに勤めてる時にね。
そしたら引っ越しの届けで合わせなあかんやんか。
そしたらなんかシステムがあるね。そのイントラネットみたいな社員が使うシステムがあって、そのシステムでみんな見れるから申請したら終わりやと思うやんか。
そしたらまず定期券いつまで買ってるかみたいな。でなんか返金してどうこうみたいな。手続きが経理かな?からかかってきて。
でその後総務みたいなのからなんか通勤経路が変わるから保険のなんかの提出が変わるみたいなんで。今度はなんか総務から電話がかかってきて。
で引っ越したのいつやみたいになって。でそしたらその事前にその出張費の料費承認みたいなのがおいてるからそしたら微妙に料費が変わるやんかって。
それの変わるっていうのが料費担当の人から連絡が来てて。
わーめんどくさーい。
そんなんがいっぱいあるのよ。えーみたいな。200円とかでそんなんやってんの。私の通勤経路が変わることによって200円とかしか変わらない。そんなのがぐるぐるぐるぐるぐるしてんのよ。
だからなんか1ドルの労働に対してお金にもし価値を換算したらどれだけの仕事価値を生み出してるかっていうのを試算したのっていうのもブレッドジョブに書いてて。
それで一番生産性が高いのは研究者が9ドルとかで、銀行員とかはマイナス10ドルみたいな。
うん、書いてた。
だからほんまにもうマイナス10ドルの仕事よ。
そうやな。偉いよな。
そうそうそう。もしかしたら私に出るお金減ってたかもしれへんしね、通勤経路が。
そうやね、そうやね。
あーめんどくさー。
すごい50分喋ってる。
あ、そんな喋ってる?わお。そんな喋ってたんや。
やばいな。いやでもね、全然話せてない。
いやほんとそう、ほんとそう。
すっごいほんとに盛りだくさんで、もう私たち言語ができてないことほんとにたくさんあって、ほんまに読んだんかいって感じなんだけど。
いやいやいや、読んでるよ。
でもほんとに読む人によってまた感じることっていうのは全然違う本だと。
まあ本はみんなそうか。でも特にそうかなと思うので、ぜひぜひご自身で読んで、自分の社会に抱えてるもやもやみたいなのを言語化してもらう、ある意味気持ちよさみたいなのを味わえる本かなと思うので、
48:04
ぜひぜひ、まだ読んでない方は読んでいただきたいですし、読んだよっていう方はぜひお便りなんかもいただけると嬉しいです。
はい、嬉しいです。
というわけで今回長丁場、最後まで聞いていただきありがとうございました。
ありがとうございました。
また明日からもブルーシット頑張る人もたくさんいると思います、新たな視点で。何か見れたりするとちょっと気持ちも楽になるかもしれません。
はい、では来週も楽しみにしていただければ幸いです。
良い読書体験を。
良い読書体験を。
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