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2024-10-04 20:58

Ep.84 過去から見た現代。ドキッとさせられるディストピア小説

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今回はディストピアもののSF小説を2冊ご紹介。過去に書かれたフィクション。現代とかけ離れているかと思いきや、まるで崖を覗き込んだ時のようにヒヤッとさせられる描写もあり……。AI、ChatGPTなど目まぐるしく変化する現在の先に明るい未来は待っているのだろうか。そんなことを真摯に語りあっています。


【紹介した本】

・ジョージ オーウェル 著 高橋 和久 訳「一九八四年〔新訳版〕」ハヤカワepi文庫
・レイ・ブラッドベリ 著 伊藤典夫 訳「華氏451度〔新訳版〕」ハヤカワ文庫 SF


【よりぬき】

・1949年に書かれた1984年の世界
・今を予想したかのようなゾクっとする描写
・情報を持つ人の権威性が高まっていく時代
・不確かな現代。果たして、未来は明るいのか
・来週は「ネタバレ感想会」をお楽しみに!

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生物学者と書店員のインターネットラジオ、本の虫のススメ。
本を偏愛する生物学者の椿と書店員の佐藤が、本にまつわるアレやコレやをゆるっとお届けします。
今回も始まりました、本の虫のススメなんですけれどもね、なんか椿さん、ちょっとなんか黒い表紙の、ちょっとおもおもしそうな本をお持ちですが。
じゃじゃーん、これ実は、かつてつんどく紹介するっていう、つんどくバトルっていう回をやったことがあるんですけど、そこでも紹介した本なんですけど、
ジョージ・オーウェルの1984年。これはもう、SFの古典なので、読んだことあるよっていう方がかなり多いんじゃないかなと、思うんですけど、
私たち、2024年を生きる私たちにとったら、1984年ってめっちゃ前やんけと思うんですけど、これが書かれたのが、1949年。
あ、そんな古い本なんや。
そうそうそうそう、に刊行された本で、いわゆるディストピアもののSFで、すごいビッグブラザーって呼ばれる独裁者が、全知全能の存在として祭りあげられて、
で、それの統治のもとで、すべての人間が働いてるっていうような社会。だから、結構アメリカなんかでは、反共産主義的な旗印として使われたり、っていうような歴史もある本らしいなわけで。
でも、それだけじゃないというか、要素として、プロパガンダ小説として使われかねないなとは思ったけど、それ以上に何か頑竹があるっていう言い方はあれですね、資産に富んだ本で、すごい面白くて単純に読み物として、
ディストピアもいろんな種類があると思うんですけど、これはすごい監視社会みたいな、だから今にまだちょっと通じるような話なんですけど、スマートフォンとかが開発されてる世界じゃないんですけど、監視カメラみたいなのが自分の部屋の中にもあって、
ヤガメー。
そういうタイプのディストピアで、この主人公はそういう世界に違和感を持ってる人物。
なるほど。
で、自分の部屋の中に監視カメラに唯一映らない、ちょっとした視覚みたいなのがあって、そこにこもって、本当はもう禁じられてる日記、日記を書くことも禁じられてて。
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えー、やだ。
というかもうほとんど、何もってない。
自由ないやん。
自由ない、ないのよ、全くないの。
で、歴史も書き換えられるねん、この1984年の世界では。
だから、たとえば小麦の生産量が、来年はこのぐらいになる見込みみたいのを新聞で書いたとしたら、翌年それがずれてたら、ビッグブラザーが全日電脳じゃないということになるから、それをすべて書き換えて、廃棄して書き換えた版を擦り直すっていうような。
うわー。
で、主人公はそれを書き換えて修正する仕事。
あ、じゃあ裏を結構見てしまう立場の人っていうことやね。
そうそう、でもなんか、それでだから疑問を持ったっていうよりも、みんなもう精神的に完全に服従してるというか、買い慣らされてて、だからそれに疑問を持つっていう人が、誰もほとんどいないような世界で。
だから、象徴的に示されてるのが、2たす2は5だって言われたら、5だって信じられることが国民に求められてて。
うわー、自由の万薬。
そう、批判的な精神はもう全く受け入れられてなくって、で、なんか人が存在した証とかも、すぐにだからそういう社会から消されて、ちょっとでもその精神に反するような危険分子みたいな人は、ふっと社会からいなくなって、でも誰もそれをこう不思議に思ったりしない。
騒ぐことはもちろんしないし、存在したということ自体忘れるというか、で、あの子供とかもそれにすごい加担する社会になってて、なんか少年少女が思想警察みたいになって、自分の親を突き出すのが普通みたいになってるみたいな感じです。
すごい、だから世界観としてはかなり気が見えるような、えぐい話で、なんかそんなに、読んで幸せになれるような本ではないんですけど。
表紙真っ黒やしなー、これで明るい本と連想できないな。
でもなんかやっぱりこの監視社会であるところとか、なんか自分で考えないことが、まあいいことじゃないけど、ちょっとやっぱり今に通じるような契機というかもあったりして、
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考えずにGoogleとかで調べちゃうっていうのも、なんかビッグブラザーとちょっと近いところあるよね。正解がそのインターネット上にあるみたいに思ってしまったりとかさ。
そうそうそうそう。やしその監視っていう面でもさ、私たちはよかった部屋に監視されてるモニターがなくてって思うけど、私たちがインターネット上でする居宿一等足は監視されてるわけやから。
監視っていうか、データとして売り買いされる場合になってるわけやからさ。
だからスマホが監視カメラよりもっとすごい緻密なデータ収集機器っていう。
本当に本当に。それで大手のサーチエンジンは全員、全部検索した履歴によって表示される、同じ単語で検索しても表示させる結果が変わるような世界だから。
まさに思想を繊維化させていって。
Googleとかがもしも何かすごく大きなものに取り込まれて、こういうビッグブラザーみたいな世界に逆になる下地が。
そうやね、あるよね。
ってしまってるんだなとか考えたりとか、本当にいろいろ考え始められて、面白い本で。
あとあんまりこれはその多分、私もさらっとネットで感想を見ただけなんですけど、あんまり言及されてない点なんですけど、私も現状で読んでないので、ちょっとこれは味わいきれてない点でもあるんだけど、
この本のすごい面白いところは、単なるそういう監視社会に対するディストピアっていうだけじゃなくて、言語的なしさが結構あって。
っていうのも、なんかこれまでの英語っていうのはオールドスピークっていうふうにこの本の中で言われてて、何が違うかっていうと、
そのビッグブラザーが統治する世界で使われるべき言葉はニュースピーク、オールドスピークに対してって言われてて、それが何が違うかっていうと、オールドスピークよりもどんどんどんどん語彙を減らしていってる。
なんか今と通じるものがあるね。怖いなぁ。
どうでしょう、そうでしょう。それを自然にじゃなくて、意図的にね、球を統治する形でニュースピーク時点の変算する人とかもこんなふうに入れてきたりとかして、それで例えば、自由とか、そういう言葉はもうもちろん削られていって、だからそれは犯罪みたいな意味に吸収されていって。
へー、なるほどね。
だから複雑な思考をするためには複雑な単語が必要っていう、そういう言語的な、言語が思想を形作るっていうところが全体をひとつ貫くところでもあって、それは私、その言語にすごい興味があるっていうところもあって、
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できれば、すごい長い本ですけど、いっか原文で読みたいなって思いましたね。
で、ちょっとこれ面白いなと思ったんですけど、最後に付録として、ニュースピークの諸原理っていう、ちょっとね学術論文チックな、ニュースピークの言語、あるいはなんだろうな、
比較言語学っぽいような、なんか、これ、あの、著者のジョウヨが書いてるものなんですけど、あの、小冊みたいのが書かれてて、で、これを、これだけで切り出して読んでもすごく面白い。
へー。
だから一般的なそのディストピアものであると同時に、その言語っていうところに対しても小冊のある本だなと思いましたね。
35年後の世界を描いてるってことやから、まあ言うたら、今から言うたら、今で言うたら2059年とか60年ぐらいの世界がどうなってるか、で、それが未来があんたんたるものであるっていう前提で書いてるみたいな本やなわけやけどさ。
そうだね、そうだね。
まあ、その1949年よりも時代の流れが早いから、単純に比較はできないけど、それでも今からさ、35年後、世界はどうなってんにゃろうって、想像もできない。
できないよね、ほんとに。でもさ、もう手が届くもんね。平均寿命まで生きてるとしたら生きてるし。
生きてるよね。そんな中で自分は周りの人はどうやって生きてるんやろうっていうのは、恐ろしくもあるなって思う。
ほんとに、それこそテクノロジーのさっきの話もそうだし、もう私たちが分かちがたく食い込んじゃってるものが形を変えたとしたら、私たち自身の形も変わらざるを得ない。
そうやんね。なんか最近、AIで作った女の子たちの動画みたいなものを見たんですけど、
あるよね。
あるよね。なんかその、前まで、てか今も言われてるけど、人間に見せて作れば作れるほど、一定のラインで不気味の谷って言われて、
なんかすごいそっくりになってるのに、余計それが気持ち悪いみたいな現象があるって、AIとかロボットの世界で言われてるんですけど、
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なんかその、もう作られたそのAIの女の子たちは、もう不気味の谷を超えてて、ほんとになんか実写とほぼ区別がつかないような状態になってて、
なんかわからないんですけど、ドキッとちょっとゾッとしたというか。
そうやね。ちょっと生理的に受け入れられないよね。まだ下地が全然整ってない。どう受容していくか。
そうそうそうそう。そうやね。
でも、やっぱりそういう素朴な感覚って忘れたらいけないと、私は個人的には思いますけどね。
だってやっぱり私たちって生まれたときは赤ちゃんじゃないですか。
そこからそれまで、なんて言ったらいいかな。一足飛びに倫理って発達しないからさ。どうしても今の時代だけに合わせちゃうとさ。
人間の根幹じゃなくて、もっと抹消的なところに議論が行きがちになっちゃうからさ。
ちょっとうまく表現できないけれども。やっぱりその直感っていうところ、科学者がいうことじゃないかもしれないけれど、
抹消すごく大事にした方がいいと思うんでね。それってやっぱり倫理ともすごく分かちがたく結びついているものだと思うし、
AIって本当に特に生成系AIは、これからその倫理の部分は議論されていって法整備もされていくっていうところだからさ、
違和感があったら、それはやっぱりちょっと真剣に考えるべき部分だと思うから。
これ真面目だな。
でも大事なことではあると思う。
そうやんね。本当にそう思う。
AIで最近わーと思ってギョッとしたのが、結構生き物がやっぱり半顕の絵を買ってくるとお金がかかったりするから、
みんな生成AIで作って、その記事に載せるイラストとか載せるんやけど、
クマ、ベアのクマの写真を見て、明らかに歯の並び方がおかしい。
だから学習していくときにさ、最初なんか人間、まあ今も結構そうやけどさ、手の指の数がどうしてもおかしいとかあって、
だからああいう規則的な構造みたいなのって多分すごい苦手で、
そういうのが多分出ちゃってるけど、知識のない人はわかんないから、このまま載せちゃって。
それがだから、Generated by AIって下に書いてるけど、
見ないよね、ここまで。
だからそれに違和感なく受け入れて、変に広がっていくっていうのが、もうすでにかなり始まってて、
あとトコジラミとか、虫なんて明らかにAI向きじゃない。
やろうね。
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あれもなんかでもパッと見それらしいのが出てくるよね。
なるほどね。
それをだから安くあげようみたいなので、使われてたりとかで、
本当に、情報の持つ価値っていうのが逆に上がっていくのかもなと思っています。
正確な情報の価値っていうことやね。
チャットGPTで出てくる文章もやるけど、めちゃくちゃ確からしいからこそ怖い。
そうやんね。確からしいのよね。
でもそれが本当に確かかどうかっていうことを、でもそれを確からしくないといけないって思ってる人って意外と少なくてさ。
そうやんな。
そうやね。
だから、これからもっとある意味で権威の大事さが高まっていくんかなと思う。
だって一つ一つはもうみんな自分で精査できる状態じゃなくなっていくからさ、
その筋の専門家っていう人が言うっていうことのお墨付きの持つ意味っていうのが、
責任とも言えるけど、より高まっていくんだろうなと思って、
自分もすごい狭い範囲ではあるけれども、ある意味のプロというか、そしての責任も感じたりしますね。
誰にも何も言われてないのに勝手に責任を考えるようになって。
でもそれは本当はあるべき研究者の姿だと思うので。
なかなかね、難しい問題だけどね。
でも、技術屋としてこういうことができそうっていうのでやっていくっていうのはオペンハイマーの話じゃないですけど、
それ自体がどうこうっていうところではないけれども、
使い方っていうのは本当に社会全体でも考えて議論して、倫理観も含めて、
理系的な分野だけじゃなくて、考えていけない、いかないといけないところですよね。
そうですよね。
ディストピアにあんまり住みたくない。
住みたくないよね。
あと、結構同年代に書かれたディストピア小説として、やっぱり思い浮かぶのが、レイ・ブラッドベリーの歌詞451度ですよね。
あれは、本の所有が禁じられたディストピアの話で、歌詞451度。
私たちは歌詞FahrenheitじゃなくてFelsiarsを使ってるので、私たちの温度で言うと232度になるんだけど、
それは何かって言うと、本が燃える温度らしいですね。
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それでそういうタイトルになってて、
で、本がない、いわゆる、何だろうな、そういう本を燃やす仕事についてる主人公が、その仕事に疑問を持って、で、ある少女との出会いの中で、
自分の世界のあり方にどんどん疑問を持って行動を起こしていくみたいな話。
なんで、ちょっとやっぱり思い出すところもあったりするんですけどね。
レイ・ブラッドベリー好きなんですけど、その一番有名な、それを読んだことないよね。
うそ、読んだほうがいいよ。絶対好きだと思う。
うそね。
ブラッドベリー沢山やからね。
いろんな角度からいろんなテイストの物語を書ける人やもんね。
そうやんね、そうやんね。
ちょっとだから、通ずるところっていうか、ディストピア小説というところですけどね。
あったりするのかなーなんて思ったりもしましたね。
なるほどー。
私個人としては結構ディストピアものが好きなので、リスナーの皆さんにもおすすめのディストピア小説とかあれば。
あーね、教えていただきたいね。
ぜひぜひ熱いコメントを教えてもらえると嬉しいなーなんて思ったりしています。
はい。
という感じで、今回はかなり重めなテーマを扱って、やっぱりあれですね、紹介した小説が真っ黒の表紙。
真っ黒の表紙。
民調隊みたいなんで、1984年って書いてる。
そう、早川書房からね、出てて、これは高橋和人さんっていう役者さんの新役版で読みやすいので、
ぜひぜひぜひ読んでいただきたいですね。
もう読んでるわい!っていう人もいると思いますけれど。
ぜひ読んでほしいですね。
というわけで、今回はお送りしました。
では来週はノンフィクションのプルシッドジョブ クソどうでもいい仕事の理論のネタバレ回をやるので、
ぜひ読んで待っていただけると嬉しいなと思います。
一緒に感想をシェアしましょう。
ではみなさん、良い読書体験を!
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