00:00
生物学者と書店員のインターネットラジオ、本の虫のススメ。
本を偏愛する生物学者の椿と、書店員の佐藤が、本にまつわるアレやコレやをゆるっとお届けします。
はい、今回も始まりました。
本の虫のススメ。
えっと、今回はちょっと趣向を変えて、そんなに変えてもないかな。ちょっと漫画の話でもしてもいいかなって。
いいですね。
でもまあ最終的に漫画じゃなくなってもいいかなって。
なるほど、ゆるいな。思いながら。
なるほど。ちょっと思い出した。思い出したというか。
はい。
私の好きな本を紹介しようかなと思ってます。
えっと、何回だっけ、その、夏におすすめの本っていうのを、7月か8月にやったと思うんですけど、
その時に私がおすすめしたのが、鹿版深海魚類図符っていう、
諸星大次郎さんの漫画を紹介したんですけど、
私その時も言ったんですけど、諸星大次郎さんのすごいファンなんですね。
で、突然諸星大次郎の本を紹介したいという気持ちになったので、紹介したいと思います。
ちなみにその漫画の、夏の漫画の回は、エピソード21、夏にぜひ読んでほしいおすすめ漫画、丸1000っていう感じですね。
あれもなかなか思わぬ、ハプニングもあったりして。
ね、面白いので、聞いてみてほしいです。
そうそう、そこで諸星大次郎先生が好きなんだと言ったんですけど、
その中でも私が一番好きな作品が、しおりとしみこシリーズっていう、知ってる?
いや、知らない知らない。
えっとね、しおりちゃんもしみこちゃんも、2人とも女子高生で、だからまあ、ちょっとこのカテゴライズにためらいがないわけではないけど、
まあ学園ものかな。でもなんかすごい不思議なんですよ。
でもコメディタッチで、その以前紹介したしかばん魚類図符が、
なんていうの、ちょっと幻想的な感じで、夢かうつうつかみたいな感じの世界観だったんですけど、
これもまあ幻想的な感じはするんですけど、それでもなんか普通の一応、女子高生のドタバタ劇みたいな感じで、
だけど諸星先生らしいなんかちょっと、なんて言うの、シュールというか、
03:06
なんかうまく説明できないんですけど、例えば、しおりとしみこシリーズの第1話が、
そもそもこの作品の結構象徴なんですけど、生首事件っていう、
怖い。
怖い感じするでしょ。で、それがちょっとネタバレになっちゃうから、ためらいもあるんですけど、
でもネタバレを聞いてなお見たら、読んだら絶対楽しいので、まああえてネタバレして興味を持ってもらいたいと思います。
それ生首事件って殺人事件怖いみたいな、で女子高生なんて、女子高生探偵みたいな感じをタイトルから受けるんですけど、全然違って、
生首がある日ゴミ捨て場に落ちてたんですよ。
怖い。
怖いでしょ。それを主人公の一人のしおりちゃんは、まあ珍しいって言って持って帰っちゃう。
怖い。危ない危ない。
で、そこになんか疑問を差し挟む人はあんまりいなくて、ナチュラルにね人が死んだりする世界観なんですよ。
別にそこになんかこう、死んじゃった悲しいとか、
誰が殺したんだとかじゃないの。
ない、ないのよね。もうすごい、自然に死ぬこともあるし、化け物みたいなのになっちゃうことも、
そりゃあるよね、生きてたらみたいな感じのね、世界観で。
でまあしおりちゃんは拾った生首をどうしていいかわからなくて、親友のしみ子ちゃんに、
ちょっと見てほしいものがあるのって言って、家に呼ぶのよね。
怖い。怖い。
すごいでしょ。で、そしたらしみ子ちゃんが、
ダメよ、あんたは何でも拾ってきて。みたいな感じで。
そこでもキャーみたいなのは全然鳴らなくて。
で、いや珍しかったからあんたに見せたかったのよ、みたいな。
それは嬉しいけど、みたいなちょっとなんか女子高生のイチャつきみたいなのが入ったりして、
そこもちょっとコメディタッチでね、楽しかったり。
楽しいんや。
で、この話どこに落ち着くかっていうと、
しおりって本のしおりのしおりっていう字で、しみ子って紙の魚で本につくしみ。
で、しみ子なのね。2人とも本にちなんだ名前の通り、結構本がテーマになる回が多くて、
っていうのも、しみ子の実家が古本屋をやってるのよね。
で、そこから本にまつわるドタバタが始まったりとかすることが多いんやけど、
その生首事件では、ちょっと私生首珍しいからちょっと捨てちゃうのももったいないっていうので、
しおりちゃんが捨てるのをしぶって、じゃあ買うかってなって。
06:01
買う?
買うっすよ。
犬みたいな感じ?イメージ的には。
そうそうそうそう、そんな感じになって。
で、なんか生首の買い方っていう古本を。
あるんや。
そうしみ子ちゃんが持ってきて、でなんかお父さんが使ってない水槽を取り出して、
その中で生首を買い始めるみたいな話。
なるほど。
それがだから全然なんか生首事件っていうタイトルから想像もできない展開を見せて、
でもそれがなんかちょっと、いや私もちょっと生首買いたいみたいなテンションにこっちをさせるっていうものが。
すごいな。手腕がすごい。
めっちゃ面白くて、全体的にそんな感じで。
あー名前忘れちゃった。
地の果てみたいなとこに住んでるマダムセレブみたいな奥様がいるんやけど、登場人物で。
その奥様が飼ってるペットが結構人食いなんだよね。
怖いやん。自分食べられちゃうやん。
そうそう、でもたまに散歩を二人では頼まれちゃって、しおりちゃんとしみ子ちゃんは。
でなんか散歩をさせて、今回も死ぬ思いだったとか言って、
死ぬ思いっていうか道中で人食ってるからねみたいな感じだったりとか。
自分らは食われへんかったけどみたいな。
そうそうそうそう。もうどう考えても狂気なんやけど、なんか読んでるとなんかすごい、
ハートフルな日常系を読んでるみたいな気持ちにさせるっていうのがね、もうすごいのよ。
それがめっちゃ面白くて、すごく好きっていう話。
ちょっとねこれも、紙の本手に入らない。
あ、もう出た出た。椿の絶版本です。
そうそうそうそう。残念ながら。でもめちゃめちゃ面白いんで。
古本とかだったら手に入るんかな?もしかしたら。
私は電子書籍はある。
あ、じゃあ普通に買えるよね。
マンゴーだから電子書籍でも結構読みやすいし、
私は紙と両方持ってます。
ランドマウントっていう。
マウントなんや。
お仕事?
すごいねもう本当に。
なんやろ、何が起こってるのかよくわからん感じが癖になるので。
そうよね。
そういうのが好きな人は。
ちょっと待って、今の回等しいんだよねみたいな感じだったりとか。
え、化け物になったけどよかった?みたいな感じ。
なるほど。
すごいね、楽しい。
こんな作品も描けたんだって感じですね、もろこし先生。
すごい楽しい、楽しい楽しい作品です。
全然金色は違うねんけどさ、最近読んだ漫画があるんで紹介していいですか?
もちろん知りたい。
近藤昭乃さんのニューヨークで考え中っていうコミックエッセイですかね。
エッセイ?なるほど。
エッセイですね。
実際に近藤さんがニューヨークで住んであって、そこから今の旦那さんに出会ってみたいな。
09:05
ニューヨークで出会って。
ニューヨークで出会ってみたいな日々を描いてるんやけど、
最初の方は結構その生き方とか考え方とか、そういう異文化の中で戸惑いながらそれをこう、
自分の中に落とし込んでいくみたいなストーリーが多かったんやけど、
最近はもう本当にニューヨークに馴染んで、旦那さんもいはるしね。
その中で暮らしている、暮らしぶりっていうのが結構書かれてるんやけど、
この4巻は結構そのコロナの情勢が結構印象的。
ニュースなんかで、アメリカのコロナの状況がこうだとか、街の様子がこうだみたいなの見るけど、
でもそれって本当にもう切り取られた一部分でしかないけど、
でも何パーセントぐらいの人はマスクしてるねとか、
なんかPCR検査こんな風にやってたよとか、
あとはその医療従事者の人はワクチン打てましたよとか、
そういう本当にリアルな、実際暮らしてる人じゃないと書けないような話が書いてて面白かったですね。
ネットとかで連載して貼るの?そうじゃなくて?
え、これわからへん。何で連載して貼るんやろ。
あ、いやなんかそういうさ、ちょっとコロナのリアルタイムみたいな発信やったんかなと思った。
あ、そうですね。ウェブマガジンで発信してますね。
それに過筆修正してるみたいです。
だから日本人がニューヨークで暮らして、
どういう風にそのコロナ中、コロナが落ち着いた後、
どういう風に暮らしてるかっていうのを見る上でも結構面白い本かなと思います。
なるほど、それってちなみに1巻から読まないとわかんない感じ?
できたら1巻から読んでほしいかな。
うん、なるほど、なるほど。
今なんか紹介してくれたそのコロナの話が結構中心というか、よく扱われているのが4巻?
が最新巻の4巻ですね。
そこそこ最近に出てる本だったと思うんで、今年出てる本なので。
1巻も面白いし、読んでみてほしいです。
4巻ならね、もう25巻出てますとかになると結構ね。
ちょっとね、辛いけどね。
そんなに文字数がめちゃめちゃ多い本ではないから、読みやすいかな。
すっきりした画風やね。
画風なんて読みやすいと思います。
なるほど、ありがとうございます。
三宅さんは他に最近読んだ本、漫画とかってあります?
12:03
もろほし先生の話続けて。
どうぞどうぞ。
私さ、作品っていうかその、連作、なんていうんだろうね。
シリーズ?シリーズかな。
シリーズでは一番しおりとしみこが好きなんですけど、一番好きな短編が別にあってですね。
カオカオ様が通るっていう。
何それ、ハイカラさんが通るみたいな。
確かにそうなんだ。
なんかね。
いつなんやろうこれ、いつ書かれたものかな。ちょっとわからないんだけど。
これ短編なので、短編集の中に収録されてて、これは絶版になってない本です。
よし、きた。珍しく。
そうそうそう。特にもろほし先生のってすごい絶版になってるの多くて。
そうなんや。
すごいね、つらい気持ちでいるんだけど、これは買えます。
良かった。
もろほし大次郎 時線短編集 彼方より。
彼方って遥か彼方の彼方。
で、終影者文庫から出てます。
はい。
で、これ彼方よりっていうタイトルの通りなんだけど、いろんな彼方、神々の国みたいなところであったり、
他の星とか、海の中とか、そういう、とにかく私たちが今生きてる世界じゃないところと繋がるというか、
繋がったりとか、あとはその、私たちの知らないその、よくもろほし先生は異界って言うんやけど、異なるに世界の中で。
異界をテーマにした話がまとめられてる時線だから、もろほし先生が自分で選ばれた短編集です。
で、その中の一編が、私が愛してやまないカオカオ様が通るっていうので、もうこれもよくわかんないんですよね。何が起こってるのか。
そもそもカオカオ様っていうのが、最後まで何かわかんなくて。
へー。
だからといって抽象的存在として描かれてるんじゃなくて、両方に前と後ろに顔があって。
で、カオカオ。
いや、カオカオの意味はわからんらしくて。
そうなんや。
もろほし先生がそう思って名付けたのはそうやと思うんやけど、この世界観の中では。なんでカオカオっていうのかはちょっとどの人かも知らないみたいな感じで。
で、その2つ、前と後ろにある顔から2本の足が生えて、すごくカオカオ様巨大なんですよ。
へー。
で、カオカオ様っていうのは、何でかわからんけど、いつも同じルートを通って丘から海に行くのね。
その間、いろんな町をカオカオ様は通過していくの。本当にだから何百キロ何千キロっていう旅をする存在として出てきて。
15:03
え、その町の巨大なやろ、踏み潰したりとかゴジラみたいな感じ?
することもあるけど。
あるんや。
別にそれはカオカオ様が悪的な存在だからっていうわけじゃなくて、場所によってはすごい恵みをもたらしたりとか。
へー。
だからちょっと天才とか、そういうののモチーフとして描かれてるんだと思うんだけど。
だから民族によって全然カオカオ様の捉え方が違って、カオカオ様を見ると死んでしまうからとか言って顔隠してしまう部族とかがいるかと思えば、こんなに美しいものを見たらダメだみたいに言う部族もいたり、
カオカオ様が通ったらもう人々がパニックになって、もう暴動状態みたいになっちゃう町があったりとかして。
なるほど。
で、カオカオ様っていうのは何かわからんけど、陸に生まれて海にいつも戻っていく存在だよねみたいな感じで、終わるのよ。
なるほど、なるほど。だからオチがついてるとかってわけではない。
じゃなくて、カオカオ様ってなんなんやろうってみんなが思うような作品で。
でなんかちょっとね、異国情緒漂う、ちょっとね砂漠っぽいような場所をカオカオ様はずっと通っていくんやけど、
そのカオカオ様の進路っていうの、道筋の町の様子とかがそんなの見たこともないし、
実際に存在しない都市やけどさ、なんとなくこう想像できるというか、その異国を旅しているみたいな気持ちになれて、
そこに自然に、なんかあるはずじゃないものやのにカオカオ様っていう存在が溶け込んでる感じ、その世界観が本当に異界からって感じで。
なるほど、なるほど。
そのね雰囲気がめちゃめちゃ好きなんですよ。
そうだから、どんな作品って言われてもちょっとカオカオ様が通るんだよねみたいな、タイトルみたいな感じになって。
でも結構諸星作品の中でもかなり人気の高い作品で、グッズ展開とかも。
グッズ展開。
私もよくカオカオ様Tシャツを着て歩いてる。
Tシャツ。
誰かに何か言われたことはまだない。
なんかあの、なんだっけ、進撃の巨人みたいなちょっと怖さがある漫画の見た目は、カオカオさんはちょっとグロテスクっていうか生々しい。
顔に直接足がついてるみたいなね、見せてもらったんですけど、感じやけど、グッズ展開もしてるやつ。
そうそうそうそう。
もうあのお話が良すぎて、雰囲気がもう幻想感が漂ってて。
18:00
そういえばカオカオ様今年もそろそろ通るかなみたいな風に妄想したり。
楽しそうやな。
いや楽しい、すごいもう。いい?なんかすごいんで。
ぜひ読んでほしい。
なるほどです。
あ、そうだそれでちょっと話してて思い出したんですけど、
これは結構有名だから、読んだことある人も多いかなと思うんですけど、
富樫義博さん、ゆゆ白書とかハンター×ハンターの作者さんが書かれたレベルE。
古い作品やね、かなり。
そうそうそう、でもね、これも異界、異世界というかの話で、宇宙から来た王子がいろいろ人を巻き込みながらドタバタする。
そんな話ないや。
そうだねそうだね。
コメディってこと?ではないか。
なんなんやろあれ。
説明し難いな。
ちょっとコメディ要素は結構ある。
なんかね、それで、1話完結で読みやすかったりもするんだけど、
結構これは去年かな、富樫義博展っていうのがさ六本木でやってて、
それに行ったんだけど、それで久しぶりに読み直してみたんですよね。
そしたら、やっぱすごい面白くて、
富樫義博展で書いてたのが、ゆゆ白書の後に連載したんですよね。
ゆゆ白書とハンター×ハンターの間でやったはった連載で、
ゆゆ白書で数字というか売れるものを作るっていうのに疲れちゃったから、
自分の好きにやるっていうふうに書いた作品らしくて、
だから結構悪は強め。
なんやけど、結構彼の、富樫さんのちょっと皮肉やな目線とかが楽しめて、
いわゆる王道のバトル漫画じゃなくて、
なんやろ、宇宙人がいて、地球に来て、
私たちと違う存在が違う論理というか、
で、動いてるんやなーみたいな感じが、
ちょっと軽快感を持って書かれてて、楽しい本なんですよね。
なので、レベルEとかが好きな人は、結構諸星先生の作品好きじゃないかなと思ったりします。
21:00
レベルEはもう文庫化されてて、全部で2巻なので、
あ、短いね。
そうそう、すごい手に取りやすいので、ぜひぜひ。
絶版にもなってないし。
なってない、当然なってない。
大事大事。
ぜひぜひ読んでほしい。
なるほどね。
なんかその王子がバタバタって言うと、パタリロ・マヤミネオさんの思い出すんやけど、
ああいうコメディタッチとはまたちょっと違う感じではない?
とは全然違うんやけど、
なんかすごいシリアスかなって思って読んでたら、コメディだったりとか、先が読めない感じ。
面白そうやね。
そうそう。
ちょっとミステリアスな感じかな。
ああ、なるほどね。
面白い、本当に面白い。
例えようがない、なんとか見たいなっていうのが、あんまりできない感じ。
面白い。
レベルEにしかない。
レベルEはレベルEって感じ。
なるほどね。
ぜひ読んでほしい。
じゃあ今回はちょっと漫画特集ということで、
珍しくやってみました。
じゃあまた次回も楽しみにしていただけると幸いです。
では良い読書体験を。
良い読書体験を。
本の虫のすすめでは皆様のご質問ご感想をお待ちしています。
取り上げてほしいトピックも随時募集中です。
TwitterのDMまたは番組説明欄に記載しているメールアドレスにご連絡ください。
本の虫のすすめは毎週金曜日17時に配信しています。
アフターファイブに読書トークをお楽しみください。