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生物学者と書店員のインターネットラジオ、本の虫のススメ。
本を偏愛する生物学者の椿と、書店員の佐藤が、本にまつわるあれやこれやをゆるっとお届けします。
今回も始まりました、本の虫のススメ。
6月20日くらい?
うん。
アバウト。
多分20日。
ちょっとね、タイムラグがあるんでね。まだちょっとこう、晴れやかな空の下に私たちいるんですけど、どうでしょうね。多分梅雨真っ只中ですよね。
ああそうやんね。梅雨嫌やな。犬飼ってるから私、散歩が困るんですよね。
そっかそっか。
トイレとかがね、あるしね。
そうやね。外で死体派やから。
まあ犬はだいたいそうかもね、困っちゃいますよね。
困っちゃいますね。
どうでしょう。湿気を吹き飛ばすような本じゃなくてもいいんですけど、最近読んだ本とかありますか?
でも意外と関連するかも。
横道誠さんという方が書かれた、発達障害者が旅をすると世界はどう見えるのか。
なんかおもろそうな本。
イスタンブールで青に溺れるっていう本で、そう面白そうと思って、文庫に最近、最近ってあれやけど、
えっとね、2025年の3月10日やてに文庫になって、そのぐらいの時に平積みされてるのを見て、へーと思って。
なんかまた想定も綺麗なんですよね。
ほんとだね。なんか、なんていうか、海とか川みたいなイメージの。
そう、水のイメージだったと思うけど。
綺麗な、なんていうんだろうな。まあ抽象的な。
タイプグラフィーじゃないし、なんていうんだろうね。
筆でサーッと書いたみたいな感じかな。
装飾みたいなのが。
で、これが結構この、横道誠さん、著者の方が、ASD、自閉スペクトラム症とADHD、注意・欠如多動症を併発してる文学研究者の方で、
その本人の目線で海外を旅すると、どんなふうに見えているのか、感じているのかっていうのを、当事者目線から描いたエッセイ、エッセイなのかな、になるんですけど、
この著者が、そのドイツ文学を研究しているっていうこともあって、結構ヨーロッパを中心になんだけど、
これまで50ヶ国くらい旅をされてきたっていうことらしいんだけど、その中から何ヶ所よ、結構25ヶ、一つ沖縄が入っているので、25ヶ国ではないんだけれど、25ヶ所の都市の印象、自分の体験っていうのを綴ってる本で、
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で、すごいその診断を、そのASDとADHDの診断を受けたのが30代の頃だったらしいんですね、この横道さん、なのでその、でもその旅というか、この本に載っているそれぞれの訪問した時期っていうのは、その後ばかりではなくて、
後から見た時に、そういえば自分はそういう特性があるからこう感じたんだ、みたいなその、後から振り返っての視点とかもあったりして、そういうのも興味深いなと思ったり、で、結構驚いた、個人的な話にもなるんだけれど、結構私の体験と近いなっていうのがあって、
その、その場にいながら思考がいろんなとこに飛ぶところとか、あと、まあいろいろあるんだけれど、この著者自身がすごい青にとらわれてるっていうふうに。
だから表紙がその青いイメージなんだね。
そうそうそうそう、で、いつも水の中にいるように感じるっていうふうにおっしゃってて、で、なんかその自分がその文学とか芸術とかに、そのすごく他の人、いわゆる定型発達の人よりも惹かれてるように感じるのは、その水の中から、いつも水の中にいてふわふわしてるような感覚からふわっとこう霧が晴れるように。
世界がシャープに感じられるっていう体験があるからじゃないかみたいなことを書いてらしたりして、なんかそれもちょっと覚えがあるような感覚だなと思ったり。私はなんかそういう診断っていうのを受けたことはないんだけれど、まあねそもそもそのグラデーション。だから何が障害でとかいうのは特にその自分がね困ってなければ。
ASDも多分同じだと思うんですけど、ADHDの最後のDがディスオーダーっていうね意味だそうで。なのでそのADHD的な特性を持ってても、ご本人が障害を感じてない場合はADHっていうらしいんですよね。だからASDの方はわからないけどASっていうのかなその場合は。
あーそうかもしれない。
だからそのご本人が日常とか生活に困ってるかどうかっていうのがその後障害とされるかどうかっていう一つのポイントでもあるらしいですね。
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なるほど。
なんかねやっぱりその困ってたり、なんかそのはっきりさせたいという気持ちがないとそもそもその診断をってならないよね確かに。
私実はそのADHDという診断を去年の10月ぐらいに受けたんですけど、なんかそれはあのはっきりさせたいというよりかは臨床心理師の先生のカウンセリングを受けてるんですけど、
なんかそれでこういうの受けたらどうってその知能テストみたいなのがあるんですけど、それを受けたらあなたにとっていいかもねって勧めてもらって、そうなんだと思って受けたらADHDでしたっていう診断になったので、そんなにこう意図してなかった診断なんですけど、そういうケースもあるかもしれないね。
あーなるほど。
勧められて受けてみたらそうだったみたいな。
なるほど。なかなかでもその臨床心理師に会うっていう機会が私自身なくて。
確かにそうかも。
多分なんか困り事がそもそも今はない。
ないとは言えないけど、やっぱり病院に行って臨床心理さんとお話したり先生に見てもらうほどではない。
自分の自覚的に。
でもなんかこの著者の方もおっしゃってて、なるほどと思ったのが、やっぱりその診断を受けて特性を理解して、それに対する対策っていうかを立てていくことですごいやっぱり生きやすくなっていくっていうところがあって、そういう意味で把握するっていうことの大事さっていうのもすごい読んでて感じた。
本ですね。
で、これ自体がすごい気候文になるのかなと思うけど、だからこの方の発達の凸凹のある意味特性だと思うんだけれど、すごい思考が今自分が踏みしめてる大地に縛られないんだよね。
だからそのいろんなところの気候文を読んでるけれど、この著者の中で繋がってても自分の中でやっぱり繋がってないことが並んだりとかするから、結構なんかどこの本、どこの土地のエッセイを読んだなっていう独感があんまりなくて、それがすごいなんか面白い、なんか独特で、
すごい発想していく方向っていうのは違うけど、すごい自分とも通ずるところがあるなと思ったりしながら読んだりしたな。
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なんか昔私ドイツに行ったんですけど旅行で、そしたらなんかドイツの印象がないんですよねあんまり。
何の印象があるの?
なんかずっと、固いような、固さみたいなのを感じてて。
へー、それあのパンが固いとかそういう。
そういうの多分あったんやと思う。で、あとビールをすごい飲んでたとかいうのもあって、だからなんやろ、なんかその土地に根付かずふわふわといろいろ考え事してたような記憶があって、
本当に行ったのかなみたいな感覚があったりして、なんかそういうのも、そういうふうに感じているこの著者はわけじゃないとはないんだけれど、もっと明確にいろんなその知識っていうのがあるので、特にその文学者なので、その文学とかをこう明確に思い浮かべながら、こう連想しながら歩いてるんだけど。
でもこの方の前の著書が、みんな水の中っていう著書らしくて、それで私それはまだ読んでないんですけど、その当事者自閉スペクトラムADHDの両方の当事者としての視点でみんな水の中みたいに感じてるっていうことを綴っている本らしいんだけれど、
すごいこの本で興味深かったのが、この著者がその文学者、文学研究者っていうのがあるからなんだけど、何カ国語かスペイン語、ドイツ語、英語だったかなが使える方なんだけれど、
そうすると、もともとその日本語で文章を書くっていうことがすごく苦手だったらしくて、それもなんか意外な感じがするんだけれど、でもそういう外国語を学ぶことによって、外国語、その自分の得意な英語とかスペイン語で表現できないことは母国語でも表現しないっていう規制を自分にかけることによって、
文章が書けるようになったっていうふうに書いてて、すごいその見直し方面白いなと思って、興味深いし、なんかそのクワーって集中していってしまうのの歯止めのかけ方っていうのを自分でそういうふうに手綱を持つっていうのがすごい、誰にでもできることではないけれど、すごい面白いなと思ったり、
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なんか、その文章もすごいね、本当に読みやすい迷路な文章で、いろんな文学作品が、とか音楽とかいろんな作品が挙げられていたりして、一緒にこう物理的な旅というよりも頭の中の旅を一緒にしているような感覚を楽しめる本だったかなと。
ちょっとなんか感情移入して胸が痛いみたいなところもあったりはするんですけれど、でも全体として本当にこの前の著書読んでないんですけれども、この著者がよくこの本の中でも言及している水の中にいるみたいな感覚っていうのを一緒に味わえるような本だったのかなと思ったりしましたね。
なるほど、その発達障害っていうのとも絡めてで、ちょっと一個最近読んだ本を紹介したいなって思ったんですけど、前も同じシリーズの違う作品を紹介したんですが、医学書院のシリーズケアを開くというシリーズの中のあらゆることは今起こる。
柴崎智子さんという方が書かれたエッセイに近いのかな、エッセイ。
柴崎智子さんっていろいろ小説を出されている小説家さんで、この方も大人になってからADHDだっていう診断を受けてっていう話なんですよね。
柴崎さんがご自身でおっしゃってるには、この本でおっしゃってるには、小説家っていう仕事に就けたから、まだ自分の特性に合ってる仕事に就けた。
会社員をADHDの人がやるとかって結構大変なんだけど、自営業で文章を組み立てるっていう。思考がどちらかっても、それが創作に生きるというか。
そういう職業に就けたから、まだ私はそこまでしんどいっていう感じはなかったんだけどっていうことを書いてるんですけど、でも一方で診断を受けた後にお薬を飲まれてるんですね。そのADHDに適用されるようなお薬。
で、その薬を最初に飲んだ時に久しぶりに目が覚めた感じがしたって言ってて。それが小6の時の修学旅行で夜更かしして、その次の日眠たくて、それ以降一回も目が覚めた感じがしなかったんで。それが36年ぶりに目が覚めた感じがしたって。
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それぐらいだから、霧がかってるというか、もしかしたら溝の中にいるという感覚と近いのかもしれないですけれど、そういう感覚にいたっていうことが書かれてて。
結構やっぱりそういう、モヤがかかったみたいなっていうのは、なんかね、ある気がね。誰でもあるのかなって私は結構思ったりしてた。
どうなんやろうね。そう、よくわかんない。自分のことしかさ、やっぱ習慣的やから。わからんから。どうなんやろうと思いながら、そのグラデーションがあるしね。
あと、自分の感覚と他者の感覚って、こういう特に言語化が難しいことっていうのは、この横道さんの著書もですけど、それを言語化してもらうこと自体が、すごい頭の中を覗くっていう、すごいいい意味があるというか、単純に興味深いことだなと思ったりしましたね。
そうですね。で、これを読んでいて、横道さんはそうじゃないらしいんですけど、ADHDかな?ASDかな?ちょっとどっちの傾向だったかちょっと、もしかしたら両方か。まだよくわかってない、研究が進んでない分野らしいんだけど、
ファンタジアって知ってる?頭の中に映像を思い浮かべられないっていう特性らしいんだけど、私たぶんそれで、赤いリンゴとか言われたときに、頭に像があんまり浮かばない。
ちょっとだいぶ前に、その話した。そう、だいぶ前にした。それに対応する言語があったんだと思って。そういう特性があるんだと思って。それなりにいるらしい。夢とかは映像で見るの?
夢は映像で見る。でも思い浮かべるのがちょっと難しい。あったらサトゥーさんはサトゥーさんやなって思うけど、あってないときにサトゥーさんの顔ってちょっと思い浮かべられない。映画の特に、洋画を見るのが苦手なのが人の顔がちょっと見分けづらいみたいなことを前言ってたけど、ちょっとそういうのも関係してるのかな?
知れない。
なるほどね。
そういう個人的な体験と照らし合わせた驚きとかもあったり。興味深い本でしたね。単純にそのどんどん著者の名前、著者のお名前じゃないけど横道にそれていく楽しさみたいなのもあるし。
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単純にその文学的な、著者の深い知識っていうのにも触れて、それ自体もいろいろ引用とかもされてて面白いし、結構いろんな人が楽しめる本でないかなと思いますね。
このあらゆることは今起こるの本でも、ちょっとたぶん似てるかもしれないんだけど、結構話がすごい飛ぶんよね。でもそれがなんかこうなんだろうな、すごい楽しい。え、これ面白いね、あれ面白いね、これもこれも面白いねって言ってる友達に連れ回してもらってるみたいな。
うーん、そうやんね、それ分かるよってないけどそれは。分かる分かる。
そういうワクワクする感じ。宝箱みたいなのを覗かしてもらって、これもこれもこれもこれも、あ、こんなんもあるんや。
確かに宝箱いい表現やな、なんかその散らばりつつ入ってて一緒に。
そう、入ってる感じ。だからまあ結構その、ADHDの特性から苦労した経験とかもいろいろ書かれてはいるんですけど、なんかそんなに気が沈んでいくというよりかは、友達に連れ回してもらってる感覚にもなれる本でしたね。
結構この横道さんの本はすごく胸が締め付けられるような特性ゆえに、だけでもないけれどもその個人的にこれまで苦しまれたこととかも書かれてたりするので、そのただただ愉快っていうだけではないんだけれども、それもまた深みを与えているのかなと思うような本でしたね。
あらゆることは今これももちろんそのうまくいっていない経験もたくさん書かれてて、ADHDの特性というよりかはその家庭の環境から人に助けを求めることがすごい苦手で、なんかこうつらかった経験とかも書かれてるので、もちろんこう楽しいだけではないんですけど、でも読みやすい面白い本かなと思いますね。
はい。といったところで、今回はそうね発達障害の本2つって感じかな。2冊。
当事者のって感じかな。
当事者の5本っていう感じですかね。お送りしました。
結構皆さんもいろんなね、その特性がその診断がどうこうっていうんじゃなくてもあると思うので、そういうのをまた見つめ直す、直さなくてもまあいいかもしれないけれど、まあ単純に頭の中を覗く面白い本かなと思いました。
はい。
では皆さん良い読書体験を。
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良い読書体験を。
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