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生物学者と書店員のインターネットラジオ、本の虫のススメ。
本を偏愛する生物学者の椿と、書店員の佐藤が、本にまつわるあれやこれやをゆるっとお届けします。
2025年もスタートしてますけど、皆さんどうですか?どんな感じになってましたでしょうか?
寒いんですかね。
ちょっとね、収録があるから、想像。
私たちはまだ、2010年。
ちゃうな、ちゃうちゃう。やばいやばいやばい。
タイムトリップしてる。
でも、まあ、2024年からの皆さんへのオーディオレターと思っていただければ。
と思いますけれど、なんか椿さん、またなんかいい本に出会ったって話を聞いたんですけど。
いやー、すごいね、なんか、なんて表現したらいいんやろう。
身が焼かれるみたいな、本でしたね。
すごいヘビーな感じかな、シリアス。
いや、ヘビーだね。
タイトルが、沸騰大陸。
著者が、三浦秀幸さんという、朝日新聞の記者の方。
この方、実は、ホームスで、すでに本を紹介したことがありまして。
紹介した回が、なんと、初回のエピソードと、36回目のエピソード。
その時に紹介した本の書名が、
太陽の子、日本がアフリカに置き去りにした秘密。
それも、けっこう重いテーマをね、扱ってる本でしたね。
太陽の子は、当時のザイール、今の今後民主共和国に、鉱山開発で、日本の会社が進出してた時に、
当時の日本人の従業員の人たちが、一人や二人ではなくて、
数十人単位、現地の女の人との間に、交なして、
で、その、婚欠児たちを、置き去りにしてきたっていうような話の、その後というか、を追った、ルポルタージュですね。
で、今回も、ルポルタージュというか、今回は、短いエッセイ集のような形で、
この三浦さんが、2014年から2017年までの、約3年間、新聞社のその海外特派員として、アフリカに駐台されてたんですね。
その間のその取材というか、の日々の中で印象に残った出来事だとか、を、エッセイ形式で書かれたものたち。
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で、もうこのタイトルが本当に、いいえてみょうだなと、思うんですけど、本当にその、語られるエピソードが、本当に一つ一つがもう、ぐつぐつと煮えたぎるような、本当に見起きるような、重たいエピソードが、すごく多くて、
そのやっぱり、なんですかね、まだ、その年半も行かない子供が、児童結婚させられる話だとか、
いろんな政治的な状況が絡み合って、民族対立みたいなのを煽られる形で、自分とは違う民族だっていうので、メラの中で殺し合いが起こってしまって、
でもそれが落ち着いた後、家族を殺された側も、その損落で生きていかなければいけないので、相手と隣接したところで、住み続けてる話とか、
本当に、その一つ一つのエピソードが、もう沸騰してる水の中のアブクのように、バンバンって出てきては消えて、それがもう大陸全体として、そういうアブクが見えるような、そういう、本当に呼んでて、胸が痛くなるような、本当に、
見起きるような本なんですよね。すごい前書きに書いてて、印象的だった一文があるので、ちょっと読ませていただきたいんですけれども、なんでこういう、その新聞社って言うと結構その、なんですかね、大きい事件っていうのをやっぱり扱うじゃないですか、でもこの三浦さんの態度としては、ここからが引用なんですけれども、
アフリカに限らず、社会の実態というものは、むしろ大きな事件や政治動向にではなく、人々の終わることのない日常の中にこそ、その息吹をしっかりと宿しているからです。というふうに、今回こういうふうな、アフリカの実情というかを描き出して、世に問いたいというふうに、思った動機として、そういうふうに書いてらっしゃるんですけど、
実際にその、これを読むと本当にその、人間性をこう、根幹から揺さぶられるようなことが、同じ、この時代、今、起こっているっていうのが、なんかすごい、なんだろうね、日本とは一瞬かけ離れて見えるけれど、
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アフリカ大陸に限って、そのエッセイを書かれているということなんですね。
あ、そうです、そうです。3年間のその、不倫の時の取材の中で、印象深かったエピソードとか、そういったところを、大きな事件とかじゃなくて、一つの事件を追っているんじゃなくて、その、一つ一つ独立したエピソードとして、エッセイを書かれているんだけれど、本当にその、なんだろうな、遠い国の話ではもちろんあるんだけど、
まあ、その、鉱物資源が絡んでいる話とか、ある意味すごい、地続きなところもあるし、で、そういう、三浦さんの言葉を借りると、むき出しの日常の中にも、確かに日本では逆にないような、その、まあちょっと爽快感があるような話も中にはあったりして、やっぱり力強さを感じるような、
その、成人の儀式で、馬を、馬じゃない、牛を飛び越える男の子の話とか、まあ、そういうような話もあったりとか、なんかその、いろんな状況の中で、まあ、生き抜く強さみたいなのは、もう、全体を貫かれているとも思うし、で、なんかその、全然違う、なんだろう、生き方があって、で、その中で、まあ、たくましく、たくましく生き抜いていくっていうと、ちょっと、なんか安っぽい感じになってしまうけれど、
なんか、いろんなことを問われるし、逆に勇気づけられる部分もある、すごい印象的な、独語感がすごい残る本でしたね。
ちょっと本当に、いろんなことがありすぎて、もう難しいんだけど、印象的だったエピソード、2つほどあげさせていただくと、ナミビアで世界一美しい民族とか呼ばれてる、ヒンバ族っていう、ヒンバ民族って呼ばれる方たちがいらっしゃるんですけど、
赤土と牛の油を混ぜたものを、髪の毛とかに塗って、で、すごい伝統的な装具を塗りつけて、だから、ちょっと赤っぽく髪の毛が見えて、この本の表紙でもあるんですけど、
美しいんだよね。で、すごい写真を撮らせてもらってる時に、その三浦さんが美しい、ビューティフル、ビューティフルって言ってたら、女の子がツカツカッと来て、あなたたちが言うビューティフルってどういう意味ですかっていうふうに聞いてきて、あなたたちはここですごいビューティフル、ビューティフルって言うけど、自分の妻をそういうふうに着飾ったりしないですよね。
今ここでそういうふうに言ってるだけですよね。ビューティフルってどういう意味ですかっていうような。おー。問い合わせられたっていうような話とか。で、それはオチがあって、で、その子がでも真剣な顔からにこって笑って、でもいいんですよ、写真撮ってその分の撮影量私たちはもらえればって言って。
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もうしたたかというかしっかりしてる。いやーもうそうすごいなんかこういろいろ考えさせられる話だなーとか思ったりとか。それがまずあれかな一つあの印象的な話で、でもう一つあのまあまあめちゃめちゃもうどれも読んでほしいので読んでという感じなんだけど、強いてあげるのであればもう一つあの印象的だったのは、
えっと今後民主共和国でえっとノーベル平和賞を受賞した産婦人会のデニムクエゲさんという方がいらっしゃるらしいんですけれど、私それは存じ上げなかったんだけど、あのそもそもその内戦状態がその今後でずっと長く続いていて、でその
被害あのレイプとかあの性暴力を受ける女性がすごく多くて、でそういう方たちを受け入れてその婦人家、産婦人家のケアというか出産とかをあの見てきたっていうあの方で、でその方はあの内戦が激しくなってであのちょっと家族も危ないっていうので
一回そのフランスに亡命というかされたんですよね、でそれでもなんかそんなもうやっぱアブ、あ、ベルギーだ、ベルギーに避難されたんですよね、一回内戦が激しくなったときに、それでもうその時にもうすごいやっぱ今後危険だしもう十分自分はやったと思ってもう今後には戻らないだろうと思ったらしいんですね、でも結局彼は戻られて
でそれなんでですかって聞いたら答えがパイナップルだって、パイナップル、そうそう、家族とかそういう、なんやけどこれがすごいなんかちょっと感動したんだけど、その今後に戻ってきてほしいっていう地元の方からの手紙が届いて、で
その時にその人たちとその現地の今後の人たちは、あなたが帰ってくるための航空券を買うために私たちは今一生懸命パイナップルを売って歩いてます、わー、わー、いやー、それで帰ることにしたっていう、あーなんか深い深い意味のあるパイナップルやったような、そうやねそうやね、でそれであの自分が帰った時にもう本当に
文字通りのお祭り騒ぎで迎えてくれて、でその後、あのこれノーベル賞を取る前のインタビューらしいんだけど、その時の歓迎ぶりを見て、もし自分が将来ノーベル賞なんかもらったとしてもこれほどの幸せを感じることはないっていうふうにおっしゃってて、でこのエッセイのタイトルはノーベル賞なんていらないっていう、おー、いやもう本当にそうだなと思って、
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どれだけのなんというか、圧倒されるような気持ちに、そのこのむくべけさんが人生のそれぞれの局面でなったんだろうとか、いろいろ本当に想像してしまいましたね。
ちょっとあれはね、一個一個のエピソードが濃くてすごいこう、なんか簡単にはこう読めないというか、そうやねそうやね、よしって思って、そう、そうやね、読んでほしいんですけど、ちょっとやっぱり心の準備っていうのは、いるほうかなと思いますね。
ちょっと自分の心の状態的にもこう、なんか安心して読める時期のほうがいいのかもしれないね。それはそうかもしれない。こう、やっぱり揺さぶられるので、すごくすごく、だからこそね、知る価値があるとはもちろん思うんだけど、なるほどなぁ。
それでこの本で紹介されてて、読みたくなって読んだ本をこの流れでもう一冊紹介してもいいですか?もちろんですよ。これはね、意外だった。私が知らなかっただけだと思うけど、サン・テグジュペリ。
星の王子様の。そうそうそうそう。の書いた、人間の大地っていう本知ってる?いや知らへん。渋谷豊さん役で、古文社から出てるものを私は読んだんですけれど、
サン・テグジュペリって、郵便飛行船っていうのが、1900年の初め頃は、まだ航空業界の霊名機で、手紙を飛行機便で超速達で届けるっていうのをしつつ、長距離飛行の航路を開拓するみたいな時期だったらしいんだけど、
その時期に、その後のエールフランスかな?のパイロットとして、サン・テグジュペリって働いてた。え、そうなんや。パイロットだったらしい。へーって、知らんかった。そう、それの時の自分の経験を綴った。
まあこれもエッセイかな?になる本なんですけど、これがすごい、エールフランスって、あのフランスの航空会社じゃないですか、その前身ちょっと名前忘れちゃったんだけど、で、そこから、そのアフリカにやっぱりだから航路がいっぱい、あの、植民地持ってたから、そのあって、そのアフリカ航路を結構そのテグジュペリは、あの、行ってて、で、その一つである、えっと、キャプジュビっていうところかな?
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えっと、今で言う、モロッコの一番南側、西サハラ、あの、今も紛争で、あの、結構大変な場所なんですけれども、の辺りのキャプジュビっていうところに、あの、何年か配属されたりとかしていて、で、その時のそのアフリカでのその、自分自身が砂漠で遭難というか、あの、不時着して、あの、もう本当に死ぬ。
住んでまで、上、3日ぐらい、3日未満、さばよった話とか、でもなんかこれはね、すごい驚いたんですけど、当時はもうそのエンジンとかが今ほど、あの、よくできてなかったんで、その、不時着自体はよくあることだった。
あ、もうそうなのか、そっかそっかそっか、そうそうそうそうそうそうそう、そうそう、だからもう不時着前提のその、飛行の話みたいな、ある意味、そうそうそうそう、話とかも書かれて、それもなんか私たちの、
今の目で見ると新鮮だし、なんかね、すごいその、自分のその、飛行機乗りとしての人生というか、経験してきたことっていうのをどんどん敷衍していって、人間性に迫ろうっていうような本なんだよね。
で、これがその、だからアフリカの話とかも、まあ今思うと、今から見るとちょっと不適切描写みたいなのも、もちろんあるんだけれど、結構書かれてるので、それをあの三浦さん、さっきのその、沸騰大陸の著者である三浦さんが、結構影響を受けた本としてあげられててんで、実際にこの、テグジュペリーが、あの、扶任されてたキャップジュビーに行った話とかもあって、
それはその、沸騰大陸に書いてて。
書いてて、それはその、サン、ジュ、ジュ、グ、言えない。
サン・テグ・ジュペリー。
サン・テグ・ジュペリーの影響で、行ったってこと?わざわざ。
あ、そうそう、わざわざ行かれたっていう話とかもあって、あの、すごい自分が好きというか、影響を受けた本だって言ってはって、
あ、そうなんやと思って、私、星野王子様しか読んだことがなかったから、パイロットだったってことすら知らなかって。
でも、これ読んで、なんか確かに、その、星野王子様にすごい通じるというか、ところもあるんだけど、私がなんか読んでた、星野王子様って、
この著者が込めた意味よりも、ずいぶんと皮の部分だったのかなとかも思ったりした。
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なんか、すごい人間性みたいのを、深く自分の中でこう、なんだろうな、探していくというか、探求していくみたいな本なんだよね、これは。
だから、その、これを読んだ後で、まあまあ、まだ読んでないんだけど、星野王子様を読んだら、たぶん、その、ちょっとテグ・ジュペリの体験じゃないけど、
に、ねざした人間感みたいなのを持ってみたら、またたぶん違った色合いで、星野王子様も見えるのかなって思ったりするような本。
なんかすごい気になるな。
いや、おもしろかった。
なんか、星野王子様、あのすごく名作として、みんなすごい評価が高い本やけど、なんか、私はあの本読んで、あんまりなんかピンとこなさって。
私も!
あ、ほんと?
正直そう!
そうなんや。
そう、そう、そう、そう、これはね、すごかった。
へー。
すごかったっていうか、なんか私には感じるところが、大いにあった。
なんか、星野王子様もすごいいいこと言ってる感じなんやけど、それで?って思ってしまって、私は。
そうそうそう、結構なんかさ、そりゃそうじゃない?みたいなのが連続っていうか。
そうそうそうそう、そうなんよね。だからなんか、まあ、もしかしたら一生そうなのかもしれないけど、でもその本を読んでから、星野王子様をもう一回読んだら、違った見え方がするのかなって私も思いましたね。
なんかね、いろんなほんとに読ませどころというか、あるんだけれど、自分がその、もうほんとに三日三晩砂漠で、不時着したあと、さまよって、寝転んだとき。
そのときに、自分を動かしたのは、自分が愛する人に会いたいっていう気持ちじゃなくて、愛する人が探しているというか、自分をまだ生きてると信じて、求めてくれてるっていう気持ちで、それに対して裏切ることはできないみたいな。
そういうと、ちょっとちんけなんだけれど。
で、印象的だったのは、この飛行士の仕事っていうのを、自分は空を飛ぶ農家とか庭師みたいなもんだっていうふうにたとえてて、
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それは機械っていう、すごい無機質なものを扱ってるように見えて、でも自分は、農家の人が天候を見て、種まき時とかを判断するように、自然というか、地球というか、環境と対話しながら、この高さで飛んだらいいとか、こういうときはこの航路をとったらいいとか、
そういうふうにしながら、やっていく職業で、そういう意味で、人間らしい仕事なんだっていうふうにも言ってたりして、
人間らしいって何かっていう、人間を人間たらしめるものは何かみたいなところに深くその自分の体験に根差して、
小冊というか、考えを進めていくから、なんかちょっと、星の王子様ってやっぱちょっとふわふわしてるじゃない、そう、ふわふわしてないのよ、それを地に、あの浮かんだ星を地に結びつけるヒントを私はなんか読んだような気がして、
なんかね、ほんとに、あとなんかすごい表現がね、詩式なんですよ、ちょっとポエティックな感じなので、それも読ませる、めっちゃいい本でしたね、
私もすごく読んでみたくなったなぁ、
なんか、そうね、良さが自分にもわかるきっかけがつかめそうな気がして、
そう、私もそう思って、
今回はあれですね、椿さんのおすすめの本をちょっとひも付けて、2冊、
そう、いやぁ、どちらもね、あの、まあまあ、あの、沸騰大陸はもう、かけでなしに重いんですけど、人間の大地もまあまあ、表現の美しさを文学というか、あの、として楽しむっていうこともできるんですけど、まあちょっと重い、そんな軽い本でもないので、まあまあ、そのタイミングが来たら、
ぜひ良い時、良い場所で、皆さんと出会える本になればいいなと思います。
では、次回も楽しみにしていただければ幸いです。
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