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生物学者と書店員のインターネットラジオ、本の虫のススメ。
本を偏愛する生物学者の椿と書店員の佐藤が、本にまつわるあれやこれやをゆるっとお届けします。
はい、今週も始まりました。本の虫のススメ。今回は、
前回、お便りを紹介する回だったんですけど、前回その美術館のコオロギさんというシドニーにお住まいのリスナーの方から、
その美術の関連の本の話、本屋さんでの美術書の扱いとかも含めて聞きたいですということで、お便りいただいて、それについて後半おしゃべりしたんですけど、
ちょっと話し足りない本の話まで、個別の本の紹介の話までいかなかったということで、ちょっと延長戦というか、
ちょっと美術、アートに関連する本のご紹介をちょっとできればなと思います。
お願いします。
ちょっといろいろね、あって迷ったんですけど、ちょっと何冊か持ってきました。
どれから行こうかな。まずその見た目に綺麗な、見てて楽しい本からご紹介したいと思います。
ちょっとなんか、美術、完全にその何、美術作品という立ち位置じゃないけど、これってアートやんなっていう、ちょっと変わった立ち位置の本です。
太田亜紀夫さんという研究者の方が書かれた本なんですけど、タイトルが、世界を一枚の紙の上に、歴史を変えたダイアグラムと主題地図の誕生。
ちょっとなんか、タイトルだと難しい本かなと思われると思うんですけど、実際結構なんかまあ、
タイトルの通りなんですけど、その世界を説明するために、そのイラストというか地図とか、図をこれまで人間がどういうふうに書いてきたかっていうのを、その歴史を追って紹介している本なんですよね。
すごい面白くて、だからちょっとデザインに近いようなところもあるんですけど、それこそ最初のその博物学。
で、なんかここにこういう木が生えててとか、こういう土がこういうところにあってみたいのを、最初はその山の形を断面みたいな形で示して、それにここにはこういうのがあるよみたいのを書いている図から始まってみたいな、
そういうのを歴史を追って紹介してくれている本で、これのイラストを見ているだけでもすごい楽しいんですよね。
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円グラフみたいのが出てきたりとか、今も結構使われるようなインフォグラフィックみたいな、ちょっと人間の形そのまま書くんじゃなくて、簡略化したようなデザインで。
インフォグラフィックってどういうものを言うのかな?
えっとね、なんて言ったらいいんやろうか、その解説のための図みたいなので、人間もなんかそのトイレのマークみたいなのを示したりとかして、それを矢印とかで研究の内容とかを説明するために、図解した一枚絵みたいなやつ。
なるほど、ほうほうほう。簡略化された。
そうやね、で結構複雑な概念を簡略化した図で表現しているみたいなものを、結構その行政のサービスの説明とか、いろんなところで結構目にするかなと思うんだけど、
そういうのの表現とかいろいろ本当に出てきてて、それが今の手元にあって、見ながら話してるんですけど、
なんかそのアートっていろいろあるじゃないですか、現代美術とかだったら、現実をそのままありのまま表現するっていうよりも、その中から自分の思うところを抽出して表現したりとか、そういう表現もある一方で、
こういう伝えたい主題がある意味客観的っていうか、数だったりとか、こういうルートがあるよとか、地図上に示すとか、そのいろいろ伝えたい主題によってその表現を工夫してきた歴史みたいなところっていう見方もできて、
それもなんかいわゆるアーティスト、芸術という形で表現しようとしているわけではないけれど、その出てくるものとしてはかなり美しいというか、アートなものだなと思ったりして。
それ、その本ってさ、なんかすごい難しそうな内容に見えるんやけど、いろんなその角度からその世界、世界といってもいろいろあるけれども、例えば山っていうものはこういうものですよとか、なんかこういろんな角度からその世界というものを表現しているいろんな資料を紹介した本っていう意味なのかな。
そうやね、だからその紹介したいテーマによって求められる表現って全然変わってくる。
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それを、紹介したいものも、すべて単純なものばっかりじゃないやんか。どこを単純化させていったらわかってもらえるのかとか。
で、人目を引くっていうのもやっぱり大事やんか。見たくなってもらわないと、わかってもらうまでいかないやんか。だからそれも含めて発展してきた歴史っていうか、こういうのがいろいろあったんだよっていうのを一冊の本にまとめてくれてて。
なるほど、それって何?例えば地図とか?
うん、地図とかも。地図もやけど、これはこの本で扱っている話じゃないけど、地図でも、例えば、ユニバーサル横メルカトル図法っていう地理でやったやろ?
メルカトル図法あったな。
地球って球体やんか。やけどそれを二次元に落とすときに歪みが出るのはどうしても仕方ないんやけど、じゃあどう歪ませるかっていうのが地図の選び方なんやけど。だから飛行機の地図とかやったら、東京から何時間で行けるところっていうのを同心円状に、1時間で行けるところはこうとかっていう地図で書いたりとかするんやけど、
だから目的によって地図って一言で言っても使い分けなきゃいけなくて、地図も単純に、もっと狭い地図で歪みが地球みたいに大きくない部分でも表現の仕方って一つじゃなくて、地図の上で何を見たいかっていうと、この人工の分布やったりしたら円グラフをその上にどんっておいて大きさの表現したりとか、
で、なんか都市同士のつながりを見たいんやったら、その、なんやろうな、わからんけど、その都市同士の今やった通信の量とかを太さで表したりとか、そのいろんな表現があるわけやんか。でもそれをそのまま書いちゃうとやっぱり見にくくなったりとかしたりするから、それをどういうふうにデザイン性っていうのかなっていうのと、
その人に、ある意味見てもらうために作るものやから、その引き付けるっていう観点もあったりとかで。
- なるほどね。なんか社会学っぽい感じやけど、それを美術っていうところの側面から切り取ってるのが面白いね。
- そうやね、これ自体は社会学っぽい確かに、作者もそうやし、そういう本なんだけど、そういう論考みたいな本で、内容自体は結構難しいんやけど、でもその見てるだけでもすごい図がたくさんあって、面白くって。
- アートってなんだろう?みたいな気持ちにさせられるような、アートってもともと語源みたいな話になっちゃうけどさ、ネイチャーの大義語で、自然に対して人間が作ったものみたいな。
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- へー、そうなんや。
- だからなんか、なかなか翻訳が難しい分野でもあって、そういう意味でのアートで、もう完全にアートやなと思って、そういう意味やと結構サイエンス、科学もアートやなっていう風な捉え方もなんか、古代ギリシャとかはあって、
- アルテって言うんやったかな、確か。なんか技術とかとも、アートってすごい密接に関わる概念やったから、それが科学になり、技術になり、芸術になりっていうような系譜があったりするから、今はもう完全に科学とアートなんで。
- なんか真逆のね、分野みたいに思うけどね。
- そうそう。そういうのがあったりするけど、そういう、なんていうんやろ、私、科学者なんですけど、そういう主題にすごい興味があって、そういう観点で見て興味あるなと思って買った本です。
- なるほど、なるほど。へー。
- その主題を深めちゃってもいいですか。
- はい。
- これ、なんか多分、あんまりその、誰もが読んで楽しいっていう本ではないと思うんですけど、そのちょっと、科学と芸術が、もともとその、本来は分かちがたい人間がやるものだっていうアートというか、その人間が世界に対して働きかけるっていうような大きいカテゴリーだったものが、こう、分かれていっちゃって、今真逆みたいになってるけど、
お互いにその、なんだろう、そんな離れすぎることもないんじゃないっていうような動きが今結構あったりして、で、なんかそれを私もよくつらつら考えたりするんだけど、それを考えるときにすごい、なんだろうな、やっぱりそういうのってまだ歴史が浅いっていうか、そういう風なのもちゃんと考えたら、
科学にとっても芸術にとってもプラスになるんじゃないっていう視点自体がまだちょっと新しいっていうこともあって、体系的に学ぶっていうことは難しいんだけど、その点と点の情報を自分なりに集めていきたいなと思って、読んだ本をちょっとご紹介したいと思います。
はい。 日本科学協会編集、堺邦義監修、科学と芸術、自然と人間の調和っていう、まあこれ、論文集みたいな、ちょっとだから、そんな、なんだろう、
柔らかく読むようなものではない感じ。 ではあんまりないんだけど、でもすごい面白くて、いろんな主題がすごい扱われてるんですよ。で、1章1章、全部で14章あるんですけど、章によってその著者が違って専門も全然違うんですよね。
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建築家の方がいらっしゃったり、アーティストの方がいらっしゃったり、本当に研究者だけじゃなくて、アーティストも研究者もそのテーマに自分なりのアプローチというか、で、向かってるっていうところ。で、それが結構面白くて、全然、なんだろう、本当に繋がりないんですよ。
その章ごとに。で、多分その編集も大変やったようなと思うんですけど、でもなんかその、繋がりがない分、なんかオープンクエスチョンというか、これからどんどん広がっていく部分かなと思ったり。
- 科学と技術のその関わりっていうか、その繋がりについて、それぞれの論者がそれぞれの専門家の視点から語って、論述してるっていうような。
- そうそうそうそう、そういう感じ。で、初めに対談があって、高谷さん、今後無事のその複数枚絵とかを描かれてるアーティストの方と、その、ご専門はなんだろう、ちょっと待ってね。
- 農科学。農科学がご専門の研究者の方が対談されてたりとか。それもすごい、あの、噛み合わないんじゃないんで一瞬。思うような組み合わせでもあるんやけど、すごいね、その試作を、どっちもさ、アプローチは違うけど、世界の核みたいな部分を知りたいっていうところが、
- なるほどね。
- だからすごいその思考が接近していく様がなんか、感じられるような対談で、すごいその、図書館とかにもしあればない気がしないようないんですけど、大学とかならあるかな。なんかすごい、あの、面白い対談なんで、
- はい。
- その最初のところだけでもその、読んでいただけるとその、意外と全然関係ないなって思ってたその、科学と芸術っていうテーマやけど、その、DNAのその、二重螺旋みたいにこう、絡み合いながらこう、何やろ、発展していくようなイメージがなんか頭の中に浮かぶんですよね。
- へー。
- それが、面白いなと思ったり。で、ちょっと宣伝になるかもしれないんですけど、私、何年か前に、海洋研究開発機構っていうところで、広報のお手伝いをさせていただいてたことがあって、その時に、私が企画したっていうわけじゃないんですけど、その、関わらせていただいてた、
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サイエンスかけるアートプロジェクトっていうのをやったりも、したこともあって、結構その、アーティスト側も、その、科学っていうのをすごい、興味を持ってらして、そのインスピレーションのやっぱり源でもあったりとか、で、やっぱりどっちも人の営みなんで、すごい、その対話の場というか、に身を置かせてもらって、
- やっぱりその、今は遠すぎるなっていうのはすごい感じたりしたので、そういうのに興味がある方はぜひ手に取っていただけるといいななんて思う本でした。- なるほど。はい、ありがとうございます。
- ちょっとなんかあれですね、固い感じにいこう、今日は。- やっぱなんか、科学となんとかっていうとね、その議題があるように感じられるけど、でもその、あれやね、農科学者と、えっと、フスマエのアーティストの方が、その核となるものを見つけたいっていう、その原点というか動機のところが一緒だっていうのがすごい面白い。
- でもそれって科学とかに関わらず知りたいって思う?心っていうのって人間の根源的な欲求やと思うので。- そうだよね、本当にそう思う。なんかそれをさ、もうちょっとなんかね、こんな、全く別物ってしちゃうのはちょっとやっぱりもったいないのかなって、取りこぼすものが結構出てきちゃうのかなって思ったりもするんですよね。- なるほど、なるほどです。
- そうそう、なんかね、やっぱり科学とか芸術とか言っちゃうと堅く感じちゃうけど、こういうね、ポッドキャストとかも含めて、ああそうなんやっていう、ちょっと親しみ、安いじゃないけど、どういうもんなんかっていうのを触れてもらう、考えるきっかけになるようなことができたらいいななんて思ってます。
- なるほど、はいありがとうございます。- ありがとうございます。では後半は改めまして、あのコーナー、お便りむすむす。お便りむすむすはお便りを通じてリスナーの皆さんと楽しく交流するコーナーです。
- 今回は、Googleフォーム?名前はいいんですけど、お便りをいただきました。しみまるさんとお呼びするのかな?からいただきました。ありがとうございます。- ありがとうございます。
- しみって、あの紙の魚のシミの、あれなんですけど、そこのホームスネームからも本好きが伝わってくるようなタイプですね。お呼びしたいと思います。
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- はじめまして。カナダの大学院の博士課程の学生です。実験前のサンプルの撮影作業や移動時間などに楽しく聞いています。椿さんも佐藤さんも私の大好きな本を読んでみたいと思う本ばかりで、以前からの友人だったかと錯覚するほどです。嬉しいね。- うん、嬉しいね。- めっちゃありがたい。- ありがとうございます。- ありがとうございます。
- もっと語り合いたいリクエストなのですが、独了したリスナー向けの濃縮トークのスペシャル回なども企画してくださると大変嬉しいです。- うーん、なるほど。ネタバレOKの回っていうことですかね。- そうだね。いつも私たちちょっと最後モゴモゴしちゃうときあるもんね。
- そうね、やっぱりちょっと読んでない方のためにネタバレにならない範囲で言って気をつけると言いたいことが言い切れない部分があったりするよね。- 特に小説ね。- 小説はね。- 確かに確かにそのでも読んだからこそのあれわかったみたいなのをしたいよね。- したいよね。- ぜひやってみたいと思います。ありがとうございます。- 嬉しいリクエストです。ありがとうございます。
- カナダにお住まいということで。- そうだね。2回か3回前ぐらいにいろんな国から地域から聞いてくださっている方がいるっていう話をしたばっかりなんですけど、前回はシドニーの方で今回はカナダの方で。- ホームスワールドが。- 広がっている。- 嬉しい本当に。
- しかも理系の方なんですね。実験前のサンプルとかおっしゃってるので、それも私としては嬉しいなぁなんて思ったり。やっぱり本好きの方ってもちろんたくさん理系の研究者の方にもいらっしゃるんですけど、なかなかこういう交流まさかこっちからっていう感じで嬉しいですね。またぜひぜひ楽しんでいただけると嬉しいです。- はい嬉しいです。
- リスナー向け、独了したリスナーさん向けの濃縮会もぜひぜひ。- そうですね。- やりたいと思いますので。ネタバレありと分かる形で。- そうですね。- やっていこうと思います。- はい。もしそうですねこの本について話してほしいみたいなのがあれば。- いいねいいねおすすめぜひぜひ聞きたいです。
- ググルフォームでもメールでもいいですし、Xツイッターでリツイートじゃないリポスト。- 慣れんねー。- 慣れないねー。ハッシュタグつけてホームスっていうハッシュタグをつけていただければ見に行けますので。- はいぜひぜひお願いします。- よろしくお願いします。
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- はいそんな感じで年々お便りもお待ちしております。- はい。- では来週も楽しみにしていただけると幸いです。良い読書体験を。- 良い読書体験を。
本の虫のすすめは毎週金曜日17時に配信しています。アフターファイブに録書投稿をお楽しみください。