樋口幸太郎の経歴
こんにちは、本茶本茶へようこそ。毎回一種類のお茶を味わいながら、一冊の本をきっかけに緩やかに語る時間です。
静けさのデザインとケアを通して創造性の器を育む、スタジオスティルネスのFuyutoがお送りします。毎週水曜日19時に更新しています。
今日ご紹介するのは、樋口幸太郎さんという方の書かれた、
『人生とは長い時間をかけて自分を愛する旅である こころの資本の経済学』という一冊になります。
この樋口さんという方は、もともと野村証券に入社をされて、
その後、ニューヨーク、ウォールストリートで活躍をされた後に、レーサムという会社でホテル投資に携わります。
その中で、取得した沖縄のホテル、サンマリーナホテルというところの経営者になられるんですよね。
わずか1年で終わったんですが、サンマリーナホテルで、愛というものを経営理念とする経営を実行して、
12年ぶりに黒字化をさせたりとか、再建をしたという方になります。
ただ、その後、その会社を解任をされて、すべてを一旦失ってという経験を経て、
沖縄で金融人材育成講座というものを開かれた、そんな方で、この本は、そのサンマリーナホテルで起きた出来事から、
この金融人材育成講座で語られた内容がまとめられた、そんな一冊になっています。
愛に基づく経営について
今日、この本をご紹介したいポイントも3つありまして、
1つ目が、人の関心に関心を示す。
2つ目が、今、愛なら何をするだろうか。
そして最後が、一人の力。
では、今日もその前に、一緒に楽しむお茶から。
はい、今日はいつもと違って、缶を開ける音と注ぐ音だったと思うんですけれども、
今日はですね、ノックノックというブランドが出している、クラフトティーソーダのリュウソウというものを飲みながらやっていきたいと思います。
このクラフトティーソーダリュウソウというのはですね、静岡県にリュウの爪と書いてリュウソウと呼ぶ土地があるそうなんですね。
これはリュウが爪を落としたっていう伝説が残る場所だそうで、そこはお茶の産地なんですが、そこのお茶を使いながら、
みかんとかレモン、あと青山椒を加えたティーソーダ、これを作っているのがこのノックノックさんというところになります。
今日実は水曜日のもう少しで5時になるタイミングでですね、ちょっと配信するまでに時間がないということで、少し急ぎめにパパッといただけるものを飲んでみています。
ただですね、このティーソーダすごい美味しくて、ちょっと値段は張るんですけれども、本当にお茶の味がちゃんとしながら、結構山椒を感じたりとか、
もちろん料理に合わせて飲めますし、じっくり味わいながらお酒の代わりのような感じで楽しめるティーソーダになっています。
今日はこのクラフトティーソーダを飲みながらこの後お話をしていきたいと思いますので、皆様もお気に入りの飲み物とともにこの後をお楽しみください。
さて、この人生とは長い時間をかけて自分を愛する旅である心の資本の経済学という本はですね、実に足かけ12年かけて執筆をされた本だそうです。
もともとは違う出版社とか編集者の方と構想をされていたりとか、もう少しの完成のところで思い直して全部書き直したりとか、かなり試行錯誤を重ねて執筆をされたということが書かれていたんですけれども、
そんなこともあってですね、先ほどお話しした沖縄のサンマリーナホテル、この物語は実にですね、遡ること20年以上前ですね、2004年の事例の話からこの本は始まっていきます。
当時野村証券からレイサムという会社に移ってホテル投資を始めたこの樋口さんという方が沖縄のサンマリーナホテルっていうホテルを約30億円ぐらいで取得をすると、本当であればそこの経営はホテル経営のプロに任せるということなんだと思うんですが、
ひょんなことから自分自身がその沖縄に乗り込んでいってですね、この250名のスタッフを抱えるホテルの経営者となるというところから始まっていきます。
当時39歳ぐらいだったと書かれてたと思いますが、着任した当初はもう攻めの経営トップダウンでどんどんどんどん改革していくということを始めたこの樋口さんだったんですが、なかなかその現場との関係性づくりとかうまくいかないという時に、
ふとですね、そのトップダウンで経営者が一番偉いということではなくて、それが正反対なんじゃないかと。現場のサポートを課長がして、課長のサポートを部長がして、そのみんなのサポートを社長がすると。
結局その社長というものは会社全体のサポーターであるべきなんだというようなことを思い出し、それを実行することからこのサンマリーナの再建というものが始まっていきます。
そして、そんな経営者の在り方として、まず初めに記載がされているのが一つ目の切り口、人の関心に関心を示すというテーマになっています。
少しだけ引用させていただくと、人に対して関心を示すことと、人の関心に関心を示すことは全く異なるものである。
人に対する関心とは自分の関心ごとに過ぎない。関心とは無関心の一つの形なのだ。
そしてもう一文。
人間は一人一人違う存在だ。相手に共感しようと心を傾けても、他人の気持ちを純粋な意味で理解することは難しい。
しかし、人は自分の話を心から聞いてくれる人、自分の関心に関心を示してくれる人と出会うと、自分の気持ちをわかってもらえたと感じるのだ。
こんなことが書かれています。
スタッフに対して関心を示すのではなくて、スタッフが何に関心を持っているかということに対して関心を示す。
そんなことを決めたこの樋口さんは、250名のスタッフの話を一人ずつ聞いていきます。
そこで語られるのは、例えば、お子さんを持ちながら働いているお母さんが子供のお迎えが夕方にあるために、
その会社を出発しなきゃいけない時間の30分、1時間くらい前からソワソワして仕事が手につかないというような関心事を持っていたスタッフに対して、
それであれば、30分早く来ても30分早く帰る。
そういうルーティンにしてしまえば、その気が気でなくなる最後の業務時間というものがなくなるんじゃなかろうかという提案をしたりとか、
あるいは、業務上地下で働いている施設担当の方が携帯の電波が入らないという中で、
子供の迎えをどうするかということを奥さんとやり取りするときに、
いちいち地上に出るのは気が引ける、同僚の人に対して気が引けるし、かといって携帯は地下だと電波が入らないしと、
そんな関心事を持つスタッフに対しては、地下に優先の電話を引いてみるのはどうだろうかというふうに、
一人一人そのスタッフの関心事に対して向き合っていく、そんなことを進めていったそうです。
もちろん250名全員に何かのアクションが起きたかというとわからないですけれども、
それよりも、よくあるこのワンオマンみたいな話の中で、どういう姿勢でその250人のスタッフの方の話を聞いたのかという部分が、
この樋口さんらしい、あるいは愛の経営の一つの姿なのかなというふうに思います。
そして二つ目の切り口が、今愛なら何をするだろうか。
これは樋口さんが着任した後に人事効果などを変更するのに合わせて、
企業理念を定めたという、その企業理念がまさにこの今愛なら何をするだろうかという一文の問いになっているということだそうです。
かつ、この理念には大切な注釈があって、あなたが愛する相手に自分自身も含めるようにというふうに書いてあります。
さらにですね、同時に定められた人事効果は一切その業績と関係がなく、二つの基準だけに基づいて実施がされたそうです。
一つがどれだけ人の役に立ったかという他人に対する愛の尺度。
もう一つがどれだけ人間的に成長したかという自分を愛するという尺度。
これらを通して250名の従業員たちとともに愛のある経営というものを進めていこうというふうにされたそうです。
これなかなか、今企業でお仕事をされているような方からすると少し、何て言うんでしょうね、
スタッフへの配慮
突拍子もない企業理念というか、愛という言葉をここに入れ込むということについていろんな印象が持たれるかなと思います。
ただ結果的に見て、このサンマリーナの事例でいうと、一人一人働く人たちがこの愛ということを自分なりに考えながら行動に移していくことで、
最終的には経済的にもしっかりと再生をするし、リピートの率であったりとか、あるいはお客様からの評判もどんどん上がっていったというようなことが、
語られています。そしてこの体験からですね、この愛というものをどう経済と結びつけていくかという論点であったり、
あるいは自分をどう愛すか、他人をどう愛すかといった愛を中心とした文章がこの後続いていきます。
少し後半の方になってしまうんですが、一文引用させていただくと、
愛に生きるということは、人間関係に学び、自分に向き合い、勇気を持って心を開き、
自分の感情に出会い、体験的な気づきを重ね、自分より大きなものに全て委ねるという意味を含んでいる。
この本の中において、愛というのはまさにそういうような幅広く自分が成長し、向き合い、関係性を持ち、
あるいは大きなものに委ねるということまでを含んだ言葉として使われている。
そんなような記述が後半の方に出てきます。
実はですね、このサンマリーナの事例が第1章に書かれていた次の第2章、
自分を愛する旅
愛の経済学というところも非常に面白いんですが、ちょっと今日はそこは飛ばしてですね、
最後の切り口、一人の力というのは第3章になります。
自分を愛する旅という章からご紹介したいと思います。
この一人の力がどういうことかというとですね、ある研究結果から出てきているんですが、
何かというと、一人の幸せが3時、1時、2時、3時ですね、3時の人間関係にまで伝播するということが研究でわかっているそうなんです。
例えば、僕が幸せであれば、直接の友人である1時のつながりの人たちは約15%幸せになりやすくなると。
さらに、僕が幸せであれば、私の友人の友人、2時のつながりですね、もう約10%幸せになりやすくなると。
さらに言うと、また僕が幸せであれば、僕の友人の友人の友人、3時のつながりでさえ、約6%幸せになる確率が上昇するという話があるんだそうです。
つまり、自分が幸せであるということが、一つ、人にちゃんと伝播をするんだということ。
もう一つが、友人の友人の友人、もしかしたら直接的には知り得もしない、あるいは会ったこともないような人たちに、その人たちの幸せにすら影響を及ぼし得るということを引用されています。
少し引用すると、つまり、自分だけが幸せになることも、誰か一人を幸せにすることも、はじめから不可能なことなのだ。
一人の人間が幸せに生きることは、社会的な価値があるのである。そして、社会で最も大きな力とは、一人の力である。
ここの部分をですね、あえて取り上げたいなと思ったのは、すごいこの最近よくあるリタとかリコみたいな議論に、少し新しい観点を提供してくれるんじゃないかなということを思ったからなんですよね。
自分のために、相手のためにということが、二項対立的にリコ、オア、リタということではなくて、自分が幸せになるということイコール、一時、二時、三時のつながりに対しても幸せにしている。
まあ100%ではなく部分的にではありますけれども、そういうことが成立すると。
なんかそれを思うとですね、自分が我慢をすればみたいなことを超越して、自分がしっかりと幸せに生きるということが他の人との関係にも生きてくるし、
誰か一人のことを幸せにするっていうことは、自分も含めたその周りの人の幸せにもつながっていくっていう、非常に新しい捉え方だなと自分自身は思いながら読んでいました。
よくその自分の幸せと他人の幸せみたいな話をするときに、例えばシャンパンタワーのような形で、一番上のグラスイコール自分の幸せがまず始めにいっぱいになってあふれてるからこそ周りの人に幸せを届けられるんだみたいな話ってあると思うんですが、
個人的にはまず自分がいっぱいになってからあふれるというよりも、自分が幸せになっているタイミングでもうすでに自分の周りにも幸せが増えていくっていう方がなんかスッと入ってくる、そんなような気がしながら読んでいました。
ちょっとこの一人の力っていう部分はですね、ピンポイントに抜き出しをしてしまっていて、それ以外にもこの資本主義みたいなことの話とか、許しですね、許すことについての話であったりとか、飴と鞭の話とかですね、面白いトピックたくさんあるので、
ぜひ経済学っていうことよりも、この愛を中心とした経済だったり生き方みたいなことに興味のある方にぜひ読んでいただきたいなと思っております。
今日は、ノックノックさんのクラフトティーソーダ流走をいただきながら、樋口幸太郎さんの人生とは長い時間をかけて自分を愛する旅である心の資本の経済学をご紹介しました。
また、ノートにて書き起こしと本のご紹介、そして収録後記を投稿しております。そちらもぜひ概要欄からご覧ください。
それではまた。