2026-03-18 19:05

"やり方"の奥にあるもの|西村佳哲『かかわり方のまなび方』#30

一冊の本をお茶とともに味わう読書Podcast「本茶本茶」。

今回は烏龍茶 香駿を淹れながら、西村佳哲『かかわり方のまなび方』を紹介します。

▼ 今回のテーマ

自分を安心させるための質問/存在は存在に呼応する/引き受け方

ワークショップやファシリテーションの実践者15人への訪問から見えてきた、人とかかわる時の「あり方」。コミュニケーションや対人関係に関心がある方におすすめのエピソードです。

▼ noteで読む


🍵 本日のお茶

櫻井焙茶研究所 烏龍茶 香駿(宮崎・高千穂)

https://online.sakurai-tea.jp/products/oolong-tea-koshun-miyazaki

📕 本日の本

『かかわり方のまなび方──ワークショップとファシリテーションの現場から』西村佳哲(著)

https://amzn.to/4btsOdQ

👤 話し手:

Fuyuto

「静けさのデザインとケア」をテーマに、コーチング・プログラム開発を行うStudio Stillness代表。

note → https://note.com/honcha_honcha

感想

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サマリー

本 podcast「本茶本茶」では、烏龍茶を味わいながら西村佳哲氏の著書『かかわり方のまなび方』を紹介。本書はワークショップやファシリテーションの実践者への聞き取りを通して、人と関わる際の「やり方」だけでなく「あり方」に焦点を当てている。自分を安心させるための質問、存在は存在に呼応すること、そして「引き受け方」という3つの切り口から、コミュニケーションや人間関係の本質に迫る。

オープニングとお茶の紹介
こんにちは。本茶本茶へようこそ。毎回一つのお茶を味わいながら、一冊の本をきっかけに、生き方の問いを一つ持ち帰る時間です。
静けさのデザインとケアを通して創造性の器を育む、スタジオスティルネスのFuyutoがお送りします。毎週水曜日19時に更新しています。
今日ご紹介するのは、西村佳哲さんの『かかわり方のまなび方』という一冊になります。
西村佳哲さんは、作る・書く・教えるの三本柱で活動されているプラニングディレクターというような肩書きの方で、
自分の仕事を作るという本だったり、自分を生かして生きるという本であったり、働き方の研究家として様々な著書を書かれている方になります。
この本は、副題がワークショップとファシリテーションの現場からというふうにあるように、ワークショップであったりファシリテーション、あるいは教育といった最前線で活動する15人の方に話を聞きながら対話の記録であったり、それを西村さんなりに解釈をして書かれた一冊になります。
もちろん入り口はワークショップとかファシリテーションということになっているのですが、本書を読むとコミュニケーションとか関係性、あるいは人としての在り方の話にまで発展して、様々な人に楽しんでいただけるものかなというふうに思っています。
この本と出会ったのは実は結構前ですね。この本自体、文庫で出たのが2014年ということで、もう十数年前で、その前におそらく単行本だったのかなと思うと、かなり長く愛されている本なんですけれども、
私自身もですね、4年前、5年前くらいですかね、仕事でワークショップやファシリテーションみたいなことを多くやるようになってきたタイミングで出会ったんですけれども、最終的にはビーング、在り方について学ぶ、そんなような深みのある本になっています。
ポイントは3つあって、自分を安心させるための質問、存在は存在に呼応する、そして引き受け方。その前にまずは今日も一緒に楽しむお茶から。
本日は桜井媒佐研究所さんの烏龍茶、香春という品種のものを入れてみました。この香春という品種はですね、漢字で言うと香りに駿河の駿の字ですね、と書くんですが、日本、確か静岡だったと思いますが、の品種になります。
ただ、この桜井媒佐研究所さんの香春の烏龍茶は、宮崎ですね、宮崎県高地方の開成茶園さんというところが作っているそうです。お茶を摘んで天日干しをしてから、高地方に伝わる伝統的な釜入り製法で比例をしているということになっています。
とてもですね、お茶の水色が綺麗な、なんて言うんでしょう、金色のような色をしていて、味もすごい、花の蜜とか、マスカットみたいな、ちょっと果物っぽい甘さって言うんでしょうか、すごい香りが甘い、そんなお茶になっています。
では、ここから本の紹介に戻ろうと思いますので、皆様もお気に入りの飲み物と一緒にお楽しみください。
「かかわり方のまなび方」の概要と出会い
この関わり方の学び方という本はですね、先ほど少しご紹介をしたように、ワークショップであったりファシリテーションの実践者の方たちへの訪問記録、対話の記録という風になっているんですが、ただその上手なワークショップのやり方とか、上手なファシリテーションのやり方をまとめたハウツー本ではないんですね。
どちらかというと、技、Doingということよりも、人と関わる時の自分の姿勢とか、あり方、Beingに焦点が当たっている本になっています。
切り口1:自分を安心させるための質問
切り口の一つ目は、自分を安心させるための質問というものになっています。
この本ですね、実は面白い始まり方をしていて、前書きの前に冒頭に一章ですね、章が入っているんですね。
目次をめくってみると、前書きの前にということで、西原幸子さんに自殺防止活動の話を聞く、人は応答する存在と生きているというものが、本当の第一章に入っています。
この西原幸子さんという方はですね、大阪であったり東京で、自殺防止センターというものを自ら設立をされて、ボランティアの方と交代で24時間、相談者の話に電話を通して耳を傾けている、そんなような方になります。
もちろんですね、自殺防止センターという名前にある通り、何かこう死を考えている、そんな追い込まれたような方からの電話に一本一本対応をしているという、そんな西原さんのストーリーから始まっていくんですね。
何か死につながるようなことを考えながら電話をしてくる人と会話をしている時に、西原さんがこんなようなことを述べています。
いろいろ質問したくなる。
でも、質問したいのは一体何かというと、
死って自分が落ち着きたいだけ。そんなことをこの人には関係ない。
そして、自分を安心させるための質問はしません。
この一言がですね、かなり僕の心に残っているんですよね。
もうどう考えても、そういう電話を受けた時って、今どうしていて、何を考えていて、ということをどんどんどんどん質問したくなる。
そんなことってあるんだろうなと、想像しきれない範囲で想像してみると、ただそれは全部自分が落ち着きたいだけなんだと。
そんなことこの人には関係ない。
他に僕たちが人の話を聞いている時、いろいろ質問して、本当は相手のために質問しているような気がしている中で、
どれだけ自分が安心するためにそういうことをしているのかということを思い知った一文になります。
この場所を読みながらですね、僕は過去、かつてこのホンチャホンチャでも取り上げた河合はやおさんと小川陽子さんの対談ですね。
その本にあった一節を思い出しながら読んでいました。
人間いうのは物事を了解できると安定するんです。了解不能のことというのは人間を不安にするんです。
そういう時、下手な人ほど自分が早く了解して安心したいんです。相手を置き去りにして了解するんです。
来た患者さんがいろいろ話したいこととか現状を話す時に、先生だけが勝手に自分のために納得して患者さんを置き去りにしてしまう。
そんなようなことが書かれたパートだったんですけれども、了解して安心したいというのはまさにこういうお医者さんの場面だけでなく、
いろんなところで起きているんじゃないかな、自分にもそういう部分があるんじゃないかということを考えながら思い出していました。
じゃあ、そうやって自分が安心するために質問はせずに、どういうふうに人に向け合っているかというと、
聞く。正直に伝える。そして待つ。そんなことを通じて心から相手を尊重し、受け入れる。
そんなように人に向け合っている西原さんのストーリーからこの本が始まってきます。
何か人に向け合う時に、例えば質問をしたくなる時、それは本当に相手に向け合った質問なのか、
自分が安心するために聞きたいのか、何かそんなことを思い出せるといいなというふうに思っています。
切り口2:存在は存在に呼応する
二つ目の切り口は、存在は存在に向うするというものになります。
これはですね、ファシリテーターは何をしているのかという一つ目の章の中にある関口玲子さんという、
仙台で絵画教室のような、ただ面白いのが料理も作ったり音楽もやるというBIというような施設を主催をされている方、
と、もう一人野村誠さんという音楽家の方、このお二人との対話を振り返りながら西村さんが書いた一節になります。
関口さんの、「私は私で自分の世界を広げる。」とか、野村さんの、「気が乗ったら思いっきり弾いたりもします。」といった言葉には眼畜があると思う。
あり方はあり方に、存在は存在に向うして姿を表すので。
これはBIという絵を描いたり料理を作ったり、子供たちが自由にやりたいことをやって、やりながら学んでいく、そんな場所を作っている関口さんが、
もちろん子供が子供で自分の世界を広げていくということを目的にしているんですが、
私は私で自分の世界を広げるというようなことを話されていたり、音楽家の野村さんが高齢者施設でしたかね、を訪問して、
とても長い期間をかけて曲作りをそこの高齢者の方たちと一緒にやっていくと。
そんな中で、それぞれの方が好きな楽器を持って自由気ままに鳴らしたり、盛り上がってきたら大きく弾いたりする中で、野村さん本人も気が乗ったら思いっきり弾いたりもすると。
そんな2つの言葉を引用しながら、もう一度繰り返すと、あり方はあり方に、存在は存在に向うして姿を表すということを書いています。
まさに、子どもたちに世界を広げてほしいときには、自分自身が世界を広げる。あるいは、自らを開いていってほしい場作りをするためには、まずは自らが開いていく。
ファシリテーターが何をしているかというときに、まさにドゥイングではなくてファシリテーターのビーング、存在そのものが場に決定的な影響を与えているというような話をされています。
これは何もファシリテーターとしての場だけではなくて、いろんなところに関係すると思うんですよね。
例えば、僕自身はコーチングということをクライアントに提供したりもするんですけれども、
結局その様々なテクニックであったり、いろんな指針であったり背景理論であったりというものがもちろんあるにはあるんですが、
最終的にはその人と人が向き合ったときに、あり方はあり方に交互する、存在は存在に交互するというのは避けられない現実であって、
どうそのテクニックを磨いていくかということ以上に、どう自己の器を育てていくかと。
なんて言うんでしょうね。耳の痛いというか、気の遠くなるというか、一方でそれがとても強力な真実なのかなということを思っていたりもします。
西村さん自身もですね、この文庫の跡書きのところにファシリテーターとかワークショップに携わる様々な方に話を聞いてきた結果、
つまりこの人たちは、今自分が感じていることにかなり忠実に働いているんだなということがよくわかった。
やり方の奥には、あり方があったわけです。そんな風にまとめています。
切り口3:引き受け方
最後の切り口は、引き受け方というものになります。
先ほどのパートで、あり方が大事だということはわかったと。
一方で、あり方というのは少しずつ自分の中でも育てていくもの。
まだ整ってない自分はどうすればいいのか。そういう状態ではファシリテーションとか、人と人との関わりの中に入っていけないんだろうかということに対して向いた問い。
一つここでヒントがあるんじゃないかなという風に思っています。
一文引用させていただくと、大事なのは立場やコミットメントを取れるかどうか。取るかどうかです。
引き受け方と言ってもいいと思う。自分にできるから引き受けるんじゃない。
結果は後からついてくるもので、まずは器としてその立場を取るかどうか。そこが大事と思います。
この言葉自体はまた他の方との対談から引っ張ってきたものなので、直接的にどれくらい関係しているかというのはわからないものの、
あり方ということが大切であるという先には、できるから引き受けるということではなくて、まずは器としてその立場を取る。
何かそこに対する自分なりのスタンスというか、コミットメントということの先にあり方も育ってくる。あるいはできるようになっていく。
そんなことを受け取った一文になっています。
「かかわり方のまなび方」の意義とまとめ
このファシリテーションとかワークショップとか、あるいはコーチングをどこまで語っていいのかわからないですけれども、非常に浮き沈みというか波のようなものを感じていて、
例えばワークショップみたいなものを始めたばっかりのときって、いかにうまくファシリテートするか、いかにそのテーブル、自分がついたテーブルだったり参加してくれた全体が楽しく盛り上がってその場を終えるかということにある意味近視眼的に向け合いたくなるんですよね。
他のテーブルと自分のテーブルを比べちゃったりしてということをしながら、一方でそれがだいぶ進んでくると、本当にそれでよかったんだっけと、その場が開かれた目的みたいなことを考えたときに、
実はその場が楽しいということだけがファシリテーターのやるべきことなんじゃなくて、ある意味難しかったりよくわからなかったりということをプロセス的にちゃんと通り抜けるということが必要なんじゃないかと。
そんなようなことを感じ始めて、もう少しその関わり方というものが変わっていったり、一方で関わり方を減らしていくというのが単純に何もしないことということではなくて、先ほどの在り方みたいな自分の器でそこにいるということが実は影響しているということに気づくと、
今度はそのファシリテーションの場だけではなくて、そもそもの自分の在り方みたいなことに矢印が向いてくる。
この関わり方の学び方という本は、そういう人と人の関わり合い、そこに携わるときに、様々な場面で辞書となるような、読むたびに違う場所が自分を助けてくれるような、そんな一冊になっています。
もうこれは文庫本になっていて、とてもお求めやすい価格、800円かな、プラス税で買える本なので、ぜひお読みいただければと思います。
ということで、今日は、桜井倍佐研究所さんのウーロン茶、香春というお茶をいただきながら、西村よしあきさんの書かれた、関わり方の学び方、ワークショップとファシリテーションの現場から、という一冊をご紹介しました。
また、ノートでもこの本とお茶についての記事を書いていますので、よろしければ概要欄からご覧ください。
また、Spotifyを通して聞いてくださっている方、Apple Podcastを通して聞いてくださっている方、ぜひフォローの方をどうぞよろしくお願いいたします。
では、また。
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