2025-07-10 13:32

#1502. 「21」をどのように表現するか? --- 複合数詞の問題

▼緊急告知! 2025年6月18日に本が出ました


📙唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.


- ぜひ Amazon よりご予約ください:https://amzn.to/4mlxdnQ

- 詳しくは研究社のHPをご覧ください:https://www.kenkyusha.co.jp/book/b10135166.html

- 7月13日(土) に朝日カルチャーセンター新宿教室にて著者3名が記念出版記念講座をハイブリッド開講します.詳しくは https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=8388868 をどうぞ.


▼パーソナリティ,堀田隆一(ほったりゅういち)の詳しいプロフィールはこちらの note 記事よりどうぞ.


- https://note.com/chariderryu/n/na772fcace491


▼heldio のビデオポッドキャスト版を Spotify で始めていますので,そちらのフォローもよろしくお願いします.


https://open.spotify.com/show/0xOyOIXBUrIZbnwSLeJsSb?si=zH5V2CjkS0ekqNz5ro7caw


▼helwa リスナー有志による月刊誌「Helvillian」の9号が公開されています


- 第9号(2025年6月28日):https://note.com/helwa/n/n79623d921a95


▼2025年7月7日に『英語史新聞』第12号がウェブ発行されています.


khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』第11号がウェブ公開されています.こちらよりアクセスしてください


- 第12号:https://drive.google.com/file/d/1t6-h15EzdHBWtlA77ol_QAdBACui19we/view?usp=sharing


第12号公開については,khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio (https://x.com/khelf_keio) を通じても案内しています.

リツイートなどを通じて「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)にご協力いただけますと幸いです.


▼2025年第2四半期のリスナー投票が7月10日までオープンしています


- 投票会場:https://app.sli.do/event/weRify7g2SvDa89mZh7k1A


▼2024年9月8日(日)に12時間連続生放送の「英語史ライヴ2024」を開催しました.英語史界隈では前代未聞のイベントとなりました.詳細は以下の配信回,あるいは khelf の特設ページを! イベント後は,数ヶ月間かけて各番組をアーカイヴで通常配信していきました.


- heldio 「#1119. 9月8日(日)「英語史ライヴ2024」を開催します」 https://voicy.jp/channel/1950/1296042

- khelf 特設ページ: https://sites.google.com/view/khelf-hotta/英語史ライヴ2024特設ページ


▼X(旧Twitter)上で「heldio コミュニティ」が開設しています.


Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」のリスナーさんどうしの交流と情報発信の場です.heldio やそこで配信された話題を「待ち合わせ場所」として,英語史やその他の話題について自由にコメント・質問・議論していただければ.heldio が広く知られ「英語史をお茶の間に」届けることができればよいなと.今のところ承認制ですが,お気軽に申請してください.

https://twitter.com/i/communities/1679727671385915392


▼プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) も毎週火木土の午後6時に配信しています


「英語史の輪」にこめる想い


1. レギュラー放送は,これまで通り,最大限に良質な内容を毎朝お届けしていきます.プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」のための課金の余裕がない方々(例えば中高生や英語史を真剣に学びたい苦学生など)は,無料のレギュラー放送のみを聴き続けていただければと思います.レギュラー放送では,皆さんに最良の放送をお届けし続けます.


2. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」で得た収益の一部は,レギュラー放送の質を保ち,毎日円滑にお届けするための原資とします.


3. また,収益の一部は,Voicy 以外でのhel活をさらに拡大・発展させるための原資とします.


4. ときに khelf(慶應英語史フォーラム)やプレミアムリスナーにも協力していただき,hel活の新機軸を打ち出していきたいと思っています.企画本部としての「英語史の輪」です.

5. ぜひとも「英語史の輪」のプレミアムリスナーになっていただきたい方


 ・ hel活を応援したい方(資金援助,広報支援,盛り上げ係りなど.研究者,学生,一般の社会人など職種や専門は問いません.)

 ・ 毎日もっともっと英語史に触れたい方,レギュラー放送では足りない方

 ・ 私(堀田隆一)の話をもっと聴いてみたい方

 ・ レギュラー放送のような一般向けの話題にとどまらず,もっと専門的な英語史の話題も聴いてみたいという方

 ・ レギュラー放送で言えない/配信できないような「低い」話題(対談のアフタートークや飲み会での雑談など)も聴きたいという方

 ・ パーソナリティおよびリスナーさんどうしで,もっと交流したい方


以上,よろしくお願いいたします.

サマリー

英語の複合数詞、特に21の表現方法についての歴史的背景が探求されています。小英語から中英語にかけて、1と20や20と1といった言い回しがどのように変化し、現代の自然な形である21に至ったのかを考察しています。

00:01
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語詩ブログの管理者、英語のなぜに答える初めての英語詩の著者、そして6月18日に研究者から刊行された英語語源ハンドブックの著者のホッタリウイチです。
英語の語源が身につくラジオheldio。英語詩をお茶の間におもっとうに英語の歴史の面白さを伝え、
裾野を広げるべく、毎朝6時に配信しています。 本日は7月10日木曜日です。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
毎朝コールしております英語語源ハンドブック、研究者から出版されておりますが、こちら発売から3週間ほどが経ちました。
皆さんにご好評をいただきまして、非常に広く手に取っていただいているという知らせがですね、報道から入ってきております。
そして私もですね直接、昨日おとといと連続でしたが、フォトチャレンジ出かけてまいりました。
都内の書店をめぐりまして、英語語源ハンドブックがちゃんと在庫を入っているかどうかというのを確認しつつ、店員さんの許可をいただきながらですね、撮影してそれを sns 上で拡散するというフォトチャレンジ企画
まだ続いております。まだまだ続けていこうと思っておりますが、売れ行きをですね、自身で確認できるということで、なかなかこれはですね、趣味の一つになりつつあるんですけれども、そんなことでですね、
10版も決定しておりましてね、最初の版につきましてはだいぶ在庫がなくなってきているということで、もう一人でも多くの方に手に取っていただきまして、英語誌をお茶の間に広げていきたいと思っておりますので、引き続き皆さんのご協力よろしくお願い致します。
21の表現方法の導入
さあ今日の話題なんですけれども、21をどのように表現するか、複合数詞の問題ということでお届けします。
このあたり、英語の歴史をたどると、なかなか面白く複雑なんですね。 2桁の数字
現代英語、標準英語では21と表現するわけですね。非常に自然なように思われますが、昔からこのような表現をしていたわけではないということなんですね。このあたりについて考えてみたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
複合数詞の問題というのはですね、なかなかこれ面白い話題なんですね。 数字をどう表現するかというのは言語ごと、文化ごとに本当に異なっていますよね。
これまでもヘルティをてですね、いろいろな形で数字を取り上げてきました。 今回はですね、とりわけ2桁の数字、何十何というような数ですね。
今回はそれを典型例としてですね、21を話題にしたいんですけれども、現代標準英語では21ということで、20の後に1を加えるという表現法ですので、日本語の21とまったく同じです。
ということでですね、違和感を感じることはありませんし、非常に自然だというふうに思われると思うんですね。
ですが、これは英語の歴史を振り返ってみるとですね、必ずしもこういう形ではなかった、むしろ歴史の途中から現れた表現なんだということがわかるんですね。
ざっとですね、その歴史を簡単に振り返ってみますと、まずですね、小英語の時代には、
21のような言い方は、この語順での言い方は存在せずですね。
基本的には、1&20という言い方をしていたんですね。
1と20というふうに、1の位をまず先に言って、そして&が続いて、10の位ですね。何十に相当するものが来る。
これが、どうもですね、伝統的な、ゲルマン語的な言い方のようで、現在でも、ドイツ語では、1&20のように、1&20と表現する言い方があるわけですけれども、
ドイツ語には、これが完全な形で、今も残っているんですが、英語でもですね、小英語の時までは、これが原則だったんですね。
1&20のような言い方です。
それがですね、中英語以降になりますと、バリエーションが表れてくるんですけれども、まずですね、20と1みたいな、つまり、20&1のような言い方が出てきます。
そして、あたかも、この逆転した言い方ですね。小英語から見ると逆転した言い方。
我々から見るとですね、まあ、あの、普通の順番ではないかと思われる言い方、20&1から、&が脱落した、かのような発達を示す、21というね、&を使わない、現代の言い方、これが、現れてきた、っていうことなんですね。
このあたりが、大体、中英語から近代語にかけてなんですが、もともとの古い、1&20という言い方も、ずっと並行して残ってはいたんですね。
近代に至るまで、やや古風な言い方に、聞こえたかとは思うんですが、やはりですね、比較的最近まで、1&20という言い方は残っていたし、
現代でもですね、至であるとか、やはり古風な表現方法としては、まだ残っている、ということなんです。
ただ、通常使いは、もうしませんよね。1&20。
また、20&1という、ひっくり返ったような形ですね。
つまり、10の位を先に言って、&があって、1の位という、この&を挿入したバージョンというのは、
やはりですね、全体的には、マイナーで、昔も今もですね、それほど多く使われてきたわけではない、ということなんですね。
最終的には、&を持ちいない形。
10の位が先に来て、1の位が続くという、21の言い方が一般的になり、今ではそれが、ごく自然な言い方として、
発達してきたわけなんですけれども、なぜこの変化が起こったのか、ということがですね、問題になってくるわけですね。
複合数詞の研究と考察
そして、あの面白いのはですね、変化の途中、変化の過程というのはですね、古い形と新しい形というのが、共存しているケースがありますよね。
ですので、近代英語あたりだとですね、同じ1つの文の中で、2回複合名詞が現れるとき、つまり、2けたの数が、2度現れるときですね、
前半は、2&20みたいな言い方をしていながら、後に出てくるときには、33とかですね、非常に今風の言い方が使われていたり、
混在しているっていうケースがあるんですね。
このあたり、非常に面白いですよね。
頭の中どうなっているんだ、というふうに、考えたくもなるんですが、このような例も、確認されているんですね。
なぜ、この変化が起こったのか、そして最終的に、21のような言い方に、落ち着いているのか。
これがですね、英語史上の、なかなか大きな問題なんです。
大陸の言語からの影響であるとかですね、&などを差し挟まない方が、経済的、合理的である、というような考え方もあるでしょう。
いろいろと考え方はあると思うんですが、研究もされていたりするんですね。
実際のところですね、私の身近なところで、ケルフの大学院生、ケルフの副会長の木原さんがですね、この話題を、終始論文の時から扱っているんですね。
そして、現在も研究を進めているということで、木原さんが注目しているのは、主に中英語記に、どのようなバリエーションがあったのか。
特に、詩の中で、複語名詞、複語数詞ですね、失礼、二桁の数が現れる場合にですね、韻というのは、リズム感があります。
それから、中英語の詩の場合、脚韻、ライム、脚韻を踏む、という都合があったりするので、ある言い方、ある語順の方が都合が良い、というケースがあるんですね。
また、別の機会には、違った語順の方が都合が良い、などがありますので、そのようなバリエーションの分布というのを、詩の中で調べたりしている、ということですね。
中英語は、ちょうど色々なものが変わっている時代ということで、この複語数詞に関しても、古い形、新しい形が混在しているので、やはり一見すると、カオスのように見えるんですが、
そのカオスの中にも、ある種の原理が働いているのではないか、と。
ただ、それでも、なかなかうまくいかないことがあってですね、簡単には説明できないような分布が確認される、ということなんですよね。
この辺り、身近に専門家がいるということで、一度じっくりとですね、対談などして、伺ってみたいな、と言いますかね。
皆さんに、この問題の面白さを知っていただきたいな、と思っておりますので、いずれ、木原さんにお話ししてもらいたいな、と思ったりしています。
今回はですね、ざっと二桁の複語数詞の歴史について、概観しました。
なぜ変わったのか、変わる必要があったのか、色々な角度から考えることのできる、
これは統合的な問題でもあり、複語数詞という一語とみなすとですね、これはもう形態論の話でもあります。
色々な問題の交差点となっておりますので、皆さんも一度考えてみていただければと思います。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきまして、ありがとうございました。
複語数詞、なかなか面白いですね。ちょっとした語順の問題といえば、それだけのような気もするんですが、なぜ変わる必要があったのか、
どの時代にどんな文法を示したいのか、このあたりも含めますと、なかなか話題がつきないというような、そんな問題ですね。
さあ、本日7月10日はリスナー投票の最終日となっていますね。
数日間にわたりまして、ご案内してまいりましたが、2025年度第2四半期、4月1日から6月30日までのヘルディオ配信会、全91回の中から
リスナーの皆さんが選ぶベスト回、選びたいと思います。ベスト10とか15ぐらいまで選びたいと思っているんですけれども、
1人10票まで入れることができます。こちらのチャプターに投票会場へのリンクを貼っておきますので、ぜひですね、今日の深夜まで会場オープンしておりますので、そちらに訪れていただきまして、
全91の配信会がタイトルとともにずらっとリストアップされております。その中から最大10個までですね、選んで10票まで入れていただきまして、投票ボタンを押していただければと思います。
この結果はですね、近日中に集計しまして、ヘルディオでお届けしたいと思っておりますので、少しでも多くの方の投票をいただけますと、
結果がですね、信頼できるものになってくると思いますので、ぜひご協力よろしくお願い致します。
それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように。 英語子研究者のほったりうちがお届けしました。
また明日!
13:32

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