2025-05-05 13:11

#1436. 言語地理学とは? --- ゆる言語学ラジオの水野太貴さんの『中央公論』連載「ことばの変化をつかまえる」より

▼パーソナリティ,堀田隆一(ほったりゅういち)の詳しいプロフィールはこちらの note 記事よりどうぞ.


- https://note.com/chariderryu/n/na772fcace491


▼heldio のビデオポッドキャスト版を Spotify で始めていますので,そちらのフォローもよろしくお願いします.


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▼helwa リスナー有志による月刊誌「Helvillian」が2024年10月28日に創刊しています.第4号まで公開されています.


- 創刊号(2024年10月28日):https://note.com/helwa/n/ne2b999d5af72

- 第2号(2024年11月28日):https://note.com/helwa/n/n94e9d9a74706

- 第3号(2024年12月28日):https://note.com/helwa/n/na7394ab1dc4c

- 第4号(2025年1月28日):https://note.com/helwa/n/nb6229eebe391


▼2024年12月30日に『英語史新聞』第11号がウェブ発行されています.


khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』第11号がウェブ公開されています.こちらよりアクセスしてください


- 第11号:https://keio.box.com/s/kk0jss15l22pz1rpuysa0ys4nkpc3lwr


第11号公開については,khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio (https://x.com/khelf_keio) を通じても案内しています.

リツイートなどを通じて「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)にご協力いただけますと幸いです.


▼2024年第3四半期のリスナー投票による heldio 人気配信回


- 第1位 「#1219. 「はじめての古英語」第10弾 with 小河舜さん&まさにゃん --- 「英語史ライヴ2024」より」 https://voicy.jp/channel/1950/6049608

- 第2位 「#1212. 『英語語源辞典』の「語源学解説」精読 --- 「英語史ライヴ2024」より」 https://voicy.jp/channel/1950/6052858

- 第3位 「#1139. イディオムとイディオム化 --- 秋元実治先生との対談 with 小河舜さん」 https://voicy.jp/channel/1950/1298775

- 詳しくは hellog 記事「#5645. リスナー投票による heldio 2024年第3四半期のランキング」をどうぞ http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2024-10-10-1.html をどうぞ


▼2024年9月8日(日)に12時間連続生放送の「英語史ライヴ2024」を開催しました.英語史界隈では前代未聞のイベントとなりました.詳細は以下の配信回,あるいは khelf の特設ページを! イベント後は,数ヶ月間かけて各番組をアーカイヴで通常配信していきました.


- heldio 「#1119. 9月8日(日)「英語史ライヴ2024」を開催します」 https://voicy.jp/channel/1950/1296042

- khelf 特設ページ: https://sites.google.com/view/khelf-hotta/英語史ライヴ2024特設ページ


▼2024年8月26日より特別企画「helwa コンテンツ for 「英語史ライヴ2024」」が始まっています.ぜひ特設ホームページに訪れて,ライヴ当日まで毎日1つか2つずつ公開される helwa メンバーによる英語史コンテンツをお楽しみください.


- http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/etc/helwa_content_for_hellive2024/


▼X(旧Twitter)上で「heldio コミュニティ」が開設しています.


Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」のリスナーさんどうしの交流と情報発信の場です.heldio やそこで配信された話題を「待ち合わせ場所」として,英語史やその他の話題について自由にコメント・質問・議論していただければ.heldio が広く知られ「英語史をお茶の間に」届けることができればよいなと.今のところ承認制ですが,お気軽に申請してください.

https://twitter.com/i/communities/1679727671385915392


▼「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズ(有料)を展開しています.


英語史の古典的名著 Baugh, Albert C. and Thomas Cable. *A History of the English Language*. 6th ed. London: Routledge, 2013. のオンライン講座です.毎回1セクションンずつゆっくりと進んでいき,内容について縦横無尽にコメントしていきます.シリーズについて自由にご意見,ご感想,ご質問をください.皆さんで議論しながら読んでいきましょう.1回200円です.

https://voicy.jp/channel/1950/570931


▼プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) も毎週火木土の午後6時に配信しています


「英語史の輪」にこめる想い


1. レギュラー放送は,これまで通り,最大限に良質な内容を毎朝お届けしていきます.プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」のための課金の余裕がない方々(例えば中高生や英語史を真剣に学びたい苦学生など)は,無料のレギュラー放送のみを聴き続けていただければと思います.レギュラー放送では,皆さんに最良の放送をお届けし続けます.


2. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」で得た収益の一部は,レギュラー放送の質を保ち,毎日円滑にお届けするための原資とします.


3. また,収益の一部は,Voicy 以外でのhel活をさらに拡大・発展させるための原資とします.


4. ときに khelf(慶應英語史フォーラム)やプレミアムリスナーにも協力していただき,hel活の新機軸を打ち出していきたいと思っています.企画本部としての「英語史の輪」です.

5. ぜひとも「英語史の輪」のプレミアムリスナーになっていただきたい方


 ・ hel活を応援したい方(資金援助,広報支援,盛り上げ係りなど.研究者,学生,一般の社会人など職種や専門は問いません.)

 ・ 毎日もっともっと英語史に触れたい方,レギュラー放送では足りない方

 ・ 私(堀田隆一)の話をもっと聴いてみたい方

 ・ レギュラー放送のような一般向けの話題にとどまらず,もっと専門的な英語史の話題も聴いてみたいという方

 ・ レギュラー放送で言えない/配信できないような「低い」話題(対談のアフタートークや飲み会での雑談など)も聴きたいという方

 ・ パーソナリティおよびリスナーさんどうしで,もっと交流したい方


以上,よろしくお願いいたします.

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おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語詩ブログの管理者、 そして英語のなぜに答える初めての英語詩の著者の、ほったりゅうちです。
英語の語源が身につくラジオheldio。英語詩をお茶のワニをモットーに、英語の歴史の面白さを伝え、 裾野を広げるべく、毎朝6時に配信しています。
本日は5月5日月曜日です。 皆さんいかがお過ごしでしょうか。
本日は 言語地理学とは
ゆる言語学ラジオの水野太貴さんの中央公論連載 言葉の変化をつかまえるより、と題してお届けいたします。
ゆる言語学ラジオの水野太貴さんが中央公論にて今年度連載を書かれております。
連載全体のタイトルは言葉の変化をつかまえるということで、言語変化に注目しております。
私としてはですね、この水野さんの連載にも注目しなければということでですね、
最初の4月号は先月お伝えしましたけれども、なんとですね、井上一平さんにインタビューする形で書かれているんですね。
最下こそが言動力というタイトルだったんですけれども、今回5月号ですね、もうすでに出てからですね、少し経っているので遅ればせながらのご紹介ということになるんですが、
今回5月号はですね、方言はこう生まれるという方言のメイキングについてのお話なんですね。
インタビューのお相手は言語地理学者大西拓一郎さんに聞くというふうに副題があるとおりなんですね。
今回も本当に面白い8ページほどの連載だったんですけれども、
副題にある言語地理学、これですね、どういう分野かご存知ですか?
文字通り言語の地理学ということなんですが、それほど馴染みのある分野名ではないと思うんですよね。
今日はこの分野について考えたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
中央口論の5月号、言葉の変化を捕まえると題する連載でですね、今回は方言はこう生まれるというお題なんですね。
この中で、なぜ言葉の地域差が生まれるのかという、なぜ方言が生まれるのかという本質的な問題ですね。
ここから書き起こしながらですね、いろいろと興味深い、そして魅力的な用語がですね、込み出しに並んでるんですね。
03:04
例えば類音牽引。これわかりますか?
似ている音によって牽引されるということで、私この用語ですね、初めて聞いたんですよね。これは面白いですね。
国語学の日本語学の用語だと思うんですが、もちろんですね、英語詞にも似たような現象はあるんですね。
ただこのような用語でですね、呼ばれることがない。英訳使用としてもですね、ズバッという用語はないんですよね。
その意味ではですね、大変勉強になったということもあります。
それからですね、もう一つの込み出しで動音衝突。これがありますね。
これについてはですね、このヘルディオでもお話ししたことがありますし、いわゆる方言の話題ではよく出る話題なんですよね。
古くからある用語現象ということなんですけれども、そして語彙の変化、文法の変化について語られ、
ら抜き言葉の合理性というような話題があり、最終的にはですね、世界で最高水準日本語の言語地図というセクションで終わっているんですね。
美味しそうな話題、盛りだくさんという感じですよね。
しかもですね、これ水野さんのリップサービスかと思うんですが、私の英語のなぜに答える初めての英語誌、こちらに言及していただいております。
gowentの問題に触れている箇所でですね、参照していただいたのかなと思うんですが、ありがとうございます。
さて、このように魅力的な方言の話題なんですが、方言の話であれば、方言学という分野があるんですね。
これは非常にストレートですよね。方言についての研究ということで方言学。
こちらの分野なり名前なりがあるにもかかわらず、今回の副題では言語地理学。
言語地理学者大西拓一郎さんに聞くという、このタイトルなんですよね。
そうすると言語地理学って何ぞやということになります。
これですね、いろいろ調べますと、それぞれ言語学の中でですね、どういう位置づけとみなしているのかというのは、論者によっても、それから場合によってはですね、これ時代によってもであるとか、あるいは対象とする言語ですね、によっても立ち位置が違うのかもしれません。
したがって、日本語学の場合と、例えば英語学の場合で、少しですね、位置づけが異なるっていうこともあり得るんではないかと思うんですが、ここではですね、私の理解でですね、方言学と言語地理学どう違うのかということについてですね、お話ししたいと思います。
06:02
すごく端的に言いますと、私の理解では、方言学というのは静的なもの、静かってことですね。静的なもの、動きがないっていうことです。それに対して言語地理学にはですね、どちらかというと動きが感じられる、動的である、つまり言語変化であるとか、人の動きといったものが感じられるんですね。
方言学の方が伝統的で、そして動きを伴う、より高度なと言いますかね、分野ということで言語地理学というのがあるんではないか。高度というのはちょっと語弊があるかもしれませんね。異なる観点から方言を見ているといった方が正確だろうと思います。
例えばですね、方言地図、言語地図というのがありますね。これは典型的に平面上に、つまり紙の上に地図を描いて、あるものを指す呼び方ですね。故障が地域によってどう違うのかというようなことをプロットしていくっていうのが典型的な形だと思うんですけれども、いわゆる言語地図、方言地図みたいなものですね。
これ紙は一旦地図としてですね、書き落とすと動きませんので、これは性的な方言学の典型的な成果物ということになると思います。一方で言語地理学というのは動きがあります。
例えば、30年前にはこういう方言地図だったものが、今、30年後の今、このような方言地図に変わっているというふうに2つをですね、比べた場合、あるいは2つ以上の時間点をとってもいいんですが、その場合ですね、パラパラ漫画みたいにアニメーションになりますよね。これまさに動きがある。
通常的に方言を見ているという点で、言語地理学の領域に近づくんではないかと思うんですね。他にはですね、人が移動する、あるいは移住するという時に、元の地点の方言をその人、その人たちがですね、別の方言地域へその言語項目を持ち込むということになりますね。
これもまた動きということが関係してきますので、言語地理学なのかなということです。もちろんこのような単純な性的動的という対立のみならずですね、言語地理学っていうのは広いですね。
言語かける地理と言いますと、典型的には確かに方言という話題が浮かびますが、それだけではありません。言語かける地理、皆さんどういうことを他に思い浮かべますか。言語学っていうのが一方にありますね。
09:03
もう一つ地理学というのがあります。一般地理学ですね。言語とは関係必ずしもしない一般の地理学。これにはですね、気候であるとか、地形のようなものが関わる自然地理学もあれば、政治経済であるとか、人の動き、都市産業などが関わる人文地理学っていうのがありますよね。
このように地理学の内部も様々あるわけですよね。一方で言語学の内部にもいろいろ界分野があるということで、これを掛け合わせた時に単純な方言の話題だけに留まるわけではないんですよね。
例えば産業交通などが関わる場合には、もちろんですね、この交通路線に乗ってですね、言葉も動くということがあり得ますね。やはり動的になるっていうことが多いんではないかという気がするんですね。
このように言語地理学というのは、それがカバーする範囲っていうのが非常に広いと考えていいですね。方言を中心とすることが多いけれども、それにとどまらない、かなり広い分野をカバーするというふうに考えてみてはどうかなというふうに思うんですね。
日本語学研究辞典によりますと、言語地理学という項目が立っていて、解説がそれなりに詳しくあるんですよね。その中で一番重要なポイントだと思うところを引きますと、言葉の歴史的変遷が地理的分布に投影しているという、これですね。
言葉の歴史的変遷、つまり言葉の変化が地理上にどのように投影しているのかということですので、まさに水野さんの連載タイトル、全体のタイトル、言葉の変化を捕まえるということと、方言あるいは言語地理、これはですね、非常に関係の深い話題だということになるんですよね。
改めて述べます。言語地理学の要定はですね、言葉の歴史的変遷が地理的分布に投影している、ここに立脚して方言を見るということなのだろうと考えています。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。いかがでしたでしょうか。
言語地理学と方言学の違いについて考えてみました。ややこしいのはですね、方言地理学というものもあったりすることなんですね。
この辺りはですね、本当に一人一人の研究者によってですね、微妙な定義と言いますか、守備範囲というのはですね、少しずつずれているものなのかもしれません。
12:12
方言とは何か、言語とは何か、この辺りの問題になりますので、これは抜き差しならない問題ですよね。
いずれにせよ、言葉の変化と地理学、この掛け算についていろいろと考えをめぐらせてみるのも面白いかと思います。
6月号もこの連載楽しみにしています。次はどのような方と対談されて、どのような話題になるのでしょうか。今から待ち遠しい限りです。
このチャンネル、英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、あなたからのご意見ご感想をお待ちしています。
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それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように、英語子研究者のホッタリウチがお届けしました。また明日!
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