2025-06-27 14:48

#1489. 英語史研究者はどのようにして研究対象の時代を選ぶのか?

▼緊急告知! 2025年6月18日に本が出ます


📙唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.


- ぜひ Amazon よりご予約ください:https://amzn.to/4mlxdnQ

- 詳しくは研究社のHPをご覧ください:https://www.kenkyusha.co.jp/book/b10135166.html


▼パーソナリティ,堀田隆一(ほったりゅういち)の詳しいプロフィールはこちらの note 記事よりどうぞ.


- https://note.com/chariderryu/n/na772fcace491


▼heldio のビデオポッドキャスト版を Spotify で始めていますので,そちらのフォローもよろしくお願いします.


https://open.spotify.com/show/0xOyOIXBUrIZbnwSLeJsSb?si=zH5V2CjkS0ekqNz5ro7caw


▼helwa リスナー有志による月刊誌「Helvillian」が2024年10月28日に創刊しています.第4号まで公開されています.


- 創刊号(2024年10月28日):https://note.com/helwa/n/ne2b999d5af72

- 第2号(2024年11月28日):https://note.com/helwa/n/n94e9d9a74706

- 第3号(2024年12月28日):https://note.com/helwa/n/na7394ab1dc4c

- 第4号(2025年1月28日):https://note.com/helwa/n/nb6229eebe391


▼2024年12月30日に『英語史新聞』第11号がウェブ発行されています.


khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』第11号がウェブ公開されています.こちらよりアクセスしてください


- 第11号:https://keio.box.com/s/kk0jss15l22pz1rpuysa0ys4nkpc3lwr


第11号公開については,khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio (https://x.com/khelf_keio) を通じても案内しています.

リツイートなどを通じて「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)にご協力いただけますと幸いです.


▼2024年第3四半期のリスナー投票による heldio 人気配信回


- 第1位 「#1219. 「はじめての古英語」第10弾 with 小河舜さん&まさにゃん --- 「英語史ライヴ2024」より」 https://voicy.jp/channel/1950/6049608

- 第2位 「#1212. 『英語語源辞典』の「語源学解説」精読 --- 「英語史ライヴ2024」より」 https://voicy.jp/channel/1950/6052858

- 第3位 「#1139. イディオムとイディオム化 --- 秋元実治先生との対談 with 小河舜さん」 https://voicy.jp/channel/1950/1298775

- 詳しくは hellog 記事「#5645. リスナー投票による heldio 2024年第3四半期のランキング」をどうぞ http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2024-10-10-1.html をどうぞ


▼2024年9月8日(日)に12時間連続生放送の「英語史ライヴ2024」を開催しました.英語史界隈では前代未聞のイベントとなりました.詳細は以下の配信回,あるいは khelf の特設ページを! イベント後は,数ヶ月間かけて各番組をアーカイヴで通常配信していきました.


- heldio 「#1119. 9月8日(日)「英語史ライヴ2024」を開催します」 https://voicy.jp/channel/1950/1296042

- khelf 特設ページ: https://sites.google.com/view/khelf-hotta/英語史ライヴ2024特設ページ


▼2024年8月26日より特別企画「helwa コンテンツ for 「英語史ライヴ2024」」が始まっています.ぜひ特設ホームページに訪れて,ライヴ当日まで毎日1つか2つずつ公開される helwa メンバーによる英語史コンテンツをお楽しみください.


- http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/etc/helwa_content_for_hellive2024/


▼X(旧Twitter)上で「heldio コミュニティ」が開設しています.


Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」のリスナーさんどうしの交流と情報発信の場です.heldio やそこで配信された話題を「待ち合わせ場所」として,英語史やその他の話題について自由にコメント・質問・議論していただければ.heldio が広く知られ「英語史をお茶の間に」届けることができればよいなと.今のところ承認制ですが,お気軽に申請してください.

https://twitter.com/i/communities/1679727671385915392


▼「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズ(有料)を展開しています.


英語史の古典的名著 Baugh, Albert C. and Thomas Cable. *A History of the English Language*. 6th ed. London: Routledge, 2013. のオンライン講座です.毎回1セクションンずつゆっくりと進んでいき,内容について縦横無尽にコメントしていきます.シリーズについて自由にご意見,ご感想,ご質問をください.皆さんで議論しながら読んでいきましょう.1回200円です.

https://voicy.jp/channel/1950/570931


▼プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) も毎週火木土の午後6時に配信しています


「英語史の輪」にこめる想い


1. レギュラー放送は,これまで通り,最大限に良質な内容を毎朝お届けしていきます.プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」のための課金の余裕がない方々(例えば中高生や英語史を真剣に学びたい苦学生など)は,無料のレギュラー放送のみを聴き続けていただければと思います.レギュラー放送では,皆さんに最良の放送をお届けし続けます.


2. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」で得た収益の一部は,レギュラー放送の質を保ち,毎日円滑にお届けするための原資とします.


3. また,収益の一部は,Voicy 以外でのhel活をさらに拡大・発展させるための原資とします.


4. ときに khelf(慶應英語史フォーラム)やプレミアムリスナーにも協力していただき,hel活の新機軸を打ち出していきたいと思っています.企画本部としての「英語史の輪」です.

5. ぜひとも「英語史の輪」のプレミアムリスナーになっていただきたい方


 ・ hel活を応援したい方(資金援助,広報支援,盛り上げ係りなど.研究者,学生,一般の社会人など職種や専門は問いません.)

 ・ 毎日もっともっと英語史に触れたい方,レギュラー放送では足りない方

 ・ 私(堀田隆一)の話をもっと聴いてみたい方

 ・ レギュラー放送のような一般向けの話題にとどまらず,もっと専門的な英語史の話題も聴いてみたいという方

 ・ レギュラー放送で言えない/配信できないような「低い」話題(対談のアフタートークや飲み会での雑談など)も聴きたいという方

 ・ パーソナリティおよびリスナーさんどうしで,もっと交流したい方


以上,よろしくお願いいたします.

サマリー

英語史の研究者が研究対象とする時代を選ぶ際の傾向を探り、古英語、中英語、近代英語の各時代における研究者の関心やアプローチの違いについて詳しく解説しています。どのようにして研究対象の時代を選ぶのか、その背景や方法について説明されています。また、社会言語学的な視点やコーパスを利用した量的研究が歴史的研究に与える影響についても議論されています。

00:00
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、英語のなぜに答える初めての英語史の著者、そして6月18日に研究者から刊行された英語語源ハンドブックの著者のホッタリウチです。
英語の語源が身につくラジオheldio。英語史をお茶の間にをモットーに英語の歴史の面白さを伝え、裾野を広げるべく毎朝6時に配信しています。
本日は6月27日金曜日です。みなさんいかがお過ごしでしょうか。
連日配信劇を続けております。先週の水曜日に発売となった英語語源ハンドブック、すでにこのheldioお聞きの皆さんの中の多くがですね、手に入れている頃かなというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
方法からですね、この英語語源ハンドブックは読める。英語語源自体はなかなか読めないんですね。通読というのはかなりきついんではないかと思いますね。
近辺には英語語源自体を通読しようとしている方が少なくとも2人はいらっしゃるわけなんですけれども、なかなかきついですよね。
ですが、英語語源ハンドブックは読み物ですので十分に通読が可能です。
SNSなどでは通読したいとかですね、通読会というものがあったら面白いなぁと。勉強会のことですね。確かに面白いなぁと私も思っているところなんですけれども、
手に入れられた方も盛り上げにご協力いただきましてありがとうございます。
今後ですね、このヘルディオでも英語語源ハンドブックを参照するようなコンテンツをお届けしていきたいと思います。
今日はですね、ちょっと雑談っぽいところはありますね。
研究者の時代選び
どういう話題かと言いますと、英語史研究者はどのようにして研究対象の時代を選ぶのか。
英語史にもですね、古英語、中英語、近代英語、現代英語といくつかの時代区分があるわけなんですけれども、
だいたいの英語史研究者はどこかの時代にとりわけ注目するわけですね。
これは言語史に限らず、〇〇史という場合には多く注目する時代があるわけですよね。
もちろんその前後の時代関係ありますし、さらに古代から現代まで縦にですね、流れを追っていくという関心ももちろんあるわけなんですけれども、
とりわけですね、得意な時代、注目している時代っていうのはだいたいあるものなんですね。
では、英語史という分野の研究者はどうやってその注目している時代を選んだのか。
このあたりですね、ある程度傾向があるのかなという感じが私は業界人としてですね、感じているわけですよね。
そんなことをですね、お話ししたいと思います。
これはまあ雑貫と言いますかね、試験に近いものだと思うんですけれども、
こんな話もたまにはいいかなということでお届けしたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
英語史研究者はどのようにして研究対象の時代を選ぶのかという話題ですね。
これなかなか面白いかなと思うんですね。
時代占いではないですけれども、その研究者の性格と言いますかね、どこに関心があるかということがですね、
ある程度推定できる、推測できるというようなことはあるかなというふうに思っていますね。
あくまで傾向にすぎませんが。
中英語期の特徴
ちなみに私自身はですね、中英語記が専門なんですね。
もちろんその前の時代の古英語も読みますし、その後の近代英語、現代英語まで関心の射程は広げているんですけれども、
やはり得意とする時代というのがありますね。
付き合ってきた時間が長い、そういう時代という言い方でもいいと思うんですが、
私の場合、それが中英語記なんですね。
1100年から1500年ぐらいっていうイメージです。
とりわけですね、前半の初期中英語記という、ある意味英語史の中では一番光が当たらないかなというような、
2世紀に関心があります。
そのあたりに起こった言語変化に関心があるんですね。
そうすると言語変化ですから、
beforeとafterも比べなければいけないということで、結局ですね、
古英語の後期から初期中英語記、そして後期中英語記、
なんならですね、少し進んで近代英語記までが関心の範囲ということですが、
どこが中心かといったら、初期中英語記というふうになりますね。
さあ、このあたりに関心がある私のような人はですね、何に関心があるのかというと、
今も述べました通り、言語変化なんですね。
英語史といってもですね、いろいろな関心の持ち方あると思うんですけれども、
特に私は縦の流れ、言語の変化に関心があるというところで、
そうするとですね、一番ダイナミックに変化が起こったというふうに、
私が少なくとも考えている時代というのが、古英語の終わりから中英語の始めの時期にかけてなんですね。
逆に言いますと、この時期大きく言語変化が起こったからこそ、
そこに、その真ん中に線を引いて、それより前は古英語、その後は中英語というふうに名付けていると。
そういった経緯があるんですね。
なので、その境目、近辺あたりが一番面白いなと思っていまして、
そうするとですね、まあbeforeとafterあるわけなんですけれども、
とりわけafter変わった後の中英語の前半、このあたりやっぱり面白いなと思うんですね。
外して中英語に関心がある研究者は、この変化に関心がある方が多いのかなという感じがしますね。
そして、変化には変異、variationも付きものですので、
中英語というのはですね、方言、区分も非常にですね、メッシュのように細かくですね、入っているんですね。
方言が多いということなので、方言研究にも適している。
言語変化であるとか言語変異、具体的には方言研究、このあたりに関心がある方が比較的集まりやすいかな。
それが中英語期なんですね。
さあ、真ん中から言ってしまいましたが、一つ時代を戻しますと、古英語ですね。
古英語の時代に関心がある英語史研究者は、どのあたりに面白さを感じるんでしょうかということなんですが、
古英語ももちろんですね、その時期は長いですので、言語変化は起こっているんですね。
しかも方言もあるんですけれども、その様子が中英語ほどは目立たないと言いますか、研究しにくいということもあって、
言語変化や言語変異というところに関心があるというよりも、一つ一つの書かれた作品であるとか、作家、書いた人が分かっていればですね、
その一つ一つのテキストにぐっと深く入り込んで、フィロロジカルにという言い方をするんですが、
文献学的に深く入っていく、そういうことに関心がある方が多いように思うんですね。
これは傾向ですけれども、その意味では、中英語研究者の関心の持ち方と、
語英語研究者の関心の持ち方っていうのは、少し違うかなと感じることが多いですね。
近代英語の調査
さあ、次に近代語記です。近代語記というのは、1500年から1900年ぐらいですね。
長いので、前半200年を初期近代語記、後半を後期近代語記と分けることもありますが、
この時代はですね、たくさんの証拠が残っています。書かれたものが残っていますね。
語英語や中英語とは比べられないぐらい多く残っていますので、いろいろと研究し放題なんですね。
その意味では、コーパスなどもたくさん余れています。いろんなことができます。
しかもですね、そのテキストの中に現れている人々と言いますかね、あるいはテキストを書いた人々ですね、の情報であるとか、
例えばシェイクスピアの議局であるとか、その中に出てくる登場人物の属性っていうんですかね、社会的属性。
男女どちらなのかであるとか、社会的階級は何なのかということが、中英語、語英語に比べればですね、
情報が取りやすい。現在に近い時代ですから、それだけ詳しいことがわかるんですね。
そうすると社会言語学的研究というのが可能になってくるんですね。
中英語、語英語ではなかなかこれがきついんですね。そもそも誰が書いたかもわからない。書いた人が何者なのかわからない。属性がわからないと社会言語学できないわけですよね。
その意味ではですね、社会言語学的観点から言語変化、言語変異を研究する。このような研究が可能になってくるっていうところが大きいですね。
しかもコーパスなども使えますので、量的研究というのも可能になります。
いろいろできることが多いというのは羨ましいなぁと、中英語研究者の目から見るとですね、思うわけなんですけれども、そんな感じですね。
そして20世紀以降は現代英語ということですので、歴史をあまり意識しなくとも研究できる。その場合には教授的言語学、理論言語学、いわゆる広く英語学ができるんですね。
一方、歴史を意識しますと、その前の時代、近代英語からの接続ということが注目すべきポイントとなるわけですよね。言語変化も研究できるし、言語変異も研究できます。
さらに後期、近代英語期以降はですね、英語が世界展開したということで、これは世界小英語の話題にもですね、関心を広げていくことができるというように、やっぱり現代に近づくにつれていろいろとできる、きらびやかになってくるっていう感じはありますよね。
それから最後に忘れていました。小英語より前の時代、これはもう比較言語学という世界に入ります。直接書かれたものがない時代、書かれたエビデンスがない時代ということで、理論的に音変化や形態変化を追っかけていくということで、狭い意味での英語史の範囲はもう飛び出していますね。
ゲルマン語比較言語学であるとか、さらにはインドヨーロッパ語比較言語学、こんな感じになっていくんでしょうかね。理論家肌の方がここには多いわけですね。それぞれ好み関心が違うということがわかったかと思います。
個々の研究者の関心
どの時代をあなたは専門にしているんですか?英語史の研究者にあったらぜひ問いかけてみてください。そこから何に関心があるかというのはですね、7、8割ぐらいは予想できるんではないかなということで、今日の配信会、参考にしていただければと思います。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。今日はですね、少し雑談混じりに私の所感を述べました。小英語やってるけれども言語変化好きだぞという人もいると思いますし、中英語のフィロロジー、文献学に私はハマり込んでいますという方もいるでしょう。
いろいろと例外も出てくるとは思いますが、話半分に聞いていただいてですね、あっていたら面白いなというぐらいに聞いておいていただければと思います。この関心の持ち方というのは、その時代と特性そのものに関心があるのか、それとも先ほどもお話ししましたけれども、データ、得られる情報によってある程度研究のタイプが制限されてしまうので、
その枠の中にハマって自分の好みとか性格とか、これもですね、その枠に適合していくのか、どっちの方向性なのかはちょっとわからないんですけれども、相関関係はある。私は考えているんですね。
専門的な英語史研究者ならずとも、このヘルディオお聞きの皆さんもお好みの時代あるんではないかと思うんですね。ぜひ私の時代占い当たっているかどうかご確認いただければと思います。
このチャンネル、英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、あなたからのご意見、ご感想をお待ちしています。Voicyのコメント機能を通じてお寄せいただけますと幸いです。SNSでのシェアもよろしくお願いいたします。
それでは、今日も皆さんにとって良い1日になりますように。英語史研究者のほったり打ちがお届けしました。また明日!
14:48

コメント

スクロール