2025-05-06 30:31

#1437. 著者と語る『英語という選択 アイルランドの今』 (1) --- 嶋田珠巳先生との対談

▼パーソナリティ,堀田隆一(ほったりゅういち)の詳しいプロフィールはこちらの note 記事よりどうぞ.


- https://note.com/chariderryu/n/na772fcace491


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- 創刊号(2024年10月28日):https://note.com/helwa/n/ne2b999d5af72

- 第2号(2024年11月28日):https://note.com/helwa/n/n94e9d9a74706

- 第3号(2024年12月28日):https://note.com/helwa/n/na7394ab1dc4c

- 第4号(2025年1月28日):https://note.com/helwa/n/nb6229eebe391


▼2024年12月30日に『英語史新聞』第11号がウェブ発行されています.


khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』第11号がウェブ公開されています.こちらよりアクセスしてください


- 第11号:https://keio.box.com/s/kk0jss15l22pz1rpuysa0ys4nkpc3lwr


第11号公開については,khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio (https://x.com/khelf_keio) を通じても案内しています.

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▼2024年第3四半期のリスナー投票による heldio 人気配信回


- 第1位 「#1219. 「はじめての古英語」第10弾 with 小河舜さん&まさにゃん --- 「英語史ライヴ2024」より」 https://voicy.jp/channel/1950/6049608

- 第2位 「#1212. 『英語語源辞典』の「語源学解説」精読 --- 「英語史ライヴ2024」より」 https://voicy.jp/channel/1950/6052858

- 第3位 「#1139. イディオムとイディオム化 --- 秋元実治先生との対談 with 小河舜さん」 https://voicy.jp/channel/1950/1298775

- 詳しくは hellog 記事「#5645. リスナー投票による heldio 2024年第3四半期のランキング」をどうぞ http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2024-10-10-1.html をどうぞ


▼2024年9月8日(日)に12時間連続生放送の「英語史ライヴ2024」を開催しました.英語史界隈では前代未聞のイベントとなりました.詳細は以下の配信回,あるいは khelf の特設ページを! イベント後は,数ヶ月間かけて各番組をアーカイヴで通常配信していきました.


- heldio 「#1119. 9月8日(日)「英語史ライヴ2024」を開催します」 https://voicy.jp/channel/1950/1296042

- khelf 特設ページ: https://sites.google.com/view/khelf-hotta/英語史ライヴ2024特設ページ


▼2024年8月26日より特別企画「helwa コンテンツ for 「英語史ライヴ2024」」が始まっています.ぜひ特設ホームページに訪れて,ライヴ当日まで毎日1つか2つずつ公開される helwa メンバーによる英語史コンテンツをお楽しみください.


- http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/etc/helwa_content_for_hellive2024/


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▼「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズ(有料)を展開しています.


英語史の古典的名著 Baugh, Albert C. and Thomas Cable. *A History of the English Language*. 6th ed. London: Routledge, 2013. のオンライン講座です.毎回1セクションンずつゆっくりと進んでいき,内容について縦横無尽にコメントしていきます.シリーズについて自由にご意見,ご感想,ご質問をください.皆さんで議論しながら読んでいきましょう.1回200円です.

https://voicy.jp/channel/1950/570931


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2. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」で得た収益の一部は,レギュラー放送の質を保ち,毎日円滑にお届けするための原資とします.


3. また,収益の一部は,Voicy 以外でのhel活をさらに拡大・発展させるための原資とします.


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5. ぜひとも「英語史の輪」のプレミアムリスナーになっていただきたい方


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以上,よろしくお願いいたします.

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おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語詩ブログの管理者、 そして、英語のなぜに答える初めての英語詩の著者の堀田隆一です。
英語の語源が身につくラジオheldio。英語詩をお茶の間にをモットーに、英語の歴史の面白さを伝え、 裾野を広げるべく、毎朝6時に配信しています。
本日は5月6日火曜日です。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
本日は贅沢な著者対談です。 著者と語る英語という選択アイルランドの今 part1
- 嶋田珠美先生との対談、と題しまして、こちらの本をご紹介いたします。
明海大学の先生です。嶋田珠美先生、社会言語学を専攻されていますが、 2016年に岩波書店より、英語という選択、アイルランドの今
という本をお書きになりました。私、これ大好きな本でですね、 アイルランドの言語事情、そしてアイルランド英語とは何かという問題ですね。
英語史の問題とも関係しておりますし、何しろですね、 ご本人が社会言語学のフィールドワーカーなんですよね。
ということで、生の話が盛りだくさんというそんな本なんですが、 ぜひともですね、著者対談ということでこちらのヘルディオにお越しいただいて、
お話をお聞かせ願いたいなというふうに思っていたんです。 それがですね、今回ついに叶いました。
じっくりとお話しさせていただきまして、この対談シリーズ、 数日おきに全3回をお届けする運びとなりました。
まずはですね、今回第1回ということで、こちらのご著書、 英語という選択、アイルランドの今をまずざっとご紹介いただくというのが、今回第1回となります。
本編チャプターは3つございます。それぞれに関連するリンクを貼っておきたいと思います。 私もですね、好きな本だということで、ヘログ英語史ブログの方でいろいろと書いてきております。
そちらにもジャンプしてお読みいただければと思います。 それでは行ってみましょう。
著書対談です。島田珠美先生にお話を伺いました。 どうぞお聞きください。
おはようございます。
おはようございます。
本日は対談企画ということでですね、お越しいただきましたのは、 明海大学の島田珠美先生です。
03:03
島田先生、今日はよろしくお願いいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
島田先生はですね、社会言語学者というふうにお呼びしてよろしいんでしょうかね。
はい、そうですね。社会を含めた言語学をやっております。
このお聞きの大石でもですね、実は触れてきたことがありまして、島田先生の書きになられた英語という選択、アイルランドの今という本なんですけれども、
こちら岩波書店より2016年に、もう10年近く経とうとしているわけなんですが、今日はですね、この本、9年ほど経っていますが全く色あせていない、私の好きな本ということでですね、ご紹介したい、著者の方と一緒にご紹介できるというこの幸せなんですけれども、よろしくお願いいたします。
はい、こちらこそよろしくお願いいたします。これそうなんですよ、9年も前の話なんですけど、今日こういうふうに取り上げてくださって大変嬉しく思います。ありがとうございます。
これですね、概要をご紹介いただく、対談形式でご紹介いただくわけなんですが、先に打ち合わせでですね、ちょっとお話を伺ったところ、なんといろいろ入試問題に使われていたり、評論系、小論文系ですかね、国語とかですかね、それぐらいの名著だということなんですよね。
いや、分かります。なぜそうなのかというのは分かるということと、私もこの本が出てすぐに手に取ったかどうかというのはちょっと覚えていなくて、多分ちょっと経ってからだと思うんですが、岩波書店から出版された初速が割と早かった、よく読まれたという話を聞いたんですけどね。
はい、ありがとうございます。そうですね、最初に出てから、確か3ヶ月ぐらいの間に書評とかが最初に出ましたので、それでなんとか第2版につながったということを聞いています。
はい、その後も読み継がれているかと思うんですけれども、それではですね、アイルランドの言語事情という話題だと思うんですけれども、ページを開きますとね、目次を開きますと本当にいろいろな角度からアイルランドの言語事情が紹介されていて、
これ一つ一つの章、あるいは説の単位だけでもですね、ここで私、議論したいぐらいなんですけれども、今回はですね、禁欲的にこの本をざっくりとご紹介するということで、ぜひお聞きの皆さんに手に取っていただきたいという趣旨ですので、なるべくですね、コンパクトには心がけようと思うんですが、うまくいくかどうかというところですね。
06:03
はい、まずアイルランド、概要以前ですかね、アイルランドとアイルランドの言語事情について、リスナーの皆さんがどこまで詳しくご存じかわからないんですけれども、一般のイメージとしてアイスランドじゃないわけですね、これたまに間違えられますかね。
はい、間違えられますね。なので火山のある国を想像されたりですね、とても寒いですねって言われることは多いですけれども、ルーの方で位置的にはそうですね、イギリスのお隣の国という、北海道ほどの大きさで、人口も実はそれぐらいで、あと人口のこと言えばまた長くなると良くないんですけれども、人口は今増えている国ということです。
はい、そんないろいろ新しいですけども530万人ぐらいの国です。
はい、EUの一員ということですね。
はい、あのイギリス、グレートブリテン島の西側に浮かんでいる島がアイルランドなんですけれども、イメージとして言葉は英語が使われていて、英語留学などにも行けるそういう目的地にもなっているというイメージなんですが、
一方でアイルランド語という言語も存在しているということで、この2つの関係なんですけれども、まずベーシックなところからなんですが。
ベーシックなところですよね。もう30秒ぐらいで言うと、もともとアイルランドの土地にはアイルランド語がずっと話されていました。
そこに12世紀ぐらいから実際入ってはいるんですけれども、他の言語もですね。
実際英語との接触が密になったのは植民地支配があってというクロムウェル以降の時代ですね。
それで言葉が変わって、言葉が変わるとここで言うのは、日常的に話される言語が土地のアイルランド語から次第にどんどん英語が多くなってきて混ざるような感じの状態を経て、今日常的には英語が話されている国ということで、私も英語圏に行くと思って、自分も学生の時ですね、大学生の時に留学したのは英語が話せるようになりたいと思って、
最初に留学したのがアイルランドでした。なので普通に一般的に留学フェアに行くとアイルランドのブースがあったりしますね。実際そういうアイルランドも自分の国の売りを分かっていて、英語圏としてやっぱり振る舞っている部分もあります。
アイルランド語っていうのは、ちなみに英語とは全く異なる、いわゆる語族とか語派という、語族は同じインドヨーロッパ系なんですけれども、語派というレベルではケルト系のアイルランド語とゲルマン系の英語ということで、言ってしまえば天と地方と違うと言っていいですよね。極端に言えば日本語と英語ぐらい違うんですよぐらいの言い方ですよね。
はい、語順が例えば違っていて、アイルランド語の場合は動詞始まりだったりですね。あと表現形態、例えば私は君が好きみたいな時も、愛が私においてあなたに向かってあるというような表現をします。だから全然また違っているという感じですね。
09:18
はい、異なりますね。音も違いますし、文法も全然違います。
はい、このような2つの言語が交わる国という、そういう言語接触の歴史を経てきたということが本書の話題になってくるわけなんですが、まず第1章、アイルランドというフィールドということで、フィールドという言葉がありますが、まさに島田先生はフィールドワーカーでアイルランドに現地に入り込んで、そこで言語調査をするという。
意外と日本では言語調査として現地に入り込んでやるという方は、特に英語の世界ではいないんですよね。
そうかもしれませんね。なかなかこれ、未知の言語とか少数民族の言語という点ではフィールドワークはよくある手法だと思うんですけれども、英語ということでいえば、ただ英語として私の場合見るんじゃなくて、まずはそこの現地の言葉が実際どうなんだろうというところから入って、フィールドワークの手法を用いて、現地で何が大事にされて、どんな人々がどんなふうに暮らしているのかというところ。
そしてまた言語の調査ということを、日本立てでというか地域の様子を見ながらやっていったというようなことですね。
はい、フィールドワーカーとしてこのアイルランドに入り込んでいたということと、あと第一章なのでイントロ的にアイルランドのこと、アイルランドの言語事情というのがこちらで紹介されております。
いろいろと意味深な説のタイトル、ケルト的被愛とかですね、アイルランド語を話しますかとかですね、問題提起が多い章となっていますね。
そして第2章なんですけれども、ここが本書のメインという見方もあるかと思うんですが、言葉を引き継がないという選択。
こちらは意味深なタイトルなんですけれども、どちらの言語、アイルランド語と英語というのを、市民が選ぶタイミングが歴史上あったという。
これがまた難しいところで、タイトルも英語という選択と使っています。選択というのはとてもドキッとする言葉なんですね。
授業で日本人の学生にこれを話している時には、そうも感じないかもしれないですけど、アイルランドの人にこの話をする時に、やっぱり抵抗があるというか、自分たちは英語を選んだのかということですね。
12:00
それは良きせぬ形でそのように選ばざるを得なかった、あるいはそういう方向に結果として選んでいた、それも含めての広い意味での選択ですね。
だからそこに意図がどれだけあったのかとか、例えば本書にも書きましたけれども、国民投票なんかで、どっち選びますかというふうに選んでいったわけじゃない。
日々の言語が少しずつ変わるようにして英語にシフトしていったというのが本当のところで、当時でもお母さんがじゃあ自分の子供にどっちの言語を話させたいかという時に、アイルランドよりもやっぱり英語に自分の子供の将来を書けた、そんなふうな思いも実際にあっただろうということは想像できます。
なるほど、選択というのも含みがある用語ということですね。それではチャプターを継ぎます。
それでは第3章に進みたいと思いますが、アイルランド語への思い、英語への思いということで、国民が両言語へどんな態度で接しているのかということなんですが、こちらどういうモチベーションで書かれたんでしょうか。
こちらはですね、私自身がちょうど留学していた頃、それから帰ってきた時の卒業論文でですね、やった時のアンケートをもとにまとめています。10個ぐらいのですね、実際10なんですけれども、オープンエンディング、自由回答を含めた回答が100ほど届きまして、それをまとめたものですね。
ですので彼らの生の声、主にですね、幸福大学の当時の学生の声なんかが中心に入っていて、言語交代にどういう思いを抱いているのか、実際の自分のクエスチョンから始まったものですね。
これ、具体的にそのアンケートの質問項目を見ますと、なかなか鋭いというか、自分が聞かれたらどういう思いで答えるだろう、みたいなことも想像しながら、1番、例えば英語は誰のものですか、なんていうのもすごいですし、それから6番、なぜ日常生活でアイルランド語ではなく英語を話しているのですか。
この2つの選択、それこそ意図的であれどうであれ、この狭間に立っている人々にとってこの質問というのをどう受け止めるのか、そのあたりも含めてメタ的に面白い話題ですよね。
そうですね。やっぱり日本人の学生だから思い切って聞けたというような、今だから聞きにくかったり躊躇するような、分かってしまうと聞きにくい部分もあるんですけど、当時はそんなことで、だから先生も日本人のこういう子がやっているよということでどうやら配っていただいて、私は先生にだけ渡したらその先生がコピーしてくださったというようなことなんですけど、そんな風にして
なのでとても、私はその記述に多分突き動かされるようにしてその後研究者になっていくんですけれども、おそらくこの時のアンケートがなかったら今こんなことでアイルランドを専門にはやってなかっただろうし、研究者にもなっていないかもわからないということもあるかもしれません。
15:11
本当にそこに書いてある思いが強かった。例えば自分たちの言語をなくすことは恥だとか、ディサポインティングだとか、それは言葉を殺すなんてとかっていうような思いが書かれてあるわけで、特に自分たちの言葉、アイルランド語は今話せないんだけれどもそれがいかに大事なものかということが色濃く書かれていたということに大変衝撃を
学生の時代、自分は衝撃を受けました。そういうものですね。
なるほど、ナイスな度胸でしたよね。素晴らしいですよね。このアンケートの答えで、なかなか熱いものが返ってきて、こちらも真剣に研究しなきゃみたいな雰囲気になった。
そうですね。当時はそこの研究まで思っていないんだけど、最初は見ないふりをして、11月頃に卒論のちょっと締め切り2ヶ月前にアンケートが届いたので、最初は10人ぐらいに配ったんですよ、お友達の先生ぐらいに。それが100返ってきたので、あらどうしようと思ったっていうようなことが最初でした。
なので、研究というよりはまずはそっかと思って、だんだん引き込まれるんですね。それをパソコンに打って整理していったり、ミミズの張ったような字っていうんですかね、なかなか手書きの筆記体なので読めなかったりするんですけども、そういうのをやっているうちにですね、とっても気持ちが来ましたね。
はい、それは聞くとまた第3章の読み方が変わってくるんではないかということでありがとうございます。そして第4章なんですけれども、和社の言語意識に迫る。これも本当に島田先生らしいなというところで、和社個人がどう思ってこの表現を使っているのかとか、あるいはこちらの言語を使っているのかというような、まさにフィールドワークで内面に、
和社内面に入り込むというような態度かと思うんですが、初めての言語調査、コミュニティに入るというところで、これは一つフィールドワークの日誌みたいな章になっていますかね。
はい、そうですね、こちら第4章は自分が大学院に入って言語学をし始めてからですね、どういうふうにやっていったのかというところ、それから自分は文法を知りたくて、言語学ってそういうものなんですけれども、文法を知りたくてやるんですが、アイルランド英語の和社の場合には、そこに行き着くまでに、例えばこれはバッドグラマーだとか、間違った文法だよ、こんなことを使うなよとか、あるいはこれちょっとアイルランドっぽいかなみたいなのが、
どんどん出てくるわけですね、ローカルな人はこれ言っていいけど、あなたはこんなの学ばなくていいからねとか、例えばそういう規範の意識だとか、アイルランドらしさの意識が常に出てくる。これは一人の人が出てくるわけじゃなくて、何人も調査してても同じようなことがあるということは、コミュニティに共通の意識がそこにはあるわけで、それも言語仕様に関わっているならば、
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きちんと言語記述に入れないといけないんじゃないかと、大学院の時そんなことを考えまして、そういったスタンスで研究していこうということで、ちょうど初めの頃に書いたものですね。
おだしょー まさに文法研究から社会言語学的研究へというふうに発展されたというところが読み取れるということですね。そうすると第3章第4章は時系列になっているわけですね。卒業論文のときと大学院という。そこも知って読むとまた面白いですよね。
そして第5章なんですが、ここは形式の話ですかね。主に言葉の中のアイルランドらしさということで、具体的にアイルランド英語、アイルランド語ではなくですね、アイルランドで話されるようになった英語。英語の様々な方言の一つと考えていいと思うんですが、
これはいわゆる標準英語などと少し違った点が文法などであるということで、主に時の表現であるとか、あるいは情報構造の表現ということで具体例が挙げられていますが、簡単に例と言いますか、例えばどんな文が標準英語と異なっている。
はい、確かによく聞かれますよね。面白い表現としていくつかあって、ここでは例えば時の表現としてHow long are you here?なんていうのと、挙げているものとしてbe after完了があるんですけど、be after完了をちょっと紹介しましょうかね。
はい、お願いします。 例えば、I'm after missing the bus.向こうの人はバスの発音もまた違って、ビュスみたいな感じの、非常にまた破裂も大きい、ブッていうのをHを書きたくなるような音もあるんですけれども、それは何だと思いますかね。先生読んでるんじゃないかな。
文字通りには標準英語的に言うと、バスを逃す後に今いるみたいな。
まさにそういうことなんですね。これだから、むしろアメリカ英語とかの話者にはどうやら違う意味に取られたり難しかったりするみたいですけど、日本人で直訳風にすると、かえって意味がわかるかもしれない。今バスを逃した状態にあるって、まさにそのような意味で、アイルランド英語の場合、だから文法って全部がずれるんですよね。
一つが対応しないとかそういう話じゃなくて、完了でこれがあるっていうこと、あるいはBの持つ意味が標準英語とアイルランド英語とでは違う。なので同じBやINGでも意味合いが変わってくるということがあります。
21:00
そういった、まずはドアの入り口にあるわかりやすい違いから入っておくまったところ、まだ今自分の研究でも今それを続けているところなんですけれども、そういうことをするきっかけとして一番目立つ、いわゆる逸脱するところですね。標準英語からとは違うところにまずは目を向けてどういった違いがあるのか、中身の文法に入っていこうとしたっていうところでこの書を書いております。
なるほど、他には情報構造、いわゆる標準英語で言うところの強調構文に似たようなものがオリジナルのアイリッシュですね、アイルランド語の方にあるのでそのアイルランド英語の方にもちょっと入ってきているのかなとか
そういうことなんですよ、まさにそこが研究の一番醍醐味というか面白いところで、特に私情報構造は終始論文でもこの話をしているんですけれども、例えば
It is brave that you are とは全然違うんだけれども、これまでの研究者では、これはいわゆる分裂文、あるいは強調構文というふうに学校文法で言われているものの枠組みでもって理解しようとされてきたんだけれども、アイルランド英語の場合には違うメカニズム、違うものがあるかもしれないということで、そういった関係から
研究したものですね、実際確かに今おっしゃったように、アイルランド語を見れば合点がいくというようなことがあるので、そういった点が非常に面白いかと思います
はい、それではですね、次の第6章が最後なんですが、チャプターを変えたいと思います
最後、第6章なんですけれども、言葉が変わること、変化の変と交代の対ということですかね、チェンジとシフトですね
はい、その中で分かれている説が言語接触という大見出し、それから言葉の変化と人々の気持ちということなんですが、ここも非常に厚いセクションで私も最も関心があるところではあるんですが
言語接触というのは、2つ以上の言語が合わさった時に、実際に和社たちが混じってその言語仕様を2つ変えたり、接触させたりという時に何が起こるかということですよね
この接触言語学という分野があるわけなんですが、アイルランドはそれを見るのにうってつけの場所だという
そうですね、ちょうど例えばもうはっきり歴史が分かっている、ある程度分かっている人口統計からどういった動きがあってとかですね、そういったものの社会背景が分かった上で
24:03
2つ、例えばクレオールとかいろいろ他の言語だとですね、リソースになっている言語が複数あったりして見にくいこともあるんですけれども
アイルランド英語の場合は、はっきりと母語として、これまでの土地に根付くアイルランド語と後から来た英語というところでの接触なので、またA言語とB言語が全然違う
さっき先生おっしゃったように、ゲルマン系の言語とケルト系語派の言語ということで、大きく違うものが接触しているというところなので、見やすいということはあると思います
さっき5章で見たような、アイルランド英語の実際の今の形というのは、どんなふうにして生まれてきたのかというところを、やや幾分理論的にも考察してみたというか
自分なりの納得の仕方ですね、今なぜこういう形になっているのかというのを書いたところになります
そしてその第2節なんですが、言葉の変化と人々の気持ちということで、これは本書の最後に持ってきて書きたいことだったのではないかなと思いながら読んでいるんですが、ここではどういうことが語られているんでしょうか
ありがとうございます。ここは日本の読者にどういったことを、日本の状況を横に置いてみたときに、アイルランドから学べることというか、そこの経験を私たちはどういうふうに考えていけばいいのかというようなところで書いたものですね
特に言語とアイデンティティの問題、それから今アイルランドでは今の状態ですよね、亡くなったものを嘆いていてバイリンガリズムを目指すというのが今アイルランドで行われている二言語主義の政策なんですけれども
私たち例えば日本は違う形でのバイリンガリズムを望んでいるかもわからないですよね、あるいろんな最近あった広告なんかも引き合いに出しながら日本の状況と合わせて論じているというか、この辺りは読んでいただいたほうが、私が言うよりも全然上手に言えてないなと思っているので
ここが実は小論文入手でよく使われる箇所、先ほど
そうですね、確かに最後よく使われます
195ページのところなんですが、これは考えさせられますね、受験生の皆さんの対策を読んで対策を取っていただければと思います
はい、非常に情報量が多いと言いますか、各章がもう一つのトピックになっていますので、これをよくまとめ上げられたなというのが素直な感想で、アイルランドのこと、アイルランド言語事情もそうなんですが
一つの社会言語学の教科書で理論もやっていらっしゃるということなんですが、基本的にはフィールドワークで中に入られている説得力、アンケートの話もありましたけれども
27:07
という点で、いろいろな教科書題材に本当になるなということで、これはいつか取り上げようと思っていたんですが
ある意味、著者は直々に対談する機会を待っていたというところもあって、出し控えていたというところもあるんですけれども
ぜひリスナーの皆さん、岩谷書店から2016年に出ております島田珠美先生著の
英語という選択、アイルランドの今、こちらをお読みいただければと思います。本当に情報量が多いので、これ2チャプター半使ったんですが
これやっぱりまとまりませんね。概要のつもりだったんですが、これはもう読んでいただくしかないかなというところで
またですね、島田先生には引き続きお話を伺っていきたいと思いますので、まずは皆さんこちらの本、ご注目くださればと思います。
本日は本の概要ということで、著者の先生直々にですね、概要説明、お手伝いいただきまして、対談いただきましてありがとうございました。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。いかがでしたでしょうか。今回島田珠美先生との対談第1弾は
英語という選択、アイルランドの今をざっとですけれども、ご紹介いただいた形になります。
これでもですね、話足りない、十分に紹介しきれないという感じだったんですけれども、これからますます第2弾以降ですね、話が面白く盛り上がっていきますので、ぜひご期待いただければと思います。
さて、今日ご紹介したこの本、英語という選択、アイルランドの今なんですけれども、実は対談当時は在庫切れだったんですね。
ところがですね、この対談の後、島田先生が岩波書店に掛け合ってくださいまして、なんとですね、在庫が復活しております。
ですので、今ですね、皆さん手に入りますということで、冒頭チャプターにリンクを貼ったものは、岩波書店のご著書のページなんですね。
こちらからですね、現時点ではまだですね、在庫ありとなっておりますので、ぜひですね、こちらご購入いただいてじっくりお読みいただければと思います。
何度も本編で述べていますが、情報量が豊富なんですね。
一章ずつじっくりとお読みいただくことができるかと思いますので、ぜひ手に取ってお読みください。
30:07
このチャンネル、英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、あなたからのご意見ご感想をお待ちしています。
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それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように、英語詞研究者のほったりうちがお届けしました。また明日!
30:31

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