2025-11-17 24:45

#1632. ニュージーランド英語はどこから来たのか?

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以上,よろしくお願いいたします.

サマリー

このエピソードでは、ニュージーランド英語の起源を探求し、特にオーストラリア英語との関連性に焦点を当てています。歴史的な視点から、様々な学説が提示され、ワールドイングリッシーズの概念と共にバウアーの研究が紹介されます。ニュージーランド英語の起源に関する様々な説が議論され、特にオーストラリア英語との関連性や言語の混合による進化についての仮説が紹介され、アイデンティティ問題に触れられます。

ニュージーランド英語の起源
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語詩ブログの管理者、英語の謎に答える初めての英語詩の著者、そして6月18日に研究者から刊行された英語語源ハンドブックの著者のホッタリュウイチです。
加えて10月15日に夏目社より新刊書が出ました。 同僚の井上一平さんとお届けしている youtube チャンネル
イノホタ言語学チャンネルから生まれた本です。 井上一平・ホッタリュウイチ著、言語学ですっきり解決英語のなぜ
ハッシュタグひらがな6文字でイノホタなぜとしてご意見やご感想をお寄せください。 特設ホームページも概要欄のリンクからどうぞ。
英語の語源がミニ・ツクラジオ・ヘルディオ。 英語詩をお茶の間におもとに英語の歴史の面白さを伝え、裾野を広げるべく毎朝6時に配信しています。
本日は11月17日月曜日。皆さんいかがお過ごしでしょうか。 今日はダニーデン郊外にありますポートチャーマーズという港町、港村ですね。
ここからお届けしております。 ニュージーランドに来てからですね、考えていることがありまして
ニュージーランド英語はどこから来たのか。 いや本当を言いますと、これを考えにニュージーランドに来たと言ってもいいと思うんですけれども
実は英語史の領域ではですね、これが未解決なんですね。 いろいろな説はあります。学説はあります。
ですが、どうしてこのような ニュージーランド英語と呼ばれるような編集になったのか。
歴史としては、せいぜいですね、200数十年、 300年もいかないというところかと思うんですけれども
これがですね、意外と分かっていない。近現代史ということなんですが、 オーストラリア英語の起源、ルーツを探る試みとともにいろいろと
試みはなされているんですね。 研究はなされているんですけれども、いくつかの学説があって
まだ定まったものはないと言っていいのかもしれません。 これを追いかけてきたというところもあるんですけれども、今回はですね、今のところではどういう説が出されているのかということを整理しておきたいと思います。
主にローリー・バウアーという、私も大好きな英語学者、英語史研究者なんですけれども、 このバウアーに意気をしながら解説したいと思います。
英語研究の重要性
どうぞよろしくお願いいたします。 皆さん、世界英語ワールドイングリッシーズの話は、このヘルディオでもいろいろとお届けしたところではあるんですけれども、
その〇〇英語の起源は何かという問題ですね。 これ英語史では一つ一つ重要な問題なんですね。
もちろん最も浅く考えれば、それはイギリスから派生しているんだと。 つまりイギリス英語から派生して、植民地にもたらされた英語なんだと。
いった先でいろいろと変化は、今までの100年、200年、300年とあったかもしれないけれども、 ルーツとしてはイギリス英語なんです。
こういう回答が返ってきそうなんですよね。 それは大雑把な意味では確かにそうなんです。
ただ、英語史研究の現場では、ではどこのイギリス英語なんですか。 イギリス英語の中でも方言があります。
これは地域方言だったり、あるいは社会方言、階級方言だったりするので、これを突き止めたいという思いがあるわけですよね。
オーストラリアとニュージーランド、 両方とも大石地と言うんですかね。
イギリスから見ると、地球の裏側にある南半球の国ということで、この辺りをまとめてオーストラレイシア
なんていうことがありますね。 こうしてくくられるように、オーストラリア英語とニュージーランド英語は確かに色々な意味で似ています。
発音、語彙、文法、極めて似ているんですね。 一方で、
独自性もあることはある。これは方言ですから当然違いはあるわけなんですけれども、 ただですね、その違いというのも類似性に比べれば小さいものなので、
基本的にはオーストラレイシアということで、オーストラリア英語と ニュージーランド英語、これを
一緒に扱おうという考え方が非常に強いんですね。 もっと言ってしまうと、ニュージーランドというのはオーストラリアから派生した国のようにも見えるわけですよね。
国土の大きさも大小というふうにありますし、そしてイギリスの 植民地になったのもオーストラリアが先、そしてその後にニュージーランドという順番なので、
いわばオーストラリアのサブとしてですね、ニュージーランドが見られることがある。 これはですね、
想像してみるとわかると思うんですが、ニュージーランド人、今のキウイたちですね、ニュージーランド人にとってはあんまり面白くない
捉え方である。 ただですね、歴史的には認めざるを得ないところもあってという、なかなか複雑な
国民感情というのもあると思うんですね。 それが国の歴史であるとか、あるいはニュージーランド英語の歴史というところにも反映していなくもない
というところがあって、またこれ第三者から見るとですね、なかなか面白い、面白いと言いますかね、複雑な
経緯があるわけなんですけれども、一般には オーストラリア英語から派生したニュージーランド英語みたいな
学説の提示
見方ですね。 非常に似ているということもありまして。
という、この見方が
一般的かわかりませんが、非常にわかりやすいものとして受け入れられやすいんですが、
いや、そんなことはないでしょうというような説もありまして、これは英語史研究者、それからオーストラリア英語、ニュージーランド英語の英語学者が
いろいろと研究しているところではあるんですよね。 このあたりについて、
これまでの研究ではどんなことが言われてきたかということをですね、 今回はローリ・バウアーという研究者の
説明に従ってご紹介したいと思います。 このバウアーさんはニュージーランド人ということなんですけれども、
そこのポイントも抑えつつということですね。 いろいろな学説の提示の仕方もありますけれども、今回
このバウアーさんに私は意境しながら 解説するということでですね、お話ししたいと思います。
4つあります。 学説ですね。
1つ目。 オーストラレイシアン・アズ・コクニー
という考え方です。 オーストラレイシアンというのは、先にも述べたとおりにオーストラリアとニュージーランドあたり、
広くはもうちょっと南太平洋の島国などを含むのかもしれませんが、今回の議論ではですね、
オーストラリアとニュージーランドをひっくるめて言う用語というふうに理解していただければと思います。
そしてこの2つの変種はコクニーに由来するんだという説ですね。 これは古くから唱えられていて、非常に歴史的にも理解しやすい
ということで、 一般に留守している説かなというふうに思うんですよね。
ロンドンのイーストエンド、いわば下町地区で、そこで万引きをしたりというような
刑犯罪を起こした人たちがですね、ルケージのオーストラリアに送られたというのは、よく知られた歴史の流れなんですけれども、
この18世紀、19世紀のコクニー、ロンドンの方言ですね。
特に下町方言、これが由来でオーストラリア、そしてニュージーランドに渡ったということなんで、
つまりルーツが同じコクニーなわけなんで、これはオーストラリア英語とニュージーランド英語に似ているのは当然だという考え方です。
ただですね、オーストラリアに渡ったコクニー、これを前提とするならですね、
18世紀なんですよ。ところがニュージーランドの植民地化というのは、
半世紀ほど遅れているので、ニュージーランドにやってきたコクニーというのは、そのケースでいうと19世紀前半になるわけですね。
なので全く同じコクニーではなく、半世紀ぐらいの時間のずれがあるコクニーである。
コクニーもその半世紀の間に多少変わっているということもあるので、オーストラリア英語とニュージーランド英語の差は、この例えば50年というコクニーの時間差に基本的に準じているんだというような考え方ですね。
オーストラレイシアンはコクニーが起源なんだという考え方が、これは最も古くからあります。
ただですね、今の主要な学説の立場と言いますかね、英語史研究者からは、これは受け入れられないということになっています。
その理由と言いますか、なぜ受け入れられないかという根拠については、いろいろと論じられておりますね。
これをどう評価するのかというのは本当に問題含みなんですが、少なくともこのバウワーさんはですね、オーストラリア移民とニュージーランド移民のタイプが違うと。
オーストラリア移民は確かにコクニーに近かった。だけどニュージーランド移民は実はコクニーたちその問題はなかったし、場合によってはコクニーを軽蔑していたぐらいの
考え方があるんですね。これはどこまで証拠づけられるかというのはわからないんですけれども、
つまりですね、それぞれの移民の層が違うということから考えて、単純に両変種ともコクニーに由来するというのは受け入れがたいという考え方があるわけですね。
ということでバウワーさんは少なくともこれをバッサリと切り捨てています。
そして多分おそらく多くの現代の研究者はですね、このコクニーに両変種とも由来するんだという説は受け入れてないのではないかと思います。
ただ学説史としてですね、一つ目まず紹介しました。
二つ目、オーストラレイシアン、つまりオーストラリア英語とニュージーランド英語は共にイーストアングリアンの方言に由来するという説です。
つまりコクニーではないけれども、ただズバッとですね、方言を指定できる。これはイーストアングリア方言なんだという説です。
これはトラットギルが、社会言語学者として世界的に有名な社会言語学者なんですが、唱えたものですね。
ただですね、唱えたといってもトラットギル自体もこのイーストアングリア方言がズバリ直接のニュージーランド英語あるいはオーストラリア英語のルーツだと言い切っているわけではないんですね。
そうではなく多分ダイレクトミクスチャー、方言の混合だろうと。その混合の中にロンドン英語というのももちろんあった。
つまりコクニーも含めてですね、もあっただろうし、ただそれだけではなくイーストアングリアの方言もあったんだろうというような言い方でですね、
ロンドン方言だけではないよ、イーストアングリア方言もそれこそ有力なルーツと考えられるのではないかと考えられますというような意見なんですね。
これはですね、イーストアングリアでなくても他の方言だってですね、可能性あったのではないかとか、いろいろと突っ込みどころがあるということで、少なくとも私が言及しているバウワーさんは受け入れられないという言い方をしています。
ちなみにこれは私のコメントなんですけれども、トラットギルさんというのは確かイーストアングリアの出身だったと思います。
こういう言い方をするのもあまり良くないのかもしれませんけれども。そして第3の説ですね。
これはですね、トラットギルさん自身がイーストアングリアがルーツだと言い切ってはいません。間接的にイーストアングリアも入っているのではないかというふうに、少し薄めた形で議論していてですね、
もうちょっと受け入れられやすい議論としてトラットギル自身が唱えているんですけれども、ミクシングボウルティオリーと言ってますね。
これはミクシングボウルというので、これはなんて訳すんですかね、今後料理、調理で使うボウルですよね。
あの中でいろいろとミックスにして、野菜とか肉とかいろんな具材をミックスして、それでできたんだという考え方ですね。
これはですね、極めてもっともらしいというか否定できないんですよ。多分そうなんですよ。
いろいろな方言が合わさってオーストラリアもできたし、ニュージーランドの英語もできたということだと思うんですね。
ニュージーランド英語の起源
これは元々のオーストラリア、ニュージーランドに送られた人々が様々なイギリスの方言の持ち主であり、様々なバックグラウンドを持った人たちであり、
そういった人たちがいわば船の中に集められてですね、1回数百人ですかねせいぜいね、それが8ヶ月の旅を経てですね、地球の裏側にやってきた。
そしてその船の中でも方言混合が進んだろうし、あるいは新たな新天地に着いた後の植民地経営の中でもお互いにコミュニケーションを取る中で、
新たないろんな方言がミックスして、そして水平化したというか、いわゆる角が取れた、全体的に丸くなった、全体の平均値、中間的な方言に成長していくということはありそうですよね。
これは、いかにもありそうですし、否定することができない仮説ということで、多分かなり強力な仮説なんだと思うんですよね。
否定しようがない、多分そうだろうという。
だけれども、どことどの方言が合わさって、こういう語法になったとか、こういう発音になったという、地区一の言語項目を童貞するにあたっては極めて複雑なパズルですし、
ある意味、ゴールが決まっているところで、いろんな方言を組み合わせて、そのゴールに至るように理論立てをするということが可能なんですよね。
それ自体は、理論的、学術的にも間違えていることではないんですが、果たして出来上がったものが本当なのかなというところはありますよね。
理論ベースになってしまうということですね。これはしょうがないんですけれども。
なので、これはあまりに強力すぎて、誰も否定できないというような学説として、3番目ですね。
ミクシング・ボウ・フィオリーということで、これはアメリカ移民もそうですし、オーストラリア、ニュージーランド移民もそうですし、
その他の英語が拡散された地域でも、その現地の言語も含めて、このミクシング・ボウルという考え方自体は決して否定できない。
多分そうだろうということではあるんですよね。ただ、あまりに強力すぎて、ジェネラルすぎて、この格論に入っていけないという問題点があるということかと思いますよね。
そして最後、4つ目なんですが、これBauerの説なんですが、New Zealand English as Australian。
ニュージーランド英語はオーストラリア英語なのである。もっと言うと、オーストラリア英語から派生したものであるという、
いわば常識的で、素人でも考えつくような説ですね。これにBauerさんは最終的に戻ってきているということなんですね。
なぜこのストレートでわかりやすい説というのが、学者たちによって嫌われているというよりは避けられてきているのかというのは、
このあたりの研究をするのは当然ながらオーストラリア人だったり、そして何よりもニュージーランド人だったりするわけですよね、研究者。
そうするとですね、オーストラリアのサブという位置づけはなるべく避けたいというような、
いわばアイデンティティ問題に関わるということで、これはなかなか大っぴらに支持できない説ではないかということなんですね。
私は第三者的に日本人の立場から見ているので、なるほどねというふうに見えるんですけれども、
このあたりを本気で研究しているニュージーランド人の研究者にとっては、
これはなかなか耳の痛いというか、どう態度を取ろうかということを多分考えるのではないかなと思うんですよね。
バウアさんはここをですね、思い切ってと言いますかね、やはりこれだけオーストラリア英語とニュージーランド英語に似ている点が多いのに、
それをオーストラリア英語由来だと言わないのは、それはそれでひねくれているのではないですか、という強い言い方はしていませんが、
かなり柔らかくですね、遠回しにそのような主張をしているというふうに私は読んでおります。
この辺ね、なかなか難しいですけれども、それこそですね、全く関係ない第三者、日本人である、例えば私であるとかですね、
あるいはアメリカ人でも、何人でもいいんですけれども、第三者がこれを客観的に異動をとって、
つまりオーストラリア英語とニュージーランドの同じところ、違うところという異動をとったり、歴史を調べたりということで、
第三者的にディスインテリスティッド、公平無私な角度から見てみるというのも一つやり方としてはあるかな、なんて思っております。
なので、バウアーさんは一周回ってですね、ニュージーランド英語、やっぱりオーストラリア英語なんじゃないの、というような考え方になっているということですね。
これは本当に論者によってかなり異なるということでですね、今回私はバウアーさんの著作をいろいろ他にも読んでいて、一般的な英語史の本などですね、大好きなんですよ。
ということで、意気をしたということで、これもまたですね、もしかしたら偏った見方なのかもしれないとも思われるので、それを含んで皆さんもお聞きいただければと思います。
こういうふうにですね、何々英語のルーツっていうのは、なかなかセンシティブでデリケートな問題だったりするということも知っていただけると、この議論がますます多層的、多重的な読み方、解釈の仕方ができると思うので、面白くなると思うんですよね。
ということで、ニュージーランドの英語のルーツについて4つの説をご紹介いたしました。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。皆さんいかがでしたでしょうか。ニュージーランド英語であるとか、○○英語の歴史というのも一つ一つですね、いろんな問題が関わっています。
面白いと思いませんか。世界英語ワールドイングリッシーズの話題がしばしばこのヘルディオでも取り上げられているんですけれども、一つ一つですね、これ歴史があるんですよ。
大きな幹はイギリス英語ということに間違いはありません。ただそこからですね、近現代に言いかけていろんな英語が派生しているというところ、そしてその派生というのをどう捉えるか、何がルーツなのか、何が独自なのかというのはですね、単に純粋に言語学的、例えば発音はこうだからここがルーツなんだろうみたいな、そういう議論ももちろんできるんですけれども、
一方でナショナルアイデンティティみたいなものが関わってくるデリケートなセンシティブな問題でもあるということでですね、この議論の面白さというのをぜひ皆さんにも味わっていただければと思います。
究極的にはどこまでわかるのかというところは確かにありますね。調べても調べてもわからないことやっぱりあると思うんですよね。
ですが、このような議論が英語史の中でも一つのジャンルというか領域としてですね、関心が持たれているということをお伝えできたらいいなというふうに思います。
ということで、ダニーデンの郊外にありますポートチャーマースという非常に感じの良い小さな港の村よりお届けしました。
このチャンネル英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、あなたからのご意見ご感想をお待ちしています。
ご意見のコメント機能を通じてお寄せいただけますと幸いです。
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それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように、英語史研究者のほったりうちがお届けしました。また明日!
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