1. 英語の語源が身につくラジオ (heldio)
  2. #1620. なぜ going to が「ゴ..
2025-11-05 16:40

#1620. なぜ going to が「ゴナ」,want to が「ワナ」になるの? --- 中高生からの素朴な疑問

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Summary

エピソードでは、英語の「going to」が「gonna」や「want to」が「wanna」になる理由を探ります。発音の変化や同化現象を通じて、これらの短縮形の背後にある音声的および文法的なメカニズムを解説します。特に、中高生からの疑問に対して文法の観点から考察し、音声学の理屈に関連づけて理解を深めます。

英語の短縮形の紹介
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語紙ブログの管理者、英語のなぜに答える初めての英語紙の著者、そして6月18日に研究者から刊行された英語語源ハンドブックの著者のホッタリウイチです。
加えて10月15日に夏目社より新刊書が出ました。 同僚の井上一平さんとお届けしている youtube チャンネル
イノホタ言語学チャンネルから生まれた本です。 井上一平・ホッタリウイチ著 言語学ですっきり解決英語のなぜ
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英語の語源が身につくラジオヘルディオ。 英語史をお茶の間にをもとに英語の歴史の面白さを伝え、裾野を広げるべく毎朝6時に配信しています。
本日は11月5日水曜日。皆さんいかがお過ごしでしょうか。 今日は中高生から寄せられた素朴な疑問に回答したいと思います。
昨日の1619回お聞きいただけましたでしょうか。 英語史の世界を覗いてみよう。都内の学校でリモート講義と題して、11月1日先週の土曜日にリモート講義した
学校でですね、中高生からたくさんの質問が寄せられてきたんですけれども、その場の投げ込みの質問の一つがですね、今日取り上げるこれなんですね。
その時にはですね、並一通りの回答の仕方をしたんですけれども、もう少し整理をした状態でですね、今回このヘルディオで取り上げようかと思った次第です。
それはどんな質問かというと、なぜgoing toがgonna、want toがwannaになるのという質問だったんですね。
頻度が高くてよく聞きますし、しゃべる場合にも言いますので、これは非常に印象に残る音の列ですよね。
本来であればgoing toとかwant toなのに、ぐっと短くなって、でしかもですね、nの音が響くと
gonnaとかwannaということですよね。これなんでこんなふうに省略されてしまうのという質問でした。
これに回答してみたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
発音の変化
What are you gonna do?とかですね。
I wanna go my way! のように、非常によく使う語法としてですね、be going to、I am going to
という言い方であるとか、I want toという言い方ですね。これがフルの言い方、正式なちゃんとした言い方なんですけれども、
会話でよく使われるということ、しかも交互的な響きがあるということから省略されるんですが、その省略のされ方がちょっと変わっているんですよね。
普通では想像されないような変わり方をして音が縮まってしまう、そしてnの音がですね、よく出てくるということになります。
What are you going to do?が、What are you gonna do?というように、going toの部分がgonnaになるんですよね。
それから、I want to go my way!というところが、I wanna go my way!のようになるわけですよね。
これ確かに、短くはなっているので短縮、縮約であることには間違いありませんが、
普通縮約というのは書くときにはアポストロフィーをつけたりですね。
全体がどうしてこのように短縮されたのかというのが、ある程度わかるようなものが多いと思うんですよね。
is notでisn'tとかですね。
他にもいろいろと考えてみると、don't、これはdo notから来ているというところで、どこかが省略されている。
特に大きな変形というのは感じられないというところなんですが、
このgonna、wannaっていうのはちょっとイレギュラーな省略の仕方って気はしますよね。
ものすごく遠いわけではないですけど。
これはなぜかという質問が寄せられたんですね。
これは発音の問題なので、第一義的に音声の観点から説明できると思うんですね。
そして第二義的にですね、もう一つ欲張ってですね、文法の観点からもサポートしたいなというふうに思います。
つまり二つに段階に分けてですね、解説してみようかなというところです。
まずはより直接的な発音の問題ですね。
going to、want to、これがなぜgonna、wannaになるのかというところですね。
同じように説明できるんですけれども、まずgoing toからいきましょうかね。
going、ingの音ってのはngですね。
これは発音記号で言うとengという文字で、一文字で書くんですけれども、
つづりではngと二文字で書きますけれどもね、これは一音なんですね。
南高外bionという音声学で言うところの一音なんでngという、いずれにせよ鼻に抜ける音なんですよね。
bionというふうに読んでます。鼻の音、bionですね。
さあ、このbionなんですけれども、次にですね、toというふうにtの音がきますね。
これはですね、bionではないんですね。鼻から抜ける音ではなく、tっていうのは典型的に口から抜ける音であり、しかもですね、破裂音というタイプの音なんですね。
この破裂音のtなんですけれども、みなさん多行心を発音するときに、下構えというか口構えどうなっていますかね。
下先が歯茎の近くについているのではないかと思います。
英語のtと日本語のt、若干この位置が異なるんですけれども、今回はですね、とりあえずほぼ同じ位置だというふうに捉えて結構です。
下先が歯茎の近くにくっついて、た、た、と発音していると思うんですね。
一方ですね、先ほどのngは鼻の奥の方、軟膏骸と呼ばれる部分でですね、発音、超音っていうんですけどね、音を整えると書いて超音。
超音は後ろの方なんですけれども、次にtという歯茎を使う音が来ることを見越してですね、
going toのng、ngの部分がですね、歯茎に近づくんですね。
次のtの歯茎音、歯茎音を予期して、早めにですね、そちらに近づけておくっていうことなんですね。
こういうのを同化というふうに言いますね。
隣接しあった音同士がお互いに近くなるという現象です。
音声学では非常によくある同化現象ですね。
こうしてgoing toになります。
ちょうどですね、going to、goを足すintoという接続詞、前置詞にありますけれども、going toといったような繋がりの音にですね、結果的になるんですね。
ここまで来ました。
次なんですけれども、このnとtというのはですね、今はもう両方とも歯茎、歯茎音になっておりますので十分に近い音なんですけれども、
さらにお互いに近寄ろうとします。
どういう形でかというと、nというのは鼻に抜かす音ですね。
それに対してtというのは口から抜かす音ということで異なるんですけれども、
これも歩み寄ってですね、歩み寄ってというよりは先に出てくるnの音が次のtの音をいわば飲み込むに近いですかね。
tの立場からするとnに取り込まれるっていう感じです。
結局nnみたいな音になるんですね。
こうして、I'm going toがI'm going to、I'm going to、I'm gonnaというふうにどんどんと縮まってきたということなんですよね。
1と2も同じで、同じでと言いますか、先ほどのgoing toよりももともとが近いです。
1to2、nttという繋がりがあるわけですよね。
そうするとですね、このnttこのあたりが全部ですね、同化作用によって結局nがマグネット役ですね。
一番最初に出てくるnの音が次のtを飲み込む形でいわば同化作用を起こしてですね、
すべてをnとかnnみたいな音に持ってってしまうと、こういうことが起こったんですね。
gonnaとwannaの解説
こうして、I'm going toはI'm gonnaになり、そしてI want toというのはI wannaになったということなんですね。
さあ、ここまでが音声の理屈ということなんですけれども、もう一歩、今日はですね、踏み込みたいと思うんですね。
文法的な話題です。
音声が短縮されるというのはわかったんですが、どんな場合にも音声って短縮するわけではないんですね。
つまり、例えばntという繋がりがあったら、じゃあ全部が全部naみたいな綴りのnaの音になるかというと、そんなことはないわけですよね。
be going toとかwant toに限ってこの省略が起こり、I'm gonna、I wannaになるっていうことです。
じゃあ、どういう時にこの省略が起こったり、起こらなかったりするのかっていうところが重要になってくるんですが、
まず、先ほど出したisn'tとかdon'tもそうですが、非常に頻度が高いんですね。
日常的で会話、交互でよく出てきて、非常に頻度が高いので、なるべく短く発音したくなるという、こういうモチベーションがあるわけですよね。
頻度が高い、これが一番重要なんですけれども、それと関連して、ではなぜ頻度が高いのか、なぜっていうこともないんですけれども、
I'm going to、これはですね、よくI willというwillを使った未来の文と書き換えることができるというケースが多いと習うわけですよね。
常に書き換えられるわけではないんですけれども、基本的に未来を表す意味っていうのは共有しています。
そしてwillの場合、分かりやすいんですが、1語なので、これは助動詞っていうふうに呼んでますよね。
be going toは3語なので、助動詞とズバリは呼びにくいんですけれども、役割としてはこれ、willに近いわけですので、やっぱり助動詞なんですね。
こういったものを助動詞と呼んだり、あるいは準助動詞と、準ずるものですね、と呼んだりすることがあります。
役割としては助動詞なんですよ。
同じようにですね、want toというのも何々したいという非常によく使われる表現で、
普通、want toのことを助動詞とか準助動詞と呼びはしないと思うんですけれども、ただ文法的に言うとですね、限りなくこの準助動詞に近い役割を果たしています。
よく使われるということが一つですし、次に動詞の原型が来るということですよね。
このような助動詞とか準助動詞、あるいは準々助動詞と言っていいようなwant toですね。
こういった語類はですね、実は非常に省略されやすいんですね。
これは頻度が高いからというのはもちろん理屈としてそうなんですけれども、もう一つですね、実は文法化という現象と関係してくるからなんですね。
グラマティカリゼーションということで、このヘルディオでも何度かお話ししたことはありますけれども、
本来はbeとかgoとかあるいはwantというのは本動詞、歴史とした動詞なんですけれども、これが組み合わせによって助動詞っぽくなるとですね、
これ本動詞から助動詞に移行するということになり、これが何と文法化と呼ばれる典型的な事例の一つになるんですね。
そして文法化を起こすコロケーション、狂気表現の最大の特徴の一つは音が短くなる、弱化するということなんですね。
頻度が高いということで、なぜ音が短くなるか弱化するかというのはもう十分に説明できると思うんですが、
さらにダメ押しで理論的に話しますと、この文法化というものも絡んできているからだということがわかるんですね。
文法化、これによって音は常に弱化しやすい環境に置かれるということなんです。
ここまで条件が揃えば、あとは先ほどの第一の音声学の理屈、これによってNGTとかあるいはNTというものがNNとなって、
結局Nに飲み込まれていくという先ほどの説明にスムーズにつながると、そんなことになるわけですね。
ということで、今回は中高生から寄せられた素朴な疑問に音声学の観点、それから文法化という観点から回答しました。
学びの重要性
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
投げ込み質問として非常にいい質問を放ってくれました。
これはですね、リモート講義の本当に最後の最後、最後の数分というところで飛び出た非常にいい、
そして皆がですね、なぜそうなんだろうって確かに思う、そんな質問だったと思うんですよね。
質問、問いかけるっていうこと、これが何よりも知的好奇心の厳選であり、そして学びの基本だというふうに思っていますので、
先日のリモート講義でもこの英語に関する素朴な疑問を募って千本ノックをすると、このLDOでもよくやっているようなスタイルでやってみましたが、
だいぶ感がありましてね、後半はこのように投げ込みの質問も来て、私もドギマギはしたんですけれども、楽しく2時間のリモート講義を終えることができました。
この問題意識ですね、ぜひ中高生の皆さん持っていただければと思います。
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それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように、英語詞研究者のほったりうちがお届けしました。また明日!
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