2025-07-22 14:36

#1514. 語源論法に要注意

▼緊急告知! 2025年6月18日に本が出ました


📙唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.


- ぜひ Amazon よりご予約ください:https://amzn.to/4mlxdnQ

- 詳しくは研究社のHPをご覧ください:https://www.kenkyusha.co.jp/book/b10135166.html

- 7月13日(土) に朝日カルチャーセンター新宿教室にて著者3名が記念出版記念講座をハイブリッド開講します.詳しくは https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=8388868 をどうぞ.


▼パーソナリティ,堀田隆一(ほったりゅういち)の詳しいプロフィールはこちらの note 記事よりどうぞ.


- https://note.com/chariderryu/n/na772fcace491


▼heldio のビデオポッドキャスト版を Spotify で始めていますので,そちらのフォローもよろしくお願いします.


https://open.spotify.com/show/0xOyOIXBUrIZbnwSLeJsSb?si=zH5V2CjkS0ekqNz5ro7caw


▼helwa リスナー有志による月刊誌「Helvillian」の9号が公開されています


- 第9号(2025年6月28日):https://note.com/helwa/n/n79623d921a95


▼2025年7月7日に『英語史新聞』第12号がウェブ発行されています.


khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』第12号がウェブ公開されています.こちらよりアクセスしてください


- 第12号:https://drive.google.com/file/d/1eQawDu2njFNMMVKDUr4JRZdIWTNHDdha/view?usp=drivesdk


第12号公開については,khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio (https://x.com/khelf_keio) を通じても案内しています.

リツイートなどを通じて「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)にご協力いただけますと幸いです.


▼2025年第2四半期のリスナー投票が7月10日までオープンしています


- 投票会場:https://app.sli.do/event/weRify7g2SvDa89mZh7k1A


▼2024年9月8日(日)に12時間連続生放送の「英語史ライヴ2024」を開催しました.英語史界隈では前代未聞のイベントとなりました.詳細は以下の配信回,あるいは khelf の特設ページを! イベント後は,数ヶ月間かけて各番組をアーカイヴで通常配信していきました.


- heldio 「#1119. 9月8日(日)「英語史ライヴ2024」を開催します」 https://voicy.jp/channel/1950/1296042

- khelf 特設ページ: https://sites.google.com/view/khelf-hotta/英語史ライヴ2024特設ページ


▼X(旧Twitter)上で「heldio コミュニティ」が開設しています.


Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」のリスナーさんどうしの交流と情報発信の場です.heldio やそこで配信された話題を「待ち合わせ場所」として,英語史やその他の話題について自由にコメント・質問・議論していただければ.heldio が広く知られ「英語史をお茶の間に」届けることができればよいなと.今のところ承認制ですが,お気軽に申請してください.

https://twitter.com/i/communities/1679727671385915392


▼プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) も毎週火木土の午後6時に配信しています


「英語史の輪」にこめる想い


1. レギュラー放送は,これまで通り,最大限に良質な内容を毎朝お届けしていきます.プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」のための課金の余裕がない方々(例えば中高生や英語史を真剣に学びたい苦学生など)は,無料のレギュラー放送のみを聴き続けていただければと思います.レギュラー放送では,皆さんに最良の放送をお届けし続けます.


2. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」で得た収益の一部は,レギュラー放送の質を保ち,毎日円滑にお届けするための原資とします.


3. また,収益の一部は,Voicy 以外でのhel活をさらに拡大・発展させるための原資とします.


4. ときに khelf(慶應英語史フォーラム)やプレミアムリスナーにも協力していただき,hel活の新機軸を打ち出していきたいと思っています.企画本部としての「英語史の輪」です.

5. ぜひとも「英語史の輪」のプレミアムリスナーになっていただきたい方


 ・ hel活を応援したい方(資金援助,広報支援,盛り上げ係りなど.研究者,学生,一般の社会人など職種や専門は問いません.)

 ・ 毎日もっともっと英語史に触れたい方,レギュラー放送では足りない方

 ・ 私(堀田隆一)の話をもっと聴いてみたい方

 ・ レギュラー放送のような一般向けの話題にとどまらず,もっと専門的な英語史の話題も聴いてみたいという方

 ・ レギュラー放送で言えない/配信できないような「低い」話題(対談のアフタートークや飲み会での雑談など)も聴きたいという方

 ・ パーソナリティおよびリスナーさんどうしで,もっと交流したい方


以上,よろしくお願いいたします.

サマリー

本エピソードでは、語源が思考の糧であることについて分かりやすく解説し、語源論法の危険性にも触れています。語源を上手に活用することで、スピーチや教育の場面で印象を与える方法が考察されています。語源論法は古代から教養の成果として受け継がれ、現代でもレトリック的手段として人気がありますが、その背後にある不正確な派生関係については注意が必要です。スピーチにおいて語源論法の活用が推奨される一方で、聞く側はその真偽を疑う姿勢が求められています。

語源の力と意義
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語詩ブログの管理者、 英語のなぜに答える初めての英語詩の著者、そして6月18日に研究者から刊行された
英語語源ハンドブックの著者の、ほったりゅういちです。 英語の語源が身につくラジオheldio。英語詩をお茶の間にをモットーに、英語の歴史の面白さを伝え、
裾野を広げるべく、毎朝6時に配信しています。 本日は7月22日火曜日です。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
昨日の話題なんですけれども、1513回、 語源は思考の糧である小塚五六よりとしてお届けいたしました。
皆さん聞いていただけましたでしょうか。 先週土曜日の午後に開講されました朝日カルチャーセンター新宿教室にてですね、
英語語源ハンドブックの著者3名が集まって定談いたしました。 語源ハンドブックの使いこなし方などについて90分弱お話ししたんですが、
その中で私がとりわけ印象的だったなという小塚義隆さん、 著者の一人ですけれども、愛知教育大学の小塚義隆さんの語録としてですね、
語源は思考の糧である。 food for thought であるというのがすっかり刺さってしまいまして、
昨日の配信会でそれを取り上げた次第なんですね。 今日もですね、それと関係するんですが、ちょっと裏から
見てみたいと思うんですね。語源は思考の糧である。 これはですね、私も言葉にならないもののですね、ずっと思い続けてきた
考え方なんですが、それをズバッとですね、 語源は思考の糧である。
表現してもらったということで腑に落ちたというのが昨日の内容だったんですが、 ある意味ですね、これは語源論法の話でもあるな
ということで、実は浅かる本体でもこの話ちらっとしたんですよね。 私自身も忘れないうちにこのボイシーヘルディをでもですね、話して残しておこう
と思いまして、今日の話題となります。 今日のお題は、語源論法に要注意です。
語源論法の危険性
何やらネガティブな匂いがしますが、これについてお話したいと思います。 どうぞよろしくお願い致します。
語源は思考の糧である。 友達であるとか仲間であるとか、何でもいいんですけれども平和とか愛とかですね、
割とこう抽象的な概念で哲学の話題になりやすそうなもの。 この語源を様々な言語で調べると、その原理と言いますかね、
本質エッセンスが読み解けることがある。 それによってそのお題に対する哲学的思考が進むというようなことあると思うんですよね。
これがまさに語源は思考の糧であるという、 昨日紹介した小塚五六の一つということになります。
これを聞いて思い出すのはですね、語源というのはなかなかパワーがあるんですね。 思考の糧であるというぐらいですから、なかなかのパワフルな代物なんですよ。
実際ですね、語源論法であるとか、語源のレトリックと呼ばれているようなものがありまして、 これはですね、語源って背景に歴史を背負っているので、そして歴史が長いものというのは
だいたいですね、無批判にと言いますか、無条件に盲目的に信用されやすいんですね。 時の試練を経てきているというだけでですね、そこに
威信が漂う、オーラがまとわりつくっていうことなんですよね。 これやはりですね、有意所正しいって言われるとですね、なかなか否定できないところがあったりしてですね、
この歴史とかですね、語源というのは、そもそもがオーラを伴いやすいんだと思うんですよね。
そこでですね、自分の思考のための型に利用するということで、 昨日のfood for thoughtの話が出てきたんですが、これがあまりに素晴らしい場合ですね、人にも言いたくなりますよね。
そしてちょっとですね、説教っぽく、あるいは指導者っぽくですね、 語源の知見を言いふらしたくなるという欲求が出てくるんですね。
これはですね、人前でお話をしたりすることが多い職種。 例えば私のような教員もそうですし、
会社で言えば部長さん、社長さん、 学校で言えば校長先生、とりわけですね。それから結婚式のスピーチなどをする方。
いろいろな職種であるとか機会があると思うんですよね。 こういう時ですね、話題に困ったら語源というのがですね、一つ大きな選択肢になるんですね。
先ほど述べた通り、語源にはオーラが漂います。 そして意外性があることも多いです。
ということで、ちょっとした気の利いたスピーチをしなければならない時に、 語源辞典を引いたりですね、
調べたりするとですね、これうまくいくことがかなり多いんですね。 そして教訓っぽくもなるし、
意見を伴ったね、上司っぽい、あるいは校長先生っぽい響きが出せるんですよ。 例えばですね、私も学年度のですね、だいたい最初にですね、
大学生に対して、表説というのをするのはいけないことです。 というようなですね、指導することがあるんですね。
表説というのは、人の書いた文章を、さも自分の文章であるかのように使うという、 いわゆる文章の投用ということですね。
表説と言います。 昨今はですね、AIなども出てきて、人の文章ではなく、
生成AIが作った文章を借りるということで、カッコつきのAI表説みたいな表現もですね、 出てきているわけなんですけれども、なかなかこれは罪が重いわけですよね。
ですが、やはりですね、この罪の重さがなかなか わかってもらえない。
それをですね、強く印象づけるにはどうするかという時に、私がですね、出すのは 語源なんですね。
英語で、plagiarismと言うんですね。plagiarism、表説です。 これはですね、語源を探りますと、なかなか面白いんですね。
大元、大元はですね、 インドヨーロッパ祖母の語根、plek、編む。
編み物の編むですね。編むという語根にたどり着くんですよ。 編んだり、巻いたり、畳むということから、そのようにしてできた、編みですね。
それが編みが、狩猟用の編みということで、これ罠という意味に展開していくんですね。
これが、ラテン語のplagaという単語なんですね。狩猟用の編み、罠。
そして、この罠に引っ掛けて、誰かを捕らえてしまうという、人間社会で言えば、これ誘拐ということですよね。
誘拐犯のことをラテン語で、プラギアリウスと言うんですね。
このラテン語の単語が英語に17世紀中に入ってですね、しばらくはこの誘拐、誘拐犯というような意味で使われていたんですが、
それが文章の誘拐ということで、表説にやがてなっていったというような意味変化があります。
とするとですね、表説した人っていうのは誘拐犯なんだと。
皆さん知っている通り、誘拐犯は相当罪が重いですよ、というような語源を用いたレトリック、つまり語源論法でですね、
表説の悪さですね、邪悪さというものをですね、印象付けようとしているわけなんですね。
これがどれだけ聞いている皆さんに響いているかは分かりません。
語源論法の魅力と注意点
私の語源レトリック、語源論法が成功しているのかどうかは分からないんですが、
知識としてですね、「へえ、そうなんだ。」ぐらいの感覚にはなってですね、頭の中に残ってくれるかもしれません。
そこに欠けているわけなんですよね。
このようなレトリック的トポス、トポスというのは上等手段ということですけれども、語源論法っていうのは典型的なレトリックになりうるんですよ。
そして先ほどのプレイジャーリズムの話ですね、お聞きの皆さんがどう受け取ったかは分からないんですが、
やや大げさにですね、この話を持っていくということが多いですね。
もともとは誘拐なんだから罪は重いんだぞというのがどれだけ説得力を持つかということです。
ただこれはレトリックであり、いわば言葉のあや、ですから印象に残ってくれればいいということなんですね。
このような語源論法というのはこれ昔からあってですね、
実際レトリックに関する本を書いたオリビエ・ルーブルによりますと、こんなふうに言っていますね。
語源論法は古代以来、教養の成果として享受されてきており、現代でもなおレトリック的トポスであり続けているということなんですね。
しかしこれには注意しなければいけないということもですね、述べられているんですね。
この語源論法は歴史的実態をあまり気にせず、とんでもない派生関係をでっち上げることがしばしばあるからなんですね。
ということは語源論法、便利な時もあるけれども結構嘘くさいぞということもあるわけですね。
部長や校長先生がこの語源論法を出した時にはですね、我々は半分疑わなければいけないということにもなるんですね。
つまり受け取り手にとっては騙されていないかなということも疑わなければいけないということですね。
さあ、ではなぜこの語源論法、昔から人気のあるレトリック的トポス、上等手段なんだろうかっていうことですね。
先ほどのルブールはですね、次のようにも言っています。ここがですね、ズバッと確信をついているところなんですね。
では読み上げます。
引用を終わります。いかがでしょうか。なかなか鋭く厳しい指摘ではないでしょうか。
皆さんがスピーチをする時に語源論法を使うというのはですね、私は推奨いたします。
一方、スピーチを聞く時に語源論法っぽいものが出たら要注意ということも合わせて述べておきたいと思います。
語源というものを正しく使った場合には小塚義高さんの言う food for thought、思考の過程になります。
それを少しずる賢く使うと語源論法になるということですね。
スピーチと受け手の役割
とりわけ受け手側、聞く側はこのあたりの語源が持つポジティブな側面とネガティブな側面、両方に注意しておく必要があるのではないかと思った次第です。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
この語源論法に関する話はだいぶ昔にですね、ヘログ英語誌ブログの方で書いておりました。
それをですね、今日はVoiciヘルディオ版にアレンジしたということなんですね。
その記事へのリンクを貼っておきますので、ぜひそちらも覗いていただければと思います。
改めて皆さん、語源とは何か、語源はどのように活用すべきか、このあたりを考えいただければと思います。
このチャンネル、英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、あなたからのご意見ご感想をお待ちしています。
Voiciのコメント機能を通じてお寄せいただけますと幸いです。SNSでのシェアもよろしくお願い致します。
それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように、英語詞研究者のホッタリウイチがお届けしました。
また明日!
14:36

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