2025-11-23 15:33

#1638. 海をまたいで等語線

▼helwa リスナー有志による月刊誌「Helvillian」の第13号が公開されています


- 第13号(2025年10月28日):https://note.com/helwa/n/n19b19fa03ec1?magazine_key=m82eb39986f24


▼hel活のハブ The HEL Hub のホームページがオープンしました


- https://user.keio.ac.jp/~rhotta/helhub/

- heldio, helwa はもちろん hellog や YouTube 「いのほた言語学チャンネル」などの様々な媒体での英語史コンテンツの新着が日々集まってくるページです.


▼2025年10月15日に新刊書が出ました


📕井上 逸兵・堀田 隆一 『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』 ナツメ社,2025年.


- Amazon での予約注文はこちら:https://amzn.to/4nmDn6Y

- 本書を紹介する特設HPはこちら:http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/inohota_naze

- YouTube 「いのほた言語学チャンネル」が書籍化されました

- Amazon 新着ランキングの英語部門で第2位を記録


▼2025年6月18日に新刊書が出ました


📙唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.


- Amazon 新着ランキングの英語部門で第1位を記録

- 発売3ヶ月で早くも3刷が決定

- 「本格的な語源本」としてご好評いただいています

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▼パーソナリティ,堀田隆一(ほったりゅういち)の詳しいプロフィールはこちらの note 記事よりどうぞ.


- https://note.com/chariderryu/n/na772fcace491


▼2025年7月7日に『英語史新聞』第12号がウェブ発行されています.


khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』第12号がウェブ公開されています.こちらよりアクセスしてください


- 第12号:https://drive.google.com/file/d/1eQawDu2njFNMMVKDUr4JRZdIWTNHDdha/view?usp=drivesdk


第12号公開については,khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio (https://x.com/khelf_keio) を通じても案内しています.

リツイートなどを通じて「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)にご協力いただけますと幸いです.


▼プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) も毎週火木土の午後6時に配信しています


「英語史の輪」にこめる想い


1. レギュラー放送は,これまで通り,最大限に良質な内容を毎朝お届けしていきます.プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」のための課金の余裕がない方々(例えば中高生や英語史を真剣に学びたい苦学生など)は,無料のレギュラー放送のみを聴き続けていただければと思います.レギュラー放送では,皆さんに最良の放送をお届けし続けます.


2. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」で得た収益の一部は,レギュラー放送の質を保ち,毎日円滑にお届けするための原資とします.


3. また,収益の一部は,Voicy 以外でのhel活をさらに拡大・発展させるための原資とします.


4. ときに khelf(慶應英語史フォーラム)やプレミアムリスナーにも協力していただき,hel活の新機軸を打ち出していきたいと思っています.企画本部としての「英語史の輪」です.

5. ぜひとも「英語史の輪」のプレミアムリスナーになっていただきたい方


 ・ hel活を応援したい方(資金援助,広報支援,盛り上げ係りなど.研究者,学生,一般の社会人など職種や専門は問いません.)

 ・ 毎日もっともっと英語史に触れたい方,レギュラー放送では足りない方

 ・ 私(堀田隆一)の話をもっと聴いてみたい方

 ・ レギュラー放送のような一般向けの話題にとどまらず,もっと専門的な英語史の話題も聴いてみたいという方

 ・ レギュラー放送で言えない/配信できないような「低い」話題(対談のアフタートークや飲み会での雑談など)も聴きたいという方

 ・ パーソナリティおよびリスナーさんどうしで,もっと交流したい方


以上,よろしくお願いいたします.

サマリー

ポッドキャストでは、ニュージーランドとオーストラリアの英語に見られる統合戦について探求し、特にタスマン海を越えた言葉の変化や方言に関する協会について議論しています。具体的な単語や表現が取り上げられ、海を越えた言語の関係性が描かれています。このエピソードでは、オーストラリアとニュージーランドの方言や移民の影響について語られています。特に、言葉の移動と人々のコミュニケーションの範囲が方言形成に与える影響に焦点が当てられています。

00:01
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語誌ブログの管理者、英語のなぜに答える初めての英語誌の著者、
そして6月18日に研究者から刊行された英語語源ハンドブックの著者の堀田隆一です。
加えて10月15日に夏目社より新刊書が出ました。同僚の井上一平さんとお届けしている youtube チャンネル
井上言語学チャンネルから生まれた本です。井上一平堀田隆一著 言語学ですっきり解決英語のなぜ
ハッシュタグひらがな6文字で井上なぜとしてご意見やご感想をお寄せください。 特設ホームページも概要欄のリンクからどうぞ。
英語の語源が身につくラジオヘルディオ。英語誌お茶の間にをもとに英語の歴史の面白さを伝え
裾野を広げるべく毎朝6時に配信しています。 本日は11月23日日曜日
皆さんいかがお過ごしでしょうか 日本はだいぶんですね寒くなってきておりますでしょうか
11月も末ですからね こちら私が今おりますニュージーランドの南島ダニーデンですけれども
逆にだんだんと暖かくなってきております そして日も非常に長くてですね実は今ですね夕方というか夜の8時に撮っているんですがまだまだ明るいということで
ダニーデン北部にあります植物園を散策しながら今ベンチに腰掛けつつですね 収録しているというところなんですね全然明るいです
1ヶ月ほど前はクライストチャーチ市内にある植物園 これは本当に平たいそして綺麗なというかクリーンな植物園ということで私
毎日のように走ってですね 大好きなところだったんですが今来ている今度ダニーデンの植物園はですね
ワイルドでより広大でですね これはこれでまた味がありますね
だいぶ気に入ってしまった植物園ということで よく来るようになったんですが今日はそちらからお届けしたいと思いますね
統合戦の概念
話題としましては海をまたいで統合戦 これでいきたいと思います
どうぞよろしくお願い致します
皆さん統合戦という専門用語なんですけどもね 聞いたことがありますでしょうか
このヘルディオでも何度か口にしたことはあるかもしれませんが どこまでちゃんとお話ししたことがあるかなと思うんですが
漢字で書くと等しい単語の語ですね の戦ということですね
圧戦とか統合戦というのは理科とか社会でですね 皆さんも習った経験があるんではないかと思いますが
方言学 言語学の世界ではですね統合戦という またですね面白い概念があるんですね
これはですね単語の変わり目と言いますかね つまり方言区分と関係するんですね
最も有名なところでは日本語で存在することいるというか おるというか
これ東日本と西日本ということで分かれるんですけれども 大体きれいにですねある線でですね
方言区分の線で東と西に分かれるということになっているんですね
でこれがいるとおるの統合戦ということにもなる
方言協会ということと あと一つの今回ペアの単語いるおるだけに注目したわけなんですが
語ごとにですねどこで方言が分かれるかという線が引っ張れるんですね
違う単語のペアであるとまた全く異なる統合戦 方言協会が引かれるということでですね
これ本当に注目する語によって異なるので揺れ動くといえばそうなんですけれども
このような方言協会と一致するようなその語の協会ですよね
これを示す架空の地理的な線ですね これを統合戦というふうに方言学では読んでいます
方言協会というのは皆さんご想像はつくかと思うんですが
自然のですね地理 自然の障害例えば川とか山とか海っていうのが典型ですよね
それによって人のコミュニケーションが難しくなるということですので
ここに方言協会がある つまりある単語ペアの統合戦もそこに落ちるということが
非常に一般的なんですよね これは想像できるかと思うんですよね
ただですね自然の障害とはまた別の人文社会的な 人文地理的な要因でですね
自然の障害とはまた別の線が引っ張れるというような そういうケースがあったりするわけなんですよね
これ自体もいろいろと単語のペアをですね 変えてみると必ずしも珍しいことではないとはいえですね
その自然の境目というのが 川でも山でもなく海であると
これなかなか渡れない海であるということになると ちょっと驚きが増すということで
タスマン海と単語の関係
今回はですねニュージーランドとオーストラリアの英語に見られる統合戦が この間にある海
タスマン海って言いますけどもね
タスマン海が境界となっておらず 統合戦がニュージーランド側から見るとですね
普通その統合戦の境界というのがタスマン海にあって オーストラリア側に行くとそんな単語使えない
通じないよということになりそうなんですが
いやいやオーストラリアの一部地域には ニュージーランドで使われているのと同じ単語が使われている
ただしオーストラリアのそれ以外の地域では そんな単語使われていないというふうに
統合戦がいわばタスマン海に惹かれるのではなく ちょっとオーストラリア側にずれ込んだ形で一部だけですね
オーストラリアの一部コーナーを含めて ニュージーランドも含めてというような
妙な統合戦 方言境界が惹かれる例がありますということを知りまして
これについて今日はいくつか事例を お話ししてみたいと思います
ものすごくこういう単語がいっぱいあるかというと そうでもないのかなという感じはするんですけれども
いくつか指摘されていることがあるんですね
これは単語だけでなくて語法も含めて 広い意味で統合戦の語を意味させたいと思うんですけれども
具体的な言語表現の例
ニュージーランド英語にはですね
ニュージーランド英語的な表現として
Boy of Brianという言い方があるんですね
O'Brien's Boyというふうに 人の場合 アポストロフィーSで所有格を表すというところを
律儀にですね 統合的にofを使うという 標準的な英語ではあまり使われない表現ですね
Boy of Brianという表現
これはですね ニュージーランドに見られるとともに
オーストラリアのニューサウスウェールズの ニューカストルにおいてはこの表現が見られるって言うんですね
つまりオーストラリアではそこだけが いわゆるポケットのように
こんなニュージーランド的な表現を使う 地域があるっていうことなんですね
そうすると統合戦をひくんであれば
ニュージーランドとオーストラリアの間の 多数満開にその境界線があるんではなくてですね
オーストラリアのニューサウスウェールズの ポケットを含み込むような形
プラスニュージーランドという これが一つのエリアになって
そしてその外にあるのが その他のオーストラリア全域というような
そんな感じになると
他にはですね クレブという表現があるんですね
C-R-I-Bと書いてクレブ
これですね オーストラリアでも そしてニュージーランドでもですね
ランチ 昼食を意味するということなんですが
これもですね オーストラリア側に 統合戦がはみ出ているという言い方をするんですかね
そんな単語のようなんですね
他にですね 赤い表面のソーセージ 小さめのものですね
これがチリオーズというふうに ニュージーランドでは呼ばれているんですけれども
これはオーストラリアのクイーンズランドでも そう呼ばれている
ただオーストラリアでも クイーンズランド以外では そういうふうには呼ばれていないって言うんですね
このようにですね いくつか他にもですね
オーストラリアとニュージーランドの方言
ポロニーという単語とか スレイターという単語ですかね
ポロニーっていうのは 香辛料をたっぷり効かせた 豚肉の燻製ソーセージ
スレイターっていうのは船虫ですね 海岸にいる動物ですけれども
これなどもですね 統合船がオーストラリア側に ちょっとはみ出ているって言うんですよね
それから鼻地を意味する これはブラッドノーズって言うんですかね
わかりやすい単語なんですけれども
ノーズブリードとか言うわけなんですが ニュージーランドではブラッドノーズという
ただこの言い方はオーストラリアでも ビクトリアとかサウスオーストラリアでは使うって言うんですよね
このように ニュージーランドとオーストラリアの一部が
一つの方言領域を成していると 見ることができるような単語類があるという
そういう観察に基づいた面白い概念ですね
統合船が海を跨いだというような 言い方になるわけですよね
自然の生涯を跨いで統合船があるっていうのは なかなか面白い話で
ちょっとロマンなども感じる人々の移動というのがですね
自然に逆らってでもなされるもんなんだという 逞しさのようなものも感じたりするんですけれども
これはですね このような話し方をすると ちょっと面白く聞こえるじゃないですか
移民と方言の伝播
ただ 移民社会などでは 決して珍しいことではないなというふうに
後から考えて思ったんですね
例えばタスマン海どころではない幅を持つ大西洋 イギリスとアメリカ東海岸ですけれども
これアメリカ東海岸の北部 いわゆるニューイングランドと呼ばれる
ボストンなどを含むエリアなんですが ここはニューイングランドと言われるぐらいでですね
初期のイングランドからの移民たちによって作られた町 植民地ですね
しかもその植民地ができてからも大西洋を挟んでですね
イングランドと交流が激しかったということで
それはですね 同じ単語が使われるということが十分に起こるわけですよね
これをイングランドの方言協会は大西洋にはなく
ニューイングランド部分も含む アメリカ大陸にまで伸びているんだと言って
驚いた すごいというのと 同じような話なんではないかということなんですね
厳密に言えば やはりイングランドで方言協会は閉じてると思うんですね
ただそれが大西洋を挟んで ニューイングランドに持ち越されたということで
言い方によっては 統合戦がニューイングランドのところまで
覆っているという言い方も もちろんできるんですけれども
普通に考えるとですね 時代の断絶であるとか
植民という大きな異動を挟んでいるっていう 歴史的経緯があったわけなんで
一旦はですね イングランドでやはり方言は閉じている
ただしそれが持ち越されてと言いますか コピーされてニューイングランドにも及んでるんだ
境地的に見ると そこまで方言領域が伸びているというか
統合戦が大西洋 西にはみ出ているという言い方もできるっていう
そういうことなんじゃないか という気がするんですね
言い方一つでですね なかなかエキサイティングな話にもなるし
それよく考えたら当然のことだよねっていうことにもなる という例なのかなとは思いました
ただいずれの見方をとるにせよ 人の動きがあって その単語も持ち越されるということでは
統合戦という語だけで見て線を引っ張る そこで終わるんではなくて
人の動きがあったからこそ そのような統合戦が分布しているんだと
そこまで考えて思いを馳せる方が 面白いのかなというふうに思った次第です
エンディングです 今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました
海を跨いで統合戦という話題でしたけれども
この統合戦の前提には人の動き 人のコミュニケーションの範囲
人の移動範囲っていうのがあるんだという話で
人間ですね あるいはその人間のコミュニティがあるんだということを意識することの方が面白いのかなというふうに思ったりします
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それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように 英語詞研究者のほったり打ちがお届けしました
また明日
15:33

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