三つ館ミュージアムの紹介
こんにちは、74才 薬膳&料理研究家の木下賀律子です。
先日私は、愛知県半田市にある、お酢の博物館、三つ館ミュージアムに行ってきました。
ここは三つ館酢の歴史や、昔のものづくりへのこだわり、
そしてまた和食文化の魅力などを楽しみながら学べるという体験型博物館です。
アクセスは、JR半田駅から降りると、目の前の黒い建物に三つ館のマークが見えます。
三本線にその下に丸が書いたマークです。
そこに向かって直線で歩いていくと、約4分ぐらいのところにあります。
前もって予約して、孫たちと行ってきました。
感想はズバリ、大人も子どもも楽しめるところです。
そんなわけで、今日はお酢やお酢の持つ味、酸味についてお話をさせていただきます。
酢の歴史より先に種類ですね。
酢の種類から申し上げましょう。
世界にはなんと4000種類もの酢があると言われています。
酒のあるところ必ず酢あり、という言葉もありますが、
どんな酒でも発酵させれば酢になるそうです。
つまり酒の種類だけ酢の種類があり得るわけで、
こんなに膨大な数、4000というね、こんなに膨大な数になるのです。
海外にはですね、蜂蜜やココナッツ、バナナから作った酢などもあるそうなんですよ。
考えてみればね、私の住んでいる地域では柿、フルーツの柿がよく採れます。
柿を使った酢作りのパンフレットなども、そういえば見かけたことがあります。
私はちょっと残念ながら参加したことはないんですけども、
柿酢の作り方なんていう講習会も見かけたことがあります。
日本で最もポピュラーな酢というのは、言うまでもなく日本酒から作る米酢です。
では外国ではどんな酢が一般的に使われているのでしょうか。
その国で飲まれている酒から連想すれば、大抵当たるようです。
例えばフランスといえばワイン、当然ワインビネガーが一般的です。
ワインはお酒、ビネガーは酸っぱい味ということでこれが合体したのですね。
日本のこの酢というのも酒編の一部の作りと、それから作るという字の一部の作りが合体して酢という字になっております。
戻りますね。
またビール好きで知られるイギリス、アイルランド、ドイツではビールから作るモルトビネガーも有名ですね。
でもアメリカなどではですね、何がじゃあ有名かというとバーボンとかビールでしょうか。
じゃなくてリンゴ酒というのをよく、リンゴ酒が飲まれているようなんです。
だからリンゴ酒から作ったリンゴ酢がアメリカでは有名です。
このように酢はその国の酒文化と密接な関係にあります。
酒と食文化が切り離せない関係にあることを考えれば、酢はその国の食文化を象徴する調味料ということが言えるのではないでしょうか。
あと日本のことなんですけど、米酢と並んでよく目にするのが穀物なんですね。
この穀物酢は1種類または2種類以上の穀物を原料とした酢のことで、お米とか酒かす、麦、とうもろこし、豆、砂糖きびなどが原料です。
普通米酢は酢1リットルに米が40グラム以上入ると米酢と呼ばれます。
だからそれ以外の原料の割合が多いものが穀物酢です。
原料から酒を作る代わりに醸造用アルコールを添加することが多く、お安い値段で手に入るのが嬉しいです。
どんな味がするか穀物酢はシャープな酸味が特徴です。
例えばドレッシングとか煮物に向いてます。
一方米酢の味は角のないまろやかな酸味が特徴なので、寿司飯に使う合わせ酢などに向いてますね。
この他に最近では黒酢というものがよく注目されています。
黒酢は原料は何かというと玄米なんですね。
玄米を原料としたもので、大変個性的な味です。
お料理は黒酢酢豚などお聞きになったことがあるかと思いますけれども、中華料理に向いてますね。
では酢の歴史に入っていきましょう。
酢の起源は古く、紀元前5000年頃の古代バビロニアの記録には、星ぶどうや夏目矢子を利用してお酢を作っていたとあります。
旧約聖書にも酢は飲み物として登場しています。
今も飲む酢がよく売られていますよね。
日本で酢が作られるようになったのは4、5世紀頃。
中国から酒を作る技術とともに米酢の醸造技術が伝えられ、
泉の国、今の大阪府の南部あたりで作られるようになったのが始まりとされています。
奈良自体の万葉集には酢を使った生酢を読んだ歌があり、
これが日本では最古の酢に関する記述だと言われています。
ただし当時のお酢というのは朝廷や貴族専用のもの、庶民には手の届かない贅沢品でした。
酢が調味料として一般に広まったのは江戸時代です。
江戸時代になってからお酢の製法が全国各地に広まり、
それとともにお酢を使った料理もたくさん生まれました。
初めてお寿司が生まれたのもこの頃。
ご飯に酢を混ぜてお寿司にする早寿司と呼ばれるものです。
幕末になると握り寿司や稲荷寿司が誕生し、庶民にも大変な人気だったそうです。
ミュージアムでも当時のお寿司が展示されていました。
作られた模型なんですけどね。
今のお寿司と比べると大きいんですよ。今のお寿司の2.5倍ぐらい。
屋台でお寿司が売られていて、江戸時代には職人さんが多く見えましたので、
職人さんたちが立って2,3個お寿司をつまむというのが流行っていたそうです。
ミュージアム内でその他に半田の運河から何日もかけて江戸に向かう
その米財船という船も展示されており、当時の海上物流の盛んな様子がよくわかりました。
そして江戸時代が終わり、大正時代になると豪勢図が登場します。
これは石油とか石灰石を原料とした氷作産を薄めて、
各種の食品添加物を加えたもので、戦中や戦後の食料難の時代には、
米を原料として酢を作ることが禁止されていた。
これはですね、軍隊に多くの男性が入って農業どころではなくなったんですね。
だから細々と米作りをしていた、その大米というのが主食に回るため酒や酢を作ることは禁止されていたためです。
それから戦後、昭和45年から氷作産を使ったものはだんだんと少なくなり、現在では豪勢図を目にすることはほとんどなくなりました。
だからお酢の元というのは醸造酢ですね。これがもう上回るようになり、ほとんどが醸造酢になったということです。
以上が酢の簡単な歴史です。
薬膳における酸味の役割
ここで少し薬膳のお話をさせていただきたいと思います。
薬膳では食材にはそれぞれ5味があり、それら5つの味を上手に使って体のバランスを正していくのが良いという考えです。
5つの味というと酸味、甘味、そして苦味、辛味、塩味、しょっぱ味というのがありますけれども、今日は酢の味としての酸味についてお話をさせていただきます。
酸味の働き、これは現代栄養学では見えてきませんけれども、酸味の働きは修練作用があり、筋肉を引き締めて汗や尿などの出すぎを止めてくれます。
ですから、大汗、貧尿、下痢、不正出血などに酸味は有効です。
特に暑い夏に運動をして汗をいっぱいかいてしまった時には、蜂蜜レモン水などの酸味と甘味を加えた飲み物はいかがでしょうか。
フルーツのブルーベリーやブドウも甘味、酸味があって良いですね。
甘味というのは、大汗、汗の中に水分と一緒に、私たちのやる気とか、この気も流れてしまうために発汗による気をですね、消耗による気を補うという働き、それが甘味にはあります。
酸味には汗の出を止め、あるいは少なくする働きがあります。
そして酢というものの働きには、血をきれいにして血行を高める作用があり、血行不良による冷えやのぼせに有効です。
また酸味が唾液の分泌を促して消化吸収を高めるので、夏バテなどの食欲がない時には、酢が多めに入ったドレッシングのサラダや酢のものから食事を始めると、食が進んできます。
タンパク質不足の方には、鶏の手羽元とか手羽先を砂糖や醤油、酢で煮込んだ鶏の甘酢煮、さっぱり煮なども良いと思います。
今日は愛知県半田市にある三つ館ミュージアムに行き、酢について学び、体験してきましたのでシェアさせていただきました。
最後までお聞きいただきありがとうございました。